2014年12月31日水曜日

『至上の愛』John Coltrane

 1964年録音。『A Love Supreme』。ジョン・コルトレーンのテナーサックスにマッコイ・タイナー(McCoy Tyner)のピアノ、ジミー・ギャリソン(Jimmy Garrison)のベース、そしてドラムスがエルヴィン・ジョーンズ(Elvin Jones)。
 重たいジャズだなと思った。「至上の愛」とはこんなに重たいものなのだろうか。私なら押しつぶされてしまいそうだ。サックスだけじゃなくて、すべてのパートがみんな同じ方向を向いている。短いモチーフが繰り返される。決してメロディアスとは言えないその旋律が耳の奥にしっかりと残る。名盤たる所以か。でもずっとエンドレスでかけ流しておくのはちょっとつらい。存在感がありすぎる。

2014年12月30日火曜日

『あの夏の日(仮題)』

 今は冬ですが……。
 手前の女の子の後ろ姿が印象的だったので、絵にしてみました。昨年京都に行ったときの南禅寺の近くで見た光景を元にしています。すごく暑い日だった。

2014年12月29日月曜日

『Standards Live』Keith Jarrett

 1985年の録音。キース・ジャレット・トリオ。邦題『星影のステラ』。キースのピアノに、ベースがゲイリー・ピーコック(Gary Peacock)、ドラムスがジャック・デジョネット(Jack Dejohnette)。
 スタンダードが6曲。ピアノが中心で、ベースとドラムスはサブという感じがする。ピアノがすごくいい。乗りに乗ってる感じ。実際ライブでも乗っていたのだろう。キースのうめき声とか叫び声がたくさん入っている(これが気になる人はもしかするといるかもしれない)。『Stella By Starlight』ももちろんいいけれど、『Falling In Love With Love』『Too Young To Go Steady』『The Way You Look Tonight』が聴いていて楽しかった。

『エチオピア・ハチラ(2014)』横井珈琲

 Ethiopia Hachira。「ハチラ」という名前は、農園の名前でも地域の名前でもない。以前取り上げた「ネキセ」(私の記事)と同じく、アメリカのナインティ・プラス社が定めた、コーヒーの風味、特性、味のプロファイルからつけられた名前だという。エチオピアのArichaという地域で行われた、とあるプロジェクトから名付けられた造語である。
 これはおいしい。すごく好み。完熟メロンやアプリコットのような風味を感じる。とてもフローラルでフルーティー。苦味とか酸味とかそんな括りでは説明できないようなコーヒー。香りもまた珈琲のそれではない感じ。豊かで立体的な感覚が口の中いっぱいに広がる。コーヒーは何を飲んでも同じ味がすると思っている人にこそ飲んでほしい。お薦め。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2014年12月27日土曜日

『人はなぜ、同じ間違いをくり返すのか』野崎 昭弘

 ブックマン社。副題『数学者が教える「間違い」を生かすヒント』。
 テスト問題の解答、仕事上の不手際みたいなものから、戦争への参加といったものまで、著者は幅広く「間違い」というものを捉えている。それらの間違いはどうして起こるのか。そもそも間違いは悪いことなのか。そんなことをやさしく丁寧に教えてくれる。例えば人間を「落雷型」「猫のお化粧型」「めだかの学校型」など7つのタイプに分け、それぞれの思考法が陥りやすい間違いを指摘し、それらにどう対応すればよいのか解説している。また、「間違えること」の意義や、「間違い」から何を学ぶかなんてことも書いている。
 小難しいことは書いていなくて、気軽に読める本である。ただ、あまりしっかりとした論拠をもって「間違い」について論じた本ではない。「数学者が教える」といいつつも、内容は数学とはほとんど関係がなく、著者が数学者である必要性はまったく感じない。そこがちょっと物足りない。こういうタイトルを掲げるのであれば、「間違い」に対する著者の考え方だけじゃなくて、脳科学的にみるとこうだとか心理学的にみるとこうだとか、きちんとした根拠をもって書いてほしかった。本書をエッセイとして読むのなら別にいいのですが。

2014年12月24日水曜日

『Jingle Bells』LUPICIA

 ジングルベル。フルーティーなスパークリングワインの香りというのがコンセプトらしい。もちろん聖なる夜を意識した紅茶。
 ふだんはあまりフレーバードティーを飲まないのだけれど、何だか無性に飲みたくなって購入してみた。いくつかの紅茶の香りを試してみて、これが一番よかった。今日という日にもふさわしいネーミングだ。きつすぎもなく弱すぎもないちょうどよい香り。そして味。適度にドライクランベリーとヒースフラワーが効いている。
 うん、おいしい。クリスマスじゃなくても楽しめるお茶。

LUPICIA

2014年12月23日火曜日

『デジタル作画法 アニメで見た空と雲のある風景の描き方』Bamboo

 ナツメ社。アニメの背景美術制作会社Bambooによる解説本。
 とてもきれいな背景画がたくさん掲載されており、それぞれについて数頁を使って、空や雲を含んだ風景の描き方を説明している。デジタルソフトはAdobe PhotoshopとCOREL Painterの両方を使っている。ある程度これらのソフトの使い方を知っていることを前提にしていて、ソフトの使用法についてはそんなには詳しく書かれていない。その代わりデジタルで背景を描く時の考え方や流れがきちんと書かれているので、違うソフトを使っている人でも役に立つと思う。四季の移り変わりや時間による変化を描き分けるテクニック、雲の種類、色や形、光の当たり方など、色々な観点から解説されているので、様々な風景に対応できる。
 本書の中で何度か、こうやって描くと写真みたいになってしまうから、アニメではあえてこう描く、といったようなことが書かれていて、おもしろいと思った。写真とアニメは違うのだ。
 この本を読んでも簡単にはこんなにきれいな風景が描けるようにはならないとは思うけれど、ここで解説されていることを実践していけば、それなりの絵が描けるようにはなりそうだ。デジタルでの背景画の描き方だけにとどまらず、手描きの時にも応用できることがたくさん書いてあって、とても参考になった。良い本だと思う。

『akiko』矢野 顕子

 2008年。プロデューサーにT・ボーン・バネット(T Bone Burnett)を迎えてのアルバム。
 英語の曲がいくつか交じっているせいか、ちょっとアメリカンな感じがする。はじけたノリノリの曲はなくて、彼女のアルバムの中でも落ち着いている部類に入ると思う。音作りに高級感があって、安定感もある。宮越屋珈琲(札幌を中心に展開するカフェ)でかかっていても全然違和感がないような気がする。 Led Zeppelinの『Whole Lotta Love』をカヴァーしているのはちょっと意外な気がした。矢野にしては原曲の雰囲気を残したアレンジ。
 私のコメントはあまりぱっとしないけれど、このアルバムは本当に気に入っています。いいです。

2014年12月20日土曜日

『コスタリカ・エルバス・ヴィジャサルチ(2014)』横井珈琲

 Costa Rica Herbazu Villa Sarchi。コスタリカのエルバス農園のコーヒー。ヴィジャサルチは品種名(初めて聞いた品種名。ブルボン種がこの土地独自に変化した土着品種だという)。
 オレンジピールみたいな雰囲気。とてもなめらかな舌触りで、やわらかい甘さがある。苦味はあまりなく、かといって酸味も強くない。そう書くと特徴がないみたいに思われるかもしれないが、とても力強いコクとほんの少しのクセがあって、芯の強さを感じる。コスタリカはすっきりとしたイメージがあるけれど、このコーヒーは飲んだ時にはそんな感じはしない。でも飲み終わってしばらくすると、ミントを食べたあとのようなさわやかさが口の中に拡がる。その感覚がとても不思議。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2014年12月19日金曜日

『科学コミュニケーション論』藤垣 裕子、廣野 喜幸[編]

 東京大学出版会。
 本書は「科学コミュニケーション」とは何かということよりもむしろ「科学コミュニケーション論」とは何かについて書かれている。私は科学コミュニケーション論の理論的枠組みがどうなっているのかということについてはあまり興味がなかったので、さしておもしろい本だとは思われなかった。「東京大学科学技術インタープリター養成プログラム」の中の授業のために整備された本だということを知って、なるほどとは思った。教科書であれば、こういう内容になってもしょうがない。「歴史と背景」「理論」「実践と実態調査」「隣接領域との関係」という章立てになっている。
 でもおもしろい部分はあった。私たちはこう考えがちだ。市民が科学に対して良いイメージを持っていないのは、科学知識が足りていないからだ。だから、教育や科学コミュニケーションによって市民の科学知識を増やしていけば、科学に肯定的な意見もまた増えてくるだろう、と。でもそういう考え方は「欠如モデル」と言われ、実態とはかけ離れているという批判が多く寄せられているのだという。科学コミュニケーションとは、科学者から市民へという一方向のものなのではなく、市民から科学者へと向かう線もある双方向的なものなのだという。科学コミュニケーションがきちんと成り立つためには、「一般市民が適切な科学技術リテラシーをもつだけではなく、科学者も市民リテラシー・社会リテラシーを身につけるべきだ」というのだ。言われてみれば確かにそうかもしれない。科学を専攻した者にとってはあまりに馬鹿げたことだと思われる事象がわりと世の中では起こっていて、それは科学知識が足りないせいだと科学の側からは思いがちだ。そして一般市民に対して科学の言葉で情報発信しても一般市民には分かってもらえない。そんなことがよく起こる。でもそれは一般市民だけが悪いわけではない。科学者の方もまた悪い面があるのだ。そこに双方向のコミュニケーションが成り立っていないせいで、科学側と一般市民側が折り合えないのだ。今までそういう風に科学コミュニケーションを考えたことがなかったので、目から鱗だった。科学コミュニケーション論の世界ではそんなことはもうずっと昔から言われていたことだとはいうのだが。
 こんな風に、ところどころに興味深い内容が書かれてはいるものの、全体的にはちょっとお堅いイメージがついて回った。科学コミュニケーション論を系統的に学ぶ人にはいいのかもしれないが、「一般市民」向けではない。

『Undercurrent』Bill Evans & Jim Hall

 1962年録音。ビル・エヴァンスのピアノとジム・ホールのギターだけのアルバム。
 ピアノとギターの掛け合いと言うと、ちょっと軽すぎる言い方のような気がする。ジャズ風に言うとインタープレイか。2つの楽器が重なり合って溶け合って。
 派手さが全然ないので、ただ聞き流していると良さがわからないのではないかと思う。私も初め、わりと長い間かけ流していたのだが、ちっともいいアルバムのようには感じなかった。物足りないというか退屈というか。でもちょっと音量を大きくしてきちんと聴くようにしたらどうだろう。2人とも自由に弾いているようで、息がぴったりと合っていて、深さを感じる。『My Funny Valentine』なんてすごいと思う。
 BGMとしてじゃなく、ちゃんと聴かなきゃならないアルバム。

2014年12月14日日曜日

『TYPOGRAPHY 06』

 グラフィック社のデザインジャーナル。『タイポグラフィ 06』。
 今回の特集は「デザイナーなら知っておきたい最新フォント150」。2013~2014年に出された欧文フォント70種と、和文フォント80種を紹介している。個人的には欧文フォントの方が見ていて楽しかった。力強いスクリプトである「Haltrix」や、手書きの味のある「Charcuterie」「Adorn」などが好きだった。
 「新書体ができるまで」として、アドビとグーグルが共同開発した「Source Han Sans(日本語書体名:源ノ角ゴシック)」 、コントラストという概念を取り入れた「TP明朝」の紹介もしている。
 他には、モノタイプ社のタイポグラフィイベント「Type&」や、国際タイポグラフィ協会の第58回カンファレンス「ATypeI」のレポートが楽しかった。
 でも、全体的には「あっ」と驚く楽しい記事はあまりなかったように感じる。

2014年12月13日土曜日

『Blue Train』John Coltrane

 1957年録音。ジョン・コルトレーン(テナーサックス)。
 リー・モーガン(Lee Morgan)(tp)、カーティス・フラー(Curtis Fuller)(tb)、ケニー・ドリュー(Kenny Drew)(p)、ポール・チェンバース(Paul Chambers)(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(“Philly” Joe Jones)(ds)。
 すごくかっこいい。特に表題曲の『Blue Train』がかっこいい。でもそれ以外の曲も全部いい。一聴してこんなに好きなアルバムってそうない。『I'm Old Fashioned』だけ落ち着いた感じのジャズで、それ以外はノリのいい颯爽とした曲が揃っている。全然手を抜かないテナー・サックスとトランペットとトロンボーンの掛け合いがとてもいい。ジャンル的にはジャズの中でもハード・バップというらしいけれど、実は私はジャズに詳しくないのでよくわからない。詳しくなくても、聴いて良いと思えばそれでいいじゃないかと思う。これはお気に入り。

2014年12月7日日曜日

『アーティストのための美術解剖学』ヴァレリー・L・ウィンスロゥ

 マール社。Valerie L. Winslow。宮永美知代 訳・監修。副題『デッサン・漫画・アニメーション・彫刻など、人体表現、生体観察をするすべての人に』。
 全身の骨格、筋肉、腱、靱帯などについて、詳細で豊富なイラストと解説で説明している。骨の構造はどうなっていて、筋肉は骨のどの部分に接続してどのように運動するか。それによって人の体がどのように動くのかがよくわかる。すべての骨や筋肉を網羅しているわけではないが、体表に現れる人体の形に影響のある部分はほぼすべてカヴァーしているんだと思う。私には十分すぎるくらい詳しい。図版はカラーなので、とてもわかりやすい。 専門用語がたくさん出てくるので読むのは大変だけれど、丁寧に読み進めれば理解できる。ただ、本当に自分のものにするには、たまに見返してみる必要はありそう。1回読んだだけですべてを覚えられるほど簡単ではない。
 解剖学についてだけではなく、実際に人物を描く時に役立つ情報も書いてある。体表に現れるどの部分に注目すればよいか。全身を描く時にどう全体のバランスをつければよいか、など。美術解剖学についての本は、私自身に関して言えば、これ1冊あれば十分なほどの内容である。ただひとつだけ注文をつけるとすれば、実際の人物の体表に現れる膨らみやへこみが、どの骨や筋肉の膨らみによるものなのかが少しわかりづらい部分もあったので、そこについてもう少し詳しく書いてもらえれば嬉しかった。きちんと読み込めば、ちゃんと本書で触れられてはいるのだけれど。

2014年12月5日金曜日

『Jazzology』The Modern Jazz Quartet

 モダン・ジャズ・カルテット、通称MJQの3枚のアルバム、『Django』『Fontessa』『Concorde』が2枚のCDに収まっている。1枚目が『Django』、2枚目が『Fontessa』と『Concorde』。
 『Django』は知ってる曲ばかりで、2枚目の方はちらほら知らない曲が混じっていたので、後者の方が新鮮だった。MJQといえばミルト・ジャクソン(Milt Jackson)のヴィブラフォンのイメージがものすごく強いけれど、ジョン・ルイス(John Lewis)のピアノや曲作りは欠かせないだろうし、ベースのパーシー・ヒース(Percy Heath)や、ドラムスのケニー・クラーク(Kenny Clarke)、コニー・ケイ(Connie Kay) ら全員の息の合った演奏がとてもいいんだと思う。重々しいジャズなのではなく、気楽に聴かせながらも味のある、そんな感じがいい。思い返せば私がジャズのCDを買ったのはMJQが最初だった。
 『Django』1956年。Milt Jackson(vib)、John Lewis(p)、Percy Heath(b)、Kenny Clarke(ds)。
 『Fontessa』1956年。Milt Jackson(vib)、John Lewis(p)、Percy Heath(b)、Connie Kay(ds)。
 『Concorde』1955年。 Milt Jackson(vib)、John Lewis(p)、Percy Heath(b)、Connie Kay(ds)。

『Queensberry, Pekoe』LUPICIA

 クイーンズベリー。スリランカのキャンディという町にある農園。Pekoe(ペコー)は等級(というか葉っぱの大きさ)ですね。セイロンティーはBOP(Broken Orange Pekoe)タイプが多いと思っていたので、意外。
 すっきりとしていて上品な味わい。味もしっかりしていて、これはおいしい。キャンディというとアイスティー向きと言われることも多いけれど、そのままでもおいしい。今まで飲んだことのあるキャンディはあっさり目で物足りないものが多かったのだが、このクイーンズベリーはいい。

LUPICIA

2014年12月4日木曜日

『ケニア・ガチャタ(2014)』横井珈琲

 Kenya Gachatha。ケニアのニエリ地区にあるガチャタ・ファクトリーで生産処理されたコーヒー。ケニアの一人あたりのコーヒー生産量はとても少なくて、ファクトリーと呼ばれる生産処理場に持ち寄るのだという。「ガチャタ」もそういった生産処理場のひとつだ。
 カボスとか早生の温州ミカンみたいな柑橘系の香りと苦味がある。でも柑橘系ではあるものの、さわやかさとかすっきりさのような感じはせず、ねっとりとしたクセがある。舌に絡まるような酸味がある。これを味があっていいと思うか、苦手だと捉えるかは各人の好みの問題なんだと思う。私は積極的には好きではないが、なかなかおもしろいコーヒーだと思う。この独特の酸味はほかではあまりない。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2014年12月3日水曜日

『著作権で迷った時に開く本Q&A』藤原 唯人

 カナリア書房。副題『イラストレーターのための法律相談』。
 本書は、法律(著作権、意匠権、商標権に関するもの)という観点から、「クリエイターの作品を守る方法」について書かれている。だから基本的には、イラストを作る立場から著作権等を眺めた本である。でも逆に見れば、他人の作った作品を利用する立場からの著作権等も見えてくる。
 26のQ&Aと14のコラムから成っていて、かなりかゆいところに手が届いている本だ。私の中でこれまで著作権法的にアウトなのかセーフなのかが微妙だった点について、ズバリと答えてくれているところがいくつもあった。イラストの依頼者との契約書の例など、とても参考になる。
 自分の著作権を守るために、他人の著作権を侵さぬように、ぜひ手元に置いておきたい。