2016年8月27日土曜日

『精選文山包種茶(2015)』遊茶

 せいせんぶんさんほうしゅちゃ。
 青茶(烏龍茶系)なんだけど、発酵度が低い緑茶のような台湾茶。スズランを思わせる独特の花のような香りとさわやかな風味が特徴で、とても好きなお茶。水出し冷茶にするのもいい。
 ただ、この2015年ものの文山包種は香りや風味に乏しく、少し残念な気がする(いま売られているのは2016年のものなので違うかもしれないけれど)。この文山包種は値段が安くて意外な感じがしたので、もしかするとちょっと質の劣るものなのかもしれない。あるいはもう5年以上は前のことだけれど、台湾茶の買い付けをしている人に聞いた話だと、このところ文山包種の質がどんどん下がってきてよいお茶がなかなか手に入らなくなってきたと話していたので、このお茶の全体的なレベルが落ちてきたのかもしれない。おいしいことはおいしいのだけれど以前のような感動がないという、ただそれだけのことなんですが。

遊茶』東京都渋谷区神宮前 5-8-5

『All is Wild, All is Silent』Balmorhea

 2009年。バルモレイ。アメリカ、テキサス州にある町の名前からとった6人組のポストロックバンド。ギター、ピアノ、アップライトベース、ヴァイオリン、バンジョー、ドラムスなどからなるインストゥルメンタル(楽器としてのヴォーカルも多少入っているけれど)。
 このバンドの曲はこれまで『Elegy』しか聴いたことがなくて、この曲はギターが中心のアルペジオによる耳に聞こえのいい聴きやすいものだった。だからてっきりそのほかの曲もそういう系統の曲なのだろうと思っていたら、実はそうではなかった。それは決して悪い意味ではなくて、なんだろう、胸に突き刺さるといえばいいんだろうか、単なるBGMで終わってしまう音楽なのではなく、聴かせられてしまう音楽だった。力強いアップライトベースやヴァイオリンの音、ドラムスによるリズム、そんないろいろなものが重ね合わさって、胸をえぐるような強さをもった音楽になっている。BGMのつもりでスピーカーから流していたのに、つい聞き耳を立ててしまう。またちょっと気になるバンドを見つけてしまった。

2016年8月21日日曜日

『diverse journey』Yen Town Band

 2016年。
 このバンドは「スワロウテイル」という映画の中の劇中バンドとして結成されたものだが、本作は『MONTAGE』以来20年ぶりのアルバムとなっている。ヴォーカルはChara。
 まさか2枚目を出すとは思ってはいなかったので、びっくりして購入。以前のような物憂いようなけだるさみたいな感じは大分減じられていて、わりとまっすぐにしっかりとつくられている印象。バンドサウンドとCharaの声が絶妙に絡み合って、素敵なアルバムに仕上がっている。あれからもう20年も経つんだ。

2016年8月14日日曜日

『双龍戯珠』遊茶

 そうりゅうぎじゅ。工芸茶。
 緑茶をベースに中央に橙色の金盞菊(キンセンカ)に囲まれた真っ赤な千日紅(センニチコウ)を配し、両側から連なった2本の茉莉花(ジャスミン)が龍のように立ち上っている。なんと堂々としていることか。緑と橙と赤と白のバランスが美しい。味は特別おいしいわけではないけれど、工芸茶はもともと見た目重視だろうから、十分に目で楽しんで贅沢な時間を過ごしました。

遊茶』東京都渋谷区神宮前 5-8-5

フウリンブッソウゲ

 昨年旅先で咲いていたフウリンブッソウゲ。漢字で書くと風鈴仏桑華。コーラル・ハイビスカスともいうらしい。
 画材や手法を変えて何枚か描いてみたんだけど、時間をかけないで描いたペンと水彩だけのシンプルな絵が、一番まともだった。本当はもっと違うアプローチをしてみたいのだけれど。

2016年8月13日土曜日

『絵画を読む―イコノロジー入門』若桑 みどり

 NHKブックス。
 イコノロジーは図像解釈学と訳されている。絵画の見た目や雰囲気のみならず、描かれているものの意味、その絵が描かれた歴史的背景や思想的背景など、ひとつの絵画を深く解釈していく。絵画をただ見るのではなく、読む。
 本書では、ルネサンス期を中心とした12枚の絵画について鋭く切り込み、まさに読み込んでいく。取り上げているのは、ボッティチェリの『春』、『ヴィーナスの誕生』、フラ・アンジェリコやレオナルド・ダ・ヴィンチの『受胎告知』、レンブラントの『ペテロの否認』、ブロンズィーノの『愛のアレゴリー』、ジョルジョーネの『テンペスタ(嵐)』などだ。
 絵を観ることは感じることだ。難しいことなんて考えないで、ただ感じればいい。そういう考え方もあるけれど、時代背景や作者の表現したかったものを知って観ると、絵画鑑賞はもっと楽しくなる。絵を前にしたときの感じ方まで変わってくる。確かに覚えることや考えることがたくさんあって難しいし、絵によっては解釈の定まっていないものもある。でも作者の描いたストーリーを知らないで漫然と絵を見るだけだなんてもったいない。そう思わせてくれるイコノロジーの入門書。

『オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展 』国立新美術館

 2016年4月27日~8月22日。
 言わずと知れた印象派の巨匠、オーギュスト・ルノワール。でも初期の頃は意外に古典的なきっちりした絵を描いていたのを知った。そして光に満ちた印象派時代を経て、また古典の精神に戻っていく。戻っていくと言ってもそれは単に回帰するというのではなくて、昇華するといった方が適切かもしれないけれど。
 教科書に載っているような有名な絵がたくさんきている。『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』、『陽光の中の裸婦<エチュード、トルソ、光の効果>』、『ぶらんこ』、『ピアノを弾く少女たち』、『浴女たち』、『ジュリー・マネ』(あるいは『猫を抱く子ども』)等々。なかなかこんなにまとまった作品群を観られる機会はそうはないように思う。個人的には『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』がもともと好きな作品だったので、目の前で観られてよかった。また、ジュリーマネの日記を以前読んだことがあったので、親しみがわいた。
 それにしても木漏れ日をこのように大胆に表現した画家はそれまでいなかったのではないか。人物に落ちたその光を、腐った肉のようだと酷評されたというのがそのことを裏付けている。光と色彩があふれる展覧会だ。
 ただし、異常なほど混んでいる。4、5列に折り重なった観客の後ろからしか観られない作品がほとんどだったし、グッズ販売を楽しむ余裕もなかった。ゆっくり鑑賞するにはパリまで足を運ばなければならないのかもしれない。疲れすぎて、当美術館で開催していたもうひとつの美術展に行く力は残っていなかった。

国立新美術館』東京都港区六本木7-22-2

2016年8月12日金曜日

『2016イタリア・ボローニャ国際絵本原画展』板橋区立美術館

 2016年7月2日~8月14日。
 5枚一組の子供のための絵であれば、誰でも応募できるボローニャ国際絵本原画展。今年が50回目となるその原画展への3191点の応募のうち、入選した77人の作品が展示されている。
 正方形に近いものから縦や横に長い作品など、いろいろな形の、大きさも様々な作品が並べられていて、楽しい。ひとりの作品でも5枚が違った大きさで描かれているものもある。画材もタッチもいろいろだけれど、全体的に、色合いや形、明度がはっきりした作品が多いような気がする。絵本向きというのはこういうことなのか、と考えさせられる。正直なところ、タイトルを見てもストーリーがよくわからないものが多かったが、絵を観るだけでわくわくしてくる。大人になってからは絵本を読むことはほとんどなくなってしまったけれど、子供の頃はよく読んでいたな、と懐かしくなった。

板橋区立美術館』東京都板橋区赤塚5-34-27

2016年8月7日日曜日

『虹 Rainbow』Jia Peng Fang

 1999年。ジャー・パンファン with 美野春樹トリオ。
 最近また中国茶や台湾茶を飲むことが増えてきたので、それに合う音楽のストックを増やそうと思って買ってみた。今まで何人かの二胡奏者のアルバムを聴いてみたけれど、ジャー・パンファンのものが一番しっくりきていたのでこれにした。
 with ~トリオなのに、ストリングスの入ったオーケストラサウンドみたいな曲もある。でも二胡にはギターやピアノなどがとても合うような気がする。シンプルな伴奏で、二胡の音が引き立つ。アルバム全体をとおして聴いてみると、中国っぽい雰囲気はあまり強くなく、わりとさらっとした感じがする。重々しくないので聴きやすい。お香を焚いて、台湾茶を入れて、うん、いい。

2016年8月6日土曜日

『まなざしのレッスン(2)西洋近現代絵画』三浦 篤

 東京大学出版会。
 『まなざしのレッスン(1)西洋伝統絵画』(私の記事)の続編。今回は18世紀以降の西洋絵画を扱っている。ただ、20世紀以降になってくると、絵画というよもむしろ芸術一般、アートという趣をなしてくる。例えば便器を逆さまにした『泉』という作品で有名なマルセル・デュシャンなどは、もう画家とは呼べないだろう。
 印象派前夜、ロマン派の頃になると、伝統的な宗教画や神話画などにとらわれない同時代性のある作品が生み出されていく。そのあたりで絵画に関するとらえ方、考え方が大きく変わってきて、伝統絵画と近現代絵画とが根本的に異なるものとなっていると著者はいう。そして、それらの考え方が変わるということは、それらを観る私たちも絵画の見方を変えないといけないということになる。そのひとつの見方を著者はこの本で紹介している。
 そのように絵画が変質していく中で、作家たちが何を考え、何を目指していたのか垣間見られておもしろい。例えば抽象絵画を私たちが観るときそのわけのわからなさに戸惑うことも多いが、作家の意図を読み解いてみると、なるほど、そういうわけでこの絵がこのように表現されたんだと腑に落ちたりもする。平面性と立体性、抽象絵画の宗教性など、おもしろい視点も提示されていて、近現代美術を観るときの私たちのまなざしも変わってくるのが実感できる。
 現代においてはアートというものがなんでもありの状態に近くなっていて、それによってこれらのアートを観る私たちの視点も複眼的にならざるを得ず、受け取る側の困難も発生しているように感じた(上の文で私が、絵画、美術、芸術、アートという言葉をうまく使い分けできなかったというのも、この困難のひとつの表れであろう)。 この本は、これらの困難を少し減らして、絵画を観る視点を広げてくれる。

『楽しい絵本のつくりかた』千葉 幹夫

 学研。副題『絵本づくりのきほん・アイデアがたっぷり!』。
 副題にあるとおり、絵本づくり基本を図版をたくさん使って、わかりやすく解説している。ストーリー作りや画面展開の話が詳しい。また、原画、2次ラフ、原寸ラフ、本描きという過程が丁寧に説明されていて、かなり参考になる。絵本をつくることそのものについては、うまくまとまっていると思う。ただ、絵本の出版まで考えている人には、その出版や営業についての情報が少ないので、物足りないかもしれない。

2016年8月2日火曜日

『Fauré: Barcarolles』Delphine Bardin

 2010年。『フォーレ:ピアノ独奏のための「舟歌」』デルフィーヌ・バルダン(ピアノ)。
 ガブリエル・フォーレが1880年頃から1920年頃までに作曲した13の舟歌を演奏したアルバム。舟歌と呼ばれる楽曲形式は、元々はヴェネツィアのゴンドラ漕ぎが口ずさんでいた曲から生まれたものなのだという。確かに、これら13曲は明るいものや物憂いようなものまでいろいろあるけれど、ヴェネツィアの運河にきらめく波に揺られているような、そんな雰囲気に包まれる曲が多い。なんとなく印象派の絵を思い浮かべてしまうのは、ジャケットにエドゥアール・マネの作品を用いているせいかもしれない(正確にはマネは印象派の画家ではないのだろうけれど)。それぞれに聴き応えのある楽曲だからBGMにしておくのはもったいない、という向きもあるかもしれないけれど、クラシック音楽にありがちな極端なダイナミックスがないので、一定の音量で流しておけるBGMとしてとてもいい。私のような、歌詞のある曲でも歌詞を聴かないという不届き者にはぴったりだ。もちろんはじめからこの舟歌には歌詞がないのだけれど。
 ギター曲以外のクラシックアルバムを買ったのは随分と久しぶりのことだったが、なかなかよかった。 ただ、よくわからないことに、なんだかドビュッシーも聴きたくなってしまった。本当になぜだかわからないのだけれど。