2013年2月27日水曜日

『Glow』Kaki King

 2012年。
 ざらついた感触。音が悪い気がするのは、このCDの前はずっとクラシックを聴いていたからか。久しぶりのインストアルバム。でもストリングスが入ったりドラムスが入ったりと、ギターソロではない。アルバムの最初の曲のストリングスは正直うるさくて、肌に合わない。ギターの音もよく聞こえない。嫌な予感。
 でもそれは杞憂だった。曲が進むにつれて徐々に落ち着きが出てくる。全体的に愁いに満ちた物憂い感じの曲が多いが、それは嫌いではない。アジアンチックな曲やどこかの民族音楽のような曲に交じるそんなローキーの曲、というか静かな曲、そんなのがいい。『Cargo Cult』、『Kelvinator, Kelvinator』、『Fences』、『No True Masterpiece Will Ever Be Complete』、『Holding the Severed Self』と続く流れはたまらない。派手さはないが、音の選び方とかが絶妙だと思う。一曲、好きではないのだがすごく気になる曲がある。それが『The Fire Eater』。一本の映画を観ているかのようなドラマ性がある。

2013年2月24日日曜日

『ABCのみほん』アイデア編集部編

 誠文堂新光社。副題『かたちで見分けるフォントガイド』。
 『もじのみほん: 仮名で見分けるフォントガイド』私の記事)の続編の、ラテン・アルファベット編。最初にちょこっと「欧文書体の基礎知識」が載っている以外は、ひたすらアルファベットが並んでいるだけの本。「Selif Modern」や「Script Flourish」といった種類別に、見開きに8~16のフォントの主要文字が並んでいる(大文字、小文字、数字、一部の約物)。文字組版の印象を知るための組見本は掲載されていない。数えていないが、結構な量のフォントが取り上げられている。
 似たようなフォントがすごくたくさんあるので、正直なところ雑誌とかで見かけたフォントをこの本を見ながら特定していくというのは難しいな、という印象を持った。たぶんそれは私がふだん欧文に囲まれた生活をしていないということが大きな原因なのだろうと思う。フォントの違いを見分けるときのツボというかコツというか、そういう解説もほんの少しは載っているのだが、もうちょっとページを割いてもらえればよかったなと思う。まあ、そういう目的であればもっと違う本を買えということなのかもしれないが。

2013年2月23日土曜日

『もじのみほん』アイデア編集部編

 誠文堂新光社。副題『仮名で見分けるフォントガイド』。
 ひらすら平仮名と片仮名が並んでいる本。
 前半は「50音順ひらがな・カタカナ見本」となっていて、見開きページにひとつの文字(「あ」とか「い」とか)が120種類のフォント別に並んでいる。たとえば右上角は「築地体三号細仮名」、左下角は「丸明オールド」というふうに。これが平仮名「あ」から「ん」まで、片仮名「ア」から「ン」まで続く。選ばれているフォントは、明朝とかゴシックなどの比較的標準的なものである。この前半部はボディを示す線が文字の周囲に描かれているのがいい(残念ながら後半部にはこの線がない)。
 後半は「スタイル別見本」となっていて、前半部で取り上げられなかったフォント200種類くらいが、「丸ゴシック」とか「装飾書体」とかのスタイル別に50音一続きで並べられている。つまり後半は、見開きでひとつのフォントの中の50音がすべて見られるようになっている(前半はひとつのフォントが200ページくらいに分かれているわけです)。
 こんな本のどこがおもしろいのか、といぶかしむ向きもあるかもしれない。でもおもしろいんです。帯には「仮名のかたちの一覧で知りたいフォントが分かる・探せる」と書いてあるけれど、そんな目的とは別の意味でおもしろい。ふだん何気なく読んでいる本や新聞の文字。みんな同じように見えるけれど、比べてみるとこんなに違う形をしているんだ、こんなに雰囲気が違うんだという発見。ああ、楽しい。
 ただものすごく残念なのが、拗音、濁音、促音などの文字や、句読点などの約物が掲載されていないこと。フォントを知る手がかりとしてはこんなものはなくてもいいのだけれど、個人的興味からは載せておいてほしかった。

2013年2月20日水曜日

『スペインの旅』朴 葵姫

 2012年。パク・キュヒ。スペインにゆかりのある曲を集めたクラシック・ギターのアルバム。
 高音がよく伸びる。クラシック・ギターってこんな音だったっけ、というちょっとした驚き。フランシスコ・タレガの『アルハンブラの思い出』ではダイナミックスのある感情豊かなトレモロを聴かせ、同じく『ラグリマ(涙)』ではやさしくなでるように旋律を奏でる。でも好きなのはイサーク・アルベニスの組曲「スペイン」からの『アストゥリアス(伝説曲)』、『カタルーニャ奇想曲』、そしてミゲル・リョベートの「13のカタロニア民謡」からの4曲。フェデリコ・モレノ・トローバの『ソナチネ』もいいかもしれない。ただ、この辺りになるともともとの曲が好きなのか、彼女の演奏が好きなのかはわからなくなってくる。おそらくこのふたつの理由が重なって「好き」なんだろうけど。
 とてもきれいにまとまっている。嫌みがない。それが当初物足りなくもあったけれど、聴き込んでみると、これって実はすごいことなのかもしれないと思うようになった。朴の演奏は初めて聴いたけれど、気に入りました。

2013年2月17日日曜日

『思いどおりに作曲ができる本』川村 ケン

 Rittor Music。
 この本を読むまで、作曲とはメロディを作ることだと思っていた。そうではないんですね。編曲も含めて作曲なんですね。この本でメロディをつくることについて書かれているのはせいぜい10数ページ。そのほかはコードやコード進行、アレンジ、そして演奏のことが書いてある。Q&A方式で、見開き2ページでひとつの話題を扱う。CDが2枚付いていて、音を聴きながら読み進められるのがいい。でもひとつのトラックに譜例がいくつもまとまって入っていたりするので、ちょっと扱いづらいかもしれない。私はPCのiTunesに入れて自動的についたトラックタイトルを見ながら聴いていた。
 最初はリンゴやミカンを使った音符の説明から始まっていて油断するが、この本は意外と手強い。ある程度コードの仕組みを知っていないと、ついていくのは大変だと思う。個々のコードの仕組みはわかるけどそれらの組み合わせ方がわからない、そんなレベルの人にいいんじゃないかと思う。この本を読んで曲を作れるようになる人は、もともと自力のある人だと思う。初心者がこれを読んだだけで曲を作れるようになるとは思わない。
 このように書くとこの本はだめな本だと思われるかもしれないが、そんなことはない。とても役に立つことがたくさん書いてある。ただ、作曲全般をこんな本1冊で扱うことはできるわけがない。たとえばストリングスについてはひとつのQ&Aだけしか載っていない。だから、これは作曲についての小ネタ集だと思ったらいいんじゃないかと思う。作曲についてのコラムを並べた本。そうやって読むと、結構おもしろい。上で書いたように、意外と手強いけれど。私は今後も参考にすると思う。

2013年2月16日土曜日

『脳には妙なクセがある』池谷 裕二

 扶桑社。
 「脳は妙に自分が好き」、「脳は妙に笑顔を作る」、「脳は妙に議論好き」など、26の脳の妙なクセを、豊富なデータ(研究)を引き合いに出しながら軽妙に語っていく。それぞれのクセには3~10程度の小ネタが含まれていて、話題は尽きないといった感じだ。やさしい語り口で、飽きさせない。人間の活動のほとんどが脳と関わり合っているんじゃないかとさえ思ってしまう。
 一見脳に関する話題を無造作に並べただけのようにも見える本書であるが、最後の方、特に22章の「脳は妙に不自由が心地よい」あたりからちょっとある方向に収斂していく印象を受ける。それは身体と脳の関係ともいったもので(11章でも取り上げられているが)、人間は脳だけが単独に働いているわけではない、ということがやんわりと、しかししっかりと主張されているように感じる。身体性は重要な観点なのだ。この後半部分には、自由意志はあるのかだとか、自己とは何かといった哲学的な話も出てきて、結構おもしろい。もともと科学は哲学から派生してきたものなのだろうけれど、その歴史のとおり、哲学的モチーフが科学に還元されていくというのを見るのは興味深い。
 脳を知ることは、人間や人生を肯定する、あるいは自分や他人の行動や考えに対して寛容になる、ということに通じるのではないか。そんなことを考えさせられた。

2013年2月11日月曜日

『TYPOGRAPHY 02』グラフィック社

 [タイポグラフィ]文字を楽しむデザインジャーナル。
 第1特集は「ロゴをつくろう!」。様々なロゴの例を挙げ、ロゴを作成する過程やつくる上でのポイントを取り上げている。和文と欧文の両方に対応している。ロゴだけじゃなく、フォント作成の参考にもなる。
 第2特集は「ココが知りたい タイポグラフィ Q&A」。タイポグラフィのトークイベント「Type Talks」でなされた質問と回答を中心に取り上げられている。既存のフォントを組んでロゴタイプをつくってもいいのかとか、習字やカリグラフィを習ったほうがいいのかという質問が参考になった。
 連載では、「欧文書体のつくりかた」と「もっと知りたいWebフォント」がおもしろかった。私は今はまだ自分のホームページを持っていないが、もし立ち上げることになったらWebフォントを活用したいと思っている。いったいいつになるんだか。

2013年2月10日日曜日

『Plantation』

 『プランテーション』。MORIHICO系列のカフェ。すごく大きな建物。写真はすでにその中だが、右手にあるドアを開けて店内に入る。でも大きさのわりに贅沢な造りで、そんなにたくさんの席があるわけでもない。1階部分はエントランス兼ショップと焙煎室、2階部分が客席といった感じだろうか。混んでいたのであまり店内をきょろきょろできる雰囲気でもなく、うろ覚えで申し訳ない。建物の内部全体にセンスの良さが漂っていて、居心地がよかった。今日はハーブティーをいただいたが、食事もできる。また来てみたい。

Plantation』札幌市白石区菊水8条2丁目1-32(地図

2013年2月9日土曜日

『ONE VOICE, ONE GUITAR』Saigenji

 2012年。
 タイトルのとおり、Saigenjiの弾くガットギターと彼の歌声だけからなるアルバム。デビューしてから10年が経つが、意外なことに弾き語りアルバムは初めてなのだそうだ。ブラジル音楽、ジャズスタンダードから選ばれた曲、セルフカヴァー、そしてギター・インストゥルメンタル。派手さはないけれど、落ち着いたギターの響きに暖色系の彼の独特の高音がかぶさり、いい味を出している。やや多いスキャットはちょっと苦手だけれど、それ以外のところは気に入っている。インストゥルメンタルが特にいいなと思う。ボッサ風の『月と砂』、スタンダードのような威厳さえある『Vals no. 1』、ジャック・マイヨールに捧げた『Deep see landscape』。歌ものではセルフカヴァーがいい。聴き慣れているせいもあるのかもしれないが、『la puerta』 に入っている『海のそばに』、『ACALANTO』 に入っている(そのままの)『acalanto』あたり。全体的に「海」を想起させる楽曲が多い気がする。

『俳句いきなり入門』千野 帽子

 NHK出版新書。
 刺激的にして挑発的である。ちょっと普通の俳句の本とは違う。
 俳句のおもしろさは句会にあるという。俳句の意味は作者が決めるのではない。鑑賞者が決めるのだ。自作を発表するために句会に出るのではなく、句会に出るために自作を作る。そして句会に出された句を評し合うことを楽しむ。俳句は言葉を使ったゲームだ。自己表現したい人は俳句を作るな。他の方法(文章を書いたり詩歌を作ったり)で自己表現をしろ。
 俳句の持つじじくさいイメージ、風流なイメージを覆す。でも本書は俳句論の本ではない。俳句の入門書だ。だから、上で述べたようなことを書いた上で、いけてる俳句を作るにはどうしたらいいのか、いけてない俳句はどんな俳句をいうのか、ということを、丁寧に、でも毒をもって教えてくれる。俳句は17音からなるといった基本的なことから、かっこいい俳句を作るための技術まで、俳句を作る入門的なところはきちっと押さえている。説明にキレがある(俳句には切れがあるけど)。俳句をこれから作りたい人はもちろんのこと、長いこと俳句をやっているのに伸び悩んでいる人まで、かなり目から鱗の話題が揃っていると思う。
 ただ、内容はすばらしいと思うのだが、なにぶん挑発的である。ポエムやポエマー(ポーイットと呼ばないところがまた意地が悪い)を馬鹿にしている。自分を表現したい人をこき下ろす。そのあたりに反感を覚える人はいると思うけれど、それらを我慢しさえすれば、一歩壁を乗り越えられる。そんな俳句入門書。

2013年2月8日金曜日

海辺の少女201302

 落書きです。

 ふだん描く絵は花や風景。もちろん実物や写真を見て描く。そうしないと絵を描けないと思っていたから。
 でもこれはほぼ想像の産物。冬の街のなかを歩いている小学校低学年の少女のイメージで描き始めて、途中何度も何度も気が変わって描き直していたらこんな絵になった。小学生ではないですね。背景も入れるつもりはなかったんだけど、水平線とか垂直線を適当に描いていたら海のイメージがわいてきたので海辺の風景にした。色も適当。構図も適当。小物も適当。すべてが雑です。絵をクリックして大きくした方がまともに見えるかな。
 描き終わってから思った。何でこんなにダサい服を着せてしまったんだろう(たぶん小学校低学年ならこんな服でいいと思ったからなんですが)。

2013年2月3日日曜日

『Pike Place Roast』Starbucks Coffee

 パイクプレイス・ロースト。
 ちょっとカカオの風味を感じさせる苦めのコーヒー。チョコレートがよく合う。すっきりとした感じじゃなくて、ちょっと濁りを感じる。グァテマラっぽい強さがある。ああ、スタバの味だ。そんな印象。冷めると余計にスタバっぽい感じがする。
 ここの店の豆を買ったのは初めてなのだが、豆を見て少し残念な気がした。ものすごく欠点豆が多い。もしかすると雑味が多いのはそのせいかもしれないとも思う。でも先日読んだあるネット上の記事では、最近は欠点豆の多少は気にしなくなってきている、とも書いてあった(出典は忘れました)。私は焙煎をするわけではないので、欠点豆の多寡が味にどう影響するのかは検証しようがない。ただ昔の良心的な自家焙煎の店ではハンドピッキングをきちんとやってましたよね。その印象があるから、袋を開けたときにぼろぼろの豆がたくさん入っているとやっぱり悲しい。

Starbucks Coffee

『Saint Agur』

 サンタギュール。フランス中央部に位置するオーベルヌ地方産のブルーチーズ。
 ブルーチーズというと独特の強い刺激をイメージするかもしれないが、このチーズは意外に食べやすい。形はしっかりしているものの、口に含むとクリーミーになって穏やかな香りが口の中に広がる。ブルーチーズに苦手意識を持っている人でも、もしかしたら食べられるかもしれない。おいしいです。

2013年2月2日土曜日

『Good Things Happen Over Coffee』Edwina Hayes

 2011年。邦題『コーヒー・タイム』エドウィナ・ヘイズ。
 ギターによる弾き語りを中心にしたフォーキーなアルバム。彼女自身、コーヒーが好きなのだそうだ。そしてマーティ・ムンメルト(Marty Mummert)の描いた絵に強く惹かれて、この絵に彼女の名前を入れてジャケットとしたそうだ。だからこのアルバム内の曲とコーヒーとは直接的には関係がないが、コーヒーを飲みながら曲を書いたという意味合いはあるらしい。
 それにしてもいい声だ。すごく好き。ビブラートの利いた清涼感のある声。それが優しいギターの音にとてもいい具合に絡んでいて、心が安らぐ。どこかでこの声を聞いたことがあるような気がするのだけれど、どうしても思い出せない。11曲のうちカヴァーが4曲入っているが、カヴァーか自作かに関係なく、どのメロディもいい。子供の頃によく聞かされていたアメリカン・フォークの香りが漂っていて、懐かしい雰囲気でいっぱいだ。