2013年3月28日木曜日

『Country Blues Guitar Festival』Stefan Grossman

 2012年。ステファン・グロスマン。2012年とはいっても、実際には1977年の録音。1977年リリースの『Country Blues Guitar Festival』と1978年リリースの『How To Play Blues Guitar, Vol. 2』を合わせたお得なアルバム。
 ステファンのアルバムだけれど、彼はメインギターを担当しているだけで、ヴォーカルはジョ・アン・ケリー(Jo Ann Kelly)、マイク・クーパー(Mike Cooper)、サム・ミッチェル(Sam Mitchell)の3人が入れ替わりで担当している。バックがツインギターの曲も多く、そのときの相手役は主にサムがついている。収録曲はミシシッピ・ジョン・ハート(Mississippi John Hurt)やスキップ・ジェイムス(Skip James)などの戦前のカントリー・ブルースの曲ばかり。どの曲もいい曲で、聴き応えがある。ステファンはメインギターを担当しているだけなどと書いたが、ギターは脇役なんかじゃなくて、ヴォーカルとともに堂々と主役を張っている。3人のゲストの中ではジョ・アン・ケリーのちょっと鼻に抜けた感じのある張りのある声が好きだ。この人だけ女性ですね。『Special Rider Blues』、『Man of My Own』、『Wake Up Mama』、『Pallet on Your Floor』なんかが特にいい。マイクの歌では『Hollerin' for My Crow Jane』、サム・ミッチェルの歌では『Rainy Day Blues』がよかった。ステファンとサムのツインギター・インストである『Ragtime Mama Blues』もいい。
 このアルバム、結構好きです。CDをパソコンで開くと、全曲のPDFのTAB譜(ギター用の譜面)が入っているのも、かなりお得感がある。

2013年3月26日火曜日

『カラー&ライト』ジェームス・ガーニー

 ボーンデジタル。『Color & Light』James Gurney。副題『リアリズムのための色彩と光の描き方』。
 色と光。絵を描く上でとても大事なふたつの要素。今までこれらについて何にもわかっていなかったんだな、私の絵って全然だめだったんだ。そう思い知らされた一冊。まさにこの本を読んで、目に映る世界が変わった。固有色があって、光の当たっている方が明るくて、光の当たってないところは暗くて。世界にあふれる色と光とはそんな単純なものではなくて、もっとバラエティに富んでいて豊かだった。これらについてまったく学んでこなかったというわけではない。でもこんなにすーっと頭の中に入ってきたことはなかった。イラストレーターである著者や他の過去の巨匠達の図版がほぼすべてのページに配置されていて、その豊富な図版ひとつひとつに著者の解説が添えられている。見開きでひとつの話題を扱っていて、見やすい。掲載されている作品や手法は主に油絵ではあるけれど、水彩で描く人にだってデジタルで描く人にだっていいと思う。私自身、今は油絵を描かない。
 晴れた日に建物が地面に投げかける影と、その建物のパラペットの下側の陰とは、まったく違った性質のものだ、なんてことがわかりきっている人には必要ない本なのかもしれない。でも私みたいな素人にはそんな解説がとても役に立つ。すごくいい本を手に入れたと思う。

2013年3月23日土曜日

『ソクラテスと朝食を』ロバート・ロウランド・スミス

 講談社。鈴木晶 訳。原題『Breakfast with Socrates』Robert Rowland Smith。副題『日常生活を哲学する』。
 目覚める、身支度をする、通勤する、仕事をする、サボる、スポーツジムに行く、テレビを見る・・・。そんな日常生活について、錚錚たる哲学者、作家などを引き合いに出しながら哲学してしまう。なんだか難しそう、と思うかもしれないが、やさしい言葉遣いでさらりと書いてあるので、ただのエッセイを読んでいる感じだ。副題と矛盾しているようではあるが、とても哲学してるようには感じない。ここが少し微妙なところだ。本当にたくさんの哲学者の言葉が出てくるのだが、それらの哲学者の思想が前面に出てきているかといえばそうでもなく、どちらかといえば著者の思考の流れにほんのちょっとの色を差しているにすぎないという印象を受ける。こういう本を読むと、取り上げられている人物の関連書を読みたくなる、というのが私のいつものパターンなのだが、この本ではそういう流れには進まなかった。帯には「『ソフィーの世界』の再来を予感させる」などと書いてあるが、それは大袈裟だと思う。私はそんなに引き込まれなかった。
 ところどころ意味のわからない文が出てくる。思想が難解だという面もあるかもしれないが、著者の背景にある文化が私のなじんでいる文化的背景と違うせいじゃないか、という気がした。
 哲学書というよりはエッセイです。

『ケニア・カイナムイファクトリー2013』徳光珈琲

 フレンチローストで仕上げている。きりっとしたさわやかな苦味が舌を刺激し、少し甘みのある豊かな香りが鼻腔を抜ける。後味もすっきりとしており、ミントを口にしたときのような爽快さがずっと残る。これはおいしい。徳光珈琲では何度かケニアを購入しており、2度記事にもしているが(記事1記事2)、今回のものが一番おいしいと思う。なんか贅沢な気分。

徳光珈琲

2013年3月17日日曜日

『童唄』平安隆&ボブ・ブロッズマン

 1999年。『Warabi Uta』Takashi Hirayasu & Bob Brozman。
 沖縄の童唄(民謡)を二人が換骨奪胎してつくりあげたアルバム。竹富島で録音したらしい。平安隆の歌と三線、ボブ・ブロッズマンのギター。三線を使っているとはいえ、沖縄音楽のようには聞こえない。ときに激しく、ときにお茶目なギターがこのアルバムの雰囲気を決めている。私は沖縄のゆるくてのんびりとした温かみのある空気感が好きなのだが、このアルバムにはそれがない。いや、正確にはボブの弾くハワイアンのようなスライドギターは十分ゆるい。でもこれは沖縄ではない。新しい音楽といってもいいのかもしれない。チャンプルーしたというか。
 好きなのは『ちんぬくじゅうしい』、『ウーマクカマデー』くらいかな。同じ平安隆とギターの組み合わせなら、吉川忠英と組んだ『音遊(うとあし)び』の方がずっと好き。このアルバムはちょっとやり過ぎな気がする。

『Tigerlily』Natalie Merchant

 1995年。ナタリー・マーチャント。彼女が10,000 Maniacsを脱退して初めてつくったソロアルバム。
 彼女のことを初めて知ったのは、2010年のアルバム『Leave Your Sleep』私の記事)だった。幅広い音楽性がありながらも、抑制の利いた統一感のある素敵なアルバムだ。それがとても気に入ったので、初期の頃の彼女の音楽も聴きたくて購入してみた。当初ちょっと物足りない感じはしたものの、聴き込んでみるとやはりいい。フォークロック的な曲でまとまっていて、肩肘の張らない自然な歌声に癒やされる。売れた曲は『Wonder』や『Carnival』らしいのだが、私はそれらよりも静かで落ち着いた曲が気に入った。たとえば『The Letter』とか『Cowboy Romance』のような感じの。その他には、彼女の作曲とかそういうのとは全然関係ないけれど、『Where I Go』のギターによるオブリガートがツボにはまった。
 『Leave Your Sleep』の抜群の安定感にはかなわないと思うけれど、悪くないと思う。

2013年3月13日水曜日

『The Voice -Stand Proud!-』小野"SHO"正利

 2011年。
 小野正利である。今はメタルバンドのGALNERYUSのボーカルとして活躍している。このアルバムは、洋楽のヘヴィメタル、ハードロックの曲をカヴァーしたものである。たぶん有名な曲ばかりを集めたものだと思われるが、映画『Top Gun』のサウンドトラックに入っていた『Mighty Wings』(Cheap Trick)しか知らなかった。ふだんこういう系統の音楽を聴くことがないのでしょうがない。でも気に入った曲は結構あった。『Tonight I'm Falling』(TNT)、『Never Surrender』(Lion)、『Angel Don't Cry』(Toto)、『Stranded』(Airplay)、『Fool For Your Loving』(Whitesnake)、『I Want Out』(Helloween)、『Lovedrive』(Scorpions)、『Open Arms』(Journey)など。挙げすぎですかね。
 思えば数年前、テレビで小野がLed Zeppelinの曲をカヴァーしていて、すごくいいと思った記憶がある。ポップスの小野しか知らない私がこのアルバムを購入したのは、こういう伏線があった。クリアでよく伸びるものすごく高音のヴォイス。こういうハイトーンヴォイスは意外にヘヴィメタにマッチする。
 このアルバムについての他の人のコメントを見ると、私はよくわからないのだが、 かなり原曲に近いものに仕上がっているらしい。歌もさることながら、バックのサポートもすごいのだと思う。ところどころ訛っているような気がしないでもないけれど。
 でも、これはいいです。「激しめのロック」入門としてもいい気がする。

2013年3月8日金曜日

『はらいそ』細野晴臣&イエロー・マジック・バンド

 2005年。でも元々は1978年のアルバムで、これはデジタル・リマスター盤。
 こんな音楽が1970年代にしてすでにあったことが大きな驚き。今でも全然色褪せていない。このアルバムは『トロピカル・ダンディー』、『泰安洋行』に続くトロピカル三部作の最後を飾るものだとされている。でも前2者のアルバムは聴いていない。いきなり『はらいそ』を聴いて驚いている。もう最初の曲である『東京ラッシュ』から引き込まれてしまった。亀の子の元素模型の間を蛇が這っているかのような立体感(感想がおかしくなっている)。掛け合いのおもしろさ。なんだかすごい。アルバム全体を通して絶対ふざけているだろ、という音楽なのに、そのふざけ方がまたかっこいい。『ジャパニーズ・ルンバ』の「コンバンワ バンワ」、『フジヤマ・ママ』の「フジヤマ・ママ」が頭から離れない。と言いつつ好きな曲は『東京ラッシュ』、『四面道歌』、『はらいそ』だったりするけれど。『はらいそ』の最後に入っている「この次はモアベターよ」という台詞が、その後のYMOの結成につながっているというのもおもしろい。
 細野晴臣はやっぱり違う、と思わせる1枚。

2013年3月3日日曜日

ごぼう茶

 頂き物のごぼう茶。手作りの品で、ごぼうをささがきにして乾かしてから、炒って仕上げたそうだ。今回は西村和(なぎ)さんのカップを合わせてみた。
 巷では20歳若返るなんて話も出ているので、これ以上若くなったらどうしよう、なんて軽口がつい出てくる。効果はこれ如何に。
 味はやわらかく、カフェインは入っていないんだろうな、という感じ。ごぼうの味や香りは意外としなくて、ただ木の根を炒ったものを煎じた印象。おいしいのかどうかというとちょっと微妙だが、別に悪くはない。以前どこかでこの味に似たお茶を飲んだような気がするのだが、どうしても思い出せない。もしかすると漢方の生薬を煎じて飲んでいたことがあるので、それかもしれない。いずれにせよ、数日後の見た目年齢が楽しみだ。

2013年3月2日土曜日

『西村和小品展』石の蔵ぎゃらりぃ はやし

 2013年2月28日~3月5日。にしむらなぎ。
 会場は、カフェが併設されている札幌駅北口にほど近い軟石造りの建物の一部を使ったお洒落なギャラリー。1階と2階があるのだが、今回は1階部分だけを使用したこぢんまりとした展覧会。
 彩度の低い落ち着いた雰囲気の作品が並ぶ。錫蒔陶漆のきらびやかなものも多少はあるけれど、メインは土の風合いを生かしたものがほとんど。花入れやカップなどオーソドックスな作品のほかに、新しい試みもある。写真(案内葉書です。作者の許可を得て掲載させていただきました)の土鍋がそのひとつで、筍文がいい味を出している。お香立てもあった。素焼きの蓮に似た水草の上に釉薬で怪しげに光るリアルな蛙。おたまじゃくしがお香を立てる土台になっている。この蛙いいなあ。細長い花入れにもくっついていた。取っ手が鳥の形をした蓋のある器もいい。一緒に展示されていた木工作家の村木昭彦氏のカトラリーは、「重い」陶器の中では軽く感じて、ちょっとバランスに欠ける気はした。
 狭い会場内で、一緒に来ていたお客さんと西村本人の3人で小一時間ほどおしゃべり。象嵌の方法や蓋付き容器の焼き方についての蘊蓄など、ふだんなかなか知ることのできない陶芸の裏話は楽しかった。

西村和のHP
『石の蔵ぎゃらりぃ はやし』 札幌市北区北8条西1丁目(地図