2014年8月31日日曜日

『岩魚の棲むところ』(習作)

 ただの練習です。水の色にいろんな色を使っても水と認識できるのかどうか。

『データサイエンス超入門』工藤卓哉、保科学世

 日経BP社。副題『ビジネスで役立つ「統計学」の本当の活かし方』。
 データサイエンスというと、何らかのデータを使って何か新しいことでも見つけ出す科学なんだろうなということまでは想像できる。でもそれを実際にビジネスや実務に落とし込む段階になると、一体何をやっているのかが分からない。この本はそういう疑問を持っている人にはぴったりの本だ。著者は、データサイエンスを「データ分析・活用を研究して実践するための学問および手法」と定義している。
  データサイエンスを実務に活かすには膨大なデータを操る目利き力が必要だという。このためには「データを活用したビジネスを企画する力」「データサイエンスを支える統計知識」「アナリティクスを実現するITスキル」の3つの要素を挙げる。これをひとりの人がやるのは大変だ。でもこれに加えて「コミュニケーション能力」があれば、それらを手分けして複数人でビジネスに落とし込むことができる。本書はこれらについて、丁寧に教えてくれる。
 統計学についての解説も、適当に流すことなくきちんとなされていることに好感が持てる。このことについて、統計学に基づいたデータ分析の全体像を捉えられるように、付録として構造化データサイエンスモデル(SDSM)の表がついているのが参考になる。この表には、パラメトリック検定、ベイズ確率、K-means法、協調フィルタリング、重回帰分析といったさまざまな分析手法が分類され、実務ではどのような分野に適用されているのかが書かれている。本文中で、R、SAS、SPSS、Mahoutといった統計解析ソフトウェアについて軽く触れられているのもありがたい。
 データサイエンスの担い手には3つの素養とひとつの姿勢が不可欠だという。それは、「分析の前提や限界を認識していること」「特徴次元空間を意識できること(何のことやら分からないかもしれない)」「一専多能型のコミュニケーション能力を保持していること」そして「情熱とリーダーシップという姿勢」である。私には、これはなかなか厳しい条件だと映ったが、それだけの能力が求められる大変な仕事なのだろう。これからの時代は、彼らの育成もきちんとしていく社会の仕組みが必要なのかもしれないと思った。

2014年8月30日土曜日

『茶山の雨』

 茶畑に雨が降っている状況を切り絵にしてみました。切り絵は中学生のときに、はまっていたけれど、最近はずっとしていなかった。わざわざカッターで紙を切らなくったって黒いペンで輪郭を描けばいいじゃないかと思っていたけれど、やっぱり実際に紙を切るのと切らないのとでは、雰囲気が違いますね。実際に紙を切った方が明らかに味が出る。それはゆらぎだったり荒さであったりするわけだけれど。

2014年8月28日木曜日

『What Just Happened?』Mike Dawes

 2013年。マイク・ドーズ。
 ローホイッスルが入るケルティックな雰囲気の『Forest Party』、ヴァイオリンがメロディを担当するフォーキーな佳曲『Maybe Someday Soon』の2曲を除くと、ソロギター・アルバム。この2曲、なかなかいい。
 ほかにも、この人はすごくいろいろな引き出しを持っている。ボディ・ヒッティングやタッピングを駆使した『Boogie Slam』『The Impossible』、ドン・ロス(Don Ross)ばりのノリの『Boogie Shred』、ピエール・ベンスーザン(Pierre Bensusan)のような粘着質な『Somewhere Home』、颯爽としたメロディが印象的な『Titanium』。スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)の『Superstition』をギター1本で奏でてくれたりもする(そういえばミュリエル・アンダーソン(Muriel Anderson)も最近『Nightlight / Daylight』(私の記事)でこの曲をカヴァーしていた)。
 最初聴いたとき、録音が何となく手作りっぽいなと思ったけれど、中身はすごかった。とても気に入りました。

2014年8月23日土曜日

『グァテマラ・ラ・ベンディシオン(2014)』横井珈琲

 Guatemala La Bendicion 。
 グァテマラ西部のウェウェテナンゴ地域にある農園。花のような、ハチミツのような香り。苦味の中にもフルーティな酸味がアクセントになっていて、味に立体感がある。チョコっぽいところもあるけれど、やっぱりこの熟したフルーツを思わせる酸味が特徴なのだと思う。悪くはない。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2014年8月18日月曜日

『ベースライン作りをイチから学べる111のアイディアとテクニック』山崎 洋

 Rittor Music。
 私はベースを弾かない。でもギターを弾くときにはベース音も弾くし、ギターにベースで色づけしたりしてみたいなと思ったりはする。だからベース奏法の本ではなく、ベースライン作りの本を手に取った。
 この本は、音楽の本当に基本的なところから始め、ベースの初級をちょっと超えたところまで持って行ってくれる。ベースラインを作るにはどんな音を選べばいいのか。リズムはどうすればいいのか。フィル・インを作るにはどうすればいいのか、等々。
 一番役に立ったのは、ベースラインを弾くときには、常に今弾いているコードのどの音を鳴らしているのかを意識していなければならないということを学べた点だ。 rootを弾いているのか、3rdを弾いているのか、5thを弾いているのか。私はちょっとその辺をおざなりにして楽器を弾きがちだけれど、そうじゃいけないんだということがよくわかった。ベースを弾く人だけじゃなく、ギターを弾く人や打ち込みをする人(初心者向けだろうけれど)にも役に立つ。これでウォーキングベースについてもページを割いてもらったら、もっとよかったのに。

2014年8月16日土曜日

『The Singularity』Daniel Voth

 2013年。アントゥワン・デュフール(Antoine Dufour)がプロデュースした、ダニエル・ボスのデビューアルバム。
 メインギターを弾いているのがダニエルで、これはインストゥルメンタル・アルバムだけれど、ソロギターというわけではない。1、2曲目の『Caldera』『Discordia』や、リズムが主体の『Mechanically Separated Chicken Parts』『MSCP “Band Mix”』などを聴いていると、なんだか映画やドラマのバックで流れている音楽のように聞こえてくる。でもそんな曲の中にあって『Radiance』や『Nexus』『The Singularity』『Levitate』などは、緩急織り交ぜたドラマチックな作風で、物語を聞いているようだった。ギターの音もきれいで、ハーモニックスの使い方がいいと思った。
 最初聴いたときはちょっと単調な感じがしたけれど、実際は結構山があったり谷があったりの楽しいアルバムだ。意外と好きなアルバム。

『これからデータ分析を始めたい人のための本』工藤 卓哉

 PHP研究所。
 ビッグデータを活用しよう、なんて言葉が聞かれるようになってかなり経つ。でもそのために何をやったらいいのかよくわからない。エクセルで相関分析とかすればいいのか。うーん、何から手をつけていけばいいんだろう。
 データ分析と聞くと、ただ単にデータを分析することだと思っていた。だから統計的な数字の分析だけがその主役だと思っていた。でも実際にはそうではないらしい。もちろん統計処理は当然しなければならないけれど、その前に何のためにデータ分析をするのかという目標が必要だし、その分析をしたことを現場に落とし込むことはもっと大事だ。そのためにはとりあえずやっておけみたいな精神ではなく、組織全体できちんとアプローチしていかなければならない。最初から全体最適を狙い、インパクトの大きいところから着手すべきだし、目標に向かうためには強力なリーダーシップや適切なチーム編成が必要だ。データ分析はデータをいじることが目的なのではなく、ビジネスや公共政策に貢献しなければ意味がないのだ。
 本書には具体的な統計の話はたいして詳しく載っていない。それよりもデータ分析を実際にビジネスなどに生かすためには、どういう組織のもとにどんな戦略を持ってどういう意識で分析に取り組まなければならないのか、ということなどが書いてある。データ分析は統計処理だけで成り立っているのではなく、コミュニケーション能力が問われたり、もっと泥臭いものなんだよ、ということを教えてくれる。
 余談だが、カタカタ言葉とかビジネス用語が何の説明もなく出てきたりして、少しストレスだった。これらの言葉は知っていて当然ということなんだろうか。私はビジネスマンのスタート地点にも立っていないのかもしれない。

2014年8月14日木曜日

『Type & typography』Phil Baines & Andrew Haslam

 Watson Guptill。Second edition。
 活字とタイポグラフィの本。モノタイプ、ライノタイプ、写植、デジタルなどの、グーテンベルクから始まる(それ以前にも韓国で活字は存在したようだけれど)活字の歴史。ギリシャ、ローマ以降の書体の変遷。書体の構成要素、構造。文字のカーニングや行間の話。版面デザイン。文字の組み方。そんなことがたくさん書いてある。
 珍しいなと思ったのは、音声や聴覚と言語の関係や、文法の話、映像や動画とタイポグラフィの関係など、他の本ではあまり取り上げられることの少ない話題も扱っている点だった。結構大きな本で読み甲斐がある。盛りだくさんの本だけれど、図版が多くて楽しい。そして説明がわかりやすい。
 私は大分前に定価で買ったのを積ん読状態にしていて、やっと読む気になったので読んでみた。ところが今アマゾンで見てみるともうそこでは新品は売ってなくて、「出品者」から滅茶苦茶高い値段でしか買えないみたいだった。定価ならともかく、私ならその値段では買わない。それだけの価値がある本だと市場では見なされているからその値段なのだろうけれど。

2014年8月10日日曜日

『Stormalong』Ben Lapps

 2014年(だと思う)。ベン・ラップス。ソロギター・アルバム。
 マイケル・ヘッジス(Michael Hedges)やジャスティン・キング(Justin King)から影響を受けたというベンによるサード・アルバム。パーカッシブな音を織り交ぜたギターワークスは相変わらずだけれど、全体的に前作『See the Sky』(私の記事)よりも抑制的な感じがする。『True Friend』のようなひょうきんな曲もあるのに、どうしてそう感じてしまうんだろうとは思う。自宅録音をしたギターの音のせいかもしれない。ウクレレっぽい(ウクレレだと思う)かわいらしい小品『Ava's Theme』や、ハーモニックスのきれいな『Giraffe』がいい。でも『See the Sky』からの再録である『Heartbeat』や『St. Patty』の方が耳に馴染んでいて心地よい。新曲じゃないので彼には申し訳ない気もするけれど。

2014年8月6日水曜日

『In Here Out There』Preston Reed

 2013年。プレストン・リード。ソロギター・アルバム。
 このアルバムの曲は、大きく2種類の曲調に分けられる。ひとつは従来行ってきたタッピングやボディヒットを駆使しながらジャカジャカかき鳴らす、いわゆるプレストン・リードらしい曲。そしてもうひとつが2007年の前作『Spirit』(私の記事)で試みたベースとメロディだけからなるシンプルな曲。このアルバムにはそれらの曲がバランス良く混じっている。どちらもそれなりに楽しめたが、シンプルなベースにきれいなメロディが乗せられた『Lullaby』が好きだった。
 ちなみに本作は亡くなった母親に捧げられたアルバムだという。

2014年8月3日日曜日

『虹』夏川 りみ

 2014年。デビュー15周年記念、5年ぶりのアルバム。
 1970年代の日本のフォークソングみたいな曲ばかり入っている。それもそのはず、楽曲を提供しているのが、財津和夫、伊勢正三、南こうせつ、吉川忠英、森山良子等々といった面々だからなのだろう。個人的には彼女の声とフォークソングはなんとなく相性が悪いというか、ちょっと違う感じがする。もっとゆったりと聴かせる曲が合っているんだと思う。
 というわけで私がこのアルバムの中で好きな曲は、BEGINの島袋優による『バンナ岳にて』、国府弘子による『約束~忘れないよ~』、スターダストレビューのカヴァーである『木蘭の涙』の3曲でした。

2014年8月2日土曜日

『I Love Futura』TwoPoints.Net

 Viction:ary。I Love Type Series Volume One。
 Futura(フツラ、フーツラ)は、1920年代にPaul RennerがデザインしてBauersche Giessereiから世に出された書体。直線や円からなる幾何学的なデザインが特徴となっている。今はいろいろな会社から売られているけれど、最近ではBauer TypesからFutura NDというフォントが出ている。
 この本は、そんなFuturaがいっぱい詰まった本である。どのページを開いても、Futuraだらけ。CDジャケット、封筒、看板、フライヤー、Tシャツ、招待状など、Futuraを使ってデザインされたもので、あふれかえっている。そしてそのデザインにまつわる説明が、これまたFuturaを使ってなされている。Futuraは本文組にすると、決して読みやすい書体ではないけれど、ここまで徹底してFuturaを使われると、逆に楽しくなってくる。まさにタイトルどおりの本。
 ちなみにI Love Type Seriesは、ほかに、Din、Bodoni、Avant Gardeなど、いくつも出ている。フォントが好きな人は是非。

『Back To Basics』Masa Sumidé

 2014年。住出勝則によるソロギター・アルバム。
 私が彼に持つイメージは、ちょっとファンキーだったりするやや激しめのギターワークだ。このアルバムもまた『Say The World』や『Too Hot To Handle』のようなそんな曲で始まる。良くも悪くもタッチがちょっと荒い感じなので、こんな曲がよく似合うのだ。
 でもこのアルバムの中で好きな曲は、むしろおとなしめのものだった。波音を聞きながら星空を眺めているような雰囲気のある『A Night To Remember』、きれいな感じの『Close Your Eyes』『Missing You』。ほかに意外と良かったのが『悲しい色やね』。
 ライブのような臨場感がこのアルバムにはある。でも、もう少しタッチがきれいだったらもっといいのにと思う。

『科学vs.キリスト教』岡崎 勝世

 講談社現代新書。副題『世界史の転換』。
 科学とキリスト教と聞いて、てっきり中心となる話題は天動説と地動説の対立や、ダーウィンの進化論なのだろうと思った。でもこの本で詳しく述べられているのは、副題にあるように「世界史の転換」である。本書では「古代以降のヨーロッパの伝統的なキリスト教的世界史記述」を「普遍史」と呼び、それ以降の「文化史を基軸とする啓蒙主義的・世俗的」な「世界史」とを区別している。そしてまさに、18世紀におけるガッテラーやシュレーツァーによる普遍史から世界史への移行こそがこの本の主題なのである。もちろんその移行の裏には科学の発達が大きく影響している。
 聖書では地球の歴史は6千年といわれているが、それでは中国の歴史の長さをうまく説明できなかったり、たった6日間で天地創造ができてしまう矛盾や、ノアの大洪水をどうやって説明すればいいのかや、もちろん地球が天体の中心ではないことなど、当時得られていた多くの知見が聖書の記述とはうまく整合しなかったことが挙げられる。その頃にはビュホンやリンネ、ブルーメンバッハによって自然や人間の位置づけも以前とは違うものとなっていた。
 そんな状況の中で、歴史家が聖書の記述と科学の知見をいかに矛盾なく説明するかについて苦労していた様が本書を読むとよくわかる。聖書の記述を解釈し直しながらも、アダムとエヴァによる人類の始まりやノアの大洪水だけは歴史から排除しきれなかったことなど、興味深い事実も知らされる。アダムが歴史から消えたのは、ダーウィン出現以降、ハックスレーやラボックが出てきたあとだというのだ。
 とはいえ、現在でも世界ではアダムが人類の始祖だと信じている人も多いと聞く。聖書の記述は絶対的に正しいと思っている人が少なくはないと聞く。現代に生きる日本人からすると、そんな馬鹿げたことを、と思う人が多いのだと思う。でもそれを馬鹿にすることはできるのだろうかと考えた。我々もまた、聖書と同じように科学という書物を信じているだけの違いしかないのではないか。同じ穴の狢なのではないか。そんなことをふと考えてしまった。科学を信じてしまう方が、より理性的に思えるのだとしても。