2017年8月4日金曜日

『〈象徴形式〉としての遠近法』エルヴィン・パノフスキー

 ちくま学芸文庫。木田元監訳。川戸れい子、上村清雄訳。
 遠近法で絵を描くということはごく当たり前のこととして、なんの疑いもなくそれを受け入れてきた(最近の私の絵は遠近法に従っていないものも多いのはさておき)。でもこの本に書かれているように、言われてみるとギリシャとかルネサンスとかの時代時代において、必ずしも今と同じような平面遠近法を使って絵を描いていたわけでもないし、それが受け入れられていたわけでもない。目で見えるように描くということと遠近法を使って描くということがイコールでつながると当然のように思っていたのだけれど、それはイコールではなかったということは、驚きだった。我々は世界を写真のように見ているつもりでいるけれど、実はそのようには見えていない。また、実際に個人が見ているように空間を構成することは、ものの本質を個に還元してしまっているという理由で、間違っていると考えていた時代もあったということも初めて知った。ギリシャ時代から今にいたるまで、画家や建築家たちが遠近法とどのように向き合い、その遠近法がどのように変遷してきたのか、豊富な例によって真に迫る論考をしている。本書のうち本文は3分の1程度で、あとは注と図版であるが、とても読み甲斐があって面白かった。

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