2013年4月28日日曜日

『森彦』

 外気温が10℃にも満たないあいにくの小雨まじりの悪天候のなか、古民家を改造した『森彦』は、円山公園にほど近い寂しげな住宅街の中でひっそりと佇んでいた。そんな外観とは裏腹に店内は意外に混んでいて、ひっきりなしに訪れる客も、席が空くのを待つ人もいれば、あきらめて帰っていく人もいたりする。運よく座れた私も、狭いながらもすてきな空間の広がる2階ではなく、1階の壁に面したカウンターに通された。そんな少し残念な気持ちで席に着いたにもかかわらず、思いの外そこにはいろいろな小さなサプライズが待っていて、楽しい時間を過ごせたりもした。テーブルが古い足踏みミシンでできていたり、インコらしき鳥のブックエンドの横には歴史の感じさせるコーヒー関連の本が並んでいたり。
 しっとりとしながらもふっくらとした甘み少なめのガトー・フロマージュに、それによく合うちょっと濃いめのコーヒーを楽しみながらも、すぐ後ろに座っていた賑やかな客に辟易し、早めの退散。

森彦』札幌市中央区南2条西26丁目2-18(地図

2013年4月21日日曜日

『Art Pepper meets The Rhythm Section』Art Pepper

 1957年(1988年、デジタル・リマスタリング版)。アート・ペッパー(alto saxophone)。レッド・ガーランド(Red Garland, piano)、ポール・チェンバース(Paul Chambers, base)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(Philly Joe Jones, drums)。
 アート・ペッパーが、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)のクインテットのリズム・セクションを借りて行った録音。タイトルそのままです。ときに軽快に、ときにしっとりとアルト・サックスの音色を聴かせてくれる。『You'd Be So Nice To Come Home To』では、やわらかくやさしい音色がまるでテナー・サックスのようだと思ったりなんかする。『Red Pepper Blues』は題名からして洒落っ気たっぷり。『Tin Tin Deo』、『Birks Works』も、なんかいいです。
 ただ、私の中ではどうしてもBGMのような感じになってしまうアルバム。ちょっとさらっとしてるんですね。おいしいコーヒーを飲みながらの読書にいいです。

2013年4月14日日曜日

『トニーニョ・オルタ』トニーニョ・オルタ

 2003年。でも元々のアルバムは1980年で、トニーニョ・オルタにとってはセカンドアルバムにあたる。これは日本版。『Toninho Horta』Toninho Horta。
 トニーニョ・オルタという名前は何度も聞いたことがあるし、彼のことをリスペクトしているアーティストが多いことも知っていた。でも彼の音楽のことは何ひとつ知らなかった。このアルバムが初めて買った彼のCDである。聴いてみてびっくりした。聞いたことのある曲ばっかりじゃないか。これらのブラジル音楽をつくっていたのがトニーニョ・オルタだったのか。ギタリストでありシンガーソングライター、よいアレンジャーでもある。ヴォーカル曲もあればインストの曲もある。パット・メセニー(Pat Metheny)が参加していたりもする(もちろんギターで)。
 どれもこれもいい曲で好きだけれど、特に気に入ったのを挙げるとすれば、サンバの『アキ・オー!(Aqui, Oh!)』、インストの『ヴォオ・ドス・ウヴルース(ウヴルーの飛翔)(Vôo Dos Uburus)』、パットのギターが冴える『カーゾ・アンチーゴ(古いつきあい)(Caso Antigo)』、落ち着いた感じの『ボンス・アミーゴス(いい友人)(Bons Amigos)』、このアルバム唯一のソロ弾き語り『ヴェント(風)(Vento)』、最後を飾る『マノエル・オ・アウダス(大胆なマノエル)(Manoel, O Audaz)』でしょうか。お薦めのアルバムです。

2013年4月13日土曜日

『自己評価メソッド』クリストフ・アンドレ

 紀伊國屋書店。Christophe André。高野優 訳。副題「自分とうまくつきあうための心理学」。
 本書は自己評価をよくすることを目的に書かれている。正しい自己評価だとか間違った自己評価だとかそんなことは書いていない。ただ、自己評価をよくして「今までどおりの自分でいて、少し生きやすくなる」にはどうすればいいのかを教えてくれる。よい自己評価とは何か。「高くて安定した自己評価」だと著者はいう。逆に悪い自己評価とは、「低い自己評価」あるいは「高くてもろい自己評価」である。このような悪い自己評価を持つと、自分はだめなヤツなんだと落ち込んだり、他人の欠点をあげつらって優越感に浸ってみたり、他人に攻撃的になったりする。
 成功体験が多かったり、人との関係がよいと、自己評価は高くなる。著者によると、特に後者が自己評価に与える影響が大きいという。人との関係がよくなるためには、自分との関係をよくしなければならない。それには等身大の自分を受け入れることが大事になってくる。「自分の親友になる」、つまりは「親友に対するように自分に接する」との言葉は示唆に富む。
 よい自己評価を持てないとどうなるか。そうならないためにはどうすればよいか。その実践法について丁寧に解説している。すべてを行うことは無理かもしれない。でもそのうちのひとつならできるかもしれない。そうしてひとつひとつの実践をこなしていけば、時間はかかるかもしれないけれど、よい自己評価を持つことができるようになる。そうすれば少し生きやすくなる。それはとりもなおさずちょっと幸せになれるということなのだ。つまりこの本は、幸せ指南の本だったりもする。

2013年4月6日土曜日

『The Christmas Song』高橋ピエール

 2012年。
 こんな季節にクリスマスソング。というのも私のCD置き場には聴いてないCDが常に10枚くらいあって、封を切るのは購入してしばらく経ってから、というのが日常化しているから。これは昨年のクリスマス用に販売していたもの。もう販売は終了している。ピエールレコードに痕跡が残っている。
 メル・トーメ(Mel Tormé)の『The Christmas Song』をカヴァーして、ギター用にアレンジしたものだ。25分弱もの長さがある。『虹の彼方に』と、『The Christmas Song』の一部を組み合わせた1、2分の短いモチーフが延々と繰り返される。ギターの音色だけの静かなクリスマス。
 ただ、このモチーフは結構強烈に耳に残る旋律なので、ここまで繰り返されると正直飽きてくる。もう少し違ったアプローチをした方がよかったのでは、と少し思う。ちょっと残念。

2013年4月1日月曜日