2011年12月30日金曜日

『ヌカカの結婚』森川 幸人

 App Storeで売っている電子絵本。全13話あるうち、1話だけ読める無料版もある。
 ヒト以外の生物、特にムシたちがどのように子孫を残していっているのかを、擬人化されたキャラクターが演じている。不思議で、時に残酷なその世界。
 はまってしまった。これは解説を含めてこそおもしろさが湧く。だから解説を読めないような小さな子供向けの本ではない。でも解説を読まないなら読まないでも、なかなかシュールでおもしろいかも。

ヌカカの結婚

『Get Together -LIVE IN TOKYO-』矢野顕子×上原ひろみ

 2011年。二人で行ったコンサートを録音したアルバム。
 歌の力は強い。クセのある矢野の声や歌い回しは、どんな曲をも彼女の持ち歌にしてしまう。だからこのアルバムを聴いた初めのうちは、二人のアルバムではなく、矢野のアルバムなんだという印象を強く持った。しかし何度も繰り返し聴くうちに次第に上原の存在感も増し初め、今こうして聴いていると、やっぱり二人が揃ってこそできたアルバムだということが納得できる。それは上原の作詞作曲した6「月と太陽」や、上原の曲に矢野が詞をつけた3「CAPE COD CHIPS -LIVE IN TOKYO-」のような曲が紛れ込んでいるせいだけではない。多くの曲を上原が編曲し、二人のピアノの上に矢野の歌が乗っていることが大きいのであろう。これは個人的な印象だが、矢野のピアノは感傷的で引き算の美学に則っているところがあって、逆に上原のピアノは機械的かつ構成的で、足し算の美学ともいうべきものを持っているイメージがある。一見真逆に見える二人のピアノを上原の構成力がまとめ上げ、すばらしい伴奏を形作っている。いや、これは伴奏というべきではないのかもしれない。ピアノは歌と同等の地位を与えられ、躍動的に曲の主役に躍り出てきている。
 と大上段に振りかぶって勢いづいてしまったが、もしかしたら私が持っていた足し算と引き算の美学のイメージは間違っていたのかもしれない。例えば前出の6「月と太陽」は静かで落ち着いたアレンジだし、5「学べよ」は上原の編曲ではないが、5拍子と6拍子が交互に現れて独特のグルーヴを生み出しており、勝手に上原的だと思ってしまっていた。だとしてもこれは私が勝手に思っていた印象であり、今ここにあるこのアルバムの良さを減じることにはならないだろう。ピアノと歌のすばらしさは変わらない。
 8「ラーメンたべたい」は、マイルス・デイビス(Miles Davis)の「SO WHAT」のモチーフから始まる。そのモチーフをバックに「ラーメンたべたい・・・」と矢野の歌が被さってくるのだが、不思議と違和感がなく、ジャズテイストな「ラーメンたべたい」が繰り広げられる。私は泥臭さすら感じさせる矢野の原曲よりも、この上原編曲による「ラーメンたべたい」の方が好きである。このアルバムの初回限定盤のボーナスDVDにはこの曲が収められており、必見だ。ステージの上で向かい合ったピアノが奏でる息遣い、そして二人の感情までが映像に表れており、ライブ感が見事に伝わってくる。アルバムだけでなく、付録まで贅沢だ。

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2011年12月29日木曜日

『珈琲の楽しみ方BOOK』田口 護

 成美堂出版。副題「豆の選び方・挽き方、ブレンドの仕方がわかる」。
 文庫版の小さな本なのだが、全篇カラーで写真が多く、情報量もすごい。46ものコーヒー豆の種類が産地別に解説されていて、酸味と苦みのチャートにしてあったり、生豆の選び方から焙煎の仕方、抽出方法、ブレンド方法、アレンジコーヒーの作り方、コーヒーに合うケーキの紹介とレシピまで掲載されている。どの話題も無駄がなく適切で、コンパクトによくまとまっている。これだけの内容がこんなに小さな本に凝縮されているのが信じられない(手元にあるのに)。
 今までインスタントで済ませていたけれど、これからは豆からコーヒーを淹れてみようかな、という初心者に最適なのはもちろん、既にコーヒーに親しんでいる人にも薦めたい。コーヒーに関する情報の整理にとても役立つと思う。もっと掘り下げて知りたい人は他の本に当たるべきだろうけれど、コーヒー全般を概観するにはこの本で十分だと思う。

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2011年12月27日火曜日

『メロ・ハマヤ』可否茶館

 『Mero Hamaya』。
 可否茶館が、ドミニカのメロ・ハマヤ農園の濱谷氏に特別オーダーしたコーヒーらしい。だから可否茶館でしか手に入らない、とホームページでは謳っている。
 花のような香りと味が特徴的。この味は独特かもしれない。上品できれいな感じがする。でもちょっと苦みが余計かな。苦み成分だけが妙に立っているのも確か。もう少しやわらかい苦みだったら、かなり好きなコーヒーだったと思う。

可否茶館HP

2011年12月25日日曜日

『IRONY』Sungha Jung

 2011年。アイロニー。チョン・スンハ。ソロギターアルバム。
 昨年13歳(録音時)でアルバム『Perfect Blue』(私の記事)を世に出して衝撃のデビューを果たしたけれど、もう既にプロの域に達している。
 前作ではほとんどの曲がカヴァー作品だったが、今回は14曲中7曲がオリジナルである。そしてこのオリジナル作品が実にいい。どこか押尾コータローを思わせるさわやかな4「Fly Like the Wind」の他、1「For You」、9「Songbird」、11「Tree in the Water」などは、きれいなメロディが光る。スウィンギンな10「Farewell」、いかにもニューエイジ系のサウンドを披露してくれる5「Waterfall」もすごくいい。カヴァーでは、Yoon Gunの3「Been Already a Year」、ABBAの8「The Winner Takes It All」、Michael Jacksonの12「Beat It」、2NE1の14「Lonely」が良かったですね。
 ギターの音がすごくきれい。将来に期待の持てるアーティストです。

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2011年12月23日金曜日

『RISHEEHAT SFTGFOP1 MUSCATEL 2011-DJ138』LUPICIA

 リシーハット・マスカテル。
 リシーハットは、ダージリン・イーストにある茶園の名前。このお茶は夏摘み紅茶、つまりセカンドフラッシュである。ダージリンはよくマスカテルフレーバーと形容されるが、この香りはセカンドフラッシュに著しいといわれる。だから「リシーハット・マスカテル」なのであろう。その名のとおりの豊潤な香りは贅沢な時間を演出してくれる。味もしっかりとしており、高級感がある。良質な抹茶のような雰囲気もある。でも残念なことに、「タルボ」(私の記事)や「キャッスルトン」(私の記事)を飲んだときのような感動はない。悪くはないとは思うんだけど。

LUPICIA

2011年12月19日月曜日

『35 ISLAND BLEND』35 COFFEE

 実は読み方がわからない。パッケージには「Three Five COFFEE」と書かれているから、たぶんそう読ませたいのかもしれないが、つい「サンゴコーヒー」と読んでしまう。しかも「35 COFFEE」という店名ではないかもしれない。少なくとも沖縄本島南部の八重瀬町にある「SOOEIDO(株)」という会社で出しているコーヒーであることだけは確かなのだが。
 35コーヒーは「サンゴ焙煎」をしているという。風化したサンゴを200度まで温めてコーヒー豆をじっくりと焙煎しているそうだ。そういわれるとサンゴっぽい味だと感じてしまうところが、感化されやすい人間の一面を映し出しているようで、少し悲しい。話が逸れた。
 挽き方は中細挽きとなっているが、一般的には荒挽きの部類なんだと思う。ふだん一人分を淹れるときの豆の量でコーヒーを落とすと、超アメリカンな濃さになる。だからこの豆を使うときはふだんの1.5倍強の量で淹れる。それでもいつも私の淹れるコーヒーよりもかなり薄い。味はすっきりとしていて、嫌みがない。飲みやすい。嫌いではないが、物足りない。ホテルの朝食バイキングで使われていそうな印象を持つ。無難な味といういい方もできるのだが。
 サンゴを救おう、というコンセプトを持つコーヒーなので、そういう面で興味のある人はホームページをどうぞ。

『SOOEIDO』のHP

2011年12月18日日曜日

『カンボゾーラ』

 Cambozola。ドイツ産のブルーチーズ。カマンベールとゴルゴンゾーラを合わせてつくった名前。そして名前のとおり、ねっとりとしてクリーミーな白カビタイプのチーズがやんわりと青カビを包み込んでいる感じ。だから白カビタイプと青カビタイプの中間といった位置づけのチーズです。青カビ特有の刺激が少なくて、とても食べやすい。ゴリゴリの青カビはちょっと敬遠するけれど、白カビじゃ物足りない、という人にぴったりだと思う。おいしい。

『Le Premier Clair De L'aube』Tété

 2010年。テテ。ボーナストラックの入った日本盤が『夜明けの最初の輝き ル・プルミエ・クレール・ドゥ・ローブ』という名前で売られているけれど、私が購入したのは輸入盤。彼はフランスのシンガーソングライター。以前記事にしたことがあるので参考に。
 1曲目の「L'envie Et le dédain」(妬みと蔑み)から私の心を捕らえる。大掴みにいうとロック寄りのフォークなのかな。ブルースやレゲエっぽいところもあるけれど。きれいな声というわけではないけれど、時折ファルセットの交じった独特の声には惹きつけられる。5「Les Temps Égarés」(失われた時)、6「Le Premier Clair De L'aube」(夜明けの最初の輝き)、10「Petite Chanson」もかなり好きですね。12「Bye Bye」ではノリをよくアルバムを締めてくれます。
 テテは曲と声だけじゃなく、ギターもいいんです。前奏がギターだけから始まる曲というのが結構あって、そのキャッチーな出だしはたまらない。
 好きなアルバムです。

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2011年12月10日土曜日

『Xiang Do』松栄堂

 『シァン ドゥ』。松栄堂のお香のシリーズ。2011/12/10時点で18種類ある。「アガーウッド(AGARWOOD)」(沈香(じんこう))や「サンダルウッド(SANDALWOOD)」(白檀(びゃくだん))のような伝統的な香りから、「ミックスベリー(MIXED BERRY)」や「フォレスト(FOREST)」のようなコンセプチュアルな香りまで取り揃えている。
 変な言い方かもしれないが、私はこのシリーズのお香を「硬い」香りだと感じる。コンクリートに囲まれた空間のイメージ。これに対して『リスン(Lisn)』(私の記事)のお香は柔らかい。また、このシリーズは、『エステバン(ESTEBAN)』(私の記事)のようなソバージュさはなく、上品で都会的な感じがする。そんなイメージの違いから、私は気分によって使い分けている。『リスン』が一番好きではあるのだが。
 『Xiang Do』のうちで私の好きな香りは、写真の三つである。左から、「マリン(MARINE)」「バイオレット(VIOLET)」「ペパーミント(PEPPERMINT)」。それぞれ、「潮騒にさそわれて」「可憐な優しさ」「クールなきらめき」というサブタイトルが付いている。

『松栄堂』のHP

2011年12月4日日曜日

『直立猿人』Charlie Mingus

 1956年。『Pethecanthropus Erectus』。チャーリー・ミンガス。でも「Charles Mingus」(チャールズ・ミンガス。チャールス・ミンガスと呼ぶ人もいる)が正しいのかな。ジャケットには「The Charlie Mingus Jazz Workshop」とも書いてある。ミンガスはベーシスト。だからなのか、気のせいかこのアルバムではベースの音が前面に出ているように感じる。ベースの上に音楽が鳴っている感じ。
 本作は全4曲のアルバムなのだが、前半2曲が印象深い。1「Pethecanthropus Erectus(直立猿人)」はまさに直立歩行を始めたばかりの人類の祖先が森の中を闊歩している感じ。アルト・サックスによる雄叫びが、まるでその場に居合わせているかのような臨場感を演出していて、すごい。2「A Foggy Day(霧深き日)」でも、サックスは光っている。霧笛か警笛かサイレンか、といった音が、メロディの合間にちりばめられていて、霧の中の街中の喧噪に自分も紛れ込んでしまったかのように感じる。この2曲のびっくり感に比べると、後半の2曲、3「Profile of Jackie」、4「Love Chant」はややおとなしい。でも私の感覚では、ジャズといえば後半のイメージであって、こっちの方が聴きやすい。ただやっぱりミンガスの力量が表れているのは前半2曲なんだと思う。後半は別にミンガスじゃなくてもよかったような気がする。言い過ぎ?ちなみに存在感のあるアルト・サックスはジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)。
 ところでこのチャールズ・ミンガス。私の行きつけのカフェ『MINGUS COFFEE』(私の記事)の名前の由来なんだと思います。店の人に聞いたわけではないけれど。

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2011年12月3日土曜日

『ルブローション』

 Reblochon。フランス、サヴォア地方産のセミハードタイプのチーズ。
 正直なところ、セミハードタイプだとは思えない味をしている。熟成の進んだ白カビタイプか、軽いウォッシュタイプか、といったところ。クリーミーで強いコクがある。辺りにはウォッシュの香りを振りまいている。ウォッシュだと思えば、食べやすくておいしい。でもゴーダのような味を予想して買ってしまった人は、後悔してしまうのかもしれない。それだけクセがある。私は結構好きですが。

2011年11月27日日曜日

『プレリュード』村治 佳織

 2011年。『Prelude』。
 アルバムコンセプトとしては、過去に出した『Portraits』(私の記事)や『Soleil Portraits 2』(私の記事)に通じるところがある。しかしこれらのアルバムを聴いたときのようなワクワク感というものはない。ライナーノーツにもあるように、おそらく震災を意識したためであろう。祈りのような内省的な曲が多く、それらのイメージがアルバム全体を覆っている。それは、坂本龍一作曲の2「プレリュード」や13「スモール・ハピネス」、そしてF・モンポウ(F. Mompou)の(3-8)「コンポステラ組曲」に色濃い。
 ただしこのアルバムはこのような曲ばかりでできあがっているわけではない。ポップスなど採られた、ビー・ジーズの1「愛はきらめきの中に」、ニール・セダカの10「雨に微笑を」、ビートルズの14「フール・オン・ザ・ヒル」などのような曲もある。「雨に微笑を」では、「雨に唄えば」や「オーバー・ザ・レインボー」のフレーズがさりげなく入っていたりして、遊び心もある。でも全体的にはなぜか暗さが目立つのだ。『プレリュード』というタイトルには、未来への前奏曲という意味合いを強く込めているらしいのだが。
 よくギター1本でここまでオーケストラ感を表現できるものだと感心したのは、(11-12)「ギターのための《くるみ割り人形》組曲」。このアルバムではギター用ではない曲の編曲を担当したのは佐藤弘和であるが、彼の力量はこんなところでも感じられる。個人的に一番好きだったのは、マーラーの「交響曲第5番嬰ハ短調」より9「アダージェット(第4楽章)」。美しく透明感のある仕上がりになっている。それに対して好きではないのだが、ギター曲として完成されていると感じたのは、カルロ・ドメニコーニ(Carlo Domeniconi)作曲の(15-18)「コユンババ」(13世紀南トルコに住んでいた古い伝説の隠者の名前だそうです)。物語を感じさせる旋律は、ここでもやっぱり悲しみが宿っている。最終曲の19「スターダスト」で、少しだけ明るい未来を予感させているのだけれど。

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2011年11月26日土曜日

『知性の限界』高橋 昌一郎

 講談社現代新書。副題「不可測性・不確実性・不可知性」。
 本書は『理性の限界』(私の記事)の続編として書かれたもので、前書と同じく、専門家、素人入り乱れてのシンポジウム形式で進んでいく。内容的には、前書よりも哲学的な話題が多くなっており、前回冷たくあしらわれていた「カント主義者」も少しはましな扱いを受けている。そして、おそらくこの哲学寄りの内容になっているせいであると思われるのだが、前書のような歯切れの良さといったものは多少犠牲になっており、焦点がややぼやけ気味になっているように感じた。とはいえ、読んだときのおもしろさは相変わらずで、『理性の限界』と併せて『知性の限界』も読んでみることをお勧めする。
 さて、副題の3つの言葉はそれぞれ、「言語の限界」、「予測の限界」、「思考の限界」に対応している。しかし『理性の限界』のときのように副題と定理等が直につながっているわけではないので、少し対応がわかりにくい(前書では、不可能性・不確定性・不完全性という言葉が、それぞれ「アロウの不可能性定理」、「ハイゼンベルクの不確定性原理」、「ゲーデルの不完全性定理」と対応していた)。
 「言語の限界」では主にウィトゲンシュタインの思想が紹介されている。前期の『論理哲学論考』から、「言語ゲーム」や「生活形式」に代表される後期の思想まで、バランスよく論じられている。それにクワインの「指示の不可測性」、ハンソンの「観察の理論負荷性」などの話題を取り入れつつ、最後は哲学畑と科学畑との間に起きた「サイエンス・ウォーズ」で章を終えている。個人的には「サイエンス・ウォーズ」がその後どういう収束の仕方をしたのか気になったのだが、そこまで詳しくは論じられていなかった。
 「予測の限界」では、歴史が繰り返すことを前提にしている「帰納法」の正当性という議論から、必ずしも「帰納法」が正しいとは限らないことが示される。その論拠のひとつとして取り上げられているのがポパーの反証主義で、これは「進化論的科学論」につながっているという。ほかにこの章では複雑系や地震予知に係る話題なども出てくる。
 「思考の限界」では「人間原理」について述べられている。「人間原理」とは、極論すると、宇宙は人間を存在させるために様々な物理定数を微調整して決めてきた、というものだ。一見、眉唾物としか考えられない原理だが、意外に説得力も持ち合わせていて悩ましい。この章ではファイヤアーベントの知のアナーキズム(何でもあり、という理論)や神の存在証明なども取り上げられている。私には煮え切らない議論に思えてしまったが、それだけ「思考の限界」に関する議論というのは、なかなか結論のでない話題なのかもしれない。
 以上が本書の概要であるが、『理性の限界』とこの『知性の限界』とを併せて考えてみると、哲学や科学で捉えられる範囲は意外に狭く、その中でも今現在わかっていることはさらに少ない、という印象を持ってしまった。しかし、それは逆にいうと、哲学や科学の発展の可能性がまだまだ大きいということでもあるので、私としてはその可能性にかけてみたい。それにしても、この限界の存在を認めたくない人はかなり多いのではないか、とも感じた。2冊とも、なかなかにおもしろい本である。

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2011年11月25日金曜日

PCから火が

 先日パソコンの電源が入らなくなったので、電源ユニットの交換をした。その後通電すると、フロッピーディスクドライブにつながっているラインから煙が立ち初め、発火!
 私の接続ミスなのか、パーツ自体が悪かったのかはわからない。すぐに電源を落として大事には至らなかったけれど、皆さん気をつけましょう。

2011年11月20日日曜日

『いしやきいも』LUPICIA

 石焼き芋をイメージした紅茶。
 サツマイモが入っているんだけど、香りはジャガイモにバターをのせたような感じ。味はきちんとサツマイモにバター。でも北海道ではあまりサツマイモにはバターを合わせないような気がするんです。だからどうしてもジャガイモのイメージから抜けられない。ほかの地域の人はどう感じるんだろう。まずくはないです。適度な香りのフレイバードティー。ほんの少しの砂糖とミルクを入れると、もっとおいしくなると思います。

LUPICIA

2011年11月19日土曜日

『À ton oreille...』高橋ピエール

 2009年。takahashi-pierre。ア・トンノレイユ。「君の耳もとで」。CDに貼ってあるシールに、「ノーブルロマニスト=高橋ピエール"ピエールギター"という新しいジャンル」と紹介してあるけど、意味は不明。時折ピアノやパーカッションの音が入るが、基本的にクラシックギターのアルバム。でも全部高橋の自作曲。
 この数ヶ月、インテリアショップの『私の部屋』札幌オーロラタウン店で繰り返しかかっているのが、このアルバムの1曲目に入っている「君と僕との色々な角度」。この曲の持つ不思議な、でも揺りかごに揺られているような心地よい雰囲気に惹かれて、このアルバムを買ってみた。期待を裏切らない。癒し系なんだけど、ヒーリングミュージックにありがちな、おざなりの曲というのがなくて、どの曲もきちんと作り込んである。曲によっては本当のクラシックの曲のよう。
 「針金ワルツ」「水玉のワンピース」「組曲「les calendriers」より」「一度だけ」と合わせて、計5曲23分しかないアルバムなので、エンドレスにしてずっとかけている。逆にそれがいいみたいで、私の部屋の一部と化しています。気に入りました。

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2011年11月16日水曜日

コメント機能がおかしい?

 先日、閲覧者がコメントを書き込めるようにしたつもりでしたが、うまく機能していないかもしれません。実際に書き込んでくれた人がいるみたいなのですが、ブログの管理画面の方にはそのコメントが届いていないのです。私がコメントを書いた場合はすぐに反映されるのですが。
 もし書いてくださった人がいたなら、ごめんなさい。書いてもらっても私まで届いていない可能性があります。その場合、公開されることもありません。
 この場をお借りして、お詫び申し上げます。

2011年11月15日火曜日

初雪2011

 11月14日の夜、札幌に初雪が降った。1876年(明治9年)の観測以来3番目に遅い初雪。平年より17日も遅い初雪。1番遅かったのは1890年(明治23年)11月20日。
 今シーズン初めてマフラーと手袋をして出かけたのが、ちょうどこの日。天気予報は意外に当たる。実際に雪が降っているのを目にしたのは、翌日15日の夜だったけれど。

2011年11月12日土曜日

コメントについて(試しに)

 これまでコメントの入力にはちょっとしたハードルを設けていたのですが、試しにそのハードルを外してみました。
 対応できないほどのコメントがきたり荒れたりした場合には元に戻すけど、ちょっとだけ様子を見てみようかな、と。コメントが公開されるかどうかが私次第なのは今までどおりですけど。

『BRAZIL Fazenda Bau』Tully's Coffee

 タリーズ ブラジル ファゼンダバウ。タリーズが2006年、バウ農園に植樹したブルボン種から収穫したコーヒー。
 苦みと酸味のバランスが絶妙で、すごくおいしい。こんなに自分の舌に合ったコーヒーに出会ったのは久しぶり。ほのかなナッツのような後味。決して高級な味ではないんです。味が立っていなくて、気取らない感じ。でも、えぐみとかの嫌な感じがまったくしなくて、冷めてもおいしい。
 今まで自家焙煎の店にこだわり気味だったけど、量販店の豆も結構いいのがあるんですね。

Tully's Coffee

2011年11月11日金曜日

『Children of the Harvest』Laurence Juber

 2011年。ロウレンス・ジュバー。
 本作は報道ジャーナリスト、デニス・マーフィー(Dennis Murphy)が2009年に手がけたドキュメント映画『Children of the Harvest』のサウンドトラックである。それが、このアルバムのうちの「Act I」~「Act VI」までの6曲にあたる。そしてボーナストラックとしての5曲がそれに加わって、このアルバムはできている。
 ロウレンスはアコースティックギタリストで、このアルバムの中心もアコースティックギターということになる。多くの曲でギターを2本以上重ねているようだ。前半は、実際には6曲なのではなく、6回の演奏なんだと思う。例えば「Act I」は10曲程度の曲のメドレーに聞こえる。さまざまなメロディの断片、それはアイデアとも呼べるだろうが、それらをつなぎ合わせたのが、それぞれの「曲」なのであろう。それに対してボーナストラックの方はきちんとした「曲」として成り立っている。「One Hundred Hatpins」なんかは、山弦(私の好きなギターデュオ)の音楽を彷彿とさせて、なかなかいい。ほかに、「Shenandoah」の素直なアレンジも好感が持てる。
 ギターの生音の感じがとてもきれいに録れている。それぞれのメロディの断片もセンスがある。だからこそ惜しいと感じるのは、前半の6曲を構成しなおしたら、それだけで10数曲のきちんとしたアルバムになったんじゃないか、ということ。その時間は十分にあっただろうに。

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2011年11月6日日曜日

『フォントのふしぎ』小林 章

 美術出版社。副題「ブランドのロゴはなぜ高そうに見えるのか?」。
 フォントはいたるところで目にすることができる。街角の看板や標識、食品のパッケージやロゴ、ブランド名、書籍・・・。それらのフォントが使われている実例を、欧米で撮った270点にも及ぶカラー写真を交えて紹介している。そして副題にあるとおり、どうしてルイ・ヴィトンやゴディヴァのロゴが高級そうに見えるのかだとかも教えてくれるし、目の錯覚とフォントの関係といったトリビア的なものもたくさん教えてくれる。
 まず写真がきれい。そして砕けた感じの文体が親しみやすく、読者とフォントとの間の壁を取り払ってくれる。もともとフォントが好きな人はもちろん、そうでない人も雑誌を読むような感覚で気軽に読めるようになっている。素敵な本です。
 (念のため)欧文フォントを対象にしています。和文フォントは扱っていません。また、もっと本格的に欧文書体について知りたい人は、同じ著者の『欧文書体』(私の記事)、『欧文書体2』(私の記事)などもよい本だと思います。

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2011年11月5日土曜日

500m美術館常設化

 2011年11月3日、札幌地下鉄の大通駅からパスセンター前駅までの間の通路に美術館が誕生した。おそらく日本で一番長い美術館。ただの通路だから、もちろん無料。写真の看板(?)のタイトルの上には、「札幌大通地下ギャラリー」と書いてある。
 実は2006年以降、毎年11月の1ヶ月間だけこの美術館が出現していた(私の記事)。それがこのたび常設化という運びになったわけである。うれしいではないか。暗い通路が明るくなった。
 大きな作品が多く、昨年までと違って平均的なレベルが高い。しばらくは特別展という感じで、公募作品は展示していないみたい。
 ここを歩く機会はあまりないかもしれないが、四季劇場や札幌ファクトリーに行くときに、地上ではなく、この地下通路を歩いてみてはどうでしょう。

2011年11月3日木曜日

『See, The Sky』Ben Lapps

 2010年。ベン・ラップス。ソロギターアルバム。
 一聴して、ああ、ヘッジス系、という感じのギター(Michael Hedgesのことです)。ジャスティン・キング(Justin King)に多大な影響を受けたと本人がいうのも頷ける。久しぶりにこういう系統のアルバムを聴いたから、最初のうちは結構とまどった。メロディらしいメロディがなく、時折混ざる短いモチーフを基点にして音が流れていく。タッピングやボディヒッティングを絡めながら音をふくらませていく。そんな感じ。
 でもタッピングやハーモニックスというのは、聴き慣れると意外とクセになるんですね。これといってすごく好きな曲というのはないけれど、アルバム全体をかけ流しておくと、わりとよいBGMになってくれます。

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『理性の限界』高橋 昌一郎

 講談社現代新書。副題「不可能性・不確定性・不完全性」。
 副題の3つの言葉は、それぞれ、「選択の限界」としての「アロウの不可能性定理」、「科学の限界」としての「ハイゼンベルクの不確定性原理」、「知識の限界」としての「ゲーデルの不完全性定理」に対応している。
 「アロウの不可能性定理」とは、完全に民主的な選挙制度は存在しないというもの。選挙制度によって、どんなタイプの候補者が受かりやすいかが決まってくるという。例えば、熱狂的支持者も多いが敵対者も多い候補者は、単記投票方式が有利になる。だから現実には、どういったタイプの候補者を選出したいかによって、選挙制度を決めている面があるという。世界中で選挙制度がさまざまに異なっているのは、完全に民主的な制度が存在しないことの裏返しでもあるというわけだ。
 「ハイゼンベルクの不確定性原理」とは、人間の観測には超えられない限界があるというもの。例えば、原子を構成する電子の位置と運動量とを同時に観測(決定)することはできない。
 「ゲーデルの不完全性定理」とは、あるシステムが存在するとき、そのシステムでは真であることを証明できない命題が存在する。また、そのシステムでは自分自身の無矛盾性を証明できない、というもの。例えば、数学というシステムを考えたとき、証明不可能な命題が存在する、ということだ。もしかすると、現在証明されていない数々の数学命題の中には、どんなにがんばっても証明不可能なものがあるのかもしれない。
 これらの話は一見するとすごく難しく見えるかもしれない。でも著者はこれを実にわかりやすい方法で表現している。本書全体がシンポジウムという形で展開されているのだ。そこには、生理学者、国際政治学者、科学主義者、論理学者などの専門家のほか、大学生A、会社員、運動選手といった、いわば素人も登場してくる。そしてその素人にもわかるように書かれているのが、本書なのである。また、上に述べた原理や定理に関連して、囚人のジレンマ、シュレーディンガーの猫、ぬきうちテストのパラドックスといった、興味深い挿話がふんだんに取り込まれていて、読んでいて飽きない。
 新書という形式上、それぞれの理論が深く掘り下げられているわけではないが、詳しく知りたい人は本書の後ろに連ねられている参考文献を読めばいい。この本はそのとっかかりとして実によくできていて、おもしろい。
 ただ、シンポジウムの司会者がカント主義者に対して冷たいのは、ちょっとかわいそうな気がしたけれど。

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2011年11月1日火曜日

『French Roast』Tully's Coffee

 なるほど、タリーズだ。「RICH, SMOKY, SPICY」と書いてある。舌が少しぴりっとするくらいの苦みがある。酸味はほとんどないけれど、適度にやわらかく、深みもある。スタバとタリーズのどちらがいいというわけでもないのだが、タリーズに行くときは、こんな苦みを求めている。スタバはどちらかというと酸味が立っている気がするのだ。それを一番感じるのがエスプレッソを飲むときで、エスプレッソはタリーズの方が好きだ。おいしさの問題ではなく、単に好みの問題。

Tully's Coffee

2011年10月30日日曜日

第44回KFSアート・コンテストにて

 2011年10月25日から30日まで、銀座にある東京セントラル美術館で標記コンテストの東日本選抜展が開かれていたので、行ってみた。恐縮ながら私の作品も入選していたので。ちなみに「KFS」は「講談社フェーマススクールズ」の略。
 他の入選作や入賞作のレベルは私よりも明らかに高かったので、正直なところ、どうして私の作品が入選できたのかはわからない。でもありがたいことだ。何人かの方から有益な助言やアドバイスもいただき、参考になった。この場をお借りしてお礼申し上げたい。また、他の作品に接することでさらに創作意欲がわいてきたという効果も得られた。東京に出向いた甲斐があった。

第44回KFSアート・コンテスト2011

2011年10月27日木曜日

キムワイプ

 日本製紙クレシア。
 理系のお伴、キムワイプ。ずっと欲しかったのが、近隣の店で見つけることができなかったのであきらめていたら、ネットで簡単に買えることを先日知った。実験室系だけで使っているんだと思ったら、プラモデル作製や精密機械のメンテナンスなどでも使うらしい。ティッシュペーパーと違って毛羽立ちがほとんどなく、強度もあるのがいいところ。消毒用エタノールを染みこませるとさらに洗浄力がアップ。今のところ利用目的の大部分が眼鏡拭きとなっているが、常備しておくといろいろと役に立ちます。お薦め商品。

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2011年10月23日日曜日

『Caffè Greco Romana』

 カフェ・グレコ・ロマーナ。ローマにある「アンティコ・カフェ・グレコ (Antico Caffè Greco)」という古いカフェで供されるコーヒー。そのレシピが手に入ったので、自分なりにアレンジしてつくってみた。
 以下は二人分。使ったコーヒー豆は「豆源」の「湘南ブレンド」。私がエスプレッソコーヒーやアイスコーヒーを淹れるときの定番ブレンドである。当然深煎り。
1.これを15、6グラム中細挽きにして鍋に入れる。
2.そこにレモンとオレンジの皮をそれぞれ3センチ程度と水を200グラムちょっと入れて火にかける。
3.沸騰したら鍋を火から外して、少ししてからまた火にかける。これを3回繰り返す。
4.コーヒー粉が沈むのを待って、茶こしでこしながら静かにコーヒーサーバーに入れる。それを二つのカップに注ぎ入れる。
 柑橘系のすごくいい香りがする。コーヒーの香りではない。味は濃いことは濃いのだが、意外にも淡泊で、苦みもあまり強く感じられない。コーヒーとしておいしいかといえば、微妙である。コーヒーっぽくないので。カフェではマーマレードをなめながら飲むということなので、家にあったオレンジピールを食べながら飲んでみた。悪くない。いつか本物のカフェで味わってみたい。まったく違う味なのかもしれない。
 このコーヒーを淹れる過程はなんとも楽しい。手をかけて淹れたコーヒーを飲むのは、つくる時間も含めて贅沢な時間である。

『Sketch』中川 イサト

 2011年。『Real Thing』(2005年)以来6年ぶりのソロギターアルバム。
 2006年の『Acoustic Paradise』は?と思って調べてみたら、こちらは丸山ももたろうとのデュエットだった。『Acoustic Paradise』は少し華やかな感じだが、今回のアルバムは少ない音数で丁寧につくられた印象を持つ。以前よりもどんどん無駄な音がなくなってきたように感じる。ストロークを使った楽曲はなく、すべて丁寧に爪弾いている。中川のギターの音はこれまでもずっとそうだったように、生音という感じはなく、ライン録りの独特の音色があって、それがまたいい味を出している。ベースとメロディだけのシンプルな構成のものばかりなのに、なぜか深みがある。中川自身、今回のアルバムは「和」のサウンドを目指しているというが、それが十分に表現されていると思う。
 1「Hazy Moon」、2「加壽帝羅2011」、5「Blue」、8「ヴェルビエ」なんかは、決して和をテーマにしたわけでもないが、マイナー調の渋い感じが出ている。オルタネイティングベースにメロディを乗せた明るい曲調の3「Little Horse」もいい。ストリング・ベンダーという特殊装置の付いたギターを使ったという4「黄昏の来々軒」はギターが泣いている。2008年に亡くなったアーティ・トラウム(Artie Traum)を意識してつくったという7「Blues For A.T.」はジャズブルース系の素敵な曲。ぽかぽかと暖かい夕暮れの公園にいるかのような雰囲気の9「とわいらいと」もいい。「最終列車」というには明るいイメージの10「Last Train」は新たな世界に向かう希望を感じさせたのだという。そしてアルバムは、空の高い秋空をイメージさせる11「蒼空」で幕を閉じる。
 私は好きなアルバムですね。派手さはないが、よいアルバムだと思う。

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2011年10月22日土曜日

シェーグレンの会会報第20号

 「シェーグレンの会会報第20号」と「シェーグレンの会かわら版No.3」、そして「皆様からの近況」が届いた。後者では症状の軽重はさまざまながら、患者からの生の声が32ページにもわたって掲載されており、切実な患者の思いが伝わってくる。でもここではあまり感傷的にならず、会報の内容で気になった点だけを少し記載しておきたい。先日行われた関東ブロックミニ集会(記事)の内容とかぶる部分もあるが、ご容赦願いたい。なお、会報とかわら版はシェーグレンの会ホームページ(リンク)で見ることができる。
 会報は、金沢で平成23年6月18日に行われた「第25回シェーグレンの会総会」の内容が主なものである。そのほかに、資料として日本シェーグレン白書・シェーグレン患者の実態(案)の一部アンケート(質問部分のみ)が掲載されている。
○『シェーグレンと共に vol.2 患者篇』制作エピソード
 この本の編集をした大沼さんによる制作エピソード。私は今日この本を注文したばかりなので、内容については後日。
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○「シェーグレンと共に 2」久藤総合病院、菅井先生
 シェーグレン症候群の最初の病変が起こる場所は涙腺や唾液腺。その機序をTリンパ球、Bリンパ球と絡めて説明。涙は油層、水層、粘液層の3層からなる。まばたきをしないと30秒ほどで涙膜が破壊されるが、シェーグレンの場合、5秒ほどで乾いてしまう。患者を長期観察してみると、何も変わらないのが30%くらいで、どんどん悪くなっていくのが5%くらい。医者はそれを見逃さないために経過観察が必要。IgG4関連疾患の発見について。ミクリッツ病とシェーグレン症候群の違いなど。
○「シェーグレンの患者さんの生活の質(QOL)の改善に向けて」日本大学板橋病院、武井先生
 シェーグレンの治癒の達成可能性は70%くらいになっているのではないか(現段階で根本的な治療方法はない。対症療法のみ(S-aki))。新しい点眼薬、ジグアス点眼薬が期待される。これはP2Y2受容体作動薬で、結膜からの涙液ムチン産生を増加させる。ほかに新しい治療法として、B細胞ターゲット療法、BAFF阻害療法(完全ヒト抗体ベリムマブ)がある。欧州リウマチ学会シェーグレン症候群患者評価指数というものができた。これはシェーグレンが具体的な治癒対象になってきたことを意味し、大変な進歩である。シェーグレン白書の提案。
○質疑から
 膠原病友の会から『膠原病ハンドブック』が出ているので購入を勧める(病院では売られていたけれど、amazonにはなかった(S-aki))。専門医は2021年に治癒可能になると考えている。シェーグレン症候群患者のライフワークバランスの実態調査の報告。

シェーグレンの会HP

2011年10月17日月曜日

『城市』張懸

 2009年。チャン・シュエン。Zhang Xuan。3枚目のオリジナルアルバム。
 都会の片隅の寂れたビル街にうっすらと射し込む夕陽。そんなちょっと退廃的なイメージを喚起させる楽曲でこのアルバムはできあがっている。それはわずかにハスキーがかった彼女の歌声、あるいは流したような歌い方のせいでもあり、フォーキーな曲調のせいでもある。このことはこれまでに出したアルバムすべてにいえることなのであるが、その度合いはアルバムを出すごとに強くなってきているような気がする。アルバム名の『城市』自体が中国語で「都市」という意味らしいので、このアルバムの雰囲気は、そのまま彼女の都市観の現れであるのかもしれない。
 4「南國的孩子」だけが少し他の曲とは雰囲気が違う。アルペジオによって奏でられるギターと歌だけの、子守唄のような穏やかな曲で、私は気に入っている。そのほかに好きなのは表題曲でもある8「城市」。そして1「關於我愛你」もいいですね。

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2011年10月16日日曜日

『超解読! はじめてのヘーゲル『精神現象学』』竹田 青嗣、西 研

 講談社現代新書。
 1807年に書かれたヘーゲルの『精神現象学』はとても難解な書物らしい。でもおそらく、それを読みこなせたとしたら、実におもしろい本なのだと思う。この『超解読!はじめての~』自体が十分におもしろい本だから。著者(竹田、西)は、本書を書く前に『完全解読ヘーゲル『精神現象学』』という本を出している。これも一般読者が理解できるように、と書かれたものだが、これですら難しすぎるという声が多数あり、本書を上梓することにしたらしい。
 『精神現象学』の主人公は「意識」であり、「この意識がさまざまな経験を積んで成長していくという物語」が『精神現象学』の大筋なのだという。ではこの物語全体を貫くモチーフは何なのか。それは「自由のゆくえの問い」だと著者はいう。近代になって生まれた自由な内面を持つ個人が、自己や他者、社会に対してどういう態度をとるべきか、これこそが『精神現象学』の最大の問いなのだという。この成長物語は、一個人の成長記録というだけでなく、人類の歴史そのものでもある、とヘーゲルは考えていたようだ。個人と共同体の意思が調和していたギリシャ時代から、個人が自由というものを持ち始めたローマ時代、そして近世、近代と時代を追うごとに変わっていった意識。これはそのまま、ストア学派からスケプシス主義(懐疑主義)、キリスト教の思想、理神論、唯物論、功利主義、そしてカントの道徳論につながる思想史でもある。この壮大な物語の先にヘーゲルは何を見たのか。その思考の流れが素人でも理解できるように易しく(いや、易しくはない。比較的易しく、というべきか)書かれている。個人はどのようにして救済されるとヘーゲルは考えたのか、という観点から本書を読んでもおもしろいかもしれない。
 自分の経験とものそのもの(カント風にいえば物自体)との差異を人類はどのように埋めようとしたのか。個人と他者との間の承認を巡るせめぎ合い。これらの物語も非常に興味深かった。しかし一番おもしろかったのは、道徳から良心にかけての一連の議論だった。何が正しいかの理想を持って、自分も他人もそれに従うべきだと考える道徳。何が本当に正しいのかはわからないけれど、自分はなにがしかの信念に則って正しいことを行いたいと考える良心。ヘーゲルは良心の方に肩を持ったけれど、その良心とて問題を抱えていないわけではない。ではどうすれば・・・。ヘーゲルはここにひとつの答えを与えたが、その答えそのものよりも、そこに至る思考の流れを追うのが実に楽しかった。
 ヘーゲルは難しそう、と今まで距離を置いていたとしたら、この本なら手に取ってみても大丈夫かもしれない。

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『マンデリンG1』珈琲問屋 豆源

 この店ではマンデリンを3種類置いている。マンデリン、マンデリンG1、ゴールデンマンデリン。ゴールデンマンデリン(記事)は少し高いだけあって、明らかにおいしい。でもほかの豆がおいしくないというわけではない。このマンデリンG1も、ちょっと雑味は感じられるけれど、普段飲む分には十分だ。幾分とがり気味の苦みが、いかにもマンデリンぽい。決して高級な豆を使っているわけではないと思われるのに、そこそこの味をしている。ただ、後味は少し悪いかもしれない。
 それにしても豆源の豆で珈琲を入れるのは実に楽しい。蒸らし用のお湯を挽いた豆の上に注ぐと、ぶくぶくと豆はふくらみ、その後お湯を注ぎ続けてもそのふくらみを保ったままでいる。売られている豆の管理がいいんですね。

『珈琲問屋 豆源 北19条店』札幌市北区北19条西4丁目2-24片野ビル(地図

2011年10月15日土曜日

平成23年度シェーグレンの会関東ブロックミニ集会

 平成23年10月15日。エーザイ株式会社東京CO会議室。
 私は出席しなかったが、13:30から16:30までUSTREAMで聴講した(シェーグレンの会のUSTREAMへのリンク)。以下はその覚え書き。構成を考えずに、ただ項目を羅列します。興味のある人は上のリンクから「最近の過去のライブ」で見てみてください。3時間もあって長いけれど。

○日本大学板橋病院、武井先生
 シェーグレンの会のNPO法人化のための申請を行ったが、東京都に却下された。今後中身を変えて再提出を検討中。アメリカの患者会のように、財団型も視野に。2年後、日本(京都?)で国際患者会開催が決定。
○久藤総合病院、菅井先生
 40~50歳に発症のピークがあるが、実際の症状はずっと以前から。男女比は1対14で女性が多い。世界的には1対10といわれている。近年、小児のシェーグレンが問題になっている。唾液がきちんと出るというのが大人との大きな違い。厚労省発表の日本の患者数は8万人であるが、これは第1発症がシェーグレンのものだけをカウント。リウマチの患者数(約70万人)の半数はシェーグレンだと思われるので、実際の患者数はもっと多い。涙の話。唾液の話。患者によって症状が様々なので、シェーグレンの診断基準の策定は難しい。日本とアメリカとでは基準が違う。全身症状について。患者の半数は年数が経っても症状が変わらないが、急変する人がいるので定期検診は必要。IgG4関連疾患についての説明。
○日本大学板橋病院、吉田先生
 虫歯の話(唾液が少ないので虫歯になりやすい)。体の問題、プラーク、食事、時間経過の4つの要因が揃うと虫歯になる。プラークは食べ物カスではないので、口から食べ物を摂取しなくてもできる。唾液の役割。フッ素、重曹(炭酸水素ナトリウム)による予防。キシリトールの効果。歯磨き粉や電動歯ブラシについて(電動歯ブラシ用の歯磨き粉には研磨剤が入っていない。音波形式がよさげ)。

 平成23年11月26日、今回と同じ時間に関西ブロックミニ集会が開催される。そのときの模様もUSTREAMで配信予定。

シェーグレンの会のUSTREAMへのリンク
シェーグレンの会HP

2011年10月14日金曜日

『WILKINSON GINGER ALE』アサヒ飲料

 ウィルキンソンジンジャエール。
 とあるイタリアンレストランでジンジャエールを頼んだらこれが出てきた。辛口でショウガの味がきちんとしているので、甘さがありながらもおいしい。そこそこ有名なブランドらしいのだけれど、私は知らなかった。アルコールをたしなむ人には知られているのかな。瓶には「WILKINSON GINGER ALE」と英語しか書かれていないので、てっきりアメリカかどっかのブランドかと思ったら、アサヒ飲料から出ているんですね。ドライジンジャエールという名前で辛口じゃないのも出ているらしい。
 グラスは『glacitta'』(記事)のものをあわせてみました。

2011年10月11日火曜日

『西村 和 作陶展』2011札幌三越ギャラリー

 にしむらなぎ。2011年10月11日~10月17日、札幌三越本館9階三越ギャラリー。
 品のいい落ち着いた和室にいるような雰囲気があった。普段使いにするにはちょっともったいない器たち。青みがかった灰色をした素焼きの花入れ。(たぶん)顔料を混ぜた土を使った彩泥の器(へらでかたどったような感じの渋い赤や黒の景色がいい)。象嵌(ぞうがん)の手法で草花をあしらったコーヒーカップや大皿。これらは今までにも見慣れたものだ。その中に、象嵌にちょっぴりアクセントとして赤を入れたものがあり、少し心惹かれた。私が初めて拝見したのは、陶器の上に漆がけをした陶胎漆器(とうたいしっき、陶漆)という器である。星がきらめくように目映いそれらの褐色の急須や茶器は、とても陶器とは思えない繊細さがあった。その繊細さを生かした抹茶茶碗も悪くはなかった(そういえば彼女のつくる抹茶茶碗は初めて見たかもしれない)。同じく陶漆ながら、白銀に輝いていたのは錫蒔陶漆の水差しである。白い漆の合間からのぞく黒い地肌がまたいい。
 一番心躍ったのは、陶漆の建水(けんすい)だ。建水は茶室で茶碗をすすいだときの水などを捨てる器であるが、こんな素敵な建水を左手に持って茶室に入っていけたら楽しいだろうな、と思う(私の好みは渋すぎるかもしれない。展覧会の中では地味な存在だった)。
 ほかに気に入ったのは、赤の混じった象嵌作品、筍文が牧歌的でほのぼのとする平皿、縦のストライプが印象的な木賊(とくさ)文のフリーカップなど。


西村和のHP

2011年10月9日日曜日

『玫塊普洱』

 メイクイプーアール。「玫塊」はハマナスの花(つぼみ)のことで、マイカイ、メイグイ、メイグェイといったりもする。プーアールは慣れない人にとっては飲みづらいお茶なんだけど、このメイクイを2、3個一緒にして淹れるだけで、ずいぶんと飲みやすくなる。バラのような香りが気品を感じさせる。茶器の方にも1粒入れておくと、見た目が華やかになる。いま家にあるプーアールはクセがあるので、お客さん用にプーアールを淹れるときはメイクイプーアールにすることが多いですね。
 このメイクイは『遊茶』で購入したもの(『遊茶』では「精緻メイグェイ」という名前で売られている)。ここのメイクイは色が鮮やか。メイクイだけで花茶として淹れることもあるみたいです。プーアールはおみやげでもらったもので、たぶん普洱磚茶(プーアールセンチャ)。長方形のブロック状に固められていて、ナイフとかフォークで崩して使う。磚茶は他のプーアールに比べてクセが強い気がする。すぐに慣れるけど。

2011年10月2日日曜日

『コレクタブルデミアニバーサリー』Starbucks Coffee

 先日スタバ(Starbucks Coffee)に行ったときに見かけて、衝動買いしてしまった。右がホワイト、左がブラウンです。スタバのトレードマークであるセイレーン(人魚)が描かれている。大きいタイプのもあるけれど、これはデミサイズの小さなカップ。2種類並べておいておくのがオシャレですね。

『Aloha To You』Jake Shimabukuro

 2011年。
 少し残念な気がした。あまり心に響く曲がない。後半は今までに出した曲の焼き直しだし。でもちょっと気を取り直してコメントしてみたい。
 アルバム全体を眺めると、5「Drive Safe」は佳曲だと思う。楽しげな雰囲気がよく出ている。7「Bring On The Night」とか8「Every Little Thing She Does Is Magic」なんかもジェイクらしい。ほかには伴奏とメロディのどちらもウクレレで弾いている2曲目から4曲目までの流れは、癒し系な雰囲気で悪くはないと思う。2「Trad Japan」、3「Aloha To You」、4「Wedding Bells」の流れですね。あとの曲は一般受けを狙ったような感じがしてあまり好感が持てなかった。その中にはもともと好きだった曲もあるんだけど、ベストアルバムじゃないんだから、という感じ。
 ジェイクのファンだったら買ってもいいけど(私もそのうちの一人ですが)、あまり彼の音楽を聴いたことがないのでしたら、他のアルバムを薦めます。
(いや、どうだろう。逆にファン向けじゃなくて一般向けなのかも)

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2011年9月25日日曜日

『Leave Your Sleep』Natalie Merchant

 2010年。ナタリー・マーチャント。
 2枚組26曲の大作。小さな娘に読み聞かせてきた詩や物語を歌詞にしている。元になった詩は18世紀から20世紀にかけて作られた、主にイギリスやアメリカの詩人たちによるものだ。無名の詩人もいる。ディスク1、2それぞれのタイトルである「Leave Your Supper」、「Leave Your Sleep」も、マザーグースの一節から採られている。アルバムには分厚いブックレットがついてきていて、それぞれの詩の内容やそれらを作った詩人について、詳細に解説されている。だからおそらくこのアルバムの主役は歌詞にある、と彼女は考えていたのだと思われる。
 とはいえこのアルバムの音楽性には目を見張る。彼女は元々「10,000 Maniacs」というフォークロックグループのヴォーカルだったから、基本的にフォークロックの歌い手だった。でもこのアルバムはそれだけにとどまらず、ブルーグラスやジャズ、ケルティックなど実に様々なジャンルの曲が詰まっている。二胡を使った中国風のものまであるのだ。それがとってつけたような音楽ではなくて、しっかりと彼女の中で消化されて作られたものであることがうかがえる、すばらしいものに仕上がっている。抑制の利いた彼女の心地よい歌声をバックで支えている伴奏の安定感もすごい。
 どの曲もいいのだが、特に好きなものを挙げるとすると、1-4「Bleezer's Ice-Cream」、1-8「The Man in the Wilderness」、1-9「maggie and milly and molly and may」、1-10「If No One Ever Marries Me」、2-10「I Saw a Ship A-Sailing」だろうか。挙げすぎですね。

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2011年9月24日土曜日

『Honey Kix』

 Cafe & Dining Honey Kix。ハニーキックス。札幌の駅前通からピヴォの南側の通り(南2条通)に入ってちょっと先にある。雑誌とかには11時半開店と書いてあったりするが、今は12時開店である。
 以前倉庫だった地下部分を改造したという。入り口のドアを開けると、意外とこぢんまりとしたカフェなんだな、という印象。ふつうのテーブル席3つとゆったりとしたソファ席がひとつ。じゃあソファ席に、と座りかけて店内を見渡すと、奥に4、5段の階段が見える。上もあるんですか?はい。それじゃあ上に行きます、と上った先は中2階といった出で立ちで、キッチンとカウンターが正面にある。雑然としながらもいい雰囲気。そこから振り返るとまた階段があって、さらに上に行ける。ここは下から吹き抜けになっていて、いわばロフト部分。カラフルなイームズチェアに囲まれたテーブルの先にはデンマーク風のランプシェードがあって、その下に先ほどのソファが見える。ちょうどそれを覗き込むようにしつらえられたベンチ席がなかなかいい。全然こぢんまりとなんかしていないのだ。おもしろい空間構成で、いるだけで楽しい。
 カフェご飯やスウィーツのほか、アルコール類なども充実しているので、夜もいいかもしれない。ホームページにも書いてあるとおり、まさに隠れ家的カフェ。

Cafe & Dining Honey Kix』札幌市中央区南2条西4丁目乙井ビルB1(地図

2011年9月20日火曜日

花20110919

 水彩らしい瑞々しさを出したくて。でも、いつも苦戦している。
 自分の思うように描けるようになったら、きっとこんな言い訳なんかしなくて、ただ絵にある「花」についてのコメントを書くんだと思う。次はそういう記事にしたいものだ。でももしそういう記事を書いたとしたら、そのときの私はただ図々しくなっただけなのかもしれない。と、考えすぎの私はいろいろと思いを巡らすのです。自分について語るとき、考えがまとまらなくなってしまう悪い癖・・・

2011年9月19日月曜日

『正しい楽譜の読み方』大島 富士子

 現代ギター社。副題「バッハからシューベルトまで~ウィーン音楽大学インゴマー・ライナー教授の講義ノート~」
 副題にもあるとおり、ウィーン音楽大学のインゴマー・ライナー教授の「歴史的演奏法」についての講義をまとめた本である。守備範囲はバロックからウィーン古典派まで。主にバッハの楽譜を中心に話を進めている。薄い本だけれど、中身は濃い。
 バッハの楽譜には、テンポ、強弱、楽想などを表す用語や記号類がほとんど書かれていない。このことについて、「何も書いていないのだから何もしてはいけない、強弱もレガートもすべてその類のものはつけてはいけない」とする立場と、「何も書いていないのだからその解釈は演奏家の任意によるべきである」という立場が、ロマン派を通して生まれた。でもそのどちらも間違っている、と著者は言う。バッハの楽譜に記号類がほとんどなかった理由はちゃんとあり、それがわかれば、正しく楽譜が読めるようになる。つまりそれらの楽譜を前にしてどのように演奏すればよいかがわかるようになる。これが本書の趣意である。
 大きく分けると、テンポ、舞曲、装飾音符、アーティキュレーションの4つについて書かれている。それぞれ興味深い話であるが、舞曲について、クーラント、サラバンド、メヌエットなどの舞曲であれば自ずとテンポも強弱の付け方も決まってくる、ということが、その踊り方の説明から書かれているのでわかりやすい。メヌエットが非常に難易度の高い踊りで、どんな状況の中で踊られたのかなんていうこともわかって、実におもしろい。
 実際にバッハの楽譜を読み解くのは非常に骨の折れる作業ではあるが、バッハを演奏することのある人は是非この本を手に取ってみてほしい。楽譜の選び方まで書かれているので、きっと役に立つはず。

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2011年9月18日日曜日

『白葉單欉』遊茶

(お茶名が特殊な漢字を使っているので、きちんと表示されているかどうか不安です)
 はくようたんそう。BaiYeDanCong。「白葉単叢」という表記をしている店もある。「嶺頭単欉(れいとうたんそう)」も同じお茶。分類としてはいわゆる烏龍茶と同じ青茶(チンチャア)。単欉というのはひとつの茶樹から採られたお茶という意味ですね。1961年に鳳凰水仙の茶畑から突然変異種として発見されたらしい。だから比較的新しいお茶。茶葉が大きくて、黒々としている。
 これがすごくおいしい。まず香りがいい。上品で深みがあってかぐわしい。味もしっかりとしている。岩茶みたいにどっしりとはしていないのだけれど、台湾茶よりも重みがある。よいお茶だと思う。

 ちなみに『遊茶』という店は、表参道ヒルズの道路を挟んだ向かい側にあります。

遊茶』東京都渋谷区神宮前5-8-5(地図

2011年9月17日土曜日

『ガロアの群論』中村 亨

 講談社ブルーバックス。副題「方程式はなぜ解けなかったのか」。
 中学校で習うように、2次方程式には解の公式がある。同様に、3次方程式にも4次方程式にも解の公式は存在する。でも5次方程式以上は解の公式が作れないことが既に証明されている。とはいっても5次方程式以上でも解ける方程式は山ほどある。どうして解ける方程式と解けない方程式があるのか。若くして亡くなったガロアは、ガロア群という概念を導入することによってそれを明らかにした。
 現在知られているガロア理論というのは、ガロア自身が考えていたものとは表現がちょっと変わっているという。本書は、まずはそれをなるべくガロアが考えたようになぞっていき、その上でそれが現在どのように発展してきたかということまで解説している。
 正直なところ、この本を読んでもガロア群というものを理解した気にはなれなかった。半分ちょっとまではなんとか食らいついていったのだが、その後は何を書いてあるのかわからなくなってしまった。数式の流れはわかる。でも書いてある日本語が理解できない。論理が飛躍している感じがする。もう数学的思考にはついていけない年齢に達してしまったのか。ショックである。

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2011年9月11日日曜日

『文字の骨組み』大熊 肇

 彩雲出版。副題「字体/甲骨文から常用漢字まで」。
 すごい本です。小学校で漢字やひらがなを習い始めてから今まで文字について疑問に思っていたことが、こんなにも解決されるとは思っていなかった。「北」という字の左側の縦棒は下に出るのかどうか。「保」の右下は「木」なのか「ホ」なのか。活字のしんにょうはなぜあんな形をしているのか。「わたなべ」さんの「なべ」はいったい何であんなにたくさんの異体字があるのか(著者が数えたら45字もあったらしい)、などなど。枚挙にいとまがない。
 例示される文字の種類がものすごく多い。金文や甲骨文字、正統字体である説文解字(せつもんかいじ)や康煕字典(こうきじてん)の字、王羲之(おうぎし)や欧陽詢(おうようじゅん)、空海などの書家の書いた字、いろんな時代の篆書、隷書、楷書、行書、ヒラギノやモリサワのフォント、文部省活字、当用漢字表、常用漢字表の字・・・。漢字がどのようにできてきたのかが一目でわかる。
 一番目から鱗だったもの。それは当用漢字表や常用漢字表の字に、新しく作った字が一字たりともない、ということ。え、新字体、旧字体っていうではないか。これについても詳しく解説している。上記漢字表の字は正字体ではないかもしれないが、手書きや通用体としてきちんと使われてきた字を採用したものだというのだ。「当用漢字字体表は、書き文字を本当によく調べて作られている」という。ひとつの漢字にひとつしか書き方(形)がない、という考えはナンセンスなのだ。これまでこれらの字体表に対する批判をいくつも見てきたが、的を射ている批判は意外に少ないのかもしれない。
 ここにあげたもの以外にも、将棋の歩兵の裏はなぜ「と」なのか、など、興味深い話題がたくさん取り上げられている。日本の文字について興味のある人は是非手に取ってみてほしい。おもしろいこと請け合いです。

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2011年9月8日木曜日

櫻珈琲煎房20110908

 遠くの方の柱の陰に広げた新聞がちらっと見える。他に客はいない。隣のテーブルでランチをとっていた男性も席を立ってしまった。ジャズのヴォーカルだけが辺りの静けさを埋めている。
 つかの間の休息。

『櫻珈琲煎房』サッポロファクトリー店 札幌市中央区北1東4フロンティア館2F

2011年9月4日日曜日

『錯覚の科学』クリストファー・チャブリス、ダニエル・シモンズ

 文藝春秋。木村博江 訳。
 原題は『The Invisible Gorilla(見えないゴリラ)』。被験者にバスケットの試合のビデオを見てもらい、試合中のパスの回数を数えてもらった。実は途中ゴリラの着ぐるみが会場に現れ、胸を打ち鳴らして去っていったのだが、そのことに気づいた被験者は半数しかいなかった。人は網膜に映っているものが「見えている」わけではない。試合中にいるわけのないゴリラには気づかないのだ。そんな実験の話題からこの本は始まる。
 おわかりのように、ここでいう錯覚は、だまし絵などにみられる錯覚のことを言っているわけではない。日常生活の中などで脳が勘違いする、そういったことを錯覚と呼んでいる。
 自信に満ちあふれている証言と自身のない証言では、自信にあふれている証言の方を正しいと思いこみやすい。でも実際には自信がある方が正しいとはいえない。ここには二つの錯覚が混じっている。証言者がおちいる記憶の錯覚と、証言を聞いている方がおちいる自信の錯覚と。そのほかに、自分が見慣れたものに対しては十分に知っていると勘違いする知識の錯覚、単に相関があるにすぎないものに因果関係をみてしまう原因の錯覚、自分の脳が実は十分に使われていなくて、ある簡単な方法でその限界を解き放てると考えてしまう可能性の錯覚。
 これら数々の錯覚を、豊富な実例や実験を参照しながら、丁寧に解説していく。正直なところ、こんなにも人間の脳が信用ならないことにショックを受ける。この本で取り上げられている自信の錯覚と原因の錯覚については、これまでも十分注意してきたつもりであるが、そのほかの錯覚については本当に無防備だった。モーツァルト効果やサブミリナル効果を信じている人は、まだ多いのではないだろうか。
 この本の最後で、「多くの場合、直感は現代社会の解決に十分適応できない」と警鐘を鳴らしている。注意しなければならない。
 脳がどういったパターンで錯覚を起こすのかを知ることは重要である。そうすれば、その錯覚を修正して正しい判断をすることが可能になる。本書はそのための大きな足がかりとなってくれることだろう。

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2011年9月2日金曜日

『Palermo Snow』John Renbourn

 2011年。ジョン・レンボーン。基本的にはギター・インストだが、時にクラリネットなどが絡む。
 シチリア島のパレルモに何十年かぶりに降った雪。それを題材にした標題曲1「Palermo Snow」は、クラリネット(私にはフルートに聞こえる部分もあるのだが、アルバムにフルートの文字はない)の音も影響して、かなり怪しげな雰囲気を醸し出している。それほどまでに、このときの雪は人々の心を不安げにさせた、あるいは落ち着かせなかったというのか。雪は楽しいというイメージがあるので、不思議な印象のある曲。9「Little Niles」も似たような雰囲気を持つ曲。
 シューベルトが好きだったという人のために作った2「Dery Miss Grsk」は、クラシカルな空気を感じさせるきれいな曲だ。シシリー島での想い出をつづった3「Bella Tera」も美しく、これら二つの曲は私のお気に入り。ちょっとカントリーチックで、でも同時にモダンさも兼ね備えている8「Weebles Wobble(but they won't fall down)」もかなり好き。同じ系統の、楽しげながらも少し憂いのあるラグタイム5「Ugly James」や、陽気なカントリーの10「Blueberry Hill」も悪くない。
 クラシック由来のものが2曲ある。エリック・サティの「3つのサラバンド」からの第1番、6「Sarabande」。これはコードヴォイシングに注目をおいた感じで演奏されている。そしてさらりと軽い感じに仕上げた、J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲第1番ト長調第1楽章(長い・・・)からの7「Cello Prelude in G」。どちらもそんなに悪くはないが、前者はやっぱりピアノの原曲の方が好きだし、後者はカザルスの弾く重厚なチェロの方がよい。思うに、クラシックの曲を原曲に比較的忠実になぞったカヴァーは、なかなか元の曲を超えられないのかもしれない。もちろんすてきなカヴァーもあるのだけれど(押尾コータローの「ボレロ」や、渡辺香津美の「Courante from Suite for Unaccompanied Violincello No.1 BWV 1007」(無伴奏チェロ組曲第1番ト長調第3楽章)は、私の好きなギターアレンジです)。
 このアルバムは年季の入った味とでも呼べるようなものを感じることができる作品である。ジョンの力なんだろうなと思う。ただ、全体的にややくぐもった音で録られているのが気になった。

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2011年8月27日土曜日

『スパイス』LUPICIA

 Spices。
 スパイスがいっぱい入った紅茶。シナモン、カルダモン、クローブ、ペッパー。たぶん冬向きの紅茶なんだろうな、と思いつつも夏に飲んでみた。特にシナモンとカルダモンの香りが強く、意外にさっぱりとしている。冷房にやられた体を元に戻すのにはスパイスもいいのかも、と思ったりもする。
 試しにミルクを入れてみたら、チャイになりました。それほどしっかりとスパイスが入っています。

LUPICIA

2011年8月24日水曜日

『ブラジル・グロッタ・サオンペドロ』横井珈琲

 Brazil Grota São Pedro。サンペドロと表記する人もいる。
 味に立体感があって、雑味が少ない。すっきりとした中にも酸味や苦み、フルーツの香りなどが絶妙に配置されている。まるで良質のヘッドホンで音楽を聴いているかのように、味空間とでも呼べるものが口の中に感じられる。やや酸味よりのコーヒーですが、おいしいです。
 先日購入したとき、残り1キロです、と言われたので、もう売ってないかもしれない。もともとロットが少ないのか、よく売れているのか、どちらなのかはわからない。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2011年8月21日日曜日

『Jazz Singer』Rosemary Clooney

 2003年。ローズマリー・クルーニー。
 木のぬくもりのある昔からある落ち着いた喫茶店で流れていそうな、あるいは古い映画音楽に使われていそうな、そんなノスタルジーあふれる楽曲が詰まっている。それもそのはずで、このアルバムに入っている曲はジャズ由来のものが多く(たぶん)、録音も実際には1950年代に行われたものなのだ。彼女はどちらかというとポップシンガーなのだろうが、ジャズの歌い手としても有名で、だからこそ彼女の亡くなった翌年に『Jazz Singer』というこのアルバムが編まれることにもなったのだろう。原曲に忠実に、ほとんど独自の修飾を施すこともなしに歌われているにもかかわらず、実に詩情豊かな仕上がりになっている。張りのある声とバックの演奏とが、ぶつかり合うことなくよいコラボレーションをなしている。
 それぞれの楽曲を聴き込むというよりは、アルバム全体を通した雰囲気に身をゆだね、BGMとしてスピーカーから流しておくのがいい。

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2011年8月17日水曜日

『コンテ』

 Comté。フランスのフランシュ・コンテ地域圏産のハードタイプのチーズ。もともとは40キログラムもある大きなチーズらしい。
 これは12ヶ月熟成されたもの。ラベルには「オールド コンテ」と書いてある。ナッツを思わせる味がして、コクがものすごくある。そのわりに淡泊さも持ち合わせていて、ちょっと不思議な感じ。
 ナッツを思わせる、なんて書くと、すごくおいしそうな感じがするが、実は他のチーズにはない独特のクセがあって、慣れるまでにかなり時間がかかった。初めの頃は、ウォッシュは大丈夫なくせにハードタイプで苦手なチーズがあるなんて、と思いながら食べていた。今でこそおいしくいただいているのですが。

2011年8月14日日曜日

『茉莉東方美麗』LUPICIA

 Jasmin Oriental Elegance。モーリートウホウビレイ。「手毬(THÉ MARI)」シリーズの中の一品。工芸茶。

 ジャスミン(茉莉)の香りを付けた緑茶。甘い。渋みはほとんどない。普通のジャスミンティーです。この記事でルピシアの出している工芸茶は制覇したけれど、味的にはあんまり差はない。どれもジャスミンティーですからね。どれを選ぶかは見た目の好みだけで決めていいと思う。
 このお茶には他のお茶と違って赤が入っていない。緑茶の真ん中にしっかりとキンセンカの黄色い花が埋め込まれていて、そこから上方にジャスミンの白い花が延びている。シンプルでいいですね。

LUPICIA

『Little by Little』Tommy Emmanuel

 2010年。トミー・エマニュエル。基本的にはギターインスト。
 この人は頭に浮かんだメロディは即興で何でも弾きこなしてしまうんだろうな、と思う。これだけ良質な曲が揃っていながら2枚組というのは、かなり嬉しい。超絶技巧満載のアップテンポな曲もDisc 1を中心に何曲かあるが、そうじゃないメロディアスな曲の方が好みに合っている。
 「Little by Little」は、同じような意味のスワヒリ語、「Haba Na Haba」から取られた。この「Haba Na Haba」はDisc 1にインスト版、Disc 2にボーカル版が収められているが、パム・ローズ(Pam Rose)の歌う後者がなんだかカリブの海辺沿いを歩いている感じがして、実にいい。ほかに歌ものでは、リック・プライス(Rick Price)の歌う「Moon River」や、トミー自身が歌っているダグ・アッシュダウン(Doug Ashdown)の「Willie's Shades」なんかがいい。インストで好きなのは、リズムが特徴的でノリのよい「Waiting for a Plane」、ジョン・ノウルズ(John Knowles)とのデュエット「He Ain't Heavy, He's My Brother」、ゆったりしたバラード「Ruby's Eyes」、ちょっとおどけたマイナー調の「Jack Magic」、軽快ながらも美しい「Papa George」。ほかにドイル・ダイクス(Doyle Dykes)とのデュエットでキャロル・キング(Carole King)の「Tapestry」もいいですね。美しいアレンジ。
 Disc 1の方が従来のトミーの雰囲気そのままという感じ。Disk 2の方が変化に富んでいておもしろい。それぞれを単独のアルバムとしてみるなら、Disc 2の方がよくできたアルバムという感じがする。どっちにしてもこの『Little by Little』はかなりよいです。

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2011年8月13日土曜日

『いつものさんばん』横井珈琲

 横井珈琲の定番ブレンド。いつものさんばん。ブラジルやホンジュラスをベースにしている。ほどよい苦みと強さがあって、なかなかいい。喫茶店で出てくるとすると、「ストロング」という名前になっていそう。
 何年か前までは、豆源の『鎌倉ブレンド』と並んで家で飲む定番ブレンドでもあった。この頃は産地のはっきりした珈琲ばかりを飲む傾向があるんだけど、たまには安心して飲める、こうしたブレンドもいい。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2011年8月7日日曜日

『完全解読 カント『純粋理性批判』』竹田 青嗣

 講談社選書メチエ。原点の訳文に忠実に、しかもわかりやすく、をモットーにした、完全解読シリーズの一冊。
 確かにわかりやすい。ふつうの日本語になっている。でも本の中で述べられているように、これは著者の解釈であり、本当のところカントが何を言おうとしていたのかはよくわからない。どうもそのあたりで、カントファンには癪に障るところがあるらしく、この本は評判が悪い。私自身はカントに触れたのが初めてだったこともあり、それなりに楽しめたのであるが。
 人間の認識は感性に始まり、悟性へと進み、最後には理性に到達するという。感性と悟性はアプリオリに定まった形式に従い、つまり経験に忠実な部分でもある。対して理性は経験的対象からは直接的にはつながらない。そして純粋理性概念は、推論のみによって得られた概念だという。カントはこれに対して批判を加える。ただしここでいう「批判」という言葉が、一般に言われる「批判」とはどうも違う意味で使われているような気がしてならない。でもこのことについて本書では触れられていない。だから私にはカントの『純粋理性批判』がどうしてこんな題名になっているのか、ついぞわからなかった。その意味でも、私にとっては完全解読されていない。
 カントは世界に対する説明において必然的に現れる4つのアンチノミー(二律背反)を持ち出す。たとえば理性は、世界は無限であることも証明するし、有限であることも証明する。これはおかしい。どこがおかしかったのか、カントは説明してくれるが、ちょっとトリッキーな感じがした。そもそもこのアンチノミーを持ち出したこと自体がちょっと自作自演な気もしない。そう感じてしまうところに、きっとこの『完全解読』の罪はある。
 個人的に興味深かったのは、神の存在証明の不可能性を述べていたところ。このことはまた同時に神の非存在証明の不可能性をも示しているのがおもしろい。これに関連して、自然神学的証明への批判として、この証明が「世界建築師」としての最高存在者を示しているにすぎず、「世界創造者」としての神を証明してはいない、というのは素直に頷けた。しかし、次のようにカントは続ける。純粋理性による神の存在証明はできない。でも道徳の問い、すなわち実践理性の観点からはそれは可能かもしれない、と。このあとの話は『実践理性批判』につながっていくわけですね。
 なんだかこの記事(私の感想文)はハチャメチャですね。無学の証明みたいな。この紙幅で『純粋理性批判』の感想文なんて私にはムリ・・・(逃げた)

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2011年8月6日土曜日

『アルフォンソマンゴー』LUPICIA

 Alphonso Mango。
 マンゴーの王様といわれるアルフォンソマンゴーをベースにした紅茶。本当にこのマンゴーなのかはわからないけど、一応果肉が入っている。
 暑いのでアイスティーにしてみた。とてもきれいなオレンジ色で、南国のイメージにぴったり。アイスティーなのであまり香りはしないけど、結構強めの甘い香りをつけているようだ。アイスでちょうどよいくらい。マンゴーの濃厚な味がしっかりと感じられるのがいい。

LUPICIA

2011年8月3日水曜日

ESTEBANのお香

 今使っているESTEBAN(エステバン)のお香。左の下が「Esprit de thé(エスプリ ド テ)」、右の二つが「YUZU(ユズ)」、上に乗っているのが「Pivoine impériale(ピボワンヌアンペリアル」。無理に訳せば、それぞれ、茶の精神、柚子、皇帝の牡丹(皇帝のピボワンヌ物語をイメージしたもの)。
 好きなのは断然「ユズ」。これは「エスプリ ド ナチュール」シリーズの1品で、このシリーズには好みのものが多いです。「バンブー」、「ロータス」、「プラム」など。この「ユズ」は、ここ数年在庫を切らしたことがない。もともとシトラス系の香りが好きなのです。
 エステバンのお香は、個人的には夏向きだと思うんですね。窓を開けて風の通る中を燻(くゆ)らせてやる。香りがきつめで煙たい傾向が強いので、風が流れているくらいがちょうどいい。ん?ふと思ったんだけどこれは北海道の話かもしれない。ふつう夏は窓を開けないでエアコンをつけるのか。とにかく、閉め切った空間だとちょっとむせる。そんなときはエステバンじゃなく、リスンとか松栄堂のお香を焚くことが多い(正確にはリスンも松栄堂の仲間だけど)。
 そんなこんなで、エステバンの香りが漂う今日この頃です。

ESTEBAN』HP

2011年7月31日日曜日

『Mimolette』

 ミモレット。フランス産のハードタイプのチーズ(オランダ産もある)。アナトー色素で鮮やかなオレンジに色付けされている。
 今回のものは12ヶ月熟成されたもので、弾力はなくなり硬めの仕上がり。見た目も味も、少し「からすみ」っぽい雰囲気がある。やや強めの塩味と豊かなコクが何ともいい感じでおいしい。

2011年7月30日土曜日

『HoSoNoVa』細野 晴臣

 2011年。
 「ホソノ場」であり、ボサノヴァならぬ「ホソノヴァ」でもあるこのアルバム。全曲ヴォーカルというのは、『HOSONO HOUSE』(1973年)以来。あのときのようなインパクトはないけれど、そのときにはなかった老練なる安定感がある。カヴァー5曲、オリジナル7曲の構成なのだが、すべてが細野晴臣の音楽になっている。ギターとベースを基軸としながらも、アコーディオンやマンドリンなどが絶妙に絡んできて、細野の朴訥(ぼくとつ)とした声がそれら全体をとりまとめている、という感じ。どの曲も気に入っています。
 題名からはボサノヴァのアルバムかとも思ってしまいそうだが、実際にはボサノヴァ風の曲4「Rosemary, Teatree」(リズムの基本はルンバだけど)があるくらいで、ほとんどの曲は、大きな括りでポップスということなんだろうと思う。
 このアルバムは、どこかヨーロッパの海辺の街に誘(いざな)ってくれそうな1「Ramona」から始まる。ワルツのリズムを刻むギターがいい。チャップリンの『モダン・タイムス』からの2「Smile」も異国情緒に溢れている。3「悲しみのラッキースター」は、スキップしたくなるような軽快なポップ。ベースとアコーディオンが織りなすリズムが心地よいのは、5「ただいま」。6「Lonesome Road Movie」、7「Walker's Blues」は『HOSONO HOUSE』に入っていてもおかしくないような懐かしい感じの曲。いいですね。8「バナナ追分」はCoccoの声の絡みが妙にはまっていて、いい感じ。9「Lazy Bones」、10「Desert Blues」は、どちらも素敵なブルースです。11「Kimona Girl」(カモナ・ガールと読む)もブルースなのだが、邦楽旋律を使った、頽廃ムード満開の異色なブルース。最後を締めるのはプレスリーからの12「Love Me」。このアルバムでは異質な雰囲気を持っているが、アルバムを締めくくるのにはぴったりなのかもしれない。
 以上、(私のブログでは珍しく)全曲駆け足で紹介してみました。ホソノワールド、いかがでしょうか。

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2011年7月24日日曜日

『Philosopher's Stone』下山 亮平

 2011年。ソロ・ギター・インストルメンタル。タイトルは「賢者の石」ですね。制作が「Philosopher Records」だから、それに引っかけたのかもしれない。
 ノリのよい曲はあっても、派手な曲がない落ち着いたアルバム。堅実な演奏。かたい演奏ともいえるが。そのときのインスピレーションにまかせて勢いで曲を作っているというよりは、考え抜いて音を並べていった、という印象を強く受ける。演奏だけじゃなく、曲作りも堅実な感じ。全体的にちぢこまった印象があり、その辺りに物足りなさを感じるが、別に個々の曲が悪いわけではない。
 少ない音数に哀愁が詰まっている11「冬の銀河」。さわやかな雰囲気の6「ハーパーズ・ミルの朝」、7「Wedding Bouquet」。暖かいオレンジ色の光に満たされる12「陽光」。3「降る雪を見ればセンチメンタル」もいいですね。
 こうして聴き返してみると、きれいなメロディが多い。コード・ワークで攻めるんじゃなくて、メロディ・メーカーなんだと思います。

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2011年7月23日土曜日

『茉莉鴻運高照』LUPICIA

 Jasmin Water Sprite。モーリーコウウンコウショウ。「手毬(THÉ MARI)」シリーズの中の一品。工芸茶。

 ジャスミン(茉莉)の香りを付けた緑茶。渋みがちょっとだけある、普通のジャスミンティーといった印象。二煎目以降はそれに甘みが増してくる。甘みが入っている方がおいしいですね。ただ、「手毬(THÉ MARI)」シリーズ内のお茶はほとんど同じ作りをしているんだから、お茶によって、そう味が変わるわけではないとは思う。
 見た目はシンプルですね。緑茶の中からジャスミンの白い花が立ちあがって、その一番上に千日紅の赤い花が鎮座しているという。懲りすぎていないところが、逆に好感が持てる。

LUPICIA

2011年7月18日月曜日

『Brie de Meaux』

 ブリー・ド・モー。フランス産の白カビタイプのチーズ。イルドフランス地域圏のモー(Meaux)郡のブリーということだが、ブリー・ド・モーだけでひとつの固有名詞みたいになっている。1815年のウィーン会議でのチーズ自慢で1等賞になり、「チーズの王様」と賞賛されたという。
 今回のものはほぼ2ヶ月熟成させたもので、においも結構強い。熟成させていないとすごく食べやすいチーズなんだけど、これくらいになるとチーズが好きな人じゃないと駄目かもしれない。でもとてもクリーミーで、舌の上でとろける感じが何ともいえない。そしてコク。このしっかりと塩味のついた強いコクは、食べていて嬉しくなる。赤ワインがほしい。飲めないくせに。

『Lákura 分室』

 『Café Lákura』、『楽蔵(分室)』とも。札幌の厚別にあるセレクトショップ『Lákura(ラクラ)』が運営するカフェ。札幌すすきの前を通る国道36号線を西に行き、ジョモのガソリンスタンドの手前で左(南)に折れ、すぐに右の細道に入る。ガソリンスタンドのすぐ裏手で、本当にこの道でいいのかと思うほど道幅が狭いが、それで正しい。細道の左手前方に煉瓦造りの倉庫が見える。このカフェだ。昔この建物は『はーぜんろっほ』というカフェだったのだが、知らぬ間にこのカフェに変わっていた。
 店内は、『はーぜんろっほ』のときよりも洗練された雰囲気が漂っている。温もりのある白い壁と、木製の濃い茶色の家具や柱とのコントラストがいい。1階がカフェ、2階がショップやライブスペースとして使われている。カフェスペースからは庭の景色が見え、都会の喧噪から逃れてきたような感じがして、くつろいだ気分になれる。テーブルの上に置かれた板のメニューや、建物内の案内に使われている丸っこい字も、どこかあたたかみがあってほっとする。
 コーヒーは『森彦』によるブレンドで、かなり濃い苦み系。パンは小樽の忍路の『エグヴィヴ』のものを使っているそうだ。今日のランチはこのパンをピザ風にしたものと、キッシュとスープのセットだった。

Lákura 分室』札幌市中央区南4条西9丁目1009-3(地図

2011年7月16日土曜日

『グァテマラ・サン・ヘラルド』横井珈琲

 普通の豆の量で淹れると、かなり濁ったざらついた強い酸味があって、私にはきつい。これはやや少なめの豆を、高めの温度でさっと淹れるのが正しい(と思う)。そうやって淹れたコーヒーは、すっきりとして清楚な出で立ちをしている。これならおいしい。ほどよい酸味が心地よい。
 そういえばグァテマラっぽい感じがしない。コロンビアの味のイメージに近い。このごろのコーヒーは産地国でカテゴライズするのはあまり意味がないのかな、とふと思った。同じ国でも農園によって全然違う味がするし、さらに同じ農園でも年によって違う味になる。これは昔からそうだったのに、私が産地にこだわっていたために、色眼鏡ごしにコーヒーを味わっていたせいなのかもしれない。そうなると、このブログのタイトルは、「『グァテマラ・サン・ヘラルド2011』横井珈琲」とすべきなのかも。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2011年7月12日火曜日

『親愛的... 我還不知道』張懸

 2007年。チャン・シュエン。Zhang Xuan。台湾の女性シンガー。でもアマゾンにはアーティスト名として「Deserts Xuan」と書いてある。なぜだろう。確かにジャケットには「deserts」と手書きで書いてあるが、紛れもなく張懸のアルバムであるはず。
 以前購入した張懸の『My Life Will...』(記事)があまりにもよかったので、彼女のアルバムを順番に聴いてみることにした。
 やっぱり好きですね。ギターの音(アコギもエレキも)と彼女の声が織りなすアンニュイな雰囲気が、今の気分にぴったりはまる。少し激しめの1曲目「畢竟」から、この世界観に引き込まれた。アルバム全体の印象としては、ノリのよい曲や静かな曲を適度に織り交ぜながらも、全体としてはあまり派手さを感じさせない。キャッチーな曲がほとんどないのも、そういう印象を持った理由のひとつかもしれない。
 個人的な好みでいえば、静かめの曲の方が好きです。前作の「寶貝」を思わせる、かわいらしい感じの6「兒歌」。アコースティックギターのバッキングにピアノのエッセンスを利かせた4「親愛的」。語るように歌を紡いでゆく7「模樣」。きれいな旋律が印象的な11「並不」。
 5「gonna stop」や8「討人厭的字」のようなノリのよい曲もいいですけど、ただ、どんなタイプの曲であれ、憂いや翳りといったものが感じられる。それが魅力のひとつであることは確かですね。

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2011年7月10日日曜日

『茉莉幸運花藍』LUPICIA

 Jasmin Bouquet of Happiness。モーリーコウウンカラン。「手毬(THÉ MARI)」シリーズの中の一品。工芸茶。

 ジャスミン(茉莉)の香りを付けた緑茶。控えめな甘み。緑茶の味もちょっと物足りない。味はそこそこ、という感じ。と、ここまでは一煎めの感想。二煎めは全体的にまろやかになり、味もしっかりと出てきて結構おいしい。緑茶は一煎めよりも二煎め以降の方がおいしくなったりするから、注意しないといけない。紅茶と違って、一煎めでやめるのは実にもったいない。
 このお茶、見た目も大成功です。緑茶の土台のちょうど中央に千日紅の赤い花があって、左右からはジャスミンの白い花とクコの赤い実が交互に立ち上って、アーチをなしている。工芸茶は、もちろん味がいいことに越したことはないけれど、見た目がとても重要だと思うんですね。これはよくできています。贅沢な気分を味わえる。

LUPICIA

2011年7月9日土曜日

『井上ひさしと141人の仲間たちの作文教室』井上ひさしほか文学の蔵編

 新潮文庫。
 この本は、1996年に岩手県一関市で行われた3日間の「作文教室」をまとめたものである。「文学の蔵」の人が、井上の講義を文字に起こしている。
 「文章講座」ではなく「作文教室」なのには理由があり、基礎からやりましょう、ということらしい。一番のポイントはもう最初のページに書いてあって、
「作文の秘訣を一言でいえば、自分にしか書けないことを、だれにでもわかる文章で書くということだけなんですね。」
に尽きてしまう。でもこれが一番難しいことで、プロにでもなかなかできないという。このことを教えてもらったことだけで、この本を読んだ元は取ってしまった。
 他に、文は短い方がいいだとか、一人称はほとんど必要ないことが多いだとか、色々なことがポイントを絞って語られる。私は全然これらのことを実践していないな、と思いながら、反省しつつ読み進めた。ときにユーモアを交ぜながらも、話が国語教育批判に及ぶなど、硬軟とりまぜた話がおもしろい。
 本書の最後には、生徒の書いた原稿用紙1枚の作文と、それに対する著者の添削が26編収められている。これが実に役に立った。わかりやすく人に伝える文を書くにはどうすればよいのかが、直にわかった。
 この本に書かれたことがすべての場合において正しい、とは思わない。でもとても大事なことが書かれている。たまにこうして基本に立ち返ることはよいことだ。一応文章を人に公開している自分にとっては。

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