2014年11月29日土曜日

『Night Steamin' Lupin』大野 雄二

 2005年。「洒落たナイトムードならルパンにおまかせ」をテーマにしている。同時発売された3枚のアルバム『night steamin’ lupin』『cafe relaxin’ lupin』『drive groovin’ lupin』のうちの1枚。
 ピアノ、サックス、トランペット、フルート、ギター、ベース、ドラムスすべてがルパンしている。ゆったりとした曲がほとんど。サックスとトランペットが絡み合いながらのウォーキングベースが素敵な『Theme From Lupin III(More Lupintic version)』は気に入った。ピアノソロ『Treasures Of Time』も味がある(映画『カリオストロの城』からの『炎のたからもの』ですね)。同じくピアノソロの『Memory Of Smile』や『Manhattan Serenade』もしっとりしていていい。他にはピアノ、ドラムス、ベースが穏やかにまとまった『LOVE THEME』(『ルパン三世愛のテーマ』です)がいい。
 同時発売3枚のうちでは、これが一番好きかも。

2014年11月24日月曜日

『エチオピア・ネキセ(2014)』横井珈琲

 Ethiopia Nekisse。「ネキセ」という名前は、農園の名前でも地域の名前でもないのだそうだ。アメリカのナインティ・プラス社が定めた、コーヒーの風味、特性、味のプロファイルからつけられた名前だという。初めてネキソが作られた「シャキソ」地域からのネクター「Nectar from Shakisso」という意味の造語だそうだ。ブレンドにつけられた名前という感覚として捉えていいのだろうか。たぶん今後は、「ネキソ」といえばいつもこの味が楽しめるということなのだろう。
 ナチュラル・プロセスっぽい味がする。ネクタリンと言われればそんな気もする。アテモヤとかマンゴスチンが熟した感じの風味がある。それにちょっと甘いチョコみたいな味を添えた感じ。
 私がナチュラルっぽい味が何となくでもわかるようになったのは、実はここ1、2年のことで、それまではそんなに意識したことがなかった。どちらかといえば苦手な方なのだが、ちょっとこの感じがあるとコーヒーの風味がより豊かになるような気はする。このコーヒーも、苦味があまりなく、フルーツっぽい風味の漂うコーヒーです。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

『ソーシャルメディアの何が気持ち悪いのか』香山 リカ

 朝日新書。
 著者が感じているソーシャルメディアの気持ち悪さは多岐にわたるが、例えばこんなことを述べている。「SNSは人と人とをつなげるツールであるどころか、一方的な発信を双方向的なコミュニケーションだとカン違いさせる、世にも気持ち悪い装置なのではないか」。私としては、SNSは厄介だとは思うが、そう気持ち悪いという感覚ではない。しかし、本書の中で述べられているSNSの妙な息苦しさ、SNS疲れ、傷つけ合う人々、ネトウヨの存在、炎上、プチ正義感、いいねの拡散、依存などの事例は、確かにそういう面があるかもしれないと頷ける点も多い。私にとっての厄介さと著者にとっての気持ち悪さは、もしかすると同類のものかもしれない。
 ソーシャルメディアはコミュニケーションツールであって、コミュニケーションを濃密にさせると多くの人は思っているかもしれないが、実はコミュニケーション(特に身体性としての)を希薄にしているのではないかとの問題意識は重要だと思う。ただし本書全体を通しての著者の主張が何かということは、いくぶんぼやけているように感じる。単なる事例紹介と簡単な感想、それに終始しているように感じた。それぞれの事例について、もっと掘り下げた議論をしてくれればよかったのにと思う。また、ソーシャルメディアといっても、ツイッター、フェイスブック、LINE、ブログ、インスタグラムなどいろいろとあり、それらはそれぞれに特徴も違っているので、これらをひとくくりにする無理も感じた。ソーシャルメディアの何が気持ち悪いのかについてのまとめ的章がないので、著者のいいたいことが少しわかりづらいのが難点である。

2014年11月23日日曜日

『Take Five』The Dave Brubeck Quartet

 デジタルリマスターされた3枚のアルバム、『Time Out』『Brubeck Time』『Brubeck Plays Brubeck』が入っている。とってもお得。ジャズです。
 『Time Out』1959年。Dave Brubeck(piano)、Paul Desmond(Alto Saxophone)、Eugene Wright(Double Bass)、Joe Morello(Drums)。このアルバムに、かの『Take Five』が入っている。あまりジャズを聴いていなかった頃からこの曲は何となく好きだった。でもこの曲だけじゃなく、『Blue Rondo Á La Turk』の緩急豊かな感じとか、ピアノのきれいな『Strange Meadow Lark』とか、それ以外の曲も全部がそれぞれに個性的で、とても楽しいアルバム。
 『Brubeck Time』1954年。Dave Brubeck(piano)、Paul Desmond(Alto Saxophone)、Bob Bates(Double Bass)、Joe Dodge(Drums)。全体的に明るい感じでいいけれど、ちょっときれいにまとまりすぎている感じがして、『Time Out』に比べるとおもしろみが少ない。でも心地よいBGMになってくれる。
 『Brubeck Plays Brubeck』1956年。デイヴ・ブルーベックによるピアノソロ。彼のピアノはとても上手なわけではなく、ちょっと堅い感じもする(本当はとても上手な人なのかもしれないけれど、素人目にはそう感じたということ)。でも音の選び方が、あっ、そこでこう来るんだ、みたいな予想外のおもしろさがあって、聴いていると結構楽しめる。かけ流していて、いつの間にかCDが終わってしまうのではなく、ポイントポイントでつい耳が引き込まれる。
 3枚それぞれに良さはあるとは思うけれど、『Time Out』が一番聴いていて楽しいなと思った。

2014年11月22日土曜日

『芥川竜之介随筆集』石割 透編

 岩波文庫。
 芥川龍之介というと、やっぱり短編小説が有名なのだろう。けれども私は、個人的には警句集である『侏儒の言葉』みたいな小説じゃないものが好きだった。それで、こんな本が店頭にあったものだからつい手に取ってしまったわけだ。
 明治、大正、昭和にかけての東京のこと、文壇のこと、そして芥川の交友関係などについての話題が多い。読んでみると意外に語り口がやわらかく、ああ、彼も同じ人間なんだと身近に感じられる反面、交友関係を聞くとやっぱり遠い存在のような気もして、なんだか不思議な感じがした。また、やわらかい語り口とはいえ、芸術に対する態度はかなり鋭いものもあったりして、親しみやすさとともに、怖い(というか厳しい)イメージも持った。これを読むと芥川に対するいろいろな感情がわき出てきて、そしてそれらが全然違うタイプのものなのに不思議と同居している。それはまるで狐につままれているような感じなのに、なぜかほっとした気分になっている自分もまたそこにいる。なぜほっとした気分になるのか、自分でも全然わからない。けれども、読んでいてとても楽しい本だった。

2014年11月15日土曜日

『コロンビア・エル・セドロ(2014)』横井珈琲

 Colombia El Cedro。ウィラ県ピッタリート地区のエル・セドロ農園。
 中煎りからやや深煎りくらいで、すっきりとした苦味がいい。アプリコットやカシスのような風味がある。舌に感じるちょっとした刺激がまたいい。これは酸味成分と苦味とのバランスから来るのだろう。
 ブラジルばかり飲んでいた昔は苦手だったコロンビアも、あるときから急に好きになった。というかどこの国のコーヒーでもそれなりに好んで飲めるようになった。年をとったのかな。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2014年11月9日日曜日

『Café Relaxin' Lupin』大野 雄二

 2005年。
 「ルパンと一緒にゆったりとしたアフタヌーンを」がテーマのアルバム。過去に発表したルパンの曲の中から、コンセプトにあったものを集めている。実は『Theme From Lupin III』の他にはあまり知っている曲がない。そのせいか、ルパンのアルバムというよりは普通のジャズアルバムとして聴いてしまっている。あまり重くない軽めのジャズとして、わりといい。曲と映像が結びつく人はもっと違う印象を持つのだと思うけれど。
 ちなみに『Drive Groovin’ Lupin』『Night Steamin’ Lupin』 を合わせて3タイトルが同時発売されている。私は前者だけ購入していた。

2014年11月5日水曜日

日本シェーグレン症候群患者の会かわら版NO.6~2014年夏・秋号

 2014年夏・秋号の「日本シェーグレン症候群患者の会かわら版NO.6」が届いた(こちらをクリックすると開きます)。2014年3月29日に行われた総会に参加した人の感想、7月5日の中部ブロック(金沢)ミニ集会の報告、会員からのお便り、2013年10月10日に京都で行われた国際シェーグレン症候群患者会の報告などが記事になっている。患者の会がどんな感じの会か知るための参考になる。シェーグレン症候群に悩まされている患者、そしてその家族など、一人で誰にも相談できずに苦しんでいませんか。そんな人は、試しに患者の会に連絡を取ってみるのも手かと思います。会に入るかどうかは別にして。

日本シェーグレン症候群患者の会HP

シェーグレンの会会報第23号

 2014年9月20日発行の「シェーグレンの会会報第23号」が届いた(こちらをクリックすると開きます)。主に2014年3月29日に行われた総会の内容で、この総会については私が以前取り上げた(私の記事)。気になったこととか興味深かったことはその記事に載せたので、そちらを見てほしい。ここでは、そこに載せなかったことで役に立ちそうなことをかいつまんで紹介したい。
○シェーグレン症候群~基礎研究から見えるもの~ 石丸先生
・アレルギー疾患やシェーグレン症候群などの自己免疫疾患は、免疫システムが過剰に反応する病気である。
・自己免疫疾患に効果的な根本的治療法がないのは、原因がはっきりしていなくて、しかも原因がたくさんあるからだ。現状は対症療法しかない。
○シェーグレンと共に(6)SS研究の動向と治療 菅井先生
・日本の診断基準と国際的なシェーグレン症候群の分類基準(ACR2011年)を紹介。日本の基準の方がいいのではないか。
・「シェーグレン症候群の「10」の問題点」「患者さんの要望」「医師に求められるもの」「患者会の役割」が掲載されていて参考になるので、是非一番上のリンクから読んでみてほしい。
○歯ぐきの病気とシェーグレン症候群 遠藤先生
・シェーグレンの人が歯周炎になりやすいかどうかは意見が分かれており、必要以上に心配することはないのではないか。
・歯の磨きすぎに注意
○眼科医からみたドライアイとその治療法 庄司先生
・ドライアイの自覚症状を正確に記録し、診断や治療効果判定に役立つ診断ツールが開発されることが期待されている。
・ドライアイの治療は、乾燥に対する治療と炎症に対する治療とに大別される。

と書いてはみましたが、私が以前書いた総会の記事(こちら)の方が内容的にはおもしろいと思います。

日本シェーグレン症候群患者の会HP

『schnee』Henning Schmiedt

 2013年。ヘニング・シュミート。ピアノ・アルバム。
 「雪」という名のアルバム。それは日本の東北地方に初めて訪れたときに見た雪の記憶であったり、故郷のドイツに降る雪であったりするらしい。ふんわりと、静かに降る雪。
 ヘニング・シュミートのCDを聴いたのはこれが4枚目だけれど、このアルバムが一番メロディがしっかりしているような気がする。耳に残りやすくて、心地いい。お気に入り。落ち着きます。

2014年11月4日火曜日

『疑似科学と科学の哲学』伊勢田 哲治

 名古屋大学出版会。
 科学って何だろう。普段私たちは、これは科学的に証明されている、なんて聞くと、それは絶対的に正しいことなんだろうと思ってしまう。じゃあ、科学の顔をしてるけど一般的には科学じゃないこと、つまり疑似科学とされているものは、どういう風に科学的じゃないんだろう。日本人なら、旧約聖書に出てくる、神がすべてを創造したとする創造科学を信じる人は少なくて、ダーウィンの進化論の方が科学的だと思うだろうけれど、創造科学はどうして疑似科学といわれることが多いんだろう。創造科学の場合は、そんな当たり前のことを、と思うかもしれない。でも占星術は?エスパーは?鍼灸とかホメオパシーとかの代替医療は?とかいっていくと、ちょっと困ったように、科学じゃないかもしれないけれど正しいかもしれないよ、と答えたくなるようなものも出てきそうだ。そのうち科学がそれらを証明したら、それらの疑似科学も科学になるかもしれない、との含みを持って。
 このとき、科学と疑似科学の間に線を引こうとすると、意外とその基準を決めるのは難しいと気づく。自分のことを科学者だと思っている人からすると、これらの違いは明白なように感じるだろうけれど、科学とか疑似科学の外側からこの問題を眺めると、そう簡単にはいかない。科学哲学というものは、科学とは何かという問題だけを考えているわけではないけれど、この問題に取り組んできた人も多い。
 この本には、そんな科学とは何かということについて、哲学者らがどのように考えてきて、どのような結論を見いだしてきたのか。そしてその結論の不完全さをどうやって補ってきて、またどんな新しい考えを生んできたのか、ということが、ざーっと、でもきちんと解説してある。
 その解説にはもちろん著者の考えが入っていて、著者なりの結論、それは線引き問題にけりをつけるという明確なものではないけれども、それなりに十分読者が納得できるようなものを用意してくれる。なあんだ、そんなことなら誰でも言えると思う人もいるかもしれないし、それは違う、とか、なるほど、とか思う人もいるかもしれない。著者の結論(らしきもの)よりも、著者が本書の中で否定的に述べていた理論の方にこそ真実がある、と思う人もいるだろう。それはどう読んでもいいのだと思う。本書にはいろんな考え方がたくさん載っている。そういう考え方もあるんだ、こういう考えもあるんだ、といちいち頷いてしまう。それが楽しい。難しいこともいろいろ書かれているし、読んでいて訳がわからなくもなったりするけれど、科学って何だろう、という疑問を持っている人には、おもしろい本だと思う。