2014年3月30日日曜日

第28回(H26年度)日本シェーグレン症候群患者の会総会ほか

 平成26年3月29日(土)。第一三共株式会社東京支店会議室にて。
 前半に日本シェーグレン症候群患者の会総会をやって、そのあとにNPO法人シェーグレンの会講演会が行われた。なぜか二つの会が入り混じって今回の総会と講演会を開催するという形を取っているので、ややこしいことになっている。そのことについて会場でも説明があったのだが、よくはわからなかった。ただ、参加してみて運営などをみてみると、NPO法人にはなってみたものの、まだ会としての体裁がきちんと整えられていないとの印象を受けた。今後に期待したい。
 患者の会総会は特に記事にするようなこともなかったので、講演会について印象に残ったことだけをまとめたい。いつものことだが、トピックの選択は私の独断と偏見に満ちた興味による。また、私の理解不足のせいで嘘を書いてしまっているかもしれない。
 また、当日の映像はUstreamによって配信されている(こちら)。

○「ためになるお話~基礎医学者の立場から~」徳島大学大学院、石丸直澄先生
 10分ほどの短いお話だったが、テンポよく会場を引き込んでいた。
・おしゃべりは虫歯が少ない。
・マウスの胸腺を生後3日で摘出すると、シェーグレン症候群マウスができる(T細胞が教育されなくなるから)。
・女性ホルモン(エストロゲン)が低下してくる年代に患者数も増えてくるので、シェーグレン症候群と女性ホルモンは関係があるのではないか。ただしそうでない患者もいるので、一概にはいえないだろうとの意見が会場からは出ていた。
○「シェーグレンと共に(6)~SS研究の動向と治療~」久藤総合病院、菅井進先生
 もう6回目の講演になるんだなと思いつつ聴講。
・シェーグレン症候群とミクリッツ病とIgG4関連疾患との関係(しばしばこの3者は混同される)について説明してくれたが、私にはついていけず。
・患者の負担軽減から、唾液腺MRIが今後増えていくのではないか。
・ドライアイの治療薬として近年ジクアスとムコスタが出てきたが、それまでは涙の成分を補えばよいとの観点から作られていた過去の目薬と違い、涙を作る作用機序にも働きかけるという新しい観点があり、方向性が異なっている。
・全身療法として、日本では適用になっていないが、抗CD20抗体(リツキサン)の点滴が効果があるとの報告がある。
・唾液が出ないんだったら水でも飲んでおけばいい、という人がいるが、そんな簡単な話ではない。
・万人に勧める方法ではないと断りつつ、歯茎の指マッサージの試みについて説明してくれた。注意点として、歯肉と歯の境目付近はやってはいけない。
○「歯ぐきの病気とシェーグレン症候群」日本大学松戸歯学部、遠藤弘康先生
 シェーグレンとの関連は微妙だったが、役に立つ話だった。
・一般に歯周病や歯槽膿漏と呼ばれている病気は、歯医者は歯肉炎と歯周病とに厳密に分けて考えている。歯を抜いたりするのは歯周炎である。
・シェーグレン症候群の患者が歯周炎になりやすいかどうかについては、意見が分かれている。
・歯の磨きすぎで歯周炎になるケースは少なくはない。
・歯磨き粉の刺激で歯茎が赤くなることがある。
・すべての虫歯を治療する必要はない。
○「眼科医からみたドライアイとその治療」日本大学医学部、庄司純先生
 ドライアイとは何かについて、初めて知ることが多かった。
・マイボーム腺は脂質を分泌し、ゴブレット細胞はムチンを分泌する。
・マイボーム腺は年齢により萎縮する。
・シェーグレンの人はゴブレット細胞が減少する。
・涙の働きは、1.表面を平滑にする。2.乾燥を防ぐ。3.酸素や栄養を運ぶ。4.異物を取り除く。
・ムチンの働きは、1.保湿。2.光学的安定性。3.生体防御(異物を絡め取り体外に排出)。
・目が乾く原因は、1.全身疾患。2.眼疾患。3.環境。
・診察において、眼の不快感や見えにくさといった症状と検査結果は必ずしもリンクしない。
・患者は、乾燥感のあることがドライアイだと思っているが、医者は、乾燥感は充血のサインだと見なしている。つまり、乾燥感はドライアイの症状ではない。
・自覚症状の測定方法として、VAS、ドライアイチェックシート、フェイスシート、(QOL調査票として)DEQSを挙げていた。また、機会があればこれらの検査を受けてみるように勧めていた。
・ドライアイについての日本と欧米の考え方はちょっと違う。日本は乾燥ということに重きを置き、保湿という対策を取るのに対し、欧米では炎症に注目して消炎という対策を取る。しかし乾燥と炎症は互いに関連し合っているので同じことである。
・目薬にも欠点があるので、目薬を何も考えずに差していればいいというものでもない。
・目薬の種類や差し方は「シンプル・イズ・ベスト」だと思う。あまり多種類でない方がいいだろう。
・患者参画型診療が大切である。

 以上、まとまりはないが、私はこんなことに興味を持って聴いた。シェーグレン症候群の有効な治療法が見つかるといいなと思う。根本治療が一番だけれど、対症療法であってもいいのだと思う。また来年の総会を楽しみにしつつ。

2014年3月22日土曜日

『O・MO・TE・NA・SHI』フラリーパッド

 2014年。fulare_pad。ウクレレとギターのデュオ。ウクレレはメロディを担当している。
 このアルバムは二人だけの演奏は少なくて、バンド形式のものが多い。シンプルな構成が好きな私としては、ちょっと音がいっぱい詰まりすぎてるかなという感じはする。
 でもいいです。二人とも作曲をするのだが、どちらもメロディメーカーなんだということを強く感じる。どの曲もとてもキャッチーで聴きやすい。カラッとしたウクレレの音を生かしたノリのいい曲もあれば、落ち着いた感じのしっとりと聴かせるバラード調の曲もある。これらはもちろんウクレレを中心とした音楽なのだけれど、なぜかハワイのイメージはまったくなくて、とても日本的な音楽だ。だからこそアルバム名は『O・MO・TE・NA・SHI』で行けるのだろう(個人的にはあまりにベタすぎるタイトルに引いてしまったのだけれど)。彼らのルーツが京都にあるということも納得できる。
 とても安定していて安心できるアルバム。

2014年3月21日金曜日

『欧文組版』髙岡 昌生

 美術出版社。タイポグラフィの基本BOOK。副題『組版の基礎とマナー』。
 著者は嘉瑞工房という活版印刷屋さんをやっている人。欧文書体の基礎から始まり、欧文組版の実践に至るまで、丁寧に教えてくれる。欧文組版の基礎練習という章もあり、実際に手を動かして目で見て、よい組版というのがどういうものなのか体験できる。この練習は本当によくて、欧文を見る目が随分と養われた気がする。ただ読み流すのではなく実践するのが大事なのだと思う。
 表紙だけを見ると、いかめしくて気むずかしい感じがするけれど、中身は本当に欧文組版に対する優しさと愛情にあふれていて、内容がすーっと心に入ってくる。タイポグラフィに関する本はいろいろ読んだけれど、この本はとてもいい本だと思う。お薦め。

2014年3月15日土曜日

『はじめてのゲーム理論』川越 敏司

 講談社ブルーバックス。副題『2つのキーワードで本質がわかる』。
 ビジネス、経済のみならず、生物学や物理学、政治学、社会学、認知科学など多方面にわたる分析道具として使われているゲーム理論を、2つのキーワードをとっかかりにして解説している入門書。ここでの2つのキーワードとは、「ナッシュ均衡」と「パレート効率性」である。私はこの2つをうまく説明できないのだが、簡単に言ってしまえば、プレイヤーが利己的に行動した結果の落ち着きどころが「ナッシュ均衡」で、みんなにとっていい結果を導くのが「パレート効率性」なんだと思う(自信がない)。このキーワードをうまく説明できないことで、私が本書をよく理解できなかったことがばれてしまいますね。それはさておき。
 ゲーム理論はとってもややこしい。自分がこう動いたら相手はこう動くから、自分はこうやって動いたら得になる、といったことを感覚だけでなく数字で考えていく。だから数学とは切っても切れない縁があるのだが、本書ではそんなに難しいことはやっていない。ただ、ややこしいので、読者はきちんと丁寧に筋を追って考えてついていかないと、取り残されてしまうことになる。初めは、簡略化したポーカーの話や有名な囚人のジレンマといった話題を取り上げて説明しているが、それがメカニズム・デザインの話になり選挙の話になり最後は量子ゲームの話になって、この最後の話題になってくると私は狐につままれたような気持ちに落ち込んでゆく。量子ゲームはちょっと次元の違う話のような気がする。でもこれからは量子ゲーム、あるいは量子力学の知識を使ったまったく新しい世界が切り拓かれていくんだろうなという予感だけは持てた。ただしその理論は常人には理解が及ばず、市井の人はただその恩恵だけを受けるというブラックボックス化された世界を生きることになるんだろう。まあ、今のITネット社会も似たようなものなのかもしれないが。なんだか話が逸れた。
 これは子供だましの入門書ではない。きちんとゲーム理論の本質に近いところまで持って行ってくれるしっかりした本だと思う。ゲーム理論の面白さだけを説くのではなく、その裏にある理論のかけらも示してくれる。巻末には丁寧な参考文献の紹介がついているので、その先にあるものを知りたい人にとってよい案内書となってくれている。ちょっとゲーム理論の入り口のドアを開けてみたい人に。

『Loggins & Messina』Loggins & Messina

 1972年。ロギンス・アンド・メッシーナ。
 2ndらしい。私はよくわからないのだが。
 でもいいですね。ヒットした『Your Mama Don't Dance』(ママはダンスを踊らない)などはやっぱり出色だと思うけど、それ以外もいい。さわやかに駆け抜けるような『Thinking of You』、アップテンポでちょっとひょうきんな味を魅せる『Holiday Hotel』、落ち着いた感じの『Golden Ribbons』『Till the Ends Meet』。なかでも心ときめいたのは『Whiskey』。あっさりしてるけど、こういうフォーキーなのは大好き。あと、『Angry Eyes』なんかもちょっと気になる。
 今後も適当にピックアップして、ロギンス・アンド・メッシーナを聴いてみようと思う。

2014年3月9日日曜日

『手と足の描き方』ジョヴァンニ・チヴァルディ

 マール社。みつじまちこ訳。中村武日本語版監修。副題『仕組みを知って上手くなる!骨格・筋肉・形状・動き・性別や年齢による違い』。
 写真は一切使っておらず、すべて著者によるデッサンである。手足の骨格、筋肉、腱については詳細に説明されている。また、いろいろな角度からの作例もわりと豊富に載っている。
 でも手足の描き方については、そんなに詳しく書かれているわけではない。だいたい当たりを付けて形をとったあとに、それを四角柱などの幾何学的な形状の組み合わせに分解して描き、それを実物に即して描き起こしなさい。そしてよく観察するように。そんなことを書いてあるくらいだ。結局よく見て描け、ということなんだろう。ちょっと物足りない。でも骨格や筋肉のことを考えてデッサンできるようにはなったのかなとは思う。「手足独特の形や動きを効果的に表現するプロのテクニックが学べる」と裏表紙には書いてあるけれど、そこまですごい本ではないと思う。

2014年3月8日土曜日

『Sunny Side Up』Calum Graham

 2009年。カラム・グレアム。基本的にはソロギター・アルバム。
 ちょっと演奏が荒削りで雑なところはあるけれど、そんなところが逆に身近に感じられて、ちょっぴりライブを聴いているみたい。さわやかに、でもかっこよく朝を迎えるには『Sunny Side Up』はぴったりの曲だ。それに『Roadmap』の落ち着き、美しく悲しげな『Tears On My Toes』など、スタンダード・チューニングなのにそうは感じさせない素敵な曲が詰まっている。彼が作曲したものでは、『Anybody Home?』なんかもいい。ほかに、トミー・エマニュエル(Tommy Emmanuel)の影響の色濃い『Classical Gas』『Thru The Photo-Album』とか、ドン・ロス(Don Ross)のファンキーな曲『Dracula & Friends Part 1』なんてものもある。そういえばドン・ロスとデュエットを組んだアルバムがあった(私の記事)。実はこのアルバムの中に、渋いけれど不協和音にぞくっとさせられるお気に入りの曲が混じっていた。プジョル(M. D. Pujol)の『Tristango En Vos』をリアレンジしたものだ。音は確かに雑だけど、なかなか魅力的なギターを弾く人だと思った。

2014年3月2日日曜日

『Marybong FTGFOP1 2013-DJ10』LUPICIA

 マリボン(マリーボンという人もいる)。
 マリボンはダージリンの茶園のひとつ。これはその春摘み紅茶、つまりファーストフラッシュだ。若い紅茶だから青臭さがあるけれど、春摘みの良さはそんなところにあるのだと思う。緑の若草から白い花が覗いているようなイメージ。たとえばシロツメクサのような。このクローバーみたいな香りは独特だ。初めて口にしたときはなんだかちょっと野暮ったい感じがして好きではなかったのだが、今はわりと気に入って飲んでいる。初めてのときは煎れ方が悪かったのかもしれない。ダージリンは、春、夏、秋とそれぞれに違う味を楽しませてくれるのがいい。

LUPICIA

『レタリングエッセンス』大町 尚友

 日本文芸社。副題『文字デザインの基礎から創作まで』。
 そういえば文字に興味があるくせにレタリングの本は読んだことがなかったなと思い、古本で購入してみた。レタリングといえば中学校の美術の時間にやって以来だ。
 字種や書体の話、レタリングの実際の工程、スペーシングの話など、大まかではあるけれどひととおりのことが書いてある。日本語では明朝体とゴシック体、欧文ではサンセリフ体とセリフ体を主に扱っている。ロゴデザインの話もちょっと書いてあったりする。
 全体的にそんなに深い話は書いていないけれど、明朝体の横画を隠しても、つまり縦画とウロコ(横画の右端にある三角形の止め)だけあれば、文字はだいたい認識できるということがおもしろかった。欧文のレタリングで、Helvetica mediumとBauer Bodoni Boldの割出図が掲載されているが、直線と円弧だけからなるそれらの文字には、少しばかり違和感を覚えた。レタリングではそうやって書くのかもしれないけれど。

2014年3月1日土曜日

『Uncle Charlie And His Dog Teddy』The Nitty Gritty Dirt Band

 2003年。1970年に出た同名タイトルに2曲ボーナストラックを付けてリマスタリングしたもの。
 カントリー、ロック、フォーク、ブルース、クラシック。色んな曲が入っているのに、なぜか統一された空気感がある。たぶんそれはギターやバンジョー、フィドルやハーモニカの音のせいもあるが、70年代初期という時代の空気がそうさせているのだろう。
 ちょっと懐かしい感じのさせるロック・チューン『Rave On』に心を踊らせたり、『Mr. Bojangles』『House At Pooh Corner』はやっぱり名曲だなあと感じ入ったり、『Livin' Without You』のギター、『Clinch Mountain Backstep』『Randy Lynn Rag』のバンジョーにときめいたり、『Mississippi Rain』に耳を傾けたり。
 通しで聞いても全然飽きさせなくて、とても好きなアルバム。たぶん私はこの時代のアメリカの音楽が好きなのだと思う。ケニー・ロギンス(Kenny Loggins)の曲が結構好きだったので、今度ロギンス&メッシーナ(Loggins & Messina)のアルバムでも集めてみようかな、と。

『科学を語るとはどういうことか』須藤 靖、伊勢田 哲治

 河出ブックス。副題『科学者、哲学者にモノ申す』。
 物理学者、つまり科学者である須藤は、科学哲学という分野で、理解もしていない物理用語をとんちんかんにつなぎ合わせて論文を作り上げたり議論したりしていることに、腹を立てている。科学哲学なんだから、科学のことをきちんと理解した上で科学の役に立つようなことを議論したり提言したりしてくれよと思っている。そんな須藤の批判、疑問に対して、科学哲学者である伊勢田が、科学哲学が何をしているのかについて丁寧に説明していく。須藤はなかなか納得しない。伊勢田も手を抜かない。とてもスリリングな対談である。
 舌鋒鋭い二人の対談はすんなりとは終わらない。もちろん対談の中で、少しは須藤の見方も変化する。しかし最後まで行っても、須藤の科学哲学に対する不信感は残ったままだ。伊勢田は十分すぎるくらい丁寧に、須藤の方に寄り添いながら解説していると思う。でも二人の間のすれ違いは埋まらない。問題のひとつは、須藤が科学哲学に求める要求あるいはゴールを、必ずしも科学哲学者は目指していないということにある。科学哲学は科学の考え方を使って科学を哲学するのではなく、科学というのがどういう営みなのかについて哲学するのだということが、須藤にはなかなか通じない。すれ違いの原因はこれ以外にもたくさんあると思うが、とにかく、科学者と科学哲学者はここまでわかり合えないものなのか、と愕然とする。
 科学と科学哲学について興味のある人には文句なくおもしろい本だと思う。でも私は須藤の言動にはかなり腹を立てながら読んだ。なぜここまでわからないのだろう。なぜそこまで批判できるのだろう。私はどうも科学側ではなく科学哲学側の人間のようだ。科学側に立つ人であれば須藤の感覚の方が受け入れられるのかもしれない。私は一応理系出身であるが、文系の要素の方が強いのかもしれない。今は、科学することよりも、科学とは何かということの方が、より興味がある。
 余談だが、私の本棚に須藤の上梓した『一般相対論入門』を発見して驚いた(これまた余計なことだが、この『一般相対論入門』は物理と数学が大好きなごりごりの理系の人じゃなければ読み進められないと思います)。