2012年11月27日火曜日

『Namring Upper FTGFOP1 2012-EX10』LUPICIA

 ナムリン・アッパー。
 インド・ダージリンのティースタにあるナムリン茶園の春摘み紅茶。茶園の中でも標高の高いところで採れたものを、特にナムリン・アッパーというらしい。茶葉がすごく青々としている。先日訪問客にこのお茶を出したら、緑茶なのかウーロン茶なのかと聞かれた。ダージリンのファーストフラッシュって、飲んだことのない人にしてみたら何のお茶かわからないほど独特なのかもしれない。でもこのナムリン・アッパーは、ダージリン・ファーストフラッシュの王道を行く味と香りだと思う。ちょっと酸味があるかな。紅茶専門店などで特に茶園を示さないで出てくるダージリン・ファーストフラッシュはこんな感じなのが多いと思います。
 ちょっと物足りないかな。もうちょっとひねりがほしい。記憶にある茶園の中では、ピュグリ、キャッスルトン、タルボ、ジュンパナ・アッパーはおいしかった。このお茶はこのお茶で十分おいしいのだけれど。

LUPICIA

『Here We Go Again』Willie Nelson & Wynton Marsalis Feat. Norah Jones

 2011年。ウィリー・ネルソンとウィントン・マルサリスとノラ・ジョーンズが2009年2月に行ったライブを収めたもの。ウィントンはトランペッターだけれど、何曲かボーカルでも参加している。レイ・チャールズに捧げたアルバムで、すべてレイの曲で構成されている。
 レイ・チャールズってジャズのイメージがあまりなかったんだけど、このアルバムはジャズっぽい。ウィントン・マルサリスのクインテットが主な演奏を担当しているせいかもしれない。トランペット(ウィントン)やギター(ウィリー?)などのソロにも結構な時間が当てられていて、歌だけに特化したアルバムではない。ウィリー・ネルソンは相変わらずの飄々とした感じで肩の力が抜けている。ノラ・ジョーンズはデビュー当時のような歌い方に似てるな、と思ったけれど、これは楽曲のせいかもしれない。
 好きなアルバム。参加している3人のアーティストがみんな好きだし、レイ・チャールズも好きだから当然かも。

2012年11月17日土曜日

『BOSS PIANO』YUJI OHNO TRIO with FRENDS

 2012年。ピアノ、ウッドベース、ドラムスのトリオに、ブラスやギターが入った構成。
 大野雄二といえば「ルパン三世」だが、このアルバムはジャズのスタンダードなどからなるカヴァー集(なのかなぁ?ジャズって、カヴァーという概念が個人的にはない。その辺どうでもいい)である。『You Are My Sunshine』のような有名どころから、レッド・ガーランド(Red Garland)の『Rojo』といったマニアックなものまで、大野のお気に入りの曲が並べられている。なかなかに絶妙なアレンジで耳を楽しませてくれる。でもピアノはそんなにうまいわけではないみたいで、ちょっともたつきを感じる。そこが人間らしくていいという人もいるのかもしれないけれど。
 ジルベール・ベコー(Gilbert Becaud)の『What Now, My Love?』、ジョアン・ドナート(João Donato)の『Amazonas』、そして古典的ブルース・ナンバーの『See See Rider』が好きですね。『Georgia On My Mind』もいいかもしれない。

2012年11月10日土曜日

『リ・サイクル』村治 佳織

 2012年。『Re-Cycle』。デビュー20周年、ビクターからデッカ(DECCA)に移籍して10周年に合わせた2枚組ベスト・アルバム。1枚がポップスや映画音楽を中心とした選曲で、もう1枚がクラシック音楽からの選曲となっている。ほとんどの曲は移籍後のアルバムからのものであるが、『早春賦』と『禁じられた遊び(ロマンス)』はCD初収録曲である。
 ベストアルバムだけあって、よい曲、あるいは有名な曲ばかりで占められている。2枚のCDがそれぞれ違うコンセプトで組まれているのもよい。 気分に合わせてCDを選ぶことができる。ただ、あまりにベタな選曲でちょっと息が詰まる感じもする。息抜きができないというか、充実しすぎているというか。
 1枚目では、『映画「ニュー・シネマ・パラダイス」より』から『悔いなき美女』、『愛はきらめきの中に』にかけての流れが好き。2枚目では、『大聖堂』からの3曲、『コンポステラ組曲』からの6曲、『コユンババ』からの4曲がいい。
 初回限定盤には、未発表の写真データを収録したCD-ROMと2013年のカレンダーがついてくるけれど、個人的には2枚のCDだけあれば十分だな、と思う。

2012年11月6日火曜日

『デジタル時代の著作権』野口 祐子

 ちくま新書。
 日本の著作権法は複雑怪奇で素人が読み解けるような生やさしいものではない、とはよくいわれる。著作権法ができた当時はそれほど難解なものではなかったらしい。それがどうして今のような形になってきたのかを、19世紀末に国際的な規準として定められたベルヌ条約を始まりとして、順を追って解説している。その上で、今の著作権法は時代にそぐわなくなってきたと述べ、現代、そして未来にふさわしい著作権のあり方について考察している。
 転機はデジタル機器の普及とインターネットの拡がりにあったという。それまで著作権法では想定していなかった事態が次々と起き、数々の裁判でも争われ、法律自体も例外規定を設けるなどの微修正を余儀なくされた。たとえばネット上のコンテンツを見るために一時的にパソコン内のメモリにデータを蓄積することが著作権法上の複製にあたる、というような議論まで出てきてしまったのだという。このように素人目には不条理なことがいろいろと起こるようになってしまった。ではなぜ微修正であって根本改正を行わないのか。それはハリウッドなどの権利団体によるロビー活動などの権利者側の抵抗ももちろんあるが、国際的な約束事であるベルヌ条約の改正が全会一致でなくては認められない、という足枷もあるらしい。加盟国は当然ベルヌ条約に沿った国内法を制定しなければならないのだ。
 著作権法はコンテンツの利用者の自由を守るというよりは、著作権の所有者を守ることに軸足を置いているという。何か作品をつくったら、その時点で著作権が自動的に発生するのがその典型だろう。特許のように申請主義ではなくて発生主義なのだ。
 著者は、それは今の時代にはバランスが悪いのではないか、と述べる。アメリカで科学技術の共有が始まっているように、利用者の自由を重んじた方向に向かうべきではないか、と(初音ミクの最近の流行はこの自由さがもたらすものなんだろうな、と思った)。そして、フェア・ユースとクリエイティブ・コモンズという二つの方向性を紹介する。フェア・ユース規定は一般例外規定とも呼ばれ、法のなかで細かい例外規定をいちいち設けるのではなく、それを一般的包括的に規定しようとするものであり、クリエイティブ・コモンズは著作者が自由に著作物の利用のルール(改変しなかったら自由に使っていいとか、著作者のクレジットを書いてくれたら自由に使っていいとか)を決めるものである。
 この本は著作権の現在を知るのにいい本である(ただし発行が2010年で、著作権法は今年(2012)も改正されたから、最新というわけではないのに注意。でも主張の主旨には影響しないと思う)。個人的にはクリエイティブ・コモンズについてかなり詳しく書いてあったのがうれしかった。著作権者の権利を緩める方向で考えている著者の主張には賛同したくない人もいるかもしれないが、本書に書かれている今の著作権法の持つ問題点の存在は認めざるを得ないだろう。その問題点を共有した上で、これからの著作権をどうしていったらいいのかについて、一緒に考えるべきなのかもしれない。現代を普通に生きていれば、著作権とは無縁ではいられないのだから。

2012年11月4日日曜日

『Bouquet of Blessings』川畑 トモアキ

 2010年。ソロギターアルバム。『想い出がいっぱい』と『Moon River』だけがカヴァーで、ほかの8曲はオリジナル。
 さわやかな曲が多く、メロディがきれい。メロディメーカーといっていいと思う。アレンジもきれい。
 ギターの音がキラキラしている。陽光に照らされた海面のように。でもこれは好みがあるかもしれない。ギターの音に関しては、私は苦手です。吉川忠英のような、もっと落ち着いた温かみのある音が好きだから。
 全体的にはいいと思う。曲が33分しか入っていないのはちょっと短いと思うけど。

2012年11月3日土曜日

『「ゼロリスク社会」の罠』佐藤 健太郎

 光文社新書。副題『「怖い」が判断を狂わせる』。
 「リスク」という言葉はやっかいだと思う。少なからぬ人が、「リスク」はあるかないかだと思っている。その食品に入っている添加物は絶対安全ですか?そう質問する人は、「リスク」がゼロになる場合があることを無意識にでも信じている。そしてこの場合、「リスク」のありなしだけを問題にしている。つまり「リスク」を定性的な概念としてとらえている。それに対して、添加物の量がここまでだったらこれくらい危険で、これ以上だったらこれくらい危険になりますよ、というのは、「リスク」を定量的な概念と考えたときの言い方である。日本語としては、どっちも間違った言い方だとはいえない。でも、「リスク」を定性的な見方でしかとらえられないと、事態を見誤る可能性がある。
 たとえばヒトは日常的に塩分を摂っているが、リスクがないというわけではない。リスクが「少ない」だけの話で。塩分の摂りすぎで病気になる人は多いし、それで死にいたる場合もある。要は摂取量の問題なのだ。食品添加物だってそれと同じ話で、摂りすぎれば病気になるし、ちょっとしか摂取しないのであれば、リスクは「少ない」。「リスク」という観点から見ると、塩分も食品添加物も同じ考え方ができる。いや、むしろ同じ考え方をすべきだ、というのが著者の主張である。
 この本は極めて科学的である。「リスク」は「定性的」なものとして扱うのではなくて、「定量的」なものとして扱うべきだ、という点で、一貫している。その上で、多くの人が定量的な判断を行えない理由を説明している。確証バイアスだったり正常性バイアスだったりアンカリング効果だったり。そして、合成保存料や着色料、農薬、トランス脂肪酸、メタミドホス、ホメオパシーといった過去に話題に上った事例を例に、「リスク」の問題を解説している。また、発癌性という考え方の意味するところや、放射性物質の問題についてもわかりやすく説明している。
 いい本だと思う。科学的だけれど、小難しい数式などは一切出てこないし、文章も平易だ。この本に書いてある程度の科学リテラシーはみんなに持っていてもらいたい。そうしたら、この世の中はもうちょっとうまくリスクと向き合えているんだろうと思う。でも現実には冷静なリスクコミュニケーションを取れずに怪しげなメディア情報に振り回される人は多い。そしてそういう人に、この本に書いてあるようなリスク概念を理解し納得してもらうことは、実際にはかなり難しいと私は思う。だって意外と世の中の人は(無自覚に)非科学的だし、さらに本書のリスクの話は理性のなせる業だけれど、人が安心を感じるのは理性じゃなくて感情の問題なのだから。

2012年11月1日木曜日

『ブラジル・セハード』横井珈琲

 Brazil Serrado。カルモ・デ・ミナス地区の農園。
 酸味も苦みも少なく、中性的な味。まろやかでやわらかい口当たり。カシューナッツのようなクセのない控えめな風味がある。飲みやすいけれど、ちょっと物足りないかも。おいしいコーヒーには違いないのだけれど。そういえばブラジルは久しぶり。昔はブラジルばっかり飲んでいたんだけどな。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図