2013年10月27日日曜日

『The beginning』絢香

 2012年。
 2年間の活動休止期間を経ての復帰アルバム。静かなピアノの旋律から始まる『はじまりのとき』は、まさに彼女にとっての「はじまり」でもある。それは4曲目の表題曲『The beginning』につながり、それがそのままアルバムタイトルにもなっている。「はじまり」とはつまり、このアルバムに込めた彼女の思いそのものなのだろう。すべての曲の作詞作曲に彼女自身が関わっており、このアルバム自体が自身による初プロデュース作品でもある。
 全体的にバランスがよく、ピアノの音と彼女の声との絡み合いが印象的な作品が多かった。歌い方も以前よりもずっとすっきりとしていて、無理のあるねっとり感がなくなり、聴きやすく感じた。アルバムの中ほどにある『繋がる心』だけがなんだか軽い感じで浮いているような気がしたが、前半と後半を区切る小休止なのだと考えると、これはこれでいいのかもしれない。ちょっとノリのいいポップな曲も、静かに聴かせる歌も、総じて好きな曲が多く、もうすでにしてこのアルバムは私のお気に入りの一枚である。

『少女(?)Aの肖像』

 久しぶりに人物画を描いてみた。でもこれは少女ではなくて大人の顔立ちですね。おかしいなあ。もっと若い人をモデルにしたはずなのに。

2013年10月24日木曜日

OS X MavericksとWindows 8.1に游ゴシックと游明朝が標準搭載

 こんな記事を見つけた。

OS X MavericksとWindows 8.1にプロフェッショナル用書体の游ゴシック体と游明朝体が標準搭載

 游ゴシック体と游明朝体は、字游工房が販売している書体。
 なんか洗練されている感じがして以前から好きだった書体で、いつか買おうと思っていた。そうしたら、なんとWindows 8.1に標準搭載されているというではないか。Windows 8.1にはつい2日前にアップグレードしたばかりだ。Wordでフォントを確認したら、本当に入っている。うれしい!
 Macにはもともとほかにも好きな書体がいっぱい標準搭載されていたけれど、游書体も搭載されるとは。Mac使いの友人にもお伝えしたい。

 字游工房HP

2013年10月17日木曜日

『西村 和 作陶展』2013札幌三越ギャラリー

 にしむらなぎ。2013年10月15~21日。札幌三越本館9階三越ギャラリー。
 ここ数年この作家の作陶展にはなるべく顔を出すようにしているが、いつも新しい試みが見られる。今回なんといっても目を引くのは、赤と白の組み合わせが印象的な陶漆白釉の器たちである(西村のブログ参照)。陶漆は陶胎漆器のことで(ただし彼女は自分の作品を陶胎漆器とは呼ばない。以前聞いた話だと、おこがましいそうだ。私の聞き間違いかもしれないけれど)、陶器の上に漆を塗って仕上げた器である。今回の作品はこの陶漆に白い釉薬を合わせたものだ。上で張ったリンク先の写真はフリーカップであるが、酒次(さけつぎ)やぐい飲みなど、もうちょっと小さい作品のほうが引き締まった感じがして私は好きだった。この白釉の代わりに渋い光を放つ金釉を合わせた陶漆金釉のフリーカップもなかなかいい。
 今回見ていて感じたのは、茶道具が多くなってきたことと、陶漆作品が多かったことだ。抹茶茶碗も少なくとも6客はあった。陶漆でいえば鈍い銀色と黒を合わせた錫蒔陶漆香炉が目立っていた。ただの陶漆も内部から光を放っているような感じがして魅力があった。そういえば半円ではなく直線から成る青海波(せいがいは)の花入れは、朝日に反射した光のグラデーションを思わせ、文様とともに印象的だった。
 でもこの展覧会で一番気に入った作品は、作家さんには申し訳ない気もするのだが、木賊文(とくさもん)香炉である。縦に青みがかったストライプの入った香炉で、地の白にも少しにじみが感じられ、とても落ち着いた雰囲気を持っている。なぜ申し訳ない気がするかというと、昔からよくある陶器という感じがして、作家にとっては新しい試みではないと思われるからだ。でもこれは畳によく似合うと思う。
 上で紹介したもののほかにも、昔から手がけている象嵌作品や彩泥の器などもあったり、木工作家、村木昭彦による額とのコラボ作品(西村のブログ記事)があったりして、いろいろと楽しめる。お近くの人は是非。

2013年10月14日月曜日

『LJ Plays the Beatles!』Laurence Juber

 2000年。ローレンス・ジュバー。ポール・マッカートニー(Paul McCartney)率いるWINGSに一時期参加していたギタリスト、ローレンス・ジュバーのソロギターによるビートルズ作品カヴァー集。
 このアルバムの存在は以前から知っていたが、ビートルズはカヴァーじゃなくてもいいな、と思い、購入までには至らなかった。ところがとあるカフェでコーヒーを飲んでいるときにこのアルバムがかかっていて、すごくいい、と思って店員にアルバム名を聞いたら、『LJ Plays the Beatles!』だという。それで慌てて購入してみたわけだ。実際のところ家で聴いてみると、カフェで聴いたときのような感動はない。そのカフェの音響設備が我が家に比べてずっといいということなんだと思う。でもカフェで聴いたときほどの感動はなくても、このアルバム自体は結構いい。アレンジは自然で、ビートルズの雰囲気は壊さずに、きれいな感じに仕上がっている。ギターもうまい。
 どの曲も悪くはないのだが、特にいいと思ったのは、『Things We Said Today』、『You Won't See Me』、『This Boy』、『Oh Darling』、『For No One』、『Can't Buy Me Love』。こうしてみるとあまり有名どころはないのだが、『Let It Be』とか『Yesterday』みたいな誰でも知っている曲も入っている。安心して聴けるアルバム。

2013年10月13日日曜日

東寺、金堂のスケッチ

 京都にある東寺(教王護国寺)の金堂です。有名な五重塔も描こうとしたのですが、観光客がいっぱいいて、いい位置からスケッチするのは無理でした。でもこの金堂も国宝です。796年に創建されたと伝えられていますが、その後焼失し、1603年に再建されたのが今の姿です。
 それにしても日本の神社仏閣は描くのが難しい。

2013年10月11日金曜日

2013国際シェーグレン症候群患者会

 平成25年の国際シェーグレン症候群患者会が、10月10日、京都大学医学部芝欄会館山内ホールにて開催された。この患者会そのもののほか患者同士の交流の中で、色々と考えさせられることが多々あったが、ここではなるべく私情をはさまずに要点だけを記しておきたい。
 フランスからは、国際的協力あるいは協同の観点から、国際的ネットワークの話がなされた。
 アメリカからは、米国の患者団体の目指している方向について説明があった。それによると、米財団では、シェーグレン症候群の認知度を高めるための活動、発病から診断がつくまでの期間を短くするための活動、教育、研究の推進(財政的支援を含む)に力を注いでいるそうだ。また、患者自身も行動すべきだとし、医師に理解してもらう努力や企業への働きかけ、ガイドラインの作成などを例として挙げていた。そして、4つの薬が治験中である旨、説明があった。
 日本からは、NPO法人化、シェーグレン症候群白書の刊行について説明があり、今後5年以内に、一部の活動性の高いシェーグレン症候群に対する有効な治療法が出てくるのではないかとの見通しが示された。
 これら各国の状況報告に加えて、慶應義塾大学医学部の坪田先生による「ドライアイの最新治療」と題する特別講演があった。これについては、箇条書きで概要を記したい。
・ドライアイの人には視機能の低下が起こる。普通に測定すると1.2の視力があったとしても、1分間測り続けると視力が安定せず、瞬間的に0.2の視力しか出ていないということが起こりうる。こうして測定された視力のことを、実用視力と呼ぶ。
・実用視力の改善には、環境改善、眼の治療、全身治療の3つの方法が有効である(私の記憶違いかもしれない)。
・環境改善としては、眼の周りの湿度を高める専用の眼鏡が開発されている。また、ドライアイの患者はパソコンやLED電球の発するブルーライトに弱いが、これを軽減する眼鏡も開発されている。
・眼の治療としては、TFOT(層別治療)がある。ジクアス点眼薬により、実用視力が上がる(シェーグレン症候群には、ムコスタよりもジクアスの方が合っているらしい)。また、歯と同じように眼も洗うべきでは、との話もあった。
・全身治療としては、栄養バランスを考えたカロリー制限、運動、ご機嫌に生きる、の3つを挙げていた。これに関しては色々と面白い話があったが、詳細についてはこの患者会の内容がUstreamでもアップされているようなので、そちらを観ていただきたい。また、私は読んでいないが、坪田先生は『長寿遺伝子を鍛える』という本を出しており、そちらの内容ともかぶっていると思われる。
 今回の患者会では、この最後の特別講演が面白かった。ただし上で書いたことは、私の理解不足、記憶違いによる間違いも含まれているかもしれない。その辺はお許しいただきたい。

2013年10月6日日曜日

『数学的推論が世界を変える』小島 寛之

 NHK出版新書。副題『金融・ゲーム・コンピューター』。
 副題にある金融、ゲーム、コンピューターの3つを貫くツール、それが「数学的推論」なのだと著者はいう。「数学的推論」とはつまりは数理論理のことで、「かつ」「または」「でない」「ならば」などで組み立てられた記号論理のことである。多くの金融取引はコンピューターによって自動化されており、ゲーム理論を使って数学的推論のもとになされる。本書は数学的推論を通じて、現代の金融社会を読み解く視座が得られることを企図して書かれている。
 ロトくじやルーレットなどのギャンブルで確実に儲けるためにギャンブラーがとった方法、金融クラッシュの原因、かの投資家ジョージ・ソロスの稼ぎ方、チェス王者とコンピューターとの戦いなど、興味深い話で読者を引きつけ、それらの話の合間合間に数理論理の解説をしつつ、数学的推論の面白さや重要性を説いている。
 でも、この数理論理の解説は読者にとってかなり手強いと感じる。数学や経済を専門に学んできていない私にとっては、ゲーデルの不完全性定理の証明についていくのは結構きつい。本書にはこのような定理についての証明がいくつも載っている。さらに数理論理の発展の歴史をなぞる感じで、多くの数学者等の名前や定理が出てくる。これは本書の目的にとって必要な項目なのか、少し疑問を感じる。読者を引きつける導入的なトピックと数理論理の解説の間には大きなギャップがあるように思うのだ。数理論理のツールの解説に多くのページを割いた結果、実際の金融への数学的推論の適用については、ちょっとばかり端折らざるを得なかったのではないか。そもそも内容的にものすごくてんこ盛りな感じなので、新書形式ではなく、もう少し違う体裁を採ったほうがよかったのではないかと思う。
 本書はこれだけで完結しているというよりは、数学的推論というのはこんなにおもしろいんだよ、と示すことで、数理論理の世界へと誘(いざな)う足がかり的な本なのだと思う。ただ私はその世界に足を踏み入れる勇気がない。そこはあまりにも難解な世界だという印象を、本書を読んで持ってしまったので。

『Close-Up Vol 2, People & Places』Suzanne Vega

 2010年。
 1985年のデビュー以来25年を迎えて、スザンヌ・ヴェガがこれまでの作品をもう一度見直そうとして企画した「Close-Up」シリーズの4枚のアルバムのうちの第2弾。基本はアコースティックな感じで演奏し直しているが、Vo. 1に比べると弾き語りっぽいのは少ない。
 有名どころでいえば、児童虐待を扱った『Luka』、何気ない日常を綴った『Tom's Diner』が入っている。 『Luka』はギター1本で歌っているが、ちょっと物足りない気がした。たぶん原曲のイメージが強すぎるせいなのだろう。悪くはない。淡々としているところが逆に怖いともいえる。『Tom's Diner』もベースが加わってちょっと切迫感がある。都会の暮らしは彼女の目からするとよくなっていないということか(たぶん私の考えすぎ)。
 気のせいか、ギターの音が前面に出た曲が好きだ。『NY Is a Woman』、『In Liverpool』、『The Queen & the Soldier』。歌い手としては、本当は歌詞も聴いてほしいのだと思う。でも私は音楽をBGMとしてかけていることが多く、邦人歌手のものでさえ歌詞を聴かない。聴こうとしても意味が頭に入ってこない。歌詞カードを見ても意味がわからないことが多い。まるで万葉集に収録されている歌を読んでいるように。そうやって考えてみると、スザンヌ・ヴェガの歌詞はわりと耳に入ってくる方なのだと感じる。ちょっと歌詞カードで確認してみたいような感覚に駆られる。聞き流せないというか。
 ビートルズの曲?と一瞬疑ってしまう曲があった。新曲の『The Man Who Played God』である。なかなかいい曲ではある。

2013年10月4日金曜日

『伝統工芸ってなに?』日本工芸会東日本支部 編

 芸艸堂(うんそうどう)。副題『見る・知る・楽しむガイドブック』。
 小学校高学年から大人までを対象としたガイドブック。豊富な写真、図版を使って、伝統工芸に携わる人が集まる日本工芸会の7分野を紹介、解説している。この7分野とは、陶芸、染織、漆芸(しつげい)、金工(きんこう)、木竹工(もくちくこう)、人形、諸工芸のことである。それぞれの分野にはどんな作品があるのか。そしてそれらをどうやって作るのか、ということを簡潔に説明している。少しわからなかったところもあったけれど、全般的にとてもわかりやすい。
 例えばどんな作品が載っているかを漆芸から抜き出してみると次のような感じだ。蒔絵(まきえ)、螺鈿(らでん)、沈金(ちんきん)、蒟醤(きんま)、彫漆(ちょうしつ)、平文(ひょうもん)、漆絵(うるしえ)、卵殻、鎌倉彫。もちろん全部の伝統工芸を扱っているわけではないけれど(例えば木竹工に寄木細工が載っていない、とか)、じゅうぶん広範囲をカバーしている。
 すごくいい本だと思う。見ているだけで楽しい。