2017年8月12日土曜日

『Until』Lotte Kestner

 2013年。ロッテ・ケストナー。
 トレスパッサーズ・ウィリアム(Trespassers William)のヴォーカリストだったアンナ・リン・ウィリアムズ(Anna-Lynne Williams)のソロ・プロジェクト。ギターのアルペジオに淡々と歌を重ねていくようなシンプルなアレンジの曲がほとんどを占める。まるで会話の延長のように木訥と語りかけてくる彼女の歌声に、そんなバックの演奏がぴったりはまっている。1日の仕事が終わってネットサーフィンでもしながらゆったりしているときに、部屋のもう一方の片隅でさりげなく弾き語っているのを聴いているみたいで、なんだかほっとする。

2017年8月11日金曜日

『アマルティア・セン講義 経済学と倫理学』アマルティア・セン

 ちくま学芸文庫。徳永澄憲、松本保美、青山治城 訳。
 本書は、アマルティア・センが1986年4月に行ったカリフォルニア大学バークレー校でのロイヤー講義の内容をまとめたものである。
 例えば選択間の内部的整合性だったり自己利益の最大化といったふうに、人間は合理的に行動するものだという主流の経済学の考え方はちょっと違うんじゃないか。そこに倫理学的思考を入れることで、経済学はもっと現実に即したものになるんじゃないか、と著者は考えている。そんな著者の思想を全体的に俯瞰して解説しているのが本書である。
 ただ、私には難しかった。著者が言いたいことが難しいからではなく、専門用語がよくわからなかったからだと思う。実証主義経済学、厚生主義経済学、一般均衡理論、結果主義、功利主義、厚生主義…。これらがなんとなくでもイメージできる程度の素養がなければ、彼のいいたいことを本当に理解するのは困難なのではないか。逆にそれらの基礎的な経済学の素養を持っている人であれば、この本を面白く読めるのではないかと思った。出直してきます。

2017年8月5日土曜日

『第32回北の日本画展』大丸藤井セントラルスカイホールギャラリー

 2017年8月1~6日。1985年に創立した北海道を中心に活動する日本画作家のグループ展。
 実のところ私は日本画とはなんなのかよくわからない。明治期に洋画と区別するために「日本画」という呼称がつけられたらしいということは、ネットを調べてわかった。江戸以前の日本の画家の描いたものは日本画とは呼ばないこともわかった。しかし岩絵の具や和紙を使えば全部日本画と呼んでいいものなのかどうか、私にはよくわからない。日本画ってなんなんだろう。
 とか思いながらこの展覧会を観にいった。具象ばかりでなく抽象画もある。メルヘンチックなのもある。輪郭があるものもあればないものもある。ああ、これって日本っぽいなと思うのももちろん多いけれど、全然そうでないものもある。当然のことながら好きな絵もあればそうでない絵もある。日本画って幅広いなと思った。これらの絵の中では、粉を吹いたような白っぽい絵が気になった。油絵やアクリル画、あるいは水彩画などでもこのような表現は可能なのだろうか。
 今後も日本画を観る機会があれば行ってみようか。

大丸藤井セントラルスカイホールギャラリー』札幌市中央区南1条西3丁目2

2017年8月4日金曜日

『〈象徴形式〉としての遠近法』エルヴィン・パノフスキー

 ちくま学芸文庫。木田元監訳。川戸れい子、上村清雄訳。
 遠近法で絵を描くということはごく当たり前のこととして、なんの疑いもなくそれを受け入れてきた(最近の私の絵は遠近法に従っていないものも多いのはさておき)。でもこの本に書かれているように、言われてみるとギリシャとかルネサンスとかの時代時代において、必ずしも今と同じような平面遠近法を使って絵を描いていたわけでもないし、それが受け入れられていたわけでもない。目で見えるように描くということと遠近法を使って描くということがイコールでつながると当然のように思っていたのだけれど、それはイコールではなかったということは、驚きだった。我々は世界を写真のように見ているつもりでいるけれど、実はそのようには見えていない。また、実際に個人が見ているように空間を構成することは、ものの本質を個に還元してしまっているという理由で、間違っていると考えていた時代もあったということも初めて知った。ギリシャ時代から今にいたるまで、画家や建築家たちが遠近法とどのように向き合い、その遠近法がどのように変遷してきたのか、豊富な例によって真に迫る論考をしている。本書のうち本文は3分の1程度で、あとは注と図版であるが、とても読み甲斐があって面白かった。

2017年7月26日水曜日

『日本語のレトリック』瀬戸 賢一

 岩波ジュニア新書。副題「文章表現の技法」。
 レトリックというと、つい「修辞」のことだと思ってしまうのだけれど、著者によると「レトリックとは、あらゆる話題に対して魅力的なことばで人を説得する技術体系である」らしい。「修辞」よりはもっと広い概念なのだ。といいつつ、この本ではこのレトリックのうち「修辞」に焦点を当てて、30種類のレトリックを解説しているのではあるが。
 山のような本、冷たい人、鍋を沸かす。ふだん何気なく使っている言葉にもレトリックが潜んでいる。もちろん文学作品にも多く使われていて、本書では、古くは平家物語や柿本人麻呂、最近では村上春樹や筒井康隆など多くの作品から例文がとられている。隠喩や直喩など馴染みのものから、緩叙法、撞着法、声喩なんていうあまり聞かないものまである。とはいえどのレトリックもたいていの人なら耳にしたことのある表現ばかりだ。無意識にこんなにたくさんの表現方法に親しんでいたのかと思うとびっくりする。そしてこれらは日本語特有のものではなく、どの言語にも見られるものなのだという。じゃあなぜこんなタイトルなんだと思ってしまうけれど、それはやっぱりこの本は日本語のレトリックについて書かれた本だからなんだろう。ジュニア向けと侮ってはいけない。文章表現はなかなかに奥が深い。

2017年7月22日土曜日

『Luna』Karlijn Langendijk

 2017年。カーレイン・ランゲンデイク。
 ソロギタースタイルのアルバムで、今までデュオとしては出していたことがあるけれど、ソロとしては初めてのアルバム。4曲しか入っていないミニアルバムだけれど、以前から彼女のソロギターを聴いてみたかったので別に構わなかった。全曲ガットギターを使っていると思う。YouTubeで初めて聴いたマイケル・ジャクソン(Michael Jackson)の『Beat It』のカヴァーも入っている。相変わらずグルーヴィーで引き込まれる。1曲目に入っているオリジナル『Triangulum』は、コンテンポラリーながらクラシカルな雰囲気もあって、ちょっと激しめに攻めているな、という感じだった。これら2曲が動を表しているとすると、対極の静を表現しているのがビリー・ジョエル(Billy Joel)の『Lullabye』のカヴァーと、オリジナルの『Luna』の2曲だ。ゆったりとしていて静謐な、とても落ち着いたアレンジになっている。そうやって丁寧に紡ぎ出されたギターの音は、アルバムタイトルそのものである。
 ミニアルバムながら、まったく違う雰囲気の4曲で構成されているので、飽きさせない。ただ、今後はどの方面の音楽を主体に目指して行くのだろう。オリジナルを聴くとクラシック・ギターという感じだけれど、カヴァーはポップ寄りだし。有名なギタリストではないのだけれど、これからも追いかけていきたい。

『Karlijn Langendijk』のホームページ

2017年7月19日水曜日

『規則と意味のパラドックス』飯田 隆

 ちくま学芸文庫。
 「68+57=?」と聞かれると、ふつう「125」と答える。でも彼は言う。「5だ」。「なぜ?」 。「この「+」はプラスではなくクワスだ。クワスとは、「+」の前後にある数字がどちらも57より小さいときは足し算で、それ以外のときは「5」になる関数なのだ」
 わけがわからないと思うだろう。私もそう思う。それなのに彼の言うことに反論しようとすると、いや、これこれこういう理由で5なのだ、と言いくるめられてしまう。相手を論破しようとしてもどうしてもできない。こんなに当たり前のことなのに。
 言葉、記号などの意味やその使い方は、当然わかったうえで使用しているとたいていの人は思っている。だけれど、突き詰めていくと意外とツッコミどころが満載で、言葉の意味って実はなんなんだろうと、よくわからなくなってくる。そんな不思議な規則と意味についての哲学的議論を、本書では主にクリプキによる『ウィトゲンシュタインのパラドックス』という本の内容をひもときながら展開していく。
 なかなかに込み入っていて難しい内容ではあるが、できるだけわかりやすいようにかみ砕かれていて、哲学的思考のめんどくささとおもしろさを同時に味わわせてくれる、刺激的で楽しい哲学入門書である。

2017年7月17日月曜日

『Back & Forth』Antoine Dufour

 2017年。アントゥワン・デュフール。
 2枚組CDとなっているが、どちらのCDにもまったく同じ曲がまったく同じ順番で入っている。1枚が「Acoustic」バージョン、もう1枚が「Electronic」バージョンである。このアルバムが家に届いてパッとジャケットを見たときに、てっきりアコギバージョンとエレキギターバージョンなんだと勘違いしてしまったのだけれど、違った。1枚目がソロギタースタイルのアコースティックギター・バージョンであることは間違いなかったが、もう1枚はコンピューターでバンドスタイルに仕上げた電子音楽バージョンだった。ほとんどの曲はアコギバージョンが先にできているけれど、いくつかは逆のパターンもあるという。そしてタイトルのとおり、両者を行ったり来たりしながら作製していったそうだ。私も彼にならって2枚を行ったり来たりしながら何回も繰り返し聴いている。
 ところがこの2枚のCDはメロディもコードも同じはずなのに、不思議と全然違う曲に聞こえる。雰囲気がまったく違う。メロディといってもメロディアスというよりはアンビエントな感じに寄っているので、曲に対するアプローチが異なると大きな違いが生まれるのかもしれない。アコギバージョンはバッキングの合間にハーモニックスでメロディを入れている曲が多い。対してエレクトトニック・バージョンはしっかり作り込まれていて、2000年以前の電子音楽のような雰囲気がちょっとあって、懐かしさを感じる。どちらも安定していて違った良さがあるけれど、私はアコギバージョンの方が好きです。

2017年7月10日月曜日

『文系人間のための金融工学の本』土方 薫

 日経ビジネス人文庫。副題「デリバティブ裏口入門」。
 デリバティブというとなんだかよくわからないけれど、難しくて危険な商品だ、なんて漠然と思っていた。オプションとかスワップとか、なんだろうかと。
 でもこの本を読んで、はまちスワップの話とかを聞くと、なんとなくでもデリバティブの基本のところがわかったような気がした。どういう目的でそのような商品が作られて、どういう風に設計されているのか。リスキーということが一般市民の間にすり込まれている感があるけれど、意外と合理的な考えのもとに作られた商品なんだということがわかった。後半はマーケットやリスクマネジメントの話もあって、興味深く読めた。
 ただ、文系人間のためであれば、もうちょっと数式とか数学用語とかを丁寧に説明してもらいたかった(素人目にはなんとなく数式が間違っているように感じた箇所もあったので)。丁寧に説明する紙幅がなければいっそのこと載せないとか。全体的にはとてもわかりやすい本だと思うのだけれど。

2017年7月2日日曜日

『async』Ryuichi Sakamoto

 2017年。坂本龍一(私が買ったのは輸入盤なので、タイトルではローマ字になっています)。
 一般には前衛的な部類に入るんだと思うけれど、そのわりには聴きやすい。アンビエントにはカテゴライズしたくない気もするが、そんな感じはある。いろいろな音が重層的に配置されて、いつものスピーカーで聴いているのに、いつも以上に自分の右だったり上だったりいろんなところから音が聞こえてくる。ふつうの人の話し声が、音の配置によっては音楽にもなり得るんだという驚きがある。ちょっと不安げだったり悲しげだったりもする。気軽には聞き流せない、魂に訴えかけてくるようなものを感じる。

2017年6月27日火曜日

『勉強の哲学』千葉 雅也

 文藝春秋。副題「来たるべきバカのために」。
 「深く勉強をするというのは、ノリが悪くなることである」。今まで「ノリでできたバカなことが、いったんできなくな」る。「勉強の目的とは、これまでとは違うバカになること」である。さらにこんな風に言う。思考には、アイロニー=ツッコミとユーモア=ボケとがあり、それらの組み合わせで勉強が進んでいく。そして最終的には「来たるべきバカ」になる、と。
 なんのこっちゃという感じかもしれないが、著者はそのあたりのことをとても丁寧に説明してくれているので、読み進める分にはそれほど苦労はしない。なかなか面白い論点を持っていて、勉強に対するひとつの解釈として、これは「あり」なんじゃないかと思う。
 後半はこれらの論をもとに、実際の勉強はどうやって進めていったらいいかということを指南しているが、この部分は哲学でも何でもなく、ビジネス書みたいになっている。
 全体の話の底流には、ドゥルーズやガタリ、ラカン、ウィトゲンシュタインといった哲学者の思想が流れているのだけれど、あんまり難しく考えないで著者の思考の流れに乗ってみるのがいいと思う。それに賛同できるかどうかは別にして。

2017年6月26日月曜日

『LJ Can't Stop Playing the Beatles!』Laurence Juber

 2017年。ローレンス・ジュバー。
 一時期ウィングス(Wings)のギタリストとしても活躍していたローレンス・ジュバーによるソロギター・アルバム。ビートルズのカヴァーアルバムとしては3枚目となる。
 どれもきれいなアレンジであるが、バンドのノリを感じさせるものも多い。彼がビートルズの曲を気に入っているのが伝わってくる。曲によって、ちょっと置きに行っているなと感じるものもあるけれど、総じていい。それにしても第3弾ともなるのに、まだまだ著名曲がたくさん入っているのに驚く。『Lucy in the Sky with Diamonds』『She Loves You』、『And I Love Her』、『Something』等々。でもあまり知られていないけれど心憎い選曲もある。『And Your Bird Can Sing』や『I'll Follow the Sun』、『Honey Pie』なんか素敵だと思う。ビートルズが好きであれば、BGMにでもどうだろうか。

2017年6月18日日曜日

『精選凍頂烏龍茶(2016)』遊茶

 せいせんとうちょううーろんちゃ。
 台湾の青茶(烏龍茶系のお茶)。焙煎は浅めで、コロッとした丸い形に仕上げている。1870年代に中国から持ち込んだ茶株を凍頂山付近に植えたのが始まりらしい。蘭のような優雅な香りが鼻をくすぐる。味は烏龍茶というよりも緑茶に近い気がする。味はあんまり好みではないかな。

遊茶』東京都渋谷区神宮前5-8-5

2017年6月17日土曜日

『石川由起枝イラスト展「ひろがる世界」』カフェ北都館ギャラリー

 2017年6月14~19日。
 イラストレーターである石川由起枝によるイラスト展。カフェ北都館ギャラリーは札幌市地下鉄琴似駅5番出口から徒歩数分のところにある喫茶店で、店内の壁面に彼女の手によるイラストが額装されて並んでいる。主に不透明水彩(ガッシュ)や色鉛筆を使っており、子供や花などをモチーフにした愛らしくてほんわかしたイラストが多い。お邪魔したときは石川本人も店におり、技法や制作秘話を聴くことができ、楽しい時間を過ごせた。

カフェ北都館ギャラリー』札幌市西区琴似1条3丁目1-14
石川由起枝イラスト展示室』(石川のHP)

『調査統計データのリテラシー超入門』衣袋 宏美

 インプレスR&D。
 本書は、統計データを適切に見ることができるように、また適切に処理することができるように、統計のごく初歩の部分を解説したものである。数式は誤差を見積もるものがひとつ出てくるだけで、あとは特に難しいものはない。主に、アクセス解析によってサイトを分析したり改善案を考えたりするWeb担当者や、リサーチを行うマーケティング担当者に向けて書かれた部分が多い。全部で50ページほどしかなく、あまり中身も濃くないので、さらっと読めてしまう感じ。

2017年6月16日金曜日

『森鯨の会イラスト絵画展』札幌市資料館

 札幌市資料館2Fギャラリー3。2017年6月13~18日。
 個性的な5人の絵師によるイラスト展。細密、メルヘン、空想、ドラマチック、奇想天外、犬、猫、イケメンという感じ。メチャクチャな表現の仕方で申し訳ないのですが、おっと目を惹く作品もあるはず。
 札幌市資料館は札幌の大通公園の西の端にある素敵な石造りの建物で、ギャラリーから窓越しに見る大通公園がまたいい。ちょうど今日は北海道神宮例祭(札幌まつり)で、笛や太鼓の音に連れられて、山車や人の姿が木々の合間から見え隠れするのを楽しみながらの鑑賞となった。

『札幌市資料館』札幌市中央区大通西13丁目

『パパのブレンド(2017)』横井珈琲

 父の日にかけたブレンドで、販売は6月19日まで。コスタリカ・ラ・リアとブルンディ・マガムバの深煎りを使ったブレンド。
 カカオ風味のコクと深みのあるコーヒー。ミルクチョコレートっていう表現が一番しっくりくるかもしれない。チョコレート感が半端ない。おいしい。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2017年6月15日木曜日

『簿記のツボとコツがゼッタイにわかる本』横山 達大

 秀和システム。
 ケロちゃん文具店という店の設立から2年間の活動を通じて、簿記の基礎的なところを教えてくれる入門書。内容的には簿記3級くらいにあたる。勘定科目の仕訳から始まって、総勘定元帳や決算書の作成などひと通りのことが学べる。実際の経営活動に基づいているので、簿記の流れがよくわかる。ただ機械的に丸暗記をするのではなく、仕訳の意味などをきちんと理解して読み進められるところがいい。簿記の資格試験を受けようかと勉強し始めたけれど、今ひとつわかった気になれない人にはいい本だと思う。

2017年6月9日金曜日

『コロンビア・ロス・ノガレス(2017)』横井珈琲

 Colombia Los Nogales。コロンビアのロス・ノガレス農園のコーヒー。
 穏やかでやさしい味。酸味も苦味もそんなに強くなくて、中性的なキャラメルっぽい味。ほんの少し柑橘系の風味がある。飲みやすいけれど、少し物足りない。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2017年6月8日木曜日

『A Million Brazilian Civilians』Don Ross

 2017年。
 ドン・ロスはこれまでソロギタリストとして活動してきた人だけれど、このアルバムではアコースティックギター、エレキギターの他、ベースやピアノ、ヴォーカルも務めている。3曲収録しているヴォーカル曲はすべてカヴァーで、彼の容貌とはまた違ったやさしそうな声を披露している。彼の弾くギターはどちらかというと荒々しくて勢いのあるイメージだけれど、歌ものは違う雰囲気があるので、このアルバムの中では一休み的な位置づけになっている。ただ、個人的には歌はなくてもいいなと思った。歌ものではないカヴァー曲として『Batcha By Golly Wow』(Thom Bell/Linda Creed)があるけれど、これはお洒落なアレンジで気に入った。とは言っても私が好きなのはやっぱりドン・ロス本人の作った曲で、『A Million Brazilian Civilians』、『Corvos』、『Seven Seven Four』なんかがよかった。そういえばヘッジスのカヴァー『Because It's There』(Michael Hedges)をハープギターでカヴァーしているけれど、なんだか音が響きすぎていて雑に聞こえて、残念な感じだった。ふつうのギターを使用していたら、もっと聴きやすかっただろうに。
 このアルバム、amazonではMP3でしか売られていない。最近こういうアルバムが増えてきているような気がする。そもそも取り扱っていないアルバムも多い。私はCDで聴きたいので、「プー横丁」や「雨と休日」でCDを探すことが増えてきた。

「Shop at Pooh Corner」で見てみる

2017年6月4日日曜日

『巌茶肉桂(2016)』遊茶

 がんちゃにっけい。
 中国の青茶(烏龍茶系のお茶)。一般には「岩茶肉桂」と書かれることが多いと思う。武夷岩茶(ぶいがんちゃ)のひとつ。同じ青茶の分類でも台湾茶が青っぽい見た目なのに対し、濃い茶色をしており発酵度が高い。「肉桂」はシナモンのことで、その香りがするからこう名付けられたらしいのだけど、あまりシナモンぽくはない。それよりもキンモクセイの香りといった方が、このお茶の香りを言い得ているのだと思う。岩茶というと、独特のどっしりした甘い香りや深みのあるのどごしを指す岩韻という言葉で表現される味が知られており、この巌茶肉桂もその特徴を持っている。ただ、このお茶は岩茶の中でもかなり軽い感じの味で、とても飲みやすい。4、5煎は飲めるので(人によっては10煎以上飲めるというけれど)、時間のあるときにゆっくりと楽しんでいる。なお、このブログを書いている時点では、「遊茶」では発売が終了しているようだ。

遊茶』東京都渋谷区神宮前5-8-5

2017年6月3日土曜日

『Hakushū [白秋]』小松原 俊

 2016年。2001年以来の15年ぶりのソロギター・アルバム。
 とても日本的なアルバムだな、と思った。海外のソロギタリストはあまりこういう曲を書かないような気がする。緩急はあるけれど、基本的に弾き鳴らすことはしないで、指弾きでしっとりと歌い上げる感じの曲が多い。和のイメージというのはたぶん本人も意識していて、『あじさいの頃』だとか『橋のない川の辺りに』、『白秋の人』なんていう曲名にそれが表れているんだと思う。アルバム全体の印象はちょっと切なげだったり寂しげだったりするけれど、『愛し儚き(itoshinaki)』、『Enishi』、『ささやかな幸せ』といった曲は、なかなかいいと思った。
 このアルバムで使っているギターがアーヴィン・ソモギのギターだと知って、おおっ、と思った。とてもきれいな音色。もちろん小松原の技術によるものが多いとは思うのだけれど。

「Shop at Pooh Corner」で見てみる

『ブラジル・オウロ・ヴェルジ(2015)』横井珈琲

 Brazil Ouro Verde。ブラジルのオウロ・ヴェルジ農園のコーヒー。カトゥアイ種。2015年のブラジル・パルプトナチュラル・カップ・オブ・エクセレンス(COE)2位の豆。パルプトナチュラルは生産処理の方法で、パルプトナチュラル部門ということです。
 香りはあまり強くなく、おとなしい感じ。やわらかくてなめらかな口当たりの中に舌に感じるのは、オレンジやアプリコットの印象。ちょっと冷めてきた方が、味の主張が出てくる。抽出温度が高かったり豆の量が多かったりすると味がきつくなったりしたので、やっぱりコーヒーを淹れるときは気を抜いたらいけないな、と思った。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2017年6月2日金曜日

『なぜ僕は、4人以上の場になると途端に会話が苦手になるのか』岩本 武範

 サンマーク出版。
 タイトルを見た途端、あ、自分のことだ、と思ってしまった。確かにそうなのだ。1対1なら安心、3人でも大丈夫、なのに4人以上になると極端に口数が少なくなる。自分だけだと思っていたら意外とそういう人は多いのか。
 その原因を解き明かし、さらに苦手意識をなくし、4人以上の場でもきちんとしゃべれるように指南してくれるのがこの本。これまで著者が行ってきた3000億を超える人間の行動パターンの分析と、1000回以上行ってきた集団インタビューから得られたその答えは、なるほどと思えるものが多い。4人の場で目指すべきポジション、「3」と「4」の間にある壁、座る場所、話題、どんな風にしゃべるか、などなど。
 軽い読み物である。心当たりのある人は書店で覗いてみては?

2017年5月31日水曜日

『「原因と結果」の経済学』中室牧子、津川友介

 ダイヤモンド社。副題「データから真実を見抜く思考法」。
 いろいろと興味深い話題に触れている。テレビを見せると子供の学力は下がるのか。偏差値の高い大学へ行けば収入は上がるのか。認可保育所を増やせば母親は就業するのか、等々。ここで著者が繰り返し強調していることは、相関関係があるからといって因果関係があるとは限らないということだ(ここを勘違いしてしまう人が結構多いんだと思う)。そこで、相関関係を調べるのはわりと簡単なことだけれど、因果関係を調べるのは結構な手順を踏んでちゃんと調査をしないとわからないんだよということが書かれている。例えばランダム化比較試験とか。話題は身近だし、説明も実にわかりやすい。ほとんど数式はなく、図表も多い。統計とか経済に疎い人でも楽しく読めると思う。
 ただ、これって経済学なのかなと、また思ってしまった。一応計量経済学の初歩なんだろうとは思うけれど。最近「経済学」と銘打って一般向けに書かれている本をよく見るんだけど、経済っぽくないものが多い気がする。

2017年5月28日日曜日

『Covers』Lotte Kestner

 2017年。
 ロッテ・ケストナーは、シューゲイズ~ドリーム・ポップ・ユニット、トレスパッサーズ・ウィリアム(Trespassers William)のヴォーカリストとして活動していた女性シンガー・ソングライター、アンナ・リン・ウィリアムズ(Anna-Lynne Williams)のソロ・プロジェクト。このアルバムはファンからのリクエストに基づいて演奏したカヴァー曲の一部を集めたベストアルバムで、ベック(Beck)、レディオヘッド(Radiohead)、ピンク・フロイド(Pink Floyd)、マジー・スター(Mazzy Star)、ジョン・レノン(John Lennon)などから17曲が選ばれている。ほとんどの曲がギターによる弾き語りによるもので、そのアレンジと彼女の木訥とささやくような歌声と相俟って、フォーキーな仕上がりとなっている。
 実を言うと私の知っている曲は数曲しかなかったのだけれど、どの曲も私の趣味によくあっていて、とても気に入った。特に『Don't Dream It's Over』(Crowded House)、『Lost Cause』(Beck)、『Fade Into You』(Mazzy Star)、『Not a Job』(Elbow)、『Do You Realize??』(The Flaming Lips)なんかが好きだった。素朴な感じの声がたまらないですね。

2017年5月27日土曜日

『ルイボス・レモン』Lupicia

 Rooibos Lemon。
 レモンの香りづけをしたルイボスティー。爽やかなレモンという感じではなく、レモンでつくったマーマレードみたいに、しっかりとした味がする。ルイボス独特のちょっと苦手な風味がすっかりなくなっていて、絶妙の飲みやすさに仕上がっている。ルイボスティーとレモンの相性がこんなにいいとは思わなかった。これはおいしい。

LUPICIA

2017年5月26日金曜日

『組織変革のビジョン』金井 壽宏

 光文社新書。
 組織の変革に必要なものってなんだろう。動機?目標?人的資源?使命(ミッション)?情熱(パッション)?ビジョン?
 後半の韻を踏んだ3つの言葉は本書で述べられているものだけれど、本当に組織を変えたいと思ったとき、それを成功させるためにはいろいろな要素が絡んでくる。本書では、それらの要素を説明するために古今東西の学者や経営者などの言葉を多数引用しながら、わかりやすくまとめて読者に示している。
 組織変革は絶対善みたいに書かれていることや、多少論理性に欠けるところは気になったけれど、今の自分の所属している組織はこのままではいけないと少しでも思っている人にとっては、変革への一歩を進める足がかりになってくれることだろう。著者は、組織変革が必要ないと思っている人に対しても、変革することを勧めているわけではあるが。

2017年5月23日火曜日

『円山オーガニック(2017)』徳光珈琲

 ものすごく久しぶりにこのブレンドを飲んだ。滅多に円山店には行かないから。
 名前のとおり、このブレンドは無農薬・有機栽培の豆だけを使っているのだという。ただ、私個人としてはそういうことに無頓着なため、オーガニックだから飲んだのではなく、以前飲んだときおいしかったからまた飲んだ。うん、やっぱりおいしい。やわらかな酸味と口当たりで、ほのかな甘みがまたいい。ほんのりとした苦味がいいアクセントになっている。

徳光珈琲のHP
『徳光珈琲円山店』札幌市中央区大通西25丁目1-2 ハートランド円山ビル1F

2017年5月21日日曜日

『配色の設計』ジョセフ・アルバース

 ビー・エヌ・エヌ新社。副題「色の知覚と相互作用」。永原康史監訳、和田美樹訳。
 1963年に出版された『Interaction of Color』(色の相互作用)の50周年記念版の完訳である。大学で「色」について教えている講義内容がもとになっている。副題及び原題にあるように、色がある物質そのままの色として知覚されることはほとんどなく、周囲の色や環境によって見え方が違ってくるということが、実践として理解できるように書かれている。モノトーンの単純な例でいえば、同じ灰色が黒い背景のもとに置かれたときと白い背景の中に置かれたときとではまったく違って見えるというようなことだ。同様に、赤や青、緑や紫といった様々な色の関係の中で、それらがどのように知覚化されるかということが書かれている。そして、理屈から入るのではなく、実際にどう見えるのかということを重要視しており、いろいろと試行錯誤して手を動かしてみて、理解を深めていくという方法をとっている。
 前半が説明、後半が図版とその解説という構成になっていて、説明を読みながら図版にも目を通しという感じで読んでいく。カラーの図版がなければ何が書かれているかよくわからないので、図版が多いのはありがたい。でも、印刷のせいなのか私の脳のせいなのか、説明で同じ色に見えると書いてある部分の色が、私にはどうしても違う色にしか見えなかったり、説明の日本文の意味がよくわからなかったりしたところがいくつかあった。こういうのは結局は錯覚の話なので、人によって見え方が異なったりすることはあるのかもしれない。
 とはいえ、この本に書かれていることは、絵を描いたりするような人にとっては知っておくべき内容だと強く思った。絵を観るだけで自分では描かない人にとっては必ずしも必要な知識ではないけれど。

2017年5月18日木曜日

『進化論の最前線』池田 清彦

 インターナショナル新書。
 多くの日本人はダーウィンの進化論を概ね信じているのだろう。しかしそのダーウィンの考え方を修正して発展してきたネオダーウィニズムも、進化に関する様々な謎を解明できていないのだと著者は言う。その考え方とは、遺伝子の突然変異と自然選択により進化を説明するというものだが、それだけでは進化の謎を説明しきれないのだと言うのだ。そしてこれらで説明できない生物の進化の仕方について、具体例を挙げて解説していく。その説明はわかりやすく、納得できる。本書はネオダーウィニズム批判的な雰囲気を持っている。なるほど進化ひとつをとってもいろいろな仕方があり、一筋縄ではいかないんだな。
 とはいえ疑問は残る。本当にネオダーウィニズムは突然変異と自然選択だけで進化を説明しようとしているのか。もっと最新の知見を加えて進化の説明を試みているのではないのか。私は生物学に詳しくないのでその辺のことがよくわからない。素人考えだが、この本に書かれているような進化の知見をすべて取り入れた進化論が存在してもいいような気がした。というかそのような進化論がネオダーウィニズムだと今まで思っていたから、この本を読んで、あれ?と思った。進化についてはまだまだ勉強しなければならないようだ。

2017年5月16日火曜日

『Autumn to Winter』yuri yamada

 2014年。山田由梨による自主制作盤のピアノソロアルバム。
 なんだか季節外れのタイトルだけれど、この季節に聴いても悪くない。表題曲の『Autumn to Winter』こそ多少凝っているけれど、そのほかの曲はとてもシンプルな作りをしている。シンプルなメロディ。シンプルな和音。シンプルなリズム。童謡を聴いているかのような妙な安定感。 中には、かわいらしくてウクレレを重ねたくなってしまうような曲もある。
 難しく考えないで素直に生きようよ。そんな風に背中を押してくれているような気がする。

「雨と休日」で見てみる

2017年5月14日日曜日

『ブラジル・カショエイラ・イエローブルボン(2017)』可否茶館

 Brazil Cachoeira Da Grama。ブラジルのカショエイラ・グラマ農園のコーヒー。イエローブルボンはブルボン種の中でも黄色に熟す品種(ふつうのコーヒーの果実は赤くなる)。
 やわらかい口当たりの飲みやすいコーヒー。コクの中に甘みも同居していて、フルーティーな酸味が舌の横側を控えめに刺激する。
 甘みを感じさせるブラジル産のコーヒーを飲むと、初めて喫茶店で飲んだコーヒーのことを思い出す。年上の従姉妹に連れられて入ったその喫茶店はカウンターだけのこじんまりとした店で、彼女に勧められるまま緊張気味に注文したコーヒーがブラジルだった。一杯一杯ていねいにペーパードリップで淹れるコーヒーは、それまで紅茶党だった私をコーヒーに目覚めさせてくれるきっかけにもなった。その店は今でも「可否茶館」として同じ場所でコーヒーを提供している。

可否茶館HP

2017年5月13日土曜日

『見るということ』ジョン・バージャー

 ちくま学芸文庫。飯沢耕太郎 監修、笠原美智子 訳。
 動物を観る。写真を見る。絵画を見る。彫刻を見る。野原を見る。これらを見ることで見えてくるものは何か。一般論を述べると言うよりは、個々の芸術家の写真、絵画等の作品を観ることで継起される解釈なりものの見方、言い方を悪くすると妄想、そんなものを綴っている評論集である。
 取り上げているのは、アウグスト・ザンダー、ポール・ストランドといった写真家、ミレー、クールベ、ターナー、フランシス・ベーコン、シーカー・アーメットといった画家、ジャコメッティ、ロダン、ロメーヌ・ロルケといった彫刻家の作品である。その中には有名なものもあるけれど、趣味が美術鑑賞という人でも知らないようなマニアックなものも多い。
 「見る」ということにとらわれすぎてこの本を読むと、ちょっと迷路に入り込んでしまうかもしれない。それよりは、もっと自由に作品を楽しむ感じで読むと、わりとおもしろい視点を得ることができるんじゃないかと思う。図版が少ないのが玉に瑕で、作品を頭の中で想像しながら読む場面も多かったが、作者の奔放な思考の流れを追うのは、なかなか楽しい経験だった。

2017年5月8日月曜日

『Observations』Andrew Gorny

 2017年。アンドリュー・ゴーニー。
 とても1人で弾いているようには思えないけれど、たぶんソロギターだと思う。マイケル・ヘッジス(Michael Hedges)からの影響が色濃い。たとえば『Shasta』なんて、ヘッジスの未発表曲だと言われると信じてしまうかもしれない。タッピングの入れ方、音の選び方、立体感。全然メロディアスではないんだけど、私はもともとこの手のギター音楽が好きだから、このアルバムもなかなかいいと思ってしまう。『At Sea』、『Antarctica』、『The Favorite Day』、『Rather Walk with You』なんかが特に好き。
 ただ、このアルバムはCDでは売られてなくて、彼のウェブサイトからのダウンロード販売(好きな値段で買える)のみとなっている。mp3かFLACか選べるけれど、私はFLACをダウンロードしてそれをwaveに変換してCD-Rに焼いて聴くという、しちめんどくさい聴き方をしている。

Andrew Gornyのサイト

2017年5月5日金曜日

『桜の青葉ヶ丘公園』

 北海道の森町にある青葉ヶ丘公園の桜。道南ではわりと有名な桜の名所のひとつで、今年(2017)は5月3日から14日まで「もりまち桜まつり」が開かれている。

2017年5月4日木曜日

『経済は地理から学べ!』宮路 秀作

 ダイヤモンド社。
 本書は、地理から見た経済ということで、「立地」「資源」「貿易」「人口」「文化」という切り口から、44の話題を提供している。アンカレジ空港が持つ地理的優位性や、アルミニウムから見た資源大国の話、なぜトランプ大統領はTPPから離脱するのかとか、中国が一人っ子政策をやめた理由など、話題は多岐にわたる。どのトピックも非常にわかりやすく、興味をそそられる内容になっている。
 でもこれって経済の話なんだろうか。なんかふつうに地理の授業を聴いているようだった。おもしろかったけど。

2017年5月3日水曜日

『キャラクターデザインの教科書』Playce 編著

 エムディエヌコーポレーション。副題「メイキングで学ぶ魅力的な人物イラストの描き方」。
 キャラクターには3つの意味があるという。1.物語の登場人物、2.図像そのもの、アイコン、3.実在する人間の性格や特徴。それらを表現するときイラストレーターはどうやってキャラクターを構築しているのか、5つの実例を挙げてその創作過程を追っている。ちゃもーいによる音楽ユニットのキャラクター、toi8によるカードバトル型RPGのキャラクター、つなこによるゲームのキャラクター、うっけによるコスプレのためのキャラクター、Anmiによる実体験をもとにしたキャラクター。全員がパソコンによる作成である。5者5様のやり方がわかりやすく解説してあって、とても参考になる。本の最後には、付録的に「キャラクター記号学」という章もあり、これも初心者にはありがたい。手に取った当初はなんだか萌え系の本みたいな感じがして気後れしてたけれど、なかなかに役に立つ本だった。

『wintermusik』Nils Frahm

 2009年。ニルス・フラーム。
 ピアノ、チェレスタ、オルガンのシンプルな構成。元々は近しい人へのクリスマスプレゼントとしてつくられたものだという。
 澄んだ音色で軽やかに奏でられるピアノの音が、都会の喧噪に疲れ切った私の心を癒やしてくれる。とはいえ、ピアノの音は軽やかなのに、印象は決して明るいものではない。静寂の中に、楽しさ、もの悲しさ、切なさみたいなものが重層的に積み重ねられている。その一端をになうのがチェレスタ、オルガンの音色であるのは疑いようもない。単なるライトミュージックとは形容しきれない、3つの楽器が織りなす冬の世界観に浸ってみたい。

2017年4月30日日曜日

『バラのある花束』

 なんの予定もないゴールデンウィーク。机の上にはしおれかけたバラの花。せめて画用紙にその姿を映しておこうか。ひまだし。

2017年4月29日土曜日

『ママのブレンド(2017)』横井珈琲

 母の日のためのブレンド。基本的にはコスタリカ・ラ・リア、ホンジュラス・レイナ・クラロス、エチオピア・イルガチェフェ・コカーナの3種類の豆をブレンドだが、販売状況によって豆の種類は変わるらしい。
 桃のような印象の、やわらかい舌触りのまろやかなブレンド。飲みやすくておいしい。ただ、確かにバランスはいいのだけれど、バランスが取れすぎてしまって使っている豆の特長が減じられているような気もする。気のせいかもしれない。でももうちょっとクセのあるコーヒーの方が好き。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2017年4月25日火曜日

『経済学のすすめ』佐和 隆光

 岩波新書。副題「人文知と批判的精神の復権」。
 日本では文系が軽視されている。国の発展のためには理系教育をこそ進めていくべきで、大学に文系学部なんていらない。そんな論調がある。文部科学省までそのような通達を出していたりするし、大学入試やカリキュラムもそういった流れに沿った変化をしてきた。だが、それは間違いであると著者はいう。人文科学系の勉強をすることなく育った理系人間だけではイノベーションは生まれない。さらに、自由主義、民主主義、個人主義という近代西欧の価値規範をこの国に根付かせるためには、人文知と批判的精神の復権が必要であると主張する。
 翻って今の日本の経済学はどうなっているだろう。アメリカやヨーロッパと異なり、数式を追ってばかりで人文知とは無縁な姿がそこにはある。それではいけない。今こそ、モラル・サイエンスとしての経済学の健全なる復権を願うと、著者は本書で述べている。
 著者のいうことは大筋としてもっともであると感じた。しかし、結論がちょっと唐突に感じられる論法が随所に見られ、主観的に過ぎる部分もあり、いくぶん論理の組み立てが雑なような気がした。また、本書のタイトルは『経済学のすすめ』であるが、著者は経済学をすすめることよりもむしろ、副題である「人文知と批判的精神の復権」をこそ主張したかったんだと思う。ちょっと論理展開に難はあるけれども、読み物としてはおもしろかった。

2017年4月22日土曜日

『新昌龍井(2016)』遊茶

 しんしょうろんじん。
 中国の緑茶。龍井というと浙江省杭州市近辺で生産している西湖龍井(さいころんじん)をつい思い浮かべてしまうが、浙江省紹興市新昌県でも「龍井」と呼ばれるお茶がつくられていることは、今回初めて知った。別称を「大佛龍井」というらしい。
 釜に押しつけられて作られているためにきれいな扁平形をしており、お湯を入れると鮮やかなお茶っ葉の形になってふわふわと浮かんでいる。こういう見た目に美しいお茶は蓋椀で煎れるに限る。蓋椀は蓋付きの茶碗ですね(受け皿もついている)。見た目だけじゃなくて、味もしっかりしていておいしい。日本のふつうの緑茶よりもはっきりとした味がして、ちょっぴり抹茶っぽい雰囲気もある(もちろん粉っぽさはないのだけれど)。西湖龍井よりも知名度は少ないけれど、とてもおいしいお茶で、私は好きです。

遊茶』東京都渋谷区神宮前5-8-5

2017年4月17日月曜日

『Transparències』Toti Soler

 2016年。トティ・ソレール。スペイン、カタルーニャのギタリスト。
 このアルバムは、2008年から2015年にかけて発売された4枚のアルバムの中から、インストゥルメンタルだけを集めたものである。ガットギターの単音弾きが主で、メロディと分散和音が渾然一体となって奏でられる。時折交じる鳥の声のせいか、森の中の静かな空間を、音で丁寧に埋めていっているかのような感じがする。家でゆったりと読書に集中するのにぴったりな音楽。