2011年12月30日金曜日

『ヌカカの結婚』森川 幸人

 App Storeで売っている電子絵本。全13話あるうち、1話だけ読める無料版もある。
 ヒト以外の生物、特にムシたちがどのように子孫を残していっているのかを、擬人化されたキャラクターが演じている。不思議で、時に残酷なその世界。
 はまってしまった。これは解説を含めてこそおもしろさが湧く。だから解説を読めないような小さな子供向けの本ではない。でも解説を読まないなら読まないでも、なかなかシュールでおもしろいかも。

ヌカカの結婚

『Get Together -LIVE IN TOKYO-』矢野顕子×上原ひろみ

 2011年。二人で行ったコンサートを録音したアルバム。
 歌の力は強い。クセのある矢野の声や歌い回しは、どんな曲をも彼女の持ち歌にしてしまう。だからこのアルバムを聴いた初めのうちは、二人のアルバムではなく、矢野のアルバムなんだという印象を強く持った。しかし何度も繰り返し聴くうちに次第に上原の存在感も増し初め、今こうして聴いていると、やっぱり二人が揃ってこそできたアルバムだということが納得できる。それは上原の作詞作曲した6「月と太陽」や、上原の曲に矢野が詞をつけた3「CAPE COD CHIPS -LIVE IN TOKYO-」のような曲が紛れ込んでいるせいだけではない。多くの曲を上原が編曲し、二人のピアノの上に矢野の歌が乗っていることが大きいのであろう。これは個人的な印象だが、矢野のピアノは感傷的で引き算の美学に則っているところがあって、逆に上原のピアノは機械的かつ構成的で、足し算の美学ともいうべきものを持っているイメージがある。一見真逆に見える二人のピアノを上原の構成力がまとめ上げ、すばらしい伴奏を形作っている。いや、これは伴奏というべきではないのかもしれない。ピアノは歌と同等の地位を与えられ、躍動的に曲の主役に躍り出てきている。
 と大上段に振りかぶって勢いづいてしまったが、もしかしたら私が持っていた足し算と引き算の美学のイメージは間違っていたのかもしれない。例えば前出の6「月と太陽」は静かで落ち着いたアレンジだし、5「学べよ」は上原の編曲ではないが、5拍子と6拍子が交互に現れて独特のグルーヴを生み出しており、勝手に上原的だと思ってしまっていた。だとしてもこれは私が勝手に思っていた印象であり、今ここにあるこのアルバムの良さを減じることにはならないだろう。ピアノと歌のすばらしさは変わらない。
 8「ラーメンたべたい」は、マイルス・デイビス(Miles Davis)の「SO WHAT」のモチーフから始まる。そのモチーフをバックに「ラーメンたべたい・・・」と矢野の歌が被さってくるのだが、不思議と違和感がなく、ジャズテイストな「ラーメンたべたい」が繰り広げられる。私は泥臭さすら感じさせる矢野の原曲よりも、この上原編曲による「ラーメンたべたい」の方が好きである。このアルバムの初回限定盤のボーナスDVDにはこの曲が収められており、必見だ。ステージの上で向かい合ったピアノが奏でる息遣い、そして二人の感情までが映像に表れており、ライブ感が見事に伝わってくる。アルバムだけでなく、付録まで贅沢だ。

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2011年12月29日木曜日

『珈琲の楽しみ方BOOK』田口 護

 成美堂出版。副題「豆の選び方・挽き方、ブレンドの仕方がわかる」。
 文庫版の小さな本なのだが、全篇カラーで写真が多く、情報量もすごい。46ものコーヒー豆の種類が産地別に解説されていて、酸味と苦みのチャートにしてあったり、生豆の選び方から焙煎の仕方、抽出方法、ブレンド方法、アレンジコーヒーの作り方、コーヒーに合うケーキの紹介とレシピまで掲載されている。どの話題も無駄がなく適切で、コンパクトによくまとまっている。これだけの内容がこんなに小さな本に凝縮されているのが信じられない(手元にあるのに)。
 今までインスタントで済ませていたけれど、これからは豆からコーヒーを淹れてみようかな、という初心者に最適なのはもちろん、既にコーヒーに親しんでいる人にも薦めたい。コーヒーに関する情報の整理にとても役立つと思う。もっと掘り下げて知りたい人は他の本に当たるべきだろうけれど、コーヒー全般を概観するにはこの本で十分だと思う。

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2011年12月27日火曜日

『メロ・ハマヤ』可否茶館

 『Mero Hamaya』。
 可否茶館が、ドミニカのメロ・ハマヤ農園の濱谷氏に特別オーダーしたコーヒーらしい。だから可否茶館でしか手に入らない、とホームページでは謳っている。
 花のような香りと味が特徴的。この味は独特かもしれない。上品できれいな感じがする。でもちょっと苦みが余計かな。苦み成分だけが妙に立っているのも確か。もう少しやわらかい苦みだったら、かなり好きなコーヒーだったと思う。

可否茶館HP

2011年12月25日日曜日

『IRONY』Sungha Jung

 2011年。アイロニー。チョン・スンハ。ソロギターアルバム。
 昨年13歳(録音時)でアルバム『Perfect Blue』(私の記事)を世に出して衝撃のデビューを果たしたけれど、もう既にプロの域に達している。
 前作ではほとんどの曲がカヴァー作品だったが、今回は14曲中7曲がオリジナルである。そしてこのオリジナル作品が実にいい。どこか押尾コータローを思わせるさわやかな4「Fly Like the Wind」の他、1「For You」、9「Songbird」、11「Tree in the Water」などは、きれいなメロディが光る。スウィンギンな10「Farewell」、いかにもニューエイジ系のサウンドを披露してくれる5「Waterfall」もすごくいい。カヴァーでは、Yoon Gunの3「Been Already a Year」、ABBAの8「The Winner Takes It All」、Michael Jacksonの12「Beat It」、2NE1の14「Lonely」が良かったですね。
 ギターの音がすごくきれい。将来に期待の持てるアーティストです。

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2011年12月23日金曜日

『RISHEEHAT SFTGFOP1 MUSCATEL 2011-DJ138』LUPICIA

 リシーハット・マスカテル。
 リシーハットは、ダージリン・イーストにある茶園の名前。このお茶は夏摘み紅茶、つまりセカンドフラッシュである。ダージリンはよくマスカテルフレーバーと形容されるが、この香りはセカンドフラッシュに著しいといわれる。だから「リシーハット・マスカテル」なのであろう。その名のとおりの豊潤な香りは贅沢な時間を演出してくれる。味もしっかりとしており、高級感がある。良質な抹茶のような雰囲気もある。でも残念なことに、「タルボ」(私の記事)や「キャッスルトン」(私の記事)を飲んだときのような感動はない。悪くはないとは思うんだけど。

LUPICIA

2011年12月19日月曜日

『35 ISLAND BLEND』35 COFFEE

 実は読み方がわからない。パッケージには「Three Five COFFEE」と書かれているから、たぶんそう読ませたいのかもしれないが、つい「サンゴコーヒー」と読んでしまう。しかも「35 COFFEE」という店名ではないかもしれない。少なくとも沖縄本島南部の八重瀬町にある「SOOEIDO(株)」という会社で出しているコーヒーであることだけは確かなのだが。
 35コーヒーは「サンゴ焙煎」をしているという。風化したサンゴを200度まで温めてコーヒー豆をじっくりと焙煎しているそうだ。そういわれるとサンゴっぽい味だと感じてしまうところが、感化されやすい人間の一面を映し出しているようで、少し悲しい。話が逸れた。
 挽き方は中細挽きとなっているが、一般的には荒挽きの部類なんだと思う。ふだん一人分を淹れるときの豆の量でコーヒーを落とすと、超アメリカンな濃さになる。だからこの豆を使うときはふだんの1.5倍強の量で淹れる。それでもいつも私の淹れるコーヒーよりもかなり薄い。味はすっきりとしていて、嫌みがない。飲みやすい。嫌いではないが、物足りない。ホテルの朝食バイキングで使われていそうな印象を持つ。無難な味といういい方もできるのだが。
 サンゴを救おう、というコンセプトを持つコーヒーなので、そういう面で興味のある人はホームページをどうぞ。

『SOOEIDO』のHP

2011年12月18日日曜日

『カンボゾーラ』

 Cambozola。ドイツ産のブルーチーズ。カマンベールとゴルゴンゾーラを合わせてつくった名前。そして名前のとおり、ねっとりとしてクリーミーな白カビタイプのチーズがやんわりと青カビを包み込んでいる感じ。だから白カビタイプと青カビタイプの中間といった位置づけのチーズです。青カビ特有の刺激が少なくて、とても食べやすい。ゴリゴリの青カビはちょっと敬遠するけれど、白カビじゃ物足りない、という人にぴったりだと思う。おいしい。

『Le Premier Clair De L'aube』Tété

 2010年。テテ。ボーナストラックの入った日本盤が『夜明けの最初の輝き ル・プルミエ・クレール・ドゥ・ローブ』という名前で売られているけれど、私が購入したのは輸入盤。彼はフランスのシンガーソングライター。以前記事にしたことがあるので参考に。
 1曲目の「L'envie Et le dédain」(妬みと蔑み)から私の心を捕らえる。大掴みにいうとロック寄りのフォークなのかな。ブルースやレゲエっぽいところもあるけれど。きれいな声というわけではないけれど、時折ファルセットの交じった独特の声には惹きつけられる。5「Les Temps Égarés」(失われた時)、6「Le Premier Clair De L'aube」(夜明けの最初の輝き)、10「Petite Chanson」もかなり好きですね。12「Bye Bye」ではノリをよくアルバムを締めてくれます。
 テテは曲と声だけじゃなく、ギターもいいんです。前奏がギターだけから始まる曲というのが結構あって、そのキャッチーな出だしはたまらない。
 好きなアルバムです。

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2011年12月10日土曜日

『Xiang Do』松栄堂

 『シァン ドゥ』。松栄堂のお香のシリーズ。2011/12/10時点で18種類ある。「アガーウッド(AGARWOOD)」(沈香(じんこう))や「サンダルウッド(SANDALWOOD)」(白檀(びゃくだん))のような伝統的な香りから、「ミックスベリー(MIXED BERRY)」や「フォレスト(FOREST)」のようなコンセプチュアルな香りまで取り揃えている。
 変な言い方かもしれないが、私はこのシリーズのお香を「硬い」香りだと感じる。コンクリートに囲まれた空間のイメージ。これに対して『リスン(Lisn)』(私の記事)のお香は柔らかい。また、このシリーズは、『エステバン(ESTEBAN)』(私の記事)のようなソバージュさはなく、上品で都会的な感じがする。そんなイメージの違いから、私は気分によって使い分けている。『リスン』が一番好きではあるのだが。
 『Xiang Do』のうちで私の好きな香りは、写真の三つである。左から、「マリン(MARINE)」「バイオレット(VIOLET)」「ペパーミント(PEPPERMINT)」。それぞれ、「潮騒にさそわれて」「可憐な優しさ」「クールなきらめき」というサブタイトルが付いている。

『松栄堂』のHP

2011年12月4日日曜日

『直立猿人』Charlie Mingus

 1956年。『Pethecanthropus Erectus』。チャーリー・ミンガス。でも「Charles Mingus」(チャールズ・ミンガス。チャールス・ミンガスと呼ぶ人もいる)が正しいのかな。ジャケットには「The Charlie Mingus Jazz Workshop」とも書いてある。ミンガスはベーシスト。だからなのか、気のせいかこのアルバムではベースの音が前面に出ているように感じる。ベースの上に音楽が鳴っている感じ。
 本作は全4曲のアルバムなのだが、前半2曲が印象深い。1「Pethecanthropus Erectus(直立猿人)」はまさに直立歩行を始めたばかりの人類の祖先が森の中を闊歩している感じ。アルト・サックスによる雄叫びが、まるでその場に居合わせているかのような臨場感を演出していて、すごい。2「A Foggy Day(霧深き日)」でも、サックスは光っている。霧笛か警笛かサイレンか、といった音が、メロディの合間にちりばめられていて、霧の中の街中の喧噪に自分も紛れ込んでしまったかのように感じる。この2曲のびっくり感に比べると、後半の2曲、3「Profile of Jackie」、4「Love Chant」はややおとなしい。でも私の感覚では、ジャズといえば後半のイメージであって、こっちの方が聴きやすい。ただやっぱりミンガスの力量が表れているのは前半2曲なんだと思う。後半は別にミンガスじゃなくてもよかったような気がする。言い過ぎ?ちなみに存在感のあるアルト・サックスはジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)。
 ところでこのチャールズ・ミンガス。私の行きつけのカフェ『MINGUS COFFEE』(私の記事)の名前の由来なんだと思います。店の人に聞いたわけではないけれど。

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2011年12月3日土曜日

『ルブローション』

 Reblochon。フランス、サヴォア地方産のセミハードタイプのチーズ。
 正直なところ、セミハードタイプだとは思えない味をしている。熟成の進んだ白カビタイプか、軽いウォッシュタイプか、といったところ。クリーミーで強いコクがある。辺りにはウォッシュの香りを振りまいている。ウォッシュだと思えば、食べやすくておいしい。でもゴーダのような味を予想して買ってしまった人は、後悔してしまうのかもしれない。それだけクセがある。私は結構好きですが。