2012年8月26日日曜日

『須賀敦子全集 第1巻』須賀 敦子

 河出文庫。
 かつてイタリアに渡り、カトリック左派と呼ばれるグループの拠点、あるいはサロン的存在だったミラノのコルシア・デイ・セルヴィ書店に出入りし、のちにそこで夫を得、夫亡きあとは日本に戻って活動するようになった、そんな著者による初期のエッセイが収められている。『ミラノ 霧の風景』『コルシア書店の仲間たち』『旅のあいまに』の3編である。しかし初期とはいえ、彼女が日本で文筆活動を行ったのは晩年の10年ほどであるから、若い頃のエッセイではない。
 初めて読んだ彼女の本は『コルシア書店の仲間たち』(私の記事)だった。書店に出入りするひとりひとりにスポットを当てて、やわらかく包み込むように、あたたかく、それでいながら確かな筆致で描く人物像に、強く引き込まれたのを覚えている。私が彼女の全集のはじめの一冊を手に取ったのは、そんな縁があったからである。本書のほかの2編も、ある特定の人物を起点にして話がふくらんでいくのは変わらない。生きるということは人とのかかわりなんだ、とあらためて認識させられる。それにしても彼女の描く人物はどれも生き生きとした魅力にあふれている。

『ディクサム・フルリーフ』LUPICIA

 Diksam, FTGFOP1。インドはアッサム地方北東部のディブルガー地区にある、ディクサム茶園のお茶。
 存在感のあるしっかりとした味ながら、まろやかでおいしい。長めの抽出でもあまり渋くならない。だから私は多めの茶葉で入れてしまう。好みの問題だが、濃いめの紅茶が好きだから。香りはほのかであまり主張はなく、上品な感じがする。アッサムはあまり好きなタイプのお茶ではなかったけれど、このディクサムはいい。

LUPICIA

2012年8月23日木曜日

『Upright & Locked Position』Don Ross

 2012年。ドン・ロス。
 ブルック・ミラー(Brooke Miller)とデュエットしている『Wall of Glass』以外はすべてソロギター曲。そういえばこの曲はどこかで聴いたことがあるな、と思ったら、2001年のアルバム『Huron Street』 に入っていた。
 「今度は少しおとなしい曲も聴いてみたい」と、前作『Breakfast for Dogs』 についての私の記事で書いた。そうしたら、今作ではそのとおりおとなしめの曲が多く入っていて、うれしかった。『Stop Driving, Start Playing』、『New Aaron』はきれいなバラードだし、最後を飾る『Silversmith』だってそうだ。『Voyageur』も『Cup of Pop』もややアップテンポながらさわやか。表題曲『The Upright and Locked Position』もドン・ロスらしい力強さは残しつつも、同じくさわやか路線をいっている。
 こうやって感想を書いてみると、もちろん彼らしい持ち味である力強く華やかな『Run, Don't Walk』のような曲もあるけれど、全体的にきれいにまとまった落ち着いたアルバムだと思う。私はこの夏ずっと聴き続けていたけれど、激しいのが好きな人には物足りないかもしれない。

Shop at Pooh Cornerで見てみる

2012年8月19日日曜日

キキョウ

 桔梗といえば、秋の七草のひとつとして知られる。万葉集の中で山上憶良が次のようにうたっている。

萩の花尾花葛花瞿麦の花女郎花また藤袴朝貌の花
(はぎのはな おばな くずはな なでしこのはな おみなえし また ふじばかま あさがおのはな)

 この中で「朝貌の花」が桔梗を指すといわれている。「尾花」はススキですね。
 そういえば平将門を裏切ったといわれる桔梗姫なんて人もいました。何ヶ月か前にテレビでやっていた「都市伝説の女」(長澤まさみ主演)で知ったのですが。
 赤いミズヒキの花と紫のキキョウの花の取り合わせが素敵だったので。

2012年8月18日土曜日

「サッポロクラシック」のロゴ

 サッポロビールから出している北海道限定生ビール、「サッポロクラシック」。私はアルコールがからきしだめなので、もちろん飲まない。でも関東に住む知人がこのビールのファンなので、たまに買ってあげたりする。
 先日飲み終えたばかりの缶をぼーっと眺めていたら、あることに気がついた。「CLASSIC」の文字の「L」と「A」の字間がものすごく詰められているのだ。「LA」2文字で、ふつうに「IA」と打ったときと同じくらいの幅しかない。つまり「L」の横棒が「A」に食い込んでいるわけだ。なのにきちんと「シアシック」じゃなくて「クラシック」と読めるし、字の収まりもよくて自然だ。
 ここまで大胆にやっても(やったほうが)いいんだ、と勉強になりました。

2012年8月12日日曜日

嘉瑞工房のマスキングテープ

 『タイポグラフィ 01』という雑誌の読者プレゼントでもらった。でもいまひとつ使い道が見つからなくてそのままになっている。
 嘉瑞工房は欧文組版を得意にしている活版印刷屋さんで、そこの金属活字を印刷したマスキングテープである。品があると思う。美篶堂(みすずどう)で扱っている(こちら)。
 最近はいろいろな柄のマスキングテープが店頭をにぎわしていて、デコレーションとかに使うようだ。これもたぶんそういう系統のテープなのだろう。でも私はマスキングテープを、絵具がはみ出ないようにするためにしか使ったことがない。うーん、壁にメモを貼り付けるためにでも利用しようか。

2012年8月11日土曜日

『トムドサボア』

 『トムドサヴォア』『Tomme de Savoie』。フランス、サヴォア地方産のチーズ。店によって、ハードタイプといってみたりセミハードタイプといってみたりするので、はっきりどっちなのかはわからない。でも少しもっちりとしたところがあるので、セミハードといわれた方がしっくりとくる。「トム」というのは、比較的小さめな円形の「山のチーズ」のことをいう。「トム」といえば、多くはサヴォア産の山のチーズのことを指すらしい。
 表面は3ミリほどの硬い灰色のカビの層で覆われている。もちろんここも食べられる。中はゴーダ(私の記事)にナッツの香りを加えたような味がする。コンテ(私の記事)っぽい感じもするが、コンテほどにはクセがない。食べやすい。

2012年8月8日水曜日

『The Absence』Melody Gardot

 2012年。『アブセンス』メロディ・ガルドー。前作『My One And Only Thrill』私の記事)以来3年ぶりの3rdアルバム。
 全体的に明るくなった。そしてバラエティに富む作風になった。世界中を巡っているような気になる。それはもちろん、彼女がこの期間に旅をしていたことと関係がある。南米やアフリカ、ポルトガルなどに立ち寄ったという。その影響はかなり濃い。これまでのような、どちらかといえば抑圧された暗いイメージはあまりない。軽快であったり、ときには力強かったり。音楽だけではなく、彼女自身が変わったのだろうと思う。それはライナーノーツにあるインタビューからも見てとれる。でも強いビブラートのかかったささやくような声は変わらない。その声の魅力はそのままに、曲調だけが変わった。音楽が広がった。以前の2作品ももちろん好きだが、次にどんな作品を出すのか、今から楽しみだ。

2012年8月4日土曜日

『マスキュラン』LUPICIA

 Masculin。
 男性向けのハーブティー?「男性の」とか「男らしい」という意味だから。ダイレクトメールで送られてこなかったら絶対に飲まなかった種類のお茶。でも意外に好きな味。ベースはルイボスティーで、シナモンとショウガが効いている。味はわからないけれど、マカパウダーと朝鮮人参も入っている。元気を出して、というメッセージを強く感じる。実際に疲れが取れたような気になるのは、シナモンとショウガの香りのせいだと思う。まさかマカと人参のせいではあるまい。いや、案外これらのせいかもしれないけれど。

LUPICIA

2012年8月3日金曜日

『コスタリカ・エルバス(2012)』横井珈琲

 Costa Rica Herbazu。
 2年前に記事にしている(私の記事)。でも印象が変わったので、また書くことにした。おそらくコーヒーは、同じ農園の豆であっても、年によって、ロットによって、煎り方によっても違う味になってしまうものなのだろう。もしかすると私の嗜好が変わったせいかもしれないし。だから今後は、以前採り上げた豆であっても再度アップするのをためらわないようにしよう。せめて区別するためにタイトルに西暦を入れておくにしても。
 話を戻すと、今年はこの豆がいやに口に合うのだ。浅煎りで酸味があるのは前と変わらない。でも、すっきりとしていてアプリコットを思わせるフルーティな味わいは、以前は感じなかった。ほどよい甘みのチョコレートを口にしたときのような感じすらある。そして何度淹れても味がぶれることなくしっかりとしている。2年前は淹れる技術が足りなかったというそれだけの理由なのか。違う気がする。このコーヒーは確かにおいしい。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2012年8月2日木曜日

『誰とでも心を通わせることができる7つの法則』DaiGo

 ワニブックス。表紙に、「DaiGoメンタリズム」「93%の確率であなたの人生は変わる!」と書いてある。
 著者は自分のことを「メンタリスト」と呼ぶ。そして、「メンタリズムは、科学、心理学、テクニックなどを用いて、霊能力や超能力と言われる超常現象を再現してみせるパフォーマンスの総称」(p4)だという。要はメンタルマジックのことなんだと思う。メンタルマジックといえば、むかしマックス・メイビン(Max Maven)のファンだった。彼もメンタリストだ。
 本書は、著者のマジック(こう呼ばれることは本意ではないのかもしれないが)のやり方の一端を見せてくれる。でも直接的にではない。人がついやってしまうこと、無意識にしていることを観察し、それを利用し、自分の狙った方向に向かわせる、そういったことを、ビジネスや日常生活の中でやってみてはどうだろう、と読者を誘う。だから、『誰とでも心を通わせることができる7つの法則』という題名と、本書の内容はかなりずれているように感じる。「心を通わせる」んじゃなくて、「心を操る」方法について書いてある。マジックという点からいくと、実にまっとうな話だ。でも「心を通わせ」たくてこの本をとった人には、いくばくかの反感を与えるかもしれない。私はマジックのからくりを知りたくて手にとったので、おもしろく読ませてもらったが。
 メンタリズムは私の考える「科学」の範疇にはないが、著者は「科学だ」と主張しているので、一応そういうラベルを貼っておこう。