2014年2月22日土曜日

『ひとてま』ぱによろ

 2012年。
 高坂宗輝のソロユニット「paniyolo」によるインストゥルメンタル。ギター、ギタレレ、シンセサイザーを高坂が弾き、ピアノやマリンバなどのサポートが入る。
 ゆったりとしたメロディに、さりげなく寄り添うような伴奏。ひとつのモチーフを繰り返すような淡々とした構成が多く、音数もあまり多くなく、やわらかい弦楽器の音をしっとりと聴かせる。ちょっと物足りないかな、と思わせるくらいのおとなしさが妙に心地よく、私を癒やしてくれる。都会の喧噪を忘れさせてくれる暖かい音楽。

2014年2月16日日曜日

『欧文タイポグラフィの基本』サイラス・ハイスミス

 グラフィック社。小林章監修、田代眞理訳。Cyrus Highsmith。
 分量がさほど多くないので、さらりと読めてしまう。欧文タイポグラフィの基本の基本といえるような内容で、個別事例は扱わずに一般的な話が書いてある。「読む」ということはどういうことかに始まり、字間、単語間、行間の話を主にしている。イラストがわかりやすく、味があっていい。初歩的なことをとても簡単に書いてあるように見えるけれど、実はすごく大事なことを言っていると思う。文字を組むということはこういうことなんだな、とよくわかる。

2014年2月15日土曜日

『Foreverly』Billie Joe + Norah

 2013年。
 パンク・ロックバンド、グリーン・デイ(Green Day)のヴォーカル、ビリー・ジョー・アームストロング(Billie Joe Armstrong)とノラ・ジョーンズ(Norah Jones)のデュエット・アルバム。エヴァリー・ブラザーズ(The Everly Brothers)の『Songs Our Daddy Taught Us』を丸ごと(曲順は違うけれど)コピーしたもの。父が教えてくれたアメリカやイギリスの伝統歌を集めたものだ。ほぼ全編ハモっている。ギターを中心としたシンプルな構成で、心地よいハーモニーを聴かせてくれる。カントリーっぽいのが多いのでノラ・ジョーンズがこれを歌っていてもまったく違和感はないけれど、ビリー・ジョーのイメージには合っているんだろうか。私はグリーン・デイを聴かないのでよくわからないけれど。
 でもすごくいいです。セピア色にちょっとだけオレンジがかった感じ。

2014年2月11日火曜日

『表情』ゲーリー・フェイジン

 マール社。Gary Faigin。みつじまちこ訳。副題『顔の微妙な表情を描く』。
 主に、ある感情が沸いたときに顔の中のどの筋肉が動き、どのような表情を作るのかということを解説している。用いられている図版は、巨匠の絵や、プリミティヴアート、彫刻、漫画などであるが、中心となっているのは著者が描いた鉛筆画である。「感情を伝えるコツは写真のように厳密に描くことではなく、しわをいかに正確に描くかだ」という趣旨からも、確かに鉛筆画の方が特徴がわかりやすいのだろう。とはいえ著者のデッサンは十分すぎるくらいリアルである。
 全体は3章に分かれており、初めに頭部や目鼻の構造を解説している。そして第2章では、解剖学では20から26あるといわれている顔面筋のうち、表情に関係する12の筋肉を取り上げ、それらの筋肉の動きがどのように表情に影響を与えるのかについて述べている。そして第3章では、誰が見ても同じ認識を示す6つの表情、悲しみ、怒り、喜び、恐怖、嫌悪、驚きを取り上げ、詳細に解説していく。
 説明は決して簡単であるとはいえないが、時間をかけてでも読む価値はある。例えば悲しみを描きたいとき、どのように描けば悲しんでいるように見えるのかがわからなかったのが、どこの筋肉あるいは部位(目とか眉とか)に注目すればよいのかがわかるようになった。今まで漠然としか見えなかった顔の表情が、具体的な筋肉の動きと絡めて見えるようになった。 私はこの本を手に入れて、本当によかったと思う。

2014年2月8日土曜日

『最後のトレモロ』朴葵姫

 2013年。パク・キュヒ。クラシックギター作品。
 前回はスペインにスポットを当てたアルバムを作成していたが(『スペインの旅』) 、今回はブラジル以外の南米作品を取り上げている。A. バリオスとL. ブローウェルの作品が多いが、ほかにはE. グレネ、A. モンテス、Q. シネン、A. ピアソラの曲が収録されている。『最後のトレモロ』はバリオス作品だ。バリオスといえば『大聖堂』も有名かもしれない。
 音の粒立ちがはっきりしていて、どの音もしっかりとよく聞こえる。朴はトレモロがきれいなことで知られるが、やっぱり『最後のトレモロ』は美しい。今発売のアコースティック・ギター・マガジン(Vol. 59)で『朴葵姫直伝!"最初のトレモロ"』という特集が組まれているが、おもしろい企画(特にネーミングが)だと思う。トレモロ以外でも、音の強弱やフレーズによって音色を変えている点など、すごいと思う。同じギター1本からなのに、実に多彩な音色を聴かせる。いい。

『バレンタインブレンド2014』徳光珈琲

 フレンチロースト。そのわりに苦味は強くない。酸味はほとんど飛んでいるけれど。ナッツのような強い風味が舌に残る。ミルクチョコレートが合いそう。気に入ったので2回購入。

徳光珈琲

2014年2月2日日曜日

『とりあえず今日を生き、明日もまた今日を生きよう』なだ いなだ

 青萠堂。
 精神科医でもある著者が、老年になってからあちこちに連載したりした文章を、いくつかのテーマごとにまとめた本である。うつやアルコール依存症などの心の問題と、老年をテーマにした話題が多い。
 「とりあえず今日を生き、明日もまた今日を生きよう」。「とりあえず主義」というらしい。カルペ・ディエム(Carpe diem、今を生きよ、みたいな意味)というラテン語があるが、それと同じような意味として本書では語っている(個人的にはニュアンスがちょっと違うような気もするが)。そんな先のことを考えずに、今日をきちんと生きよう。そして明日になればまたその日をきちんと生きよう。と、そのままである。頑張らなくてもいいとも述べている。こういう言葉をかけられると、心が楽になる。そうか、こんな私でもいいんだ。
 色んなところで書いた文章を集めてきたせいか、本全体にあまり統一感はない。色んなテーマについて、気軽にさらさらと肩肘張らずに読ませる本だ。心の問題を扱ったところに関しては、さすが長年患者を診てきただけあって、頷けるところが多い。著者の日常を綴った文章もある。ただ、政治的というか思想的な話題が時折入る。なるほどと思うところもあるのだが、それはどうだろうと、ちょっと引っかかる部分もある。この点については読者の好みによるのかもしれない。
 全体的に読みやすいエッセイ集である。