2017年6月27日火曜日

『勉強の哲学』千葉 雅也

 文藝春秋。副題「来たるべきバカのために」。
 「深く勉強をするというのは、ノリが悪くなることである」。今まで「ノリでできたバカなことが、いったんできなくな」る。「勉強の目的とは、これまでとは違うバカになること」である。さらにこんな風に言う。思考には、アイロニー=ツッコミとユーモア=ボケとがあり、それらの組み合わせで勉強が進んでいく。そして最終的には「来たるべきバカ」になる、と。
 なんのこっちゃという感じかもしれないが、著者はそのあたりのことをとても丁寧に説明してくれているので、読み進める分にはそれほど苦労はしない。なかなか面白い論点を持っていて、勉強に対するひとつの解釈として、これは「あり」なんじゃないかと思う。
 後半はこれらの論をもとに、実際の勉強はどうやって進めていったらいいかということを指南しているが、この部分は哲学でも何でもなく、ビジネス書みたいになっている。
 全体の話の底流には、ドゥルーズやガタリ、ラカン、ウィトゲンシュタインといった哲学者の思想が流れているのだけれど、あんまり難しく考えないで著者の思考の流れに乗ってみるのがいいと思う。それに賛同できるかどうかは別にして。

2017年6月26日月曜日

『LJ Can't Stop Playing the Beatles!』Laurence Juber

 2017年。ローレンス・ジュバー。
 一時期ウィングス(Wings)のギタリストとしても活躍していたローレンス・ジュバーによるソロギター・アルバム。ビートルズのカヴァーアルバムとしては3枚目となる。
 どれもきれいなアレンジであるが、バンドのノリを感じさせるものも多い。彼がビートルズの曲を気に入っているのが伝わってくる。曲によって、ちょっと置きに行っているなと感じるものもあるけれど、総じていい。それにしても第3弾ともなるのに、まだまだ著名曲がたくさん入っているのに驚く。『Lucy in the Sky with Diamonds』『She Loves You』、『And I Love Her』、『Something』等々。でもあまり知られていないけれど心憎い選曲もある。『And Your Bird Can Sing』や『I'll Follow the Sun』、『Honey Pie』なんか素敵だと思う。ビートルズが好きであれば、BGMにでもどうだろうか。

2017年6月18日日曜日

『精選凍頂烏龍茶(2016)』遊茶

 せいせんとうちょううーろんちゃ。
 台湾の青茶(烏龍茶系のお茶)。焙煎は浅めで、コロッとした丸い形に仕上げている。1870年代に中国から持ち込んだ茶株を凍頂山付近に植えたのが始まりらしい。蘭のような優雅な香りが鼻をくすぐる。味は烏龍茶というよりも緑茶に近い気がする。味はあんまり好みではないかな。

遊茶』東京都渋谷区神宮前5-8-5

2017年6月17日土曜日

『石川由起枝イラスト展「ひろがる世界」』カフェ北都館ギャラリー

 2017年6月14~19日。
 イラストレーターである石川由起枝によるイラスト展。カフェ北都館ギャラリーは札幌市地下鉄琴似駅5番出口から徒歩数分のところにある喫茶店で、店内の壁面に彼女の手によるイラストが額装されて並んでいる。主に不透明水彩(ガッシュ)や色鉛筆を使っており、子供や花などをモチーフにした愛らしくてほんわかしたイラストが多い。お邪魔したときは石川本人も店におり、技法や制作秘話を聴くことができ、楽しい時間を過ごせた。

カフェ北都館ギャラリー』札幌市西区琴似1条3丁目1-14
石川由起枝イラスト展示室』(石川のHP)

『調査統計データのリテラシー超入門』衣袋 宏美

 インプレスR&D。
 本書は、統計データを適切に見ることができるように、また適切に処理することができるように、統計のごく初歩の部分を解説したものである。数式は誤差を見積もるものがひとつ出てくるだけで、あとは特に難しいものはない。主に、アクセス解析によってサイトを分析したり改善案を考えたりするWeb担当者や、リサーチを行うマーケティング担当者に向けて書かれた部分が多い。全部で50ページほどしかなく、あまり中身も濃くないので、さらっと読めてしまう感じ。

2017年6月16日金曜日

『森鯨の会イラスト絵画展』札幌市資料館

 札幌市資料館2Fギャラリー3。2017年6月13~18日。
 個性的な5人の絵師によるイラスト展。細密、メルヘン、空想、ドラマチック、奇想天外、犬、猫、イケメンという感じ。メチャクチャな表現の仕方で申し訳ないのですが、おっと目を惹く作品もあるはず。
 札幌市資料館は札幌の大通公園の西の端にある素敵な石造りの建物で、ギャラリーから窓越しに見る大通公園がまたいい。ちょうど今日は北海道神宮例祭(札幌まつり)で、笛や太鼓の音に連れられて、山車や人の姿が木々の合間から見え隠れするのを楽しみながらの鑑賞となった。

『札幌市資料館』札幌市中央区大通西13丁目

『パパのブレンド(2017)』横井珈琲

 父の日にかけたブレンドで、販売は6月19日まで。コスタリカ・ラ・リアとブルンディ・マガムバの深煎りを使ったブレンド。
 カカオ風味のコクと深みのあるコーヒー。ミルクチョコレートっていう表現が一番しっくりくるかもしれない。チョコレート感が半端ない。おいしい。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2017年6月15日木曜日

『簿記のツボとコツがゼッタイにわかる本』横山 達大

 秀和システム。
 ケロちゃん文具店という店の設立から2年間の活動を通じて、簿記の基礎的なところを教えてくれる入門書。内容的には簿記3級くらいにあたる。勘定科目の仕訳から始まって、総勘定元帳や決算書の作成などひと通りのことが学べる。実際の経営活動に基づいているので、簿記の流れがよくわかる。ただ機械的に丸暗記をするのではなく、仕訳の意味などをきちんと理解して読み進められるところがいい。簿記の資格試験を受けようかと勉強し始めたけれど、今ひとつわかった気になれない人にはいい本だと思う。

2017年6月9日金曜日

『コロンビア・ロス・ノガレス(2017)』横井珈琲

 Colombia Los Nogales。コロンビアのロス・ノガレス農園のコーヒー。
 穏やかでやさしい味。酸味も苦味もそんなに強くなくて、中性的なキャラメルっぽい味。ほんの少し柑橘系の風味がある。飲みやすいけれど、少し物足りない。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2017年6月8日木曜日

『A Million Brazilian Civilians』Don Ross

 2017年。
 ドン・ロスはこれまでソロギタリストとして活動してきた人だけれど、このアルバムではアコースティックギター、エレキギターの他、ベースやピアノ、ヴォーカルも務めている。3曲収録しているヴォーカル曲はすべてカヴァーで、彼の容貌とはまた違ったやさしそうな声を披露している。彼の弾くギターはどちらかというと荒々しくて勢いのあるイメージだけれど、歌ものは違う雰囲気があるので、このアルバムの中では一休み的な位置づけになっている。ただ、個人的には歌はなくてもいいなと思った。歌ものではないカヴァー曲として『Batcha By Golly Wow』(Thom Bell/Linda Creed)があるけれど、これはお洒落なアレンジで気に入った。とは言っても私が好きなのはやっぱりドン・ロス本人の作った曲で、『A Million Brazilian Civilians』、『Corvos』、『Seven Seven Four』なんかがよかった。そういえばヘッジスのカヴァー『Because It's There』(Michael Hedges)をハープギターでカヴァーしているけれど、なんだか音が響きすぎていて雑に聞こえて、残念な感じだった。ふつうのギターを使用していたら、もっと聴きやすかっただろうに。
 このアルバム、amazonではMP3でしか売られていない。最近こういうアルバムが増えてきているような気がする。そもそも取り扱っていないアルバムも多い。私はCDで聴きたいので、「プー横丁」や「雨と休日」でCDを探すことが増えてきた。

「Shop at Pooh Corner」で見てみる

2017年6月4日日曜日

『巌茶肉桂(2016)』遊茶

 がんちゃにっけい。
 中国の青茶(烏龍茶系のお茶)。一般には「岩茶肉桂」と書かれることが多いと思う。武夷岩茶(ぶいがんちゃ)のひとつ。同じ青茶の分類でも台湾茶が青っぽい見た目なのに対し、濃い茶色をしており発酵度が高い。「肉桂」はシナモンのことで、その香りがするからこう名付けられたらしいのだけど、あまりシナモンぽくはない。それよりもキンモクセイの香りといった方が、このお茶の香りを言い得ているのだと思う。岩茶というと、独特のどっしりした甘い香りや深みのあるのどごしを指す岩韻という言葉で表現される味が知られており、この巌茶肉桂もその特徴を持っている。ただ、このお茶は岩茶の中でもかなり軽い感じの味で、とても飲みやすい。4、5煎は飲めるので(人によっては10煎以上飲めるというけれど)、時間のあるときにゆっくりと楽しんでいる。なお、このブログを書いている時点では、「遊茶」では発売が終了しているようだ。

遊茶』東京都渋谷区神宮前5-8-5

2017年6月3日土曜日

『Hakushū [白秋]』小松原 俊

 2016年。2001年以来の15年ぶりのソロギター・アルバム。
 とても日本的なアルバムだな、と思った。海外のソロギタリストはあまりこういう曲を書かないような気がする。緩急はあるけれど、基本的に弾き鳴らすことはしないで、指弾きでしっとりと歌い上げる感じの曲が多い。和のイメージというのはたぶん本人も意識していて、『あじさいの頃』だとか『橋のない川の辺りに』、『白秋の人』なんていう曲名にそれが表れているんだと思う。アルバム全体の印象はちょっと切なげだったり寂しげだったりするけれど、『愛し儚き(itoshinaki)』、『Enishi』、『ささやかな幸せ』といった曲は、なかなかいいと思った。
 このアルバムで使っているギターがアーヴィン・ソモギのギターだと知って、おおっ、と思った。とてもきれいな音色。もちろん小松原の技術によるものが多いとは思うのだけれど。

「Shop at Pooh Corner」で見てみる

『ブラジル・オウロ・ヴェルジ(2015)』横井珈琲

 Brazil Ouro Verde。ブラジルのオウロ・ヴェルジ農園のコーヒー。カトゥアイ種。2015年のブラジル・パルプトナチュラル・カップ・オブ・エクセレンス(COE)2位の豆。パルプトナチュラルは生産処理の方法で、パルプトナチュラル部門ということです。
 香りはあまり強くなく、おとなしい感じ。やわらかくてなめらかな口当たりの中に舌に感じるのは、オレンジやアプリコットの印象。ちょっと冷めてきた方が、味の主張が出てくる。抽出温度が高かったり豆の量が多かったりすると味がきつくなったりしたので、やっぱりコーヒーを淹れるときは気を抜いたらいけないな、と思った。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2017年6月2日金曜日

『なぜ僕は、4人以上の場になると途端に会話が苦手になるのか』岩本 武範

 サンマーク出版。
 タイトルを見た途端、あ、自分のことだ、と思ってしまった。確かにそうなのだ。1対1なら安心、3人でも大丈夫、なのに4人以上になると極端に口数が少なくなる。自分だけだと思っていたら意外とそういう人は多いのか。
 その原因を解き明かし、さらに苦手意識をなくし、4人以上の場でもきちんとしゃべれるように指南してくれるのがこの本。これまで著者が行ってきた3000億を超える人間の行動パターンの分析と、1000回以上行ってきた集団インタビューから得られたその答えは、なるほどと思えるものが多い。4人の場で目指すべきポジション、「3」と「4」の間にある壁、座る場所、話題、どんな風にしゃべるか、などなど。
 軽い読み物である。心当たりのある人は書店で覗いてみては?