2016年4月30日土曜日

『ボア・ソルテ(2016)』横井珈琲

 Boa Sorte。スタッフ開発の新しいブレンド。ポルトガル語で「福」「幸運」という意味なのだという。
 横井珈琲では、この4月1日からブレンドのラインナップを大幅に入れ替えた。これまでの「いつものいちばん」「~にばん」「~さんばん」などのブレンドをやめて新しいブレンドを販売し始めた。この「ボア・ソルテ」は、「ザ・ヴァリィ」が好みだった人にいいんじゃないかと店側では薦めている。オレンジ系のすっきりとした酸味があり、鼻に抜ける風味がさわやかだ。シングルオリジンぽい個性が感じられる。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2016年4月29日金曜日

『自分では気づかない、ココロの盲点 完全版』池谷 裕二

 講談社ブルーバックス。副題『本当の自分を知る練習問題80』。
 脳はわりとよくできていて、いろいろなことに対する「直感」というのは結構有効だ。しかしたまに脳はミスを起こして、正しくない答えを導き出してしまうことがある。そういう脳のクセを「認知バイアス」というらしい。本書はその認知バイアスを80種類選んでクイズ形式で紹介している。例えば、「自分は同僚の教授たちよりも優れている」と、大学教授の94%が考えている、とか(50%じゃなくちゃおかしいですよね)。
 ああ、あるある、そういうの、っていうのがふんだんに盛り込まれていて、おもしろい。こういう脳のクセを知っていると、冷静な判断をするのに役立つかもしれない。それは周囲の人に対しても言えることだし、自分のことに対しても言えることだ。他人に対しても寛容になれるし、自分も変なところでだまされることがなくなりそうだ。
 ここで取り上げられている認知バイアスは80種類だけれど、巻末には225種類の認知バイアスの簡単な説明と、50種類の錯視の例が挙げられている。それを見ているだけでもお得な気分に浸れる。本文は一問一答形式なので、楽しみながら気楽にさらっと読めてしまう。実は深い話でもあったりするわけだけれど。

2016年4月26日火曜日

『Manos』Carlos Moscardini

 2015年。カルロス・モスカルディーニ。アルゼンチンのギタリスト。
 一聴して、なんてギターがうまいんだろうと思ってしまった。プロなんだから当たり前なのかもしれないけれど、粒立ちのはっきりしたガットギターのきれいな音色、強弱のつけ方、微妙なテンポの揺れ。それらがすべて心地よく胸に響いてくる。基本的にはクラシカルな音楽に近いと思うけれど、それにタンゴやフォルクローレ、ジャズのエッセンスも紛れ込んでくる。単なるイージー・リスニングにとどまることなく、しっかりとした聴き応えのある音楽を届けてくれる。なのにかっちりしすぎていなくて、余裕を持った演奏なのがまたいい。私にとっての至福のオリジナルサウンド15曲。

『jQuery標準デザイン講座』神田 幸恵

 翔泳社。
 HTMLやCSSのことは少しはわかるけれど、JavaScriptやjQueryのことはやったことがないのでわからない。そんなjQuery初心者のための30レッスンからなる講義集。
 jQueryの導入という初歩のところから始まるけれど、レッスンを進めるにつれてJavaScriptを使ったコードが徐々に出てきて、どんどん難しくなっていく。でもすべてのコードについて丁寧な解説がついているので、順番にきちんと読んでいけばちゃんとついていける。HTMLとCSSについての説明はほとんどないけれど(コードは載っている)。あと、jQueryプラグインについては簡単に触れられている程度。
 内容は、トグルメニュー、ビューアー、ドロップダウンメニュー、画像のキャプション表示、ボックスの高さ合わせ、フィルタリング、アコーディオンパネル、バナーのランダム表示、スライドショー、画像のズームなど、多岐にわたる。最後には簡単なゲームまで作ってしまう。
 たぶんjQueryでできることはこんなものじゃなくて、ものすごくいろんなことができてしまうのだろう。また、コードについてもわかりやすさを重視して簡単にコーディングしているところもあるのだと思う。でも、私のように趣味で自分のホームページをちょっと作ってみようと思っている程度の初心者には、これくらいわかりやすいので十分だと思う。プロでやりたい人はもっと本格的な本を買った方がいいと思うけど。

2016年4月24日日曜日

『美術を書く』シルヴァン・バーネット

 東京美術。Sylvan Barnet。日本語監訳、竹内順一。
 美術論文や展覧会評など、美術について何かしらを語るための文章の書き方が載っている。基本的には学生向けに書かれたものだと思われるが、学芸員や美術ブロガーなどが読んでも役に立つような情報が掲載されている。情報をどこから得ればよいのかといったことから、作品を観るときの着眼点や、論文の構成、体裁や引用・文献リストの書き方まで、かなり細かいことまで書かれている。
 作品を観るときの着眼点や文章構成などについては、なるほどと思うことが多かった。美術を分析するということはどういうことかについて書かれている内容もおもしろかった。また、本書における文章の書き方全般についての記述は、別に美術に特化したことではなく、どんな内容の文章を書く上でも役に立つものだと思った。ただし、英語という言語特有の問題点について触れている箇所も結構あって、それらは興味深くはあったけれど、実際に日本語で文章を書いている人にはあまり関係のない内容だった。とはいえ、全体的にかなりしっかりとした美術についての文章読本だと思う。

2016年4月23日土曜日

『コロンビア・エル・カイロ(2016)』横井珈琲

 Colombia El Cairo。コロンビアのエル・カイロ農園。2014年にカップオブエクセレンス(COE)2位になっている。
 ふんわりとしたやわらかい酸味と口当たり。その酸味はオレンジのようでいて、ほのかに感じる苦味は焦がしたリンゴのようでもある。酸味系のコーヒーではあるものの、きつすぎない感じがちょうどよい。いつまでも口の中に残る余韻がとても心地よいので、この豆が良質なコーヒーなんだとあらためて思わせる。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2016年4月17日日曜日

『ジョアン 声とギター』ジョアン・ジルベルト

 2000年。João Gilberto。『João voz e violão』。
 ジョアン・ジルベルトといえば、アントニオ・カルロス・ジョビンらとともにボサノヴァを始めた人物として知られる。その彼が、ギターによる伴奏と声だけからなるアルバムを世に出したのは、これが初めてなのだという。ボサノヴァの独特のはねたようなリズムとコード感のあるギターをバックに、ささやくように、つぶやくように木訥と歌い上げていく。70歳間近の完熟した彼が、これ以上ない最小の編成で、最高の演奏をみせてくれる。静かな雰囲気の中にも暖かでほのぼのとした感じがあって、ボサノヴァっていいなあと思わせてくれる一枚。

2016年4月11日月曜日

『ボリビア・インキシビ・ミランダ(2016)』横井珈琲

 ボリビアのインキシビ地区のミランダさんのコーヒー。
 キャラメルの甘さをもっと穏やかにしたようなやさしい甘さに、アプリコットのような風味。とても舌触りがなめらかでベルベットのような雰囲気すらある。何かを強く主張するのではなく、ほのめかす程度の謙虚さがありながらも、しっかりとした味わい。おいしいです。ボリビアのコーヒーはあまり飲んだことがないけれど、これはいいコーヒーだと思う。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2016年4月9日土曜日

『Artifacts / Scenes - Piano Works』Tobias Wilden

 2016年。トビアス・ヴィルデン。
 彼はピアノによるアルバムとギターによるアルバムを出している。ギターアルバム『A Path To Open Air / Minute Maps』は、以前私の記事で取り上げたことがある。それに対してこれはピアノアルバムで、『Scenes, In A Day』(2012年)と『Artifacts』(2013年)を1枚にまとめたものである。どこかつかみどころのない静かな音楽という点で、彼の作る音楽はギターでもピアノでも変わらない。印象派やサティ、あるいはビル・エヴァンスなどのジャズピアニストから影響を受けたという。でも彼らの音楽とは一線を画した独特の浮遊感ともいうべきものが、トビアス・ヴィルデンの曲にはある。
 実のところ私は彼の曲が特別好きだというわけではない。しかしながらこの2週間ばかり、ずっとこのアルバムだけを繰り返し流し続けていた。これらの曲はデスクワークをするときにも本を読むときにも私の思考を遮ることはなかった。まるで空気のような存在として、ただ静かにそこにあった。胸に響くような旋律はない代わりに、いつまで寄り添っていても邪魔にならない自分の一部のような存在がそこにあった。もしかすると、自分の好きな音楽と自分の求めている音楽とは必ずしも一致しないのかもしれない。

『アメリカ音楽史』大和田 俊之

 講談社選書メチエ。副題『ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで』。
 ブルース、フォーク、カントリー、ジャズ、ロックンロール、ロック、R&B、ヒップホップなど、主に19世紀以降にアメリカに生まれたポピュラー音楽について、「擬装」つまり「他人になりすます」ということを軸にして論じている。それはミンストレル・ショウにおける白人が黒人になりすますことであったり、マイケル・ジャクソンにおけるその逆の擬装であったりさまざまである。本書では今述べたような白人と黒人、あるいはヒスパニックといった人種と音楽との関わりや、著作権という概念と音楽との関わり、思想と音楽、移民との関係といった、社会的、政治的、地政学的な様々な論点からアメリカ音楽史を論述しており、かなり内容が濃い。たとえばジャズやカントリーなどの一分野だけでも一冊の本になってしまうところを、ポイントを絞って重要なところだけをピックアップしているのだろうけれど、この本だけでも十分に詳しいアメリカ音楽の歴史が辿れてしまうところがすごい。
 本書には、数多くのミュージシャン、楽曲が取り上げられており、そのほとんどは私の知らない人たちであった。にもかかわらず、この本には強く引き込まれ、実に刺激的でおもしろかった。現在でも有名なミュージシャンたちだけが音楽史の中で重要な位置を占めていたわけではなく、今ではよほどのファンでもない限り知られていない人がキーパーソンになっていたりするのが興味深い。ゴスペルなどあえて触れられていないジャンルはあるものの、アメリカ音楽に詳しくない人でも、多少の知識を持っている人にとっても楽しめる本だと思う。