2017年7月26日水曜日

『日本語のレトリック』瀬戸 賢一

 岩波ジュニア新書。副題「文章表現の技法」。
 レトリックというと、つい「修辞」のことだと思ってしまうのだけれど、著者によると「レトリックとは、あらゆる話題に対して魅力的なことばで人を説得する技術体系である」らしい。「修辞」よりはもっと広い概念なのだ。といいつつ、この本ではこのレトリックのうち「修辞」に焦点を当てて、30種類のレトリックを解説しているのではあるが。
 山のような本、冷たい人、鍋を沸かす。ふだん何気なく使っている言葉にもレトリックが潜んでいる。もちろん文学作品にも多く使われていて、本書では、古くは平家物語や柿本人麻呂、最近では村上春樹や筒井康隆など多くの作品から例文がとられている。隠喩や直喩など馴染みのものから、緩叙法、撞着法、声喩なんていうあまり聞かないものまである。とはいえどのレトリックもたいていの人なら耳にしたことのある表現ばかりだ。無意識にこんなにたくさんの表現方法に親しんでいたのかと思うとびっくりする。そしてこれらは日本語特有のものではなく、どの言語にも見られるものなのだという。じゃあなぜこんなタイトルなんだと思ってしまうけれど、それはやっぱりこの本は日本語のレトリックについて書かれた本だからなんだろう。ジュニア向けと侮ってはいけない。文章表現はなかなかに奥が深い。

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