2016年5月29日日曜日

『コーヒーの科学』旦部 幸博

 講談社ブルーバックス。副題『「おいしさ」はどこで生まれるのか』。
 コーヒーについての本で、ここまで徹底的に科学的に書かれた本を私は知らない。おいしさやコクやキレといったものがどうして生まれるのか。それを単なる感覚の話ではなく、生理学的、化学的観点から突き止めていく。コーヒーにはどんな成分が含まれていて、そのどれが、苦味や酸味、甘さなどを感じさせているのか。口の中に残る余韻とはいったい何なのか。つまるところ、おいしさとはなんなのか。
 それだけではない。産地や地域、品種による味の違いを決めているのは何か。栽培方法、処理方法、そして、とても大事な焙煎、抽出方法等々。そこでは化学的視点はもちろんのこと、物理学的視点からもとことん分析していく。その徹底した著者の姿勢には感服する。
 経験からくる知識というものはもちろん大事だ。しかしそういった知識は個人の経験値を上げこそすれ、なかなか他の人の知識レベルを上げるという風にはいかない。そこはやはり経験してこそ得られるものだからだ。でもいったんこんな風に科学の言葉に訳してくれると、それは経験を超えてみんなの知識になり得る。世の中で起こることの大半は科学的には説明のつかないことだ、なんてうそぶいていたけれど、たかがコーヒーひとつをとってみても、ここまで科学的に解明されているのだ。それを知って驚くとともに、楽しさみたいなものもわき上がってきた。この本はおもしろい。

2016年5月21日土曜日

『龍鳳吉祥』遊茶

 りゅうほうきっしょう。
 緑茶にオレンジ色の百合の花を合わせ、中央から上に伸びるのはジャスミン(茉莉花)。こういう手の込んだ見た目重視のお洒落なお茶を工芸茶という。なんか贅沢な気分になりますよね。緑茶は日本で飲む緑茶とは雰囲気がちょっと違っていて、渋みがあまり強くない。釜煎りだからなのかどうかはわからないけれど。水色も緑というよりは茶色だし。写真のお茶の色は薄いけれど、時間がたつときれいな飴色になる。見た目重視の工芸茶にしては結構味もおいしいと思う。しっかりとお茶の味が出ている。すごく久しぶりに工芸茶を飲んだけれど、楽しめました。

遊茶』東京都渋谷区神宮前 5-8-5

2016年5月20日金曜日

『Live Book』Andy McKee

 2016年。
 アンディ・マッキーはとても大好きなギタリストで、家でもよく聴いている。そんな彼の初のライブ盤がこのアルバムである。でもちょっと(かなり?)残念なことに、音が悪い。平板で音がこもった感じになっていて、覆い被さってくるような臨場感もない。MCが入っていたりしてライブ感がないわけではないのだけれど、今ひとつぴりっとこない。彼を一躍有名にした『Drifting』が1曲目から入っていたり、『She』、『The Reason』、『For My Father』、『Rylynn』といったいい曲も入っているし、演奏ももちろんうまいのだけれど、なんか・・・。途中マイケル・ヘッジス(Michael Hedges)の『Because It's There』やドン・ロス(Don Ross)の『Tight Trite Night』が流れて、おおっとつい耳をそばだててしまうのも、逆にアンディの曲を色褪せさせてしまっているような気がして微妙な感じ。ライブ盤よりスタジオ・レコーディング盤の方がいいな、と思ってしまった次第。

2016年5月19日木曜日

『数学ロングトレイル 「大学への数学」に挑戦』山下 光雄

 講談社ブルーバックス。副題『じっくり着実に理解を深める』。
 もう何十年も手にしていないが、『大学への数学』という雑誌がある。本書はそこに掲載されていた内容をまとめたものである。数学的帰納法、整数論、フィボナッチの数列、相加平均と相乗平均、ベクトル、行列、複素数、カタラン数……。
 一応高校生向けの内容なのだが、結構難しい。教科書的な内容は一通り理解していることを前提として、受験問題などを元に数学についてもっと掘り下げた議論をしている。ああ、そういえば帰納法ってこういうのだったよなあとか、漸化式ってこうやって解いていたなとか、固有ベクトルなんてすっかり忘れていたなとか、昔を懐かしみながら読んだ。ほとんどの例題は解けない。以前は解けていたはずなのにとショックを感じる。解説を読むと、だいたいはわかる。でもたまについていけないところもある。うーん、ヒトって忘れる生き物なんだな、としみじみ思う。
 内容はなかなか本質的なところをついていて、おもしろい。私は電車の中で読んだりしていたけれど、本当なら落書き帳と鉛筆を用意してしっかり取り組むといいのだと思う。数学が好きで、大学受験勉強を追体験したい人は是非。あ、もちろん数学に興味のある高校生にも。

2016年5月13日金曜日

『アシリ(2016)』横井珈琲

 アイヌ語で「新しい」という意味の「アシリ」。この春生まれ変わった横井珈琲のブレンドのひとつ。発寒本店オリジナルブレンド。横井では、「いつものさんばん」、「横井のつぼ!」が好きだった人に薦めている。
 深煎り系の豆だけれど苦すぎることはなく、炭酸飲料のようなさわやかさがある。チェリーの入ったダークチョコレートなイメージ。香りもよく、飲んだあとに舌に残るフルーティな感じもいい。結構好きです。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2016年5月8日日曜日

『Setembro』Romero Lubambo

 2015年。
 ホメロ・ルバンボはブラジルのジャズギタリストで、ボサノヴァなどのブラジル音楽やクラシックなどからも影響を受けている。このアルバムはギター1本で奏でている曲だけからなっているが、使用しているギターはアコースティックギターだったりエレクトリックギターだったりする。エレクトリックギターでバラードを弾いているときも、アコースティックギターでノリの良い曲を弾いているときも、少しばかり演奏の荒さが目立つ。でもそんなタッチの荒さのお陰で、かっちりとした感じじゃなくてわりと自由で勢いのある音楽が生まれていたりもするので、それは必ずしも悪いことではない。そんなおおらかさのせいか、ちょっぴりライブ感も感じられるアルバムになっている。ちょっとブラジリアンなジャズを聴きたい人にはいいかもしれない。

2016年5月3日火曜日

『グァテマラ・イスヌル(2016)』横井珈琲

 Guatemala Isnul。グアテマラ西部のウェウェテナンゴ地域にあるイスヌル農園のコーヒー。
 キャラメルと青リンゴの風味。酸味はちょっとで、中性的な味。頭抜けた特長があまりなくて、かといって飲みやすいわけでもなく、あまり好みではない。変な渋みをともなった苦味の後味が苦手。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

『I'm home』Paniyolo

 2009年。高坂宗輝によるソロプロジェクト、Paniyoloのファースト・アルバム。
 高坂によるアコースティックギターを中心に据えて、ピアノやピアニカ、フルート、テルミン、クラリネットなどのサポートが入る。ヴォーカルも入っていたりするが、どちらかといえばスキャットみたいな感じで、楽器の延長という位置づけなのだと思う。
 最近のアルバム、『ひとてま』(2012)(私の記事)や『たまのこと』(2015) (私の記事)などに比べると、この頃はそれらよりもちょっと賑やかな曲を作っていたんだなと思う。賑やかといっても、物静かな雰囲気のある中での賑やかさだけれど。子供の声を効果的に取り入れている『onigocco』とか、柱時計みたいな音が流れている『sunday』とか、いろいろとおもしろい試みをしている。13曲それぞれに楽しめる要素があって、にもかかわらずアルバム全体が破綻せずよくまとまっていて、素敵なディスクだと思う。こういうパニヨロもいいな、と思った。

2016年5月1日日曜日

『八重の桜』

 なんか表題みたいな大河ドラマがあったような……
 この絵を描くとき、本当はマスキングインクを使って背景はもっと自由に絵の具を流したかった。ところが久しぶりに取り出したマスキングインクは固まっていて使い物にならなかった。というわけで、ちまちまと背景を塗る羽目に陥ってしまった。買わなきゃ。

『桜』

 2016年の札幌での桜の開花日は、平年より8日早い4月25日でした。なのに昨日4月30日の最高気温は6.2℃と寒い一日になりました。道内では30cm以上の積雪になったところもあったとか。ゴールデンウィークの前半は春らしいところもなく終わりそうです。