2016年3月30日水曜日

『チイちゃんの白い鳥』

 第10回KFS絵本グランプリ創作絵本部門で入選しました。800字以内のあらすじと4場面(11場面の絵本を想定)の絵を提出しました。2016年4月5日~5月1日までGALLERYフェーマス(東京都文京区本駒込3-20-3講談社FSビル1F)にて展示されています。以下、あらすじです。

 チイちゃんの家には一羽の真っ白な鳩、ピーちゃんがいる。それは大事に育てられて、小さな頃から家の中から出たことがない。ピーちゃんはいつも窓の外を見ていて、いつか外の世界を見てみたいと思っていた。
 そんなときチャンスが訪れた。チイちゃんがエサをくれたとき、鳥かごの戸を閉めるのを忘れていってしまったのだ。夏の暑い日で、窓も開け放たれたままだった。ピーちゃんは開いた窓から外に飛び立っていった。
 無我夢中で飛び続けた。いつ眠りについたのかもわからない。気がつくと、サバンナまできていた。
  すると水辺のそばでシマウマが首を振ってもだえていた。聞くと背中を蚊に刺されてかゆくてしょうがないのだという。ピーちゃんは爪を使って優しく掻いてあげた。シマウマは、「ありがとう。そんな真っ白な体だとさびしいだろう?」と言って、毛の一部をお礼にくれた。
  少し行くと、ライオンが口の中を気にして、何か困っていた。獲物を捕まえて食べていたときに、歯に肉が挟まってしまったらしい。ピーちゃんはくちばしで器 用に挟まった肉を取ってあげた。するとライオンは、「そんな真っ白な体だとさびしいだろう?」と言って、たてがみを少し分けてくれた。
 次に足を折ってしまって立つことのできないフラミンゴに出会った。ピーちゃんは近くに生えていた草と木の枝を使って、足をまっすぐになるように手当てしてあげた。フラミンゴは、「ありがとう。お礼にこれをあげるよ」と言って、ピンクの羽をくれた。
 その後もピーちゃんは、首を怪我したキリン、あごを外したワニ、捻挫したチータなど、たくさんの動物たちと出会った。
 そして動物たちから多くのお礼をしてもらったピーちゃんは、初めての旅に満足して、チイちゃんの家に戻ることになった。真っ白だった体が色鮮やかに変わった姿で。

2016年3月27日日曜日

『本物の英語力』鳥飼 玖美子

 講談社現代新書。
 英語を楽しみながら学ぶために、新たな視点から英語学習方法を紹介している。「はじめに」では、次の2つの基本原則を示している。「ネイティブ・スピーカーを目指すのではなく、自分が主体的に使える英語を目指す。」「英語を覚えようとするのではなく、知りたい内容、興味のある内容を英語で学ぶ。」そしてこれらの基本原則を踏まえた上で、英語学習についての著者の考えが述べられていく。
 確かにひとつひとつのトピックは頷けるものだし、興味深くもあった。しかし全体として何を言わんとしているのか、今ひとつよくわからなかった。結局私はどうすればいいのだろう。思うに本書は英語についてのエッセイなのだ。そう気楽に捉えると、少しはおもしろく読める。この本から何かを得ようとすると、私のようにただ漫然と読んでいるだけでは難しい。きちんと読み解かないと。

2016年3月26日土曜日

『みんなでこの島に隠れよう』

 第10回KFS絵本グランプリ絵本イラスト部門で準入選でした。わりと気に入っている絵なんですが、入選に至らなかったのは力不足ってことなんでしょう。

 3匹の子ぶたの子孫が海辺で暮らしてる。ところがそこへあのオオカミ親子がやってきた。逃げなければ!ってな感じです。中央の皿の上に乗っている島に逃げるのがいいんじゃないかと作戦会議をしている様子を描きました。

『Brazilian Routes』Romero Lubambo

 2001年。ホメロ・ルバンボ。ブラジルのジャズ・ギタリスト。
 ホメロ・ルバンボがポップスを弾く人なのかジャズを弾く人なのか、そもそもギタリストなのかどうかさえも知らずにこのアルバムを購入した。ただ、ホメロ・ルバンボによる『Route 66』を聴きたくて。この曲は元々Bobby Troupによるもので、アメリカン・スタンダードとして数多くのアーティストにコピーされている。ではなぜホメロ・ルバンボなのか。実はもうかなり前、札幌の地下街ステラプレイスにユナイテッドアローズ・グリーンレーベルリラクシングが入店したとき、開店記念としてもらったCDアルバムの中にこの曲が入っていて、とても気に入ってしまったのだ。ノリがよくてPamela Driggsの声も素敵ですぐに好きになった。このアルバムは中に入っているほかの曲もよかったので、アルバム自体が愛聴盤になっている。
 ところでこの『Brazilian Routes』は、『Route 66』だけがヴォーカル・ナンバーで、そのほかの曲はホメロのオリジナルやカヴァーからなるインストゥルメンタルだ。これがまたいい。彼のギターは繊細とはほど遠く、ちょっと荒さも目立つタッチなのだが、それが返って曲調に合っていて、ほどよいグルーブ感が生まれている。
 誰かの曲を好きになって、その曲の入ったアルバムを買ったところ、結局その曲しか好きではなかったということが往々にしてあるのだけれど、このアルバムはそうではなくて、購入してとてもよかった。

2016年3月21日月曜日

『絵はすぐに上手くならない』成冨 ミヲリ

 彩流社。副題『デッサン・トレーニングの思考法』。
 ただなんとなく絵が上手くなりたいなあと思って、技法書にあたったり教室に通ったりしたんだけど、なんか上手くなる気がしないな、なんて思ってる人も多いだろう。そういう人はきっと回り道をしてるんじゃないかな。もっと早く効率的に上手くなる方法があるよ。そのためには絵が上手いっていうことがどういうことか知らなければならない。その上で習得可能な能力には大きく8つあるんだけれど、自分がどういうジャンルでどんな風に絵を上手くなりたいのかによって必要になる能力は変わってくる。例えばリアル系の画家になるのと、イラストレーターになるのとグラフィックデザイナーになるのとでは違うでしょ。あともうひとつ。自分が今どのレベルにいるのかもわかっていた方がいい。ほら、このテストをしてごらん。今のレベルがだいたいわかるから。じゃあそれらがわかったら、こういう風に絵のトレーニングをすればいいと思うよ。
 この本は、こんな感じで絵が上手くなる近道を教えてくれる。だから、タイトルもサブタイトルもちょっとこの本の内容とはずれているような気がする。「この本は絵に取り組むための考え方を記した道しるべ」なのである。それをわかった上でこれを読むと、なかなかおもしろい(逆に言えばタイトルに引きずられて勘違いして本書をとった人にはおもしろくないかもしれない)。例えば絵のセンスや感性について触れている箇所では、なるほどなあと勇気づけられたりもした。自分に足りない力が何なのか、そしてそれはどのようにトレーニングしたらいいのかについても教えてくれた。
 自分の方法論をきちんと持っていてそれを実践できる人にはこの本は必要ないかもしれない。でも、漠然と絵が上手くなりたいけれどどうしたらいいのかわからないとか、もがいているけどうまくいかないといった人には、よい指南書になってくれることだろう。

『パナマ・ルイート・ゲイシャ/FW』横井珈琲

 Panama(ルイートの表記がわからなかった)Geisha。パナマ・ルイート農園のゲイシャ種。フーリーウォッシュト(FW)という豆の処理方法をしている。
 柑橘系フルーツのようでいて、ちょっとつんとした刺激も感じる香りが素敵。こんな香りは初めてかもしれない。やわらかく舌を包むようなやさしい舌触りで、ハチミツのような甘みがある。いつまでも続く余韻がすばらしい。ふだん飲みにはもったいない、とても贅沢なコーヒーという感じがする。香りと余韻だけでも楽しめる。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2016年3月20日日曜日

『哲学な日々』野矢 茂樹

 講談社。副題『考えさせない時代に抗して』。
 哲学者である野矢によるエッセイ集。日常のふとした光景、世の中のこと、哲学のこと、論理について、教育についてなど、わかりやすい文体のせいかどれも気楽に軽く読めてしまうのだけれど、そこかしこにピリリとしたエッセンスやニヤッとさせられるユーモアがちりばめられている。しゃちほこばって堅苦しい顔をした哲学者のイメージとはまったく違う、普段着の「哲学者」の姿がそこにはある。なんだろう。とても自然なのだ。無垢の、といってもいいくらい世間ズレしていない。読んでいて心が洗われる。そういえば座禅道場の話もあった。著者がしばしばするという座禅や散歩と、彼の人柄とは無縁でないような気がした。

『HTML5&CSS3標準デザイン講座』草野 あけみ

 翔泳社。
 全部で30のレッスンに分かれていて、HTML5とCSS3を使ったWebデザインについて、一から学べる。レッスン用のコードはWebからダウンロードできて、実際に手を動かして動作を確認しながら学習を進めることができる。HTMLやCSSのコーディングそのものだけじゃなくてWeb製作のための設計と準備、考え方などもきちんと書かれているのがいい。さらに最近はスマホやタブレットでホームページを見る人も多く、その人たちにも見やすいページを提供することのできるレスポンシブWebデザインというのがあるのだが、それについても丁寧に書かれているのがいい。
 初心者にとってもこれ一冊があれば、そこそこのホームページは製作できてしまうんじゃないかと思う。以前にもHTMLとCSSについての本を読んだことがあって、そのときは途中で挫折してしまったのだが、この本は最後まで読み進めることができた。あとは自分のホームページをどういう内容とデザインにしたいのかを決めれば、すぐにでもホームページの構築ができるだろう。ただ、フォントの扱いについてとjavascriptについてはあまり触れられていないので、それらについては違う本に当たってみようかと思っている。

2016年3月18日金曜日

『たまのこと』paniyolo

 2015年。
 パニヨロこと高坂宗輝によるギターアルバム。17曲中12曲で、中村大史のギター(or マンドリン)によるサポートが入る。まあ、ギター・デュオといっていい。高坂がメロディを弾いて中村が伴奏をしているというスタイルは、おそらく成功している。前作『ひとてま』私の記事)のときにあった、どこか空中をたゆたうようなつかみどころのない不安定さ(それがまた魅力であったのは確かであるが)がここではかなり減じられて、しっかりとしたメロディが際立つ作品に仕上がっている。彼らの弾く音楽はどれもゆったりとしていて僕の心を静めこそすれ、決してかき乱さない。それなのに空気のようにそこにあるのではなく、かたちあるもののように僕のまわりの空間をしっかりと支えている。その微妙な存在感が心地よい。
 このアルバム、実はギターの音もいい。ギター自体がいいという意味ではなく、まるですぐ耳元で奏でているかのような臨場感がいい。入間にあるguzeri recording houseというところでレコーディングされたらしい。古い木造住宅に響く空気感、それらも全部ひっくるめて録音されたギターの音は、やわらかく僕をその空間へ誘う。

2016年3月16日水曜日

『化学反応はなぜおこるか』上野 景平

 講談社ブルーバックス。副題『授業ではわからなかった化学の基礎』。
 化学のホントにとっかかりの部分、元素とか原子、分子の説明から入っているので、学校で化学がよくわからなかった人でもすんなりと読み進めることができると思う。ものが燃えるっていうのはどういうことなんだろうかとか、燃えやすいもの燃えにくいものの差は何なのか、使い捨てカイロの話、木が育つことと朽ちることの違いは何か、酵素や触媒の役割など、興味深い話を丁寧に教えてくれる。化学反応式もでてくるし、エントロピーとかラジカルだとかいう難しい言葉もでてくる。でももしさっと読んでもわからなかったら読み飛ばせばいいだけの話だし、そこがわからなくても化学反応がどうして起こるのかはなんとなく雰囲気はつかめる。化学入門の本だと思えば、十分その役割は果たしていると思う。
 欲をいえば、本書でちらっと触れられているだけのエントロピーやエンタルピー、自由エネルギーの話を、この本で書かれている内容くらいに易しく、多くのページを割いて説明してくれていたらうれしかったなと思う。それだけで本を一冊書いてくれないんだろうか。そうしてくれたら、もっと化学反応について深く理解することができるだろうに。

2016年3月15日火曜日

『パナマ・エリダ/ナチュラル(2016)』横井珈琲

 Panama Elida。パナマ・エリダ農園のナチュラル・プロセスで処理したコーヒー。天日干しとメカニカル乾燥をしているらしい。
 とてもジューシーでフルーティ。香りはそんなにないんだけど、味がものすごくいい。オレンジとかパイナップルとかの甘さだけを抽出してジュースにした感じ。3年ちょっと前にも飲んだことがあって(『パナマ・エリダ飲み比べセット』横井珈琲)、そのときは苦手に感じたんだけど、今回のは本当においしい。以前感じた生臭さとか泥臭さは全然なく、すっきりとしたフルーツの風味だけが強く感じられる。これが何も混ぜ物のないコーヒー豆だけからの味だとはにわかには信じられない。コーヒーの概念が変わってしまいそうな驚きのコーヒー。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2016年3月12日土曜日

『超常現象をなぜ信じるのか』菊池 聡

 講談社ブルーバックス。副題『思い込みを生む「体験」のあやうさ』。
 UFO、予知夢、占星術、超能力など、まだ科学では解明されていない超常現象の数々を、人はどうして信じてしまうのだろう。
 だって私見たもの、星占いだって当たってるし。
 そうなのだ。確かに体験している人はいるのだ。経験則からいけば確かにそれらの超常現象は存在する。でもその体験なり経験は本当の事実を反映しているんだろうか。見間違いでは?勘違いでは?ただの偶然では?そんな切り口で、実は超常現象でも何でもないものを超常現象と見なしてしまいやすい人間の習性や心の働きがあるということを、多くの例をあげながら解き明かしていく。そんな認知心理学の入門書だ。
 著者は決して超常現象を否定しているわけではない。まだ科学がそれを説明できるほど進んでいないだけだと著者は考えている。ただ、超常現象と考えられている現象の中には、今の科学や心理学で否定できる現象もあるので、それはきちんとはっきりさせておきましょう、というスタンスでこの本は書かれている。
 体験したのだから超常現象は存在する、と考えてしまうのはちょっと待った方がいい。人の思考システムのクセを知り、正しい認識を得るにはどうしたらいいのかについて、いくつかの示唆を与えてくれる。

2016年3月10日木曜日

『コナブレンド(2016)』徳光珈琲

 ハイロースト。やや浅煎りのハワイコナをベースにしたブレンド。すっきりとした酸味にさわやかな香り。やわらかな舌触り。少し青リンゴの風味があり、とてもおいしい。ハワイコナは若い頃は苦手としていたコーヒーなんだけど、年を経て好きになってきた。私にとっては贅沢な気分に浸れるコーヒーのひとつ。
 購入したとき店員さんに、どっしりとした深煎りのコーヒーに比べて豆の量を半分くらいまで少なくした方がいいですよ、豆が多いとえぐみが出てきますから、と言われた。それでいつもより少なめの豆で最初は淹れていたんだけど、飲みやすくはなるけれど薄い、という印象が抜けなくて、結局いつもどおりの豆の量で淹れてる。確かにえぐみは少し出るけれど、こっちの方がコナ本来の特徴が感じられて私は好き。これくらいの存在感がないと。

徳光珈琲

2016年3月6日日曜日

冬の朝、夏の名残

 夏にバーベキューをやったときに使ったレンガが庭にそのまま残っていて、それに朝日が差していた。雪上に映る木の枝の影の形もおもしろく、印象的だった。実家に帰ったときの朝の風景。

2016年3月5日土曜日

『アニメーターが教える線画デザインの教科書』リクノ

 フィルムアート社。
 理論と理屈で絵を描くことを指南している本。線画をデッサンのことだと勘違いしてこの本を買ってしまったのだけれど、線画とはマンガやアニメで使われる線で描く絵のことである。絵画とは違うということだ。
 線そのものの扱い方や立体表現、人物などのキャラクターの描き方、消失点やパースの話、カメラのレンズによる空間デザインの違い、アニメーションにおける動きやレイアウトなど、ひととおりのことに触れている。ラフスケッチ的な図版も多く掲載されていて、著者のいう理論はわかりやすい。個人的にマンガ的な表現はとても苦手だったので、基礎的な考え方を学べてよかった。雑な下書きもちゃんと載っていて、プロも意外と泥臭い作業をした上で完成品を仕上げていることがわかり、雑なことが返って私にとっては参考になった。湾曲パースや魚眼レンズパースなどのパースの理論がおもしろくてわかりやすかった。
 ただ、アマゾンでの評価はかなり低いものも多いです。評価コメントの指摘はもっともなことですが、それを差し引いても私にはとても役に立ちました。初心者向けなのかも。

『離散数学「数え上げ理論」』野﨑 昭弘

 講談社ブルーバックス。副題『「おみやげの配り方」から「Nクイーン問題」まで』。
 離散数学はとびとびの対象を扱う数学で、数え上げ理論、整数論、組み合わせ論などからなるものらしい(実は私はよくわかっていない)。この本はそのうちの数え上げ理論について書かれた本である。中学高校で習った、場合の数、順列、組み合わせなどから、フィボナッチ数、カタラン数などをとおり、包除原理、差分方程式、母関数の理論などまで解説している。具体的には、副題にもあるおみやげの配り方、Nクイーン問題や、地点AからBまで行くときの経路の数、多角形を3角形にわける分け方、プレゼント交換で誰も自分のプレゼントに当たらない確率、賭け事の話など多岐にわたる。それらについて、ひたすら数え上げていく本だ。
 内容はこれ以上かみ砕いて説明するのは無理なんじゃないかと思うくらい、丁寧にひとつひとつの手順を略さずに解説している。数式は結構たくさんでてくるけれど、粘り強くよく考えて食らいついていけばわかるようには書いてある(それでも極度の数式アレルギーの人は読み通すのがいやになるかもしれないが、そもそもそんな人はこんな題名の本は手に取らないと思う)。最後の方はちょっと難しくなってくるけれど、最初の方は高校の確率統計でつまずいた人にもお薦めなくらいわかりやすい説明だ。エレガントな解き方のほかにエレファントな(力づくの)解き方も載っているのがおもしろかった。