2012年5月29日火曜日

『Little Broken Hearts』Norah Jones

 2012年。『リトル・ブロークン・ハーツ』ノラ・ジョーンズ。
 また変わった。こんなノラは聴いたことがない。前作『The Fall』(私の記事)のときもそう感じたが、今回もまただ。失恋ソングばかりである。歌詞だけではない。曲調や音作りが全然違う。初めて聴いたとき、どうしてこんなにチープな音作りにしたんだろうと思った。彼女の弾くギターも決してうまいとは言えない。ざらついた感触。ジャケットの持つ雰囲気そのままの音。
 けなしているのではない。ファンの評価はあまり高いものではないようだが、悪くないと思う。いつも新しい切り口で攻めてくる彼女はすごい。初期のころのノラの音を新たな音源で聴いてみたい気がするのもよくわかるのだが。

2012年5月26日土曜日

『アラビアンナイト』LUPICIA

 Arabian Nights。
 アラビアンナイトをイメージして、ザクロとジャスミンで香りづけした、と説明されている。でも原材料は、紅茶、ローズレッド、コーンフラワー、ブルーマロウ、香料。ん?
 結構おいしい。アラビアンナイトのイメージは確かにある。ルピシアのフレーバードティーにありがちな香りのきつさはなく、ほどよい芳香が鼻をくすぐる。口に含むと、少しスーッとした余韻がある。いいと思う。
 季節限定商品。

LUPICIA

2012年5月20日日曜日

『North Wind』山木 将平

 2011年。ソロギターアルバム。
 ギターうまいなあ、と思った。まあプロだから当たり前なんだけど、あんまりこういう風にしみじみと思うことってない。しっかりと音が出ていて安定してる。普通ジャッて弾くところをジャラッて弾くところなんかはちょっと気になるけど、それは本人もわざとそうやっているわけで、好みの問題。指弾きが主なところはそれも気にならず、結構好きです。押尾コータローの影響をかなり感じる。たまに押尾が弾いてるかのようなフレーズが出てくる。1曲目の「MIRACULOUS DAY!」からそういう雰囲気がある。タッピング系の「END OF EARTH」とか「バリの夜明け前」なんかはちょっとヘッジスっぽい気もする。でももともとはブルースがルーツらしい。「Sho's Blues」なんかまさにそういう曲。
 結構いいギタリストだと思う。発売・販売元がおもしろい。「サッポロシティジャズ実行委員会」と「株式会社FM北海道」。そういえば前にサッポロシティジャズに出てたし、 今年も出る予定だ。サッポロシティジャズについてはこちら

2012年5月19日土曜日

『60分でわかる! 図説 著作権』中川 勝吾

 ディスカヴァー携書。
 実際に絵を描いたり音楽を作っている人はもちろん、ブログやホームページ、ツイッターなどで情報発信している人、さらにはレンタルショップからDVDを借りて観るだけの人も知っておいたほうがよい権利、著作権。その全体像をコンパクトにわかりやすく解説している。何しろ2ページに1ページは図解である。著作権のごく基本的なところを押さえるにはよい入門書である。
 ただ、実際に著作権に関して具体的な疑問点の解決を求めている人にとっては、目的を達せられないかもしれない。そういう人は、著作権のどの部分が問題となりうるのかを本書から読み取って、もっと突っ込んだところまで書いてある著作権絡みの本を探してその部分を詳細に調べる、といった方法を採るとよいだろう。本書の最後には「著作権をもっと詳しく知りたい方のためのブックガイド」が掲載されているので、参考になる。
 私が知りたかったことは載っていなかったけれど、出版権の設定の話など知らなかったこともかなりたくさん書かれていて、読んでいて勉強になった。著作権のことでわからないことがあったら、まず本書をぱらっとめくってみることにしよう。この本が解決してくれるかどうかは、ものの数分でわかるのだから(本当にコンパクトなので)。そしてそれでもわからなければ本屋に駆け込めばいい。

2012年5月18日金曜日

『もういちど読む山川日本史』五味 文彦、鳥海 靖

 山川出版社。以前高校の教科書として使われていた『日本の歴史(改訂版)』を、一般読者向けに書き直したもの。
 私は高校時代歴史を選択しなかったので、改めて日本史を学ぶつもりで本書を手に取った。ある種の期待を込めて。
 なるほど確かに一般読者向けということもあり読みやすい。でもやっぱりこれは教科書なんですね。史実の列挙という印象は免れない。それぞれの出来事なり事件の裏にどういう事実(あるいは心の動き)が隠されていたのか、それはほとんど書かれていない。歴史の面白さはこういったストーリー性にあると思うのだけれど、それはサブノートとか資料集の方に書かれているもので、教科書の方には載ってこないということなのだろうか。そういえば高校時代に学んだ倫理、政治経済、地理の教科書も面白いものではなかった。
 ただ、知識の整理にはいいと思う。また、本書の中で興味をひかれた史実を他の本を読むことによって深める 、みたいな導入図書的な位置づけとしてもいいかもしれない。
 親切だな、と思うこともあった。歴史は変わるんですね。中学の時に習ったことと違うことが書いてあるわけです。そんなとき、昔はこう言われていたけれど、これこれこういう理由で今はこうなっている、というように説明してくれている。この点はいい。この本の記述は、現時点で信頼に足るものだという証拠だと思う。
 蛇足です。私は史実を覚えるつもりでかなりじっくりと読んでいったのだが、それができたのも明治維新まででした。そのあとはぐちゃぐちゃでややこしくて、ついていけなくなりました。

2012年5月16日水曜日

『TWO MEN with the BLUES』Willie Nelson, Wynton Marsalis

 2008年。2007年にニューヨークで行われたウィリー・ネルソンとウィントン・マルサリスのジョイントライブを収めたもの。
 ブルースとスタンダードの曲で成り立っていて、ジャズテイストなサウンドを聴くことができる。飄々としたウィリーの歌声の合間に、ウィントンのトランペットが要所要所に食い込んできて、二人の楽しそうな感じがよく伝わってくる。それにしてもトランペットって実に多彩な音を奏でるんですね。すごいと思った。音色の違いもさることながら、この旋律の上にその音を乗せるのか、という驚き。ウィリーの歌もいい。もともとのメロディにとらわれることなく自由に歌っていながら、しっくりと自然に聴かせる。
 二人の実力者によるコラボ。私は好きですね。

2012年5月12日土曜日

『ボリビア・オチョ・エストレジャス』横井珈琲

 Bolivia 8 Estrellas。「8つの星」という名前の農園らしい。
 キレや透明感はほとんど感じられない。なんとなく焦点のぼやけた感じだが、よくいえば口当たりが柔らかく温かみがある。カカオ成分の多いチョコレートを口にした後味に似ている。ドライチェリーを混ぜたダークチョコレートといえば、かなり近い気がする。
 すごくおいしく淹れられるときもあるのだが、どうしようもない味になることも多い。どうしてその時によって味がこんなにも違ってしまうのか、よくわからない。わかっていればいつもおいしく淹れられるのだが。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2012年5月11日金曜日

『ミロシュ・デビュー!~地中海の情熱』ミロシュ

 2012年。録音は2010年。Miloš Karadaglić(ミロシュ・カラダグリッチ)。もともとのタイトルは『Mediterráneo』。
 クラシックギターのアルバム。超が付くくらい有名な曲を集めている。デビュー作ということでそうした選曲になっているのだろう。「アストゥリアス(伝説)」(アルベニス)、「アルハンブラの思い出」(タレガ)、「セビーリャ」(アルベニス)、「ラグリマ(涙)」(タレガ)、「禁じられた遊び」(作者不明)等々といった感じ。
 CDショップの店先で力強く引き込まれるような演奏を耳にして、つい衝動買いしてしまった。かかっていたのは、確か「アストゥリアス(伝説)」だったと思う。石畳を革靴で歩いているかのような硬い音を奏でる。よい意味で男性的。海外でベストセラーになったのはわかるような気がする。「ラグリマ(涙)」や「禁じられた遊び」のようなギター初心者が弾くような曲をプロが弾いてくれるのは、実は嬉しい。どう解釈して弾けばよいのか、とても参考になる。また、付属DVDのドキュメンタリーも味があってよい。ただ、ちょっとクセのあるトレモロは個人的には苦手かな。といいつつ、そのトレモロが多用されている「コユンババ」(ドメニコーニ)にはなぜか心惹かれてしまったのだけれど。あと、「オリエンタル」(グラナドス)もいいな。

2012年5月3日木曜日

『DAW自宅マスタリング』江夏 正晃

 Rittor Music。副題「音圧&音質アップのための実践テクニック徹底解説」。
 運がよかったのかもしれない。ミックスとマスタリングの違いもわからずにこの本を手に取った。それでもついていけた。ミックスとマスタリングの違いもわかった。マスタリングを見越した上でのミックスについても、かなりのページを割いてくれている。マスタリングでどうしようもなくなったときはミックスに立ち戻る覚悟も必要だとも。
 自宅のパソコンで音楽を作る人のための本である。当たり前だが。本書では音楽の方向性を大きく4つに分けて、それぞれのミックス、マスタリングについて書いてある。歌もの系、インスト系、打ち込み系、生音系の4つである。音源が付属のDVDに収められており、マスタリング行程での音を実際に聞き比べることができる。もちろん自分のDAWソフトに読み込んで実際に操作してみて、体験することもできる。説明は主にCubaseによっているが、他のソフトでも大丈夫だと思う。ただ、私の持っているCubase Studioにはない機能が結構取り上げられていて、残念だった(例えば、multiband CompressorとかDeEsserとか)。
 コンプレッサーやリミッター、マキシマイザー、EQの扱い方などが全般的にわかるようになっているので、結構楽しめたし、役にも立った。CDの商品化についての話も興味深かった。私が何も知らない初心者だからかもしれないけど。

2012年5月2日水曜日

『うたびこ』青葉 市子

 2012年。
 クラシックギターと彼女の声だけのアルバム。声と声との間を埋めるように、あるいはギターとギターの音色の間を埋めるように、声とギターが空間を補い合って漂っている。さながらタンパク質の分子模型を眺めているよう。
 大貫妙子の「3びきのくま」をカヴァーしている。なるほどこの声は大貫の曲に合っている。おそらく青葉自身もそのことはよく認識しているように感じる。音の紡ぎ方が似ている。声や歌い方そのものは、大貫というよりはむしろ手嶌葵とかカーキ・キング(Kaki King)とかに近い印象を受けるけど。
 クラシックギターを始めてまだそれほど時間が経っていないとは思えないほど、表現力が豊か。このギターと歌の織りなす世界観は好きです。ただひとつ難をいえば、発音が聴き取りづらいことか。