2015年10月27日火曜日

『理系ジェネラリストへの手引き』岡村定矩ら

 日本評論社。副題『いま必要とされる知とリテラシー』。岡村定矩、三浦孝夫、玉井哲雄、伊藤隆一 編。
 学生のほか一般社会人を含む読者を想定して書かれているが、「実験レポートの書き方」という章があることからもわかるように、学生向けの記事も多い。自然科学だけでなく、社会科学、人文科学をも対象としているので、理系にこだわらない「ジェネラリスト」への手引きと考えてよいだろう。ハンドブック的なものを企図して書かれている。
 有効数字やデータ収集法などのデータに関すること、モデリングに関すること、言語に関すること、社会調査に関すること、コンピュータや情報に関すること、実験レポートやプレゼンテーションに関すること、データ解析に関することについて、取り上げている。 言語に関することなど読み物系の章もある一方、データ解析に関することなど数式のオンパレードでついていくのに時間がかかる章もある。もちろん本書が理系ジェネラリストに必要な事柄を網羅しているわけはなく、著者らが大事だと思っていることを取り上げているのだろう。それはデータの取り扱いだったり統計解析に対する理解だったりするわけだ。
 そんなに深いところまで書いてあるわけでもなく、個々の事例に関するマニュアルでもないので、この本を読んだからといってすぐに何かができるという類いの本ではないのだが、基本的なところはきちっと押さえてあるので、例えばカイ二乗分布ってどんな分布で何に使うんだっけとちょっとした疑問が出てきたときには、この本を開けばきちんと書いてある。
 学生あるいは社会人として、これくらいは教養として理解しておいた方がいいんだろうなと思った。覚えている必要は必ずしもなく、気になるときに調べて理解できる程度でいいのだけれど。

2015年10月25日日曜日

『ルワンダ・ルブンブ(2015)』横井珈琲

 Rwanda Ruvumbu CWS。ルワンダ西部にあるルブンブ・コーヒー・ウォッシング・ステーションのコーヒー。2014年ルワンダ・カップ・オブ・エクセレンス(COE)3位入賞ロット(今までCOEに入賞しているかどうかは書かないようにしていたんですが、これからは書くことにしました)。
 苦味はほとんどなく、青リンゴの風味のあるやわらかな酸味が特徴。少しクランベリーを感じさせる余韻。鼻を抜けるさわやかさがいい。でもこのコーヒーは、えぐみというか渋みというか、そんな感じの後味の悪さも少しあって、好みが分かれるかもしれない。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2015年10月24日土曜日

『青い影』Halie Loren

 2010年。ヘイリー・ロレン。原題『They Oughta Write a Song』。日本盤はボーナストラックが4曲ついている。ジャズヴォーカルアルバム。
 抑揚のある情感的な歌声。なのに力がうまく抜けて押しつけがましさがない。そして時折見せる特徴的なファルセット。聴きやすいのだけれどちょっとほかのシンガーとは違った雰囲気も持っていてなかなかいい。
 『A Whiter Shade of Pale(青い影)』や『Summertime』、『As Time Goes By』などといった往年の名曲のカヴァーに交じって、オリジナルも何曲か入っている。これがまたいい。堂々とした貫禄というか安定感があって、カヴァー曲に全然引けをとらない。ひょうきんな感じの『I Don't Miss It That Much』、しっとりと聴かせる『How Should I Know』『Free To Be Loved By Me』や『Danger In Loving You』。歌のうまい歌手というだけでなく、シンガーソングライターとしてもいいんだと思う。最初ちょっと歌い方が気になるところもあったけれど、聴いているうちにはまってしまった。

2015年10月17日土曜日

『My bluebird』伍々 慧

 2015年。ごごさとし。ギターソロインストゥルメンタル。
 キャッチーで聴きやすいメロディに伴奏を合わせて、ギター1本で奏でている。曲調もスタイルも押尾コータローに似たところがあるような気がする。さわやか系の『Begin to beat』や、リズムを刻むベースが印象的な『Destination』なんかは特にそう感じる。少しアドリブ気味に弾いているところは伍々らしいと思うけれど。
 最近ほかのアーティストの曲を聴いているときもそうなのだが、アップテンポなものよりも落ち着いた感じの曲の方が心にしっくりとくる。例えばこのアルバムでは、穏やかな休日の午後にベランダでゆったりとコーヒーを飲んでいるような雰囲気の『素敵なヒミツ』など。
 このアルバム、9月5日発売なので手元にあるんだけど、amazonでは11月6日発売らしくて、まだ予約受付中となっている。

My Bluebird (amazon)

2015年10月14日水曜日

『西村 和 作陶展』2015札幌三越ギャラリー

 にしむらなぎ。2015年10月13日~10月19日、札幌三越本館9階三越ギャラリー。
 久しぶりに彼女の個展に行った。年を追うごとに、どんどん洗練されていっているように思う。錫蒔陶漆をはじめとした陶漆作品、幾何学模様の象嵌作品、刷毛目を生かした作品等々。伝統とモダンを行き来するような絶妙なオシャレ感があって、目を奪われる。
 三越ギャラリーでの展示は、花入れ、抹茶碗、水滴など、フリーカップなどの普段使いの陶器とは違った、ちょっと敷居の高い作品が多くなる傾向にある。だから、ステキだなと思うものであってもなかなか手は出しづらい。逆に手の届かないところにあることで、突き放して見ることができるのだけれど。
 人もまばらな時間帯で、ゆったりとじっくり見ることができ、十二分に目を楽しませてもらった展覧会だった。

西村和のHP

2015年10月12日月曜日

『秋色ブレンド(2015)』徳光珈琲

 フルシティロースト。この秋限定の徳光のブレンド。苦味がやや強い。チョコレートの雰囲気がある苦味に、柑橘系の香りがふんわりとまとっている感じ。ちょっと渋みがある。
 4、5年前まではこういうフルシティぐらいの苦味の利いたコーヒーが好きで、そればかり飲んでいたな、と懐かしい思いがする。もちろん今でもこんな感じのコーヒーは好きだけれど、当時よりは酸味が主体のコーヒーも飲むようになってきた。いろんな味のコーヒーを嗜めるようになって、少し大人になった気分。

徳光珈琲

2015年10月11日日曜日

『All For You』Diana Krall

 1995年録音。ダイアナ・クラール。副題『A dedication to the Nat King Cole Trio』。
 ジャズシンガー、ダイアナ・クラールがナット・キング・コール・トリオに捧げたトリビュートアルバム。Diana Krall (p,v), Russel Malone (g), Paul Keller (b), Benny Green (p), Steve Kroon (percussion)。
 残念なことに私はナット・キング・コール・トリオのアルバムを持っていない。しかし知っている曲は何曲か入っている。いろいろな人がカヴァーしているからだろうか。それにしてもこのアルバム(『All For You』)はいい。ダイアナ・クラールの渋くて美しい声がぴたっと決まっているのはもちろんだけれど、バックのピアノやギターとの絡みもいい。互いに互いを引き立て合って、いいバランス関係を保っている。このアルバム、好きです。

2015年10月9日金曜日

『借りの哲学』ナタリー・サルトゥー=ラジュ

 太田出版。高野優 監訳、小林重裕 訳。
 「借り」というのは狭い意味では負債と捉えることもできるが、広くは恩だったり贈与だったりする。私はあの人に借りがある。そんな「借り」についての哲学。
 昔は「借り」をするということは隷属されることにもつながっていたらしい。そういう関係は『ヴェニスの商人』という話に見られるという。また、新約聖書の中でキリストが磔刑に処せられるのは、人間が生まれながらに持っている原罪をキリストが肩代わりして、代わりに人間に「借り」を作ったと取ることもできる(そう取らないこともできるが)。「借り」は人に返済の義務を負わせ、義務は人を縛る。ところが資本主義が生まれて等価交換という概念がでてくると、そんな「借り」というものはチャラにできるものになった。そうすると人間は「借り」から自由になることができた。しかしそれは幸福への道ではなかった。
 そんな風にしてさまざまなテクストを例に取りながら、「借り」について考えていく。ふつうこの言葉はあまりプラスの言葉としては語られない。しかし著者は「借り」によってよりよい社会を作り上げていくことを提案する。
 人間はひとりでは生きていけない。いわば生まれた瞬間から親や社会から「借り」をもたされている。それを貸した人に対して返していくのは難しい。「借り」をなかったことにするか。いや、もっとよい方法がある。ではどうすればいいか。次世代に返していけばいいのではないか。その連鎖が社会をよい方向にもっていくのではないか。
 実際にはここまで単純な議論をしているわけではないのだが、「借り」の負の側面を逆にプラス方向に考えて、「借り」の積極的な価値について考察しているのは事実だ。そんな意外に重たくて深い「借り」の哲学。

2015年10月3日土曜日

『横井珈琲ブレンド』横井珈琲

 実はこのブレンドは、これまで横井珈琲のラインナップにはなかった。先日、札幌駅地下の商店街であるパセオに横井珈琲が出店したのにあわせて、初めて作ったブレンドだという。横井珈琲では「いつもの」シリーズを始め多くのブレンドを取りそろえているが、今回それらをいくつかのブレンドに整理するのだと店主が話していた。今のところパセオ店でしか売っていないが、来年には発寒本店でも販売し始める予定でいるという。
 味はすっきり・さっぱり系で、飲みやすい。強い苦味も強い酸味も感じられない。ちょっとプラムや杏のような風味がある。ふつうに淹れると少し薄めの味になるような気がするので、私は多めの豆を使うようにしている。ちなみに今日パセオ店に行ってこのブレンドを頼むと、フレンチプレスでほぼカップ2杯分のコーヒーが出てきたが、やっぱり薄く感じた(家ではペーパーか金属製のドリッパーで淹れている)。朝飲むコーヒーにいいかもしれない。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

『It's Never Too Late』Tommy Emmanuel

 2015年。トミー・エマニュエル。基本的にソロギター・アルバム。
 バラードから速弾きまで、いかにもトミー・エマニュエルという感じの曲が揃っていて、ファンを裏切らない。『El Vaquero』や『T.E. Ranch』のような速い曲はそれはそれですごいとは思うのだけれど、好み的にはもうちょっとゆっくりした曲の方が好きだ。マーチン・テイラー(Martin Taylor)の『One Day』だとか、メロディのきれいな『The Duke』、『Old Photographs』とか。でもきっとこれらの曲も、速弾きのすごいのとかの中に交じっているから、余計によく聞こえるのかもしれない。そのほかには、ブルースの『One Mint Julep』もいいし、明るめの曲『Traveling Clothes』も好きだった。そういえば『Hellos And Goodbyes』は2本のギターを重ねているせいか、ちょっぴりDEPAPEPEっぽい。それにしても表題曲『It's Never Too Late』は娘のために作った曲だというのに、どうしてこんなに渋くて落ち着いているのだろう。
 アルバム全体としてそれぞれの曲がバラエティに富んでいて、聴いていて飽きない。

『理系のための英語最重要「キー動詞」43』原田 豊太郎

 講談社ブルーバックス。副題『600超の例文で独特の用法を完全マスター!』。
 理系の文献や論文でよくでてきて、しかも理系独特の使い方をする43の動詞について、詳しく解説している。例えばaddress、provide、allow、driveなどというような、一般動詞としては使えても、理系的な文脈でなかなか日本人が使いこなせないような単語が集められている。
 まず例文がとても充実している。よくぞこれだけ集めたというくらい、生物学、物理、化学、材料学など幅広い分野から多くの例文が取り上げられている。そして動詞ひとつひとつに対して、どんな起源の動詞で元々どういった意味だったのかということから、基本的意味、技術英語で使われる意味、構文や文法的な面まで、例文を交えて実に丁寧に語られる。読んで理解できることはもちろん、できれば使えることができるレベルまでを考えて書かれている。
 ただ、本の性質上とても単語が難しい(キー動詞以外も)。専門用語が多くて、日本語を読んでもよくわからない文が英語例文でばんばんでてくる。この本をマスターすることができたら、動詞の使い方はもちろん、技術英語そのものにも十分強くなることができるだろう。