2010年12月31日金曜日

2010年の振り返り

 今年(2010年)の一番はじめに書いたブログで、1年の目標を立てた(記事)。それは、「A.大きな目標(必ず守るべき目標)」と、「B.小さな目標(ある意味どうでもいい目標)」とから成っている。大きな目標は、仕事とブログを続けることだった。1ヶ月に書く記事の数は減ってしまったけれど、この二つは何とか達成できた。問題は小さな目標の方である。ある意味どうでもいい目標だから別にいいのだけれど、これは半分も達成できなかった。目標が多すぎたのかもしれない。
 来年は特別な目標は立てないでおこうかと思う。ただ、仕事とブログだけは続けよう。それで、いっぱいいっぱいみたいだから、この二つの目標が達成できれば、よしとしよう。

2010年12月30日木曜日

RANBANの鳥

 『CAFÉ RANBAN』(記事)の各テーブルには、お澄ましした鳥が鎮座している。。赤かったり茶色だったり。たぶん設立当初からいるんじゃないか、と思われるが、何しろそのころ私はこの喫茶店のことは知らなかったから、確かなことは言えない。ただ、少なくとも私がこの店に出入りするようになったときには既にその鳥はいた。ちなみに、私がこの鳥の頭を持ち上げることは滅多にない。なぜならこれはシュガーポットだから。
 ランバンの代名詞みたいな存在。

CAFÉ RANBAN』札幌市中央区南3条西5丁目20(地図

『たまたま』レナード・ムロディナウ

 ダイヤモンド社。Lenard Mlodinow。田中三彦、訳。副題「日常に潜む「偶然」を科学する」。
 著者によると、ビル・ゲイツの成功も、ブルース・ウィリスの成功も、偶然の産物だという。同じような才能を持ち、同じような境遇にありながら、成功者と失敗者が出るのは、何も特別な理由あってのことではない。すべては「たまたま」である。同じ事象をとっても、実際の世界ではランダムネス(ばらつき)が存在し、たまに極端な結果が出ることは何の不思議もない。例えば二つのチームでワールドシリーズを戦うとき、一方が55%の確率で勝つことが請け負えるとしても、7試合制で勝負を行うと、10回に4回は弱いチームが優勝する。
 本書は、身近な話題を通して、確率と統計の話を一般向けにわかりやすく解説したものである。数式は一切出てこない。人が陥りがちな直感と現実との差異についてや、ギャンブルの話、統計学の歴史など、話題は豊富である。目から鱗の情報が結構ある。容易には受け入れがたいものも含めて。
 たぶん述べられていることは正しい。でも「たまたま」あることが起きることを前面に押し出しすぎているために、読後にある種の虚無感みたいなものを感じてしまう。努力と実力は成功とは何の関係もないのか、みたいな。実は著者は、何の関係もない、とは言っていない。最後の方で、ほんの少し努力の有用性を述べたりもしている。ただ、世の中には、成功した人は偉くて、失敗した人は劣っているんだ、という考えがあまりに拡がりすぎているために、それは実力のせいだけではなく、偶然の作用が強く働いているんだよ、ということを強調して述べざるを得なかっただけなのかもしれない。間違った常識と実際の世界との間のバランスを取るために。

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2010年12月29日水曜日

『CAFÉ RANBAN』

 ランバン。
 札幌駅前通から狸小路の1本南側の通りを西に行くと、ノルベサのちょっと先の右手に、『ランバン』というカフェがある(国道36号線あるいはすすきのの通りの1本北側といった方がわかりやすいかもしれない)。もともとこの店は2階部分だけから成っていた。少し焦げ茶がかった黒色に塗られた木の雰囲気がとても良い、落ち着いた店だった。階段を上ると、目の前に横に長いカウンターが現れる。視線を左に向けると、奥の窓のあるコーナーに、テーブル席もいくつか設(しつら)えてある。この2階部分は今も当時のまま残っていて、右の写真は、ここをカウンターから窓の方に向かって撮影したものである。
 昔、1階部分は『サラ』というカジュアルな食事を出す店だった。メニューによっては、ランバンのものが供された。この『サラ』のシェフは、今は独立して『モンペール』というフランス料理店を営んでいる。ちなみに『モンペール』はそんなにカジュアルな店ではない。その『サラ』がなくなった後、改装して、『ランバン』は1階と2階にまたがるカフェとなった。1階は清潔で都会的な印象で、2階の「旧き良き」という感じとはまったく異なる趣である。今は1階でコーヒーを淹れて、2階に持ってきてくれる。
 ネルドリップで淹れるコーヒーはどれもおいしい。私は本当においしいコーヒーを飲みたくなったとき、この店に来る。家では飲むことのできない極上のコーヒーを味わえる。マンデリンをこんなにおいしく淹れてくれる店は、他に知らない。

CAFÉ RANBAN』札幌市中央区南3条西5丁目20(地図

『はなやかブレンド』徳光珈琲

 焙煎はシティロースト。高温で淹れると苦味がやや強くなるが、ふつうに淹れると酸味系の珈琲なんだな、と感じる。ふつうに淹れた方が舌触りが滑らかになり、断然いい。まあ、あえて高温で淹れる人もいないのだろうが、沸かし立ての薬罐(やかん)から直接コーヒー豆にお湯を注いじゃいけない、ということです。それはどのコーヒー豆にも言えますよね。
 あっ、この豆の好み具合ですが、ふつうです。可もなく不可もなく。

徳光珈琲
『徳光珈琲円山店』札幌市中央区大通西25丁目1-2 ハートランド円山ビル1F(地図
『徳光珈琲大通店』札幌市中央区大通西3丁目大通ビッセ2F(地下鉄大通駅直結、北洋大通りセンタービル)(地図

2010年12月27日月曜日

『UTAU』大貫妙子 & 坂本龍一

 2010年。「うたう」。
 絞り出すように、一音一音を大切に歌い上げる大貫の声を、寄り添うようにしながら、しっかりと支える坂本のピアノ。一本の樹木が床下から這い出てきて、それが徐々に部屋中に生い広がるように、音が、私のいる空間を満たしていく。それらの音は、現にそこにあり、まるで手で掴めそうだ。ピアノと歌だけの、たったそれだけの世界なのに、それは大きくて深い。
 アルバム内の曲は、坂本の曲に大貫が詞をつけたもの、もともと大貫の曲を編曲したもの、童謡など、さまざまである。その中で、坂本の作曲したものは構造的、構成的な感じがするのに対し、大貫のそれは少し感傷的な印象がある。それでいて、動的に絡み合う歌とピアノは、お互いに相手を引き立てあい、見事な統一感を見せている。それは、ややルバート気味に勿体ぶって奏でられるピアノの音が、不揃いな10本の指それぞれの息づかいを感じさせていることと、無関係ではあるまい。そのあふれ出る人間味は、「Instrumentals」と名付けられた2枚目のCDでも変わらない。こちらは、坂本のピアノが中心となっているにもかかわらず、大貫の存在感も十分に伝わってくる素敵なCDである。
 そんな二人の魅力が詰まったアルバムなのであるが、なぜか私が感情移入してしまう曲は、大貫が作詞作曲した、5「夏色の服」、10「四季」、11「風の道」の3曲である。坂本の作曲した1「美貌の青空」だって、2「Tango」だって、悪くはないのに。

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2010年12月24日金曜日

『クリスマスブレンド』徳光珈琲

 二日連続のクリスマスブレンド。たまたま。
 徳光珈琲のクリスマスブレンドはフレンチローストだったのだが、それほど強い苦味はなく、むしろ適度な酸味がアクセントになっていて、すっきりした印象だった。飲んだ後、ミント系のキレの良さを感じる。この爽快感は、かなりいい。

徳光珈琲
『徳光珈琲円山店』札幌市中央区大通西25丁目1-2 ハートランド円山ビル1F(地図

2010年12月23日木曜日

『クリスマスブレンド』宮田屋

 久しぶりにこの店に来た。広々とした薄暗い倉庫の中は、この時季にしてはそれほど冷え込んでいなかった。人の姿もまばらで、視界をうまい具合に遮る衝立のせいもあって、自分の時間を取り戻すには、ちょうど良い静けさが漂っていた。
 メニューの上の方に、いかにも季節限定といった風情でテープで貼られていたのが、このクリスマスブレンドだった。酸味も苦味もそれほど強くなく、やわらかく優しい口当たりの飲みやすいコーヒーだ。少し和風の器の雰囲気と相まって、ゆったりとした気持ちにさせてくれる。名前に掛けて、紅白の螺旋(らせん)の模様をしたステッキ形の飴が添えられているのが、ほほ笑ましく感じられた。

宮田屋』東苗穂店 札幌市東区東苗穂5条2丁目11-18(地図

2010年12月19日日曜日

『シュロップシャーブルー』

 Shropshire Blue。スロップシャーブルーとしている店もある。イギリス産のブルーチーズ。アナトー色素で色づけされているので、かぼちゃ色になっている。もちろん、色だけオレンジになっているだけで、かぼちゃの味はしない。ブルーとしては、そんなにきつい味はしなくて、やわらかい刺激があるくらい。食べやすい部類に入ると思う。ただ、久しぶりにブルーを食べるせいか、慣れるまで、においが強く感じられた。他のサイトの記事などを見ると、水分がやや多くねっとりとしている、と書いてあったりするが、私の食べたものは硬めだった。乾燥してしまったのかもしれない。

2010年12月18日土曜日

砂糖はやっぱり太る?

 砂糖を摂取しても太らない。そう私は思っている。その根拠のひとつとなっているのが、『「砂糖は太る」の誤解』(記事参照)という本で述べられている内容である。
 でも、今日本屋で立ち読みをしていたら、『Tarzan特別編集 太らない食べ方 完全BOOK』の中に、次のような記述があった。

 砂糖を摂取すると、インスリンが分泌される。インスリンは脂肪の分解を抑制する働きがあるので、その結果、砂糖を摂取すると太る。

 私としては、全般に前書の内容の方が説得力を感じるのであるが、後書の論拠を蹴散らす反論のようなものは、前書にはなかった。だから、どちらが正しそうなのか、私には判断がつきかねる。気になってしょうがない。
 さて、砂糖は太るんでしょうか。太らないんでしょうか。

以下、amazonで見てみる。
『「砂糖は太る」の誤解』
『Tarzan特別編集 太らない食べ方 完全BOOK』

2010年12月17日金曜日

『橋本治という行き方』朝日文庫

 「生き方」じゃなくて、「行き方」。この着眼点がすごいと思う。センスを感じる。「生き方」を模索してもなかなか見えてこないものが、「行き方」というベクトルを見据えることで見えてくる。あくまでこの本に書かれているのは「行き方」であって、「生き方」ではない。でもそのふたつはどこかでつながっている。The BOOMの曲に「逆立ちすれば答えがわかる」というものがあるが、ある意味、それの表していることと、このこととは、相似形である。
 この本を読んで以来、私は生きることを考えるのに行き詰まったとき、自分の「行き方」を考えるくせがついた。こうすることによって、問題点が何なのか、自分はどうすればいいか、といったことの答えに対する見通しが、立ちやすくなった。しかし、その先にほんとうに自分の得るべき答えがあるのかどうかは、また別の話である。あくまで上で述べたことは、考えるヒントをまたひとつ(私が)手に入れた、という話。
 ちなみにこの本を読んだのはハードカバーの装丁のもので、かなり昔のことである。あえて内容には触れませんでした。この記事は、本の紹介文にも感想文にもなってませんね・・・。「行き方」という考え方を紹介したかっただけでした。

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2010年12月13日月曜日

『Bi. Ha. Da. ブレンド』カリス成城

 ローズヒップとレモングラスの相性が抜群。他にハイビスカス、レモンピール、オレンジピールも入っていて、全体で素敵なハーモニーを奏でている。もちろん酸味が利いているけれど、それが嫌みでなく、飲みやすい。バランスがものすごく良いハーブティー。色も鮮やかな赤で、とってもきれい。

カリス成城 HP

2010年12月12日日曜日

『knot』田中 彬博

 ノット。2010年。
 カヴァー2曲から始まる。1「ルパン三世のテーマ'80」は、ウォーキングベースを取り入れての、スウィンギンな泥臭いアレンジ。対して2「My favorite things」は、お洒落ですっきりとした印象にまとめている。
 カヴァー以外は、日本的なメロディを感じさせるものが心に残る。日本の里山のイメージが思い起こされて、郷愁を誘う、3「Humming bird」。穏やかな午後の日射しの中、田園都市線のあざみ野駅構内でゆったりと電車を待っているような雰囲気の、4「あざみ野」。落ち着いた、奇をてらわない、きれいな旋律が流れる、7「手紙」。京都らしい紫の色彩を意識して作ったという、8「春風」。
 アルバム全体から、優しさがあふれている。ギターの音色をとっても、アレンジをとっても。この人のギターは、吉川忠英に通じるところもあって、安心して身を委ねられる。

Shop at Pooh Cornerで見てみる

2010年12月8日水曜日

『生姜な紅茶』LUPICIA

 Ginger Tea。「スパイシーな生姜をアフリカ産CTC紅茶にたっぷり入れました。やさしい飲み口に、清涼感ある風味が生きています。ミルクティーやチャイにも最適。」

 生姜をカットしたものが結構入っていて、煎れたお茶が濁るほどだ。やわらかく良い香りが辺りに漂う。でも生姜の量のわりに、味はきつくなく、飲みやすい。体が温まる。ちょっと甘みを入れてもいいかもしれない。結構好き。

LUPICIA

2010年12月7日火曜日

「です・ます調」と「だ・である調」

 学校でも職場でもそうだろうけれど、ひとつの文章を書くとき、「です・ます調」と「だ・である調」は統一するべきだ、と言われる。もちろん仕事の文章を書くときは、私だってきちんとそれは使い分ける。でも公的な文書(この場合、私的ではない文書のこと。家電の説明書とか)以外では、混ぜこぜにしたっていいじゃないか、と私は思うのです。だから「S-AKI's blog」は「です・ます調」と「だ・である調」を混在させています。混ざっていることは意識しています。むしろ、あえてそうしている。基本は「だ・である調」。読者とコンタクトを取り合いたい気分の時は「です・ます調」。その他、気持ち次第で行ったり来たり。もしかしたら、この、気持ち次第、っていうのが一番影響してるかも。
 統一されていないと気持ち悪い人がいるかもしれない。でもごめんなさい。私はこうやって書きたいの。
 ほんとうは、「だ・である調」でありながら、「です・ます調」であるかのように感じてしまう文章を書きたいのだけれど、それは私の能力の限界を超えている。

 ちょっと言い訳じみた記事になってしまいました。たまには肩の力を抜いて、「ひとりごと」のタグに分類される記事を書いてみたくなる私でした。

2010年12月3日金曜日

『Al Toque ~フラメンコの飛翔~』沖仁

 2010年。アル・トーケ。フラメンコギターを弾く、みたいな意味。沖仁はフラメンコギタリストで、今年、ムルシア "ニーニョ・リカルド" フラメンコギター国際コンクールの国際部門で、日本人として初めての第1位を取っている。
 彼のアルバムは全部持っているけれど、なんか私からはずーっと遠くまで離れて行ってしまったような感じがする。このアルバムの世界観を受け入れるまで、数日かかった。今、やっと受け入れることができたようなので、こうして記事にしている(基本的に音楽アルバムを記事にするときは、自分の言葉として感想が出てくるまで、繰り返し何度も聴いています)。このアルバムは、私にとって、現代美術の最先端と同じような距離感がある。もしかすると、それは音楽性だけの問題ではなくて、からっと乾燥したような、高周波成分の多いギターの音色のせいでもあるのかもしれない。
 聴きやすいのは、ポピュラーに近い構造を持っていて、メロディのはっきりした3「ソンリサ~微笑の季節~」、6「葉山町」あたりである。フラメンコがばりばり好きな人には、2「歌えロサリオ!」、4「ミラドール・デ・コルドバ(ブレリア)」、5「ア・ラ・ティエラ~大地へ~(シギリージャ)」、11「胎動(タラント)」をお薦めする(括弧内はフラメンコの曲種であって、曲名ではありません)。そして、ロドリーゴ・イ・ガブリエーラが好きな人なら、7「オンセ」もいいかもしれない。
 ちょっとフラメンコとしては異色だが、10「あなたのもとへ」のサビ(最後の方)は、ヱヴァンゲリヲンでレイが世界と一体化していくようなシーン(例えばそんなシーンがあったとして)で流れていそうな、壮大なバラードである(マニアックですいません。まあ、いつもそれなりにマニアックかもしれませんが)。他に、彼にとっては手慰みだと思うけれど、9「クラシック・メドレー(ブレリア)」なんてものもあって、息抜きになります。

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『マーガレッツホープ、2010-DJ147』LUPICIA

 Margaret's Hope, FTGFOP1 2010-DJ147。「豊潤な香りとしっかりした焙煎香が織りなす、名園ならではの甘い余韻。正統派の夏摘み紅茶です。」

 インド、ダージリンのクルセオン・ノース地区にある、マーガレッツホープ茶園によるセカンドフラッシュ。
 香りがおもしろい。ぶどうのような、すこしフルーティな香り。でもストレートな感じじゃなくて、ちょっとひねたような。世の人はこれを指してマスカテルフレーバーというのかもしれないけれど、私にはよくわからない(お茶に詳しい人から指導を受けた経験がないので)。味は、どっしりとしていて深みがある。ただ、私はそんなに好きではない。この紅茶の前に飲んでいたキャッスルトン(記事)があまりにも良すぎたから、そう感じるのかもしれないけれど。
 といっておいて何ですが、紅茶ポットの中で長めに蒸されて、渋みが増してきた2杯目、3杯目の味は、結構好きだったりします。

LUPICIA

2010年12月2日木曜日

『生物多様性100問』盛山 正仁

 木楽社。監修、福岡伸一。
 折しも、この10月(2010年)、名古屋において、生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が開かれたところである。でも、生物多様性ってよくわからない。これが購入動機のひとつ。そして生物多様性に関連して、ニセアカシヤ(ハリエンジュ)の問題を知りたかった、というのがもうひとつの動機。
 札幌といえばアカシヤ(通称)、という人も多いのではないかと思う。実際、市内の街路樹としてもよく使われており、今行われている駅前通の工事でも、このニセアカシヤを導入しよう、という計画がある。でもこれに反対する人もいる。なぜならこの木は、外来生物法における要注意外来生物リストに載っているからだ。河川敷などに繁茂して、生物多様性を脅かす恐れがあるという。えぇっ、今まで札幌でそんな問題聞いたことないよ、というのが、はじめ私がこの事実を知ったときに持った感想。で、実際のところはどうなんだろう、と。
 結論から言うと、ニセアカシヤの問題はこの本を読んでもよくわからない。何となく、ニセアカシヤは植えない方がいいのかもしれないな、という印象を持った程度。軽い肩すかしではある。
 もうひとつの、生物多様性ってよくわからない、ということについては、少しだけ雰囲気はつかめた。生物多様性には3つの観点があって、それは、生態系の多様性、種の多様性、遺伝子の多様性なのだそうだ。一般的には種の多様性だけが大きくクローズアップされる傾向にあるため、この3つの観点を知ったとき、視野は拡がった。
 とはいえ正直な話、その他のことについては表層的な議論ばかりが目立っていたような気がする。100の問題に対して、問いと答えと解説が並べられているのだが、生物多様性の根本の大事なことについては、あまり触れられていない。おそらくこれはこの本の構造的な問題でもあるのだろう。それぞれの問いにつながりを見いだすことが難しく、この本を読んでも生物多様性について系統立てて学ぶことはできない、と感じた。あと、言質が政府寄りの印象が強いのが気になった。日本はこんなに進んでいるんだよ、という自己満足的な主張の数々。
 救いは、福岡伸一による解説「生物多様性を解くキーワード、それは動的平衡」であろうか。生物多様性を保つことの重要性がわかりやすく、しかも的確にまとめられている。
 全体としては、厳しい言い方になってしまうが、生物多様性について系統的にきちんと知りたければ、他の書籍に当たった方がいいと思う。

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