2014年7月26日土曜日

『音街巡旅 I』空気公団

 2014年。おんがいじゅんりょ。
 CDを頼んだはずだったのに、B5版の冊子が届いた。不思議に思って中を開けると、CDは別になっていて、この冊子はこのCDの中の曲のコード譜集だった。1曲1曲にメンバーのコメントもついていて、なんだかお得な感じがした。
 このアルバムは、2013年に行われた音街巡旅ライブで収録されたものに新たな要素を加えたものだ。そのせいかライブ盤をもとにしているのにスタジオ感もある仕上がりになっている。私は空気公団のアルバムを2枚しか持っていないけれど、半分以上が知っている曲だったから、きっとこのアルバムの中の曲はすでに世の中に出ているものばかりなのだろうと思う。でもアレンジがちょっと変わっていたり、もちろん音が違っていたりで、十分に楽しめる。
 いつもながら、まるで私のために歌ってくれているかのような歌詞がやさしい声とともに私を包んでくれて、心を穏やかにさせてくれる。どの曲も好きだけれど、特に『青い花』『まとめを読まないままにして』『レモンを買おう』がいいな。

『陰影と質感がわかる! はじめてのデジ絵』廣済堂マンガ工房

 廣済堂出版。
 デジ絵を描いてみたいと常々思っていたのだが、どの本もなんだか難しそうで、なかなかその先に進めなかった。でもこの本ならちょっと先に進めるかもしれない。
 本書はSAIとPhotoshopに対応している。内容は本当に基本的なことで、レイヤーなどのソフトの使い方だとか陰影の付け方の基本だとか背景の描き方だとか、いろいろとざっくりとだが書いてある。ちょっとでもデジ絵をかじった人には物足りないかもしれないけれど、線画すら描けないでいた私には、そんなレベルがちょうどよかった。ああ、こうやって線を描けばいいのか、こうやって色をつけたり影をつけたりすればよいのか。
 線画はホームページからダウンロードできるので、それをソフトに取り込んであーでもないこーでもないして色をつけたりするだけで、デジ絵のスタート地点には立てる。その先に行きたければ自分で方法を見つけるか、もっと専門的な本を参考にしたらいい。私はスタート地点に立つことが目的だったので、十分にこの本が役に立った。

2014年7月19日土曜日

『Sittin' In』Kenny Loggins with Jim Messina

 1972年。
 ロギンス&メッシーナの実質的な1stアルバム。グループ名をよく見るとわかるように、「And」じゃなくて「With」となっているのは、もともとケニー・ロギンスのソロとして出す予定だったのが、プロデューサーのジム・メッシーナと意気投合して一緒に出すことになったかららしい。ロギンス&メッシーナ名義になったのは2ndの『Loggins & Messina』私の記事)から。
 とっても大好きな曲がいっぱい入っていて嬉しい。『Danny's Song』『House at Pooh Corner』は言うに及ばず、『Peace of Mind』や『Nobody But You』『Vahevala―』『Back to Georgia』なんか。アルバム全体でいうと、しっとりとした曲とノリのいい曲を交互に聴かせる感じで仕上げている。
 もう40年以上も前のアルバムを探し出してきて聴いている自分にちょっと驚きだったりもするのだが、新しく世に出る曲ばかりでなく、まだ聴いていない昔の曲でいいものがあったら聴いてみたいと思うのです。年をとったせいかもしれないのだが。

2014年7月13日日曜日

『日常礼讃』ツヴェタン・トドロフ

 白水社。Tzvetan Todorov。塚本昌則訳。副題『フェルメールの時代のオランダ風俗画』。
 17世紀のオランダで花開いた風俗画の数々。フランス・ハルス、レイステル、レンブラント(風俗画はあまり描かなかったが、本書では取り上げられている)、ヘラルト・ダウ、テル・ボルフ、ハーブリエル・メツー、ピーテル・デ・ホーホ、ヤン・ステーン、ファン・ミーリス、ニコラース・マース、そしてフェルメール。そんな画家たちによって描かれた風俗画とは何だったのか。
 一見ただ単に日常を切り取っただけに見える画面。本当にそうなのか。鏡や頭蓋骨といったこの世の空しさを象徴するモノ、性的なものを連想させる犬やチェロなどの楽器、そんなモノが画面には描かれており、それが意味をなさないわけはない。つまり寓意である。モノだけではなく、場面もそれに加わる。乳飲み子と母親、手紙を読む女、書く男、酒を飲む女。それぞれの絵は当然、そんな寓意的な、道徳的なニュアンスを含むものとなる。
 でもオランダの風俗画はそんなコード化された意味だけが表現されたものではない。その意味を超えて、道徳や寓意に還元されない美を表現する。そして道徳世界と、それを超えた美の二面性、それがオランダ絵画の魅力なのだと著者はいう。そしてフェルメールが現代においても色褪せない理由についても考察していく。
 オランダの風俗画は私が一番好きなジャンルのひとつである(「genre」という単語には「風俗画」という意味もあるので、この文はなんか変な感じもするけれど、気にしないでください)。フェルメールはもちろんのこと、ピーテル・デ・ホーホなども好きな画家だ。本書には白黒ではあるが70枚の図版が掲載されており、オランダ風俗画へのよい案内書となってくれることだろう。

2014年7月12日土曜日

『Nightlight Daylight』Muriel Anderson

 2014年。
 ミュリエル・アンダーソンの今回のアルバムは2枚組だ。1枚は眠りに誘う「Nightlight」、もう1枚は目覚めのための「Daylight」。それらのCDの1曲目を聴くだけで、それぞれの盤の持つ雰囲気がわかる。「Nightlight」の『Ferryboat Crossing』、「Daylight」の『Here Comes the Sun』。彼女はギタリストだけれど、ギターの音が前面に出ているのは「Nightlight」の方で、「Daylight」の方はどちらかというとバンドサウンドっぽい。2枚のCDに収められている曲の多くは、友人に新しくできた子供のために作った曲だという。
 「Daylight」はやはり明るい曲が多い。さわやかでノリがいい感じの『Daylight』『Continental Breakfast』『Tracy's Tune』などが代表的だ。スティーヴィー・ワンダー(Stevie Wonder)の『Superstition』が原曲のノリのまま演奏されていて、ちょっとびっくりしたりする。ブルーグラスの好きな人には、『Bluegrass Medley』なんかがいいかもしれない。
 でも私が好きなのはむしろ「Nightlight」の方で、こちらは落ち着いた感じのギター曲が多い。断然好きな曲はギターが主でベースやストリングスがさりげなく入る『Lullaby For Leo』。ほかにギターソロの『Dandelions』や、ハープギターの音がきれいな『The Winter Shores』『Sweet Child』もいい。実はインストゥルメンタルだけじゃなく歌ものもあるのだが、その中では、ゆったりとしたメロディにガットギターやベース、コーラスがサポートする『Wait For the Light』が気に入った。
 なんだかとてもお腹いっぱいな2枚組アルバムである。

2014年7月9日水曜日

『Typographic Systems』Kimberly Elam

 BNNデザインブックス。キンバリー・イーラム。今井ゆう子訳。副題『美しい文字レイアウト、8つのシステム』。
 タイポグラフィのデザイン・システムを、8つの類型に分けて解説している。そのシステムとは、中軸、放射、拡張、ランダム、グリッド、転調、モジュール、左右対称の8つである。著者は、多くのデザイナーはグリッド・システムを使うことが多く、ほかのシステムの可能性に気づいていないという。なるほど確かにグリッド・システムを使っているデザインは多く、ほかのデザイン・システムを見るとちょっとびっくりしてしまうかもしれないと思った。8つのシステムとはいってもそれらは完全に独立しているわけではなく、グリッドとモジュールが合わさってみたり、中軸と左右対称が合わさってみたりと、互いに関連している。でもこれらのシステムを学ぶことで、デザインを体系化して自分のものにできるということは言える。ただ何となくCDジャケットを見るのと、体系化された類型に当てはめながら見るのとでは、得られるものはまったく違ったものになる。
 本書ではそれらのシステムごとに、著名なデザインをいくつかと、学生たちが試行錯誤しながら作り上げたデザインを多数掲載し、そのシステムにおけるデザインの可能性を示してくれる。中にはそのデザインはないだろうというものもあるが、それもまた可能性のひとつなのだろう。可能性の芽を潰してしまってはいけない。
 ほとんどのページが図版で占められているので、アイディアに詰まったときにこの本をパラパラとめくっているだけでよい解決策が浮かんでくるような気がする。もちろんタイポグラフィ・デザインを体系的に学ぶのにこそよい本なのではあるが。

2014年7月6日日曜日

『さわやかな日曜日だからチューリップを活けよう』

 ものすごく久しぶりに絵を描いた。何ヶ月ぶりだろう。昨日、絵を描く人たちに会ったら、自分も描きたくなった。
 『チューリップを持つ女』にしようと思ったのだが、ついはじけてキャラでもないタイトルにした。絵のできは、久しぶりだからしょうがないかという感じ。 もっと手を動かさなきゃダメですね。

2014年7月5日土曜日

『コード作曲法~藤巻メソッド~』藤巻 浩

 ヤマハミュージックメディア。
 白状すると、私は「作曲」という言葉がどういう意味の言葉なのかがわからない。だからコード作曲法が、コードで作曲する方法なのか、コードを使って作曲する方法なのか、コードを作曲する方法なのか、はたまたそれらのどれでもないのか、実はわかっていない。でもいくつか言えることがある。それは、この本を読むと(あるいは(後に述べるように)聞くと)、コードの仕組みがよくわかる。コード進行がよくわかる。転調の仕組みもちょっとわかる。もしかすると自分で曲に自由にコード付けできるようになる。なんだかすごい本ではないか。
 この本の特徴のひとつになっているのが、付属DVDに収められている音声番組である。本文がそのままの内容で、本文以上にわかりやすく、著者本人が音声で解説してくれている。言葉だけではなく、ピアノ等で実際にコードを弾いてくれたり、曲を流してくれたり、本当にその場で講義を聴いているように音楽を学ぶことができる。ちょっとペースが速すぎて初心の私にはついていけなくなってしまうこともたまにあるけれど、そのときはまた聞き直せばいい。本に載っている楽譜などの図を見ながらの音声解説は実にいい。
 本全体の構成は、前半でコードの基本的な解説をしたあとに、後半でクラシック数曲をアナリーゼしている。サティの『ジュ・トゥ・ヴ』、ドビュッシーの『亜麻色の髪の乙女』のアナリーゼに入る前には、読者自身がコードの入っていない譜面にコードを書き入れるという演習もあり、力になる。
 おそらくは中級者以上の人を対象としており、私には高度だけれど、いい本だと思う。