2009年12月30日水曜日

2009年を振り返って

 明日すなわち大晦日にはブログを更新する暇はないだろうから、今日簡単にこの1年を振り返ってみたい。徒然なるままに(ここが重要です)。

 1年前の大晦日、このブログは私の「メモ」として立ち上がった。最初のうちはその原則を忠実に守っていたように思う。少なくとも私は「メモ」を外れることがないように気をつけていた。それがいつしか言葉が勝手に走り始めるようになり・・・
 とはいえ私はかなり自制をしているつもりだ。「メモ」という原則から「そうは」大きく外れていないのではないか、と自分を慰めつつ勝手に思っている。
 しかし、もうそろそろ次のように定義し直した方がいいのかもしれない。

 「『S-AKI's blog』は音楽、本、嗜好飲料などを通じてS-AKIという人物像をあぶり出す機能である」

 うーん、わかりづらい。「心とは脳の機能である」とある人は言ったが、それのパロディではないか。でも実際これを狙ってはいるのかもしれない。私は人からはちょっと変わった人と見られていて、だけどそんな変わった人である自分を認めてもらいたい。だからこうして読書感想文などをネタにして自分をさらけ出している。でもさらけ出す場はリアルワールドとは切り離されていなければならない。なぜなら自分が変わった人であるということをブログの中には持ち込みたくないから。
 やっぱりわかりづらい。でもわかりづらいのはある意味当たり前なのだ。私はなるべくわかりづらくなるように婉曲的に書いているのだから(「自分」という言葉が一体何を指すのかに気をつけながら読むと、少しはわかりやすくなります。でもやっぱりわからないよね)。何故そんなことをするのか。自分でも自分のことがよくわかっていないのに、他人から簡単にわかられたくないからだと思う(ここで疑問が出てきます。「わかる」ってどういう意味なんでしょう)。でもこんなことを書くと、「こいつはめんどくさいやつだ」とレッテルを貼られるんだろうな(つまりわかったふりをされるということです)。堂々巡り・・・

 こんなに自由にブログにつぶやいたのは初めてかもしれない。でもまた明日から自制します。

 Twitterでもmixiでもなく、コメントが飛び交いトラックバックでつながっていくという濃密なブログでもない、そんな今の状態が気に入っています。来年はこのブログがどのように変化していくのでしょう。自分でも謎です。1年間お世話になりました。

『MUSCAT』LUPICIA

 マスカット。「マスカットのさわやかで豊潤な香りが深い印象を与える紅茶。アイスティーにもおすすめ。」

 飲みやすい。普通においしい。香りがマスカットで味は普通の紅茶、という感じ。『MUSCAT DARJEERING』はマスカット・フレイバーと称されるダージリンをどうしてマスカットで味付けするの?という意味で好きになれなかったけれど、この紅茶はおいしい。

LUPICIA

2009年12月29日火曜日

『Double Standards』Martin Taylor

 2008年。マーティン・テイラー。ジャズギタリスト。メロデイ、ベース、ハーモニーを同時に一人でこなすソロギタースタイルを取ることで有名。と言ってもこのブログに出てくるギタリストの多くはこのスタイルのギタリストではあるのだが。
 このアルバム中の曲はすべて、まずマーティンが一人で録音し、その後マーティン本人がオーバーダビングする、という風に作られている。つまり二人のマーティンが奏でる音楽というわけだ。そしてすべての曲がいわゆるスタンダード曲なので、『Double Standards』というタイトルになっている。
 どの曲も抜群の安定力で、本当に安心して聴ける。木々に囲まれたクールでシックな喫茶店で、木漏れ日の中ゆったりと紅茶を飲みながら過ごしていたい、そんな気にさせるアルバムだ。ずっと繰り返し聴いていても飽きない。BGMとしても最適である。ただ、逆に特徴を挙げづらいとも言える。あまりに安定している。個人的には2本のギターのどちらも同じギターで弾くのではなく、違うギターを使った方が音色が違っておもしろかったんじゃないかとは思う。
 気に入ったのは、2『Bluesette』、3『Young And Foolish』、7『Someone To Watch Over Me』、9『Estaté』あたり。特に『Someone To Watch Over Me』が好き。メロディがもともと好きなせいかな。
 余談ではあるが、アメリカの有名なギターブランドの名前を氏名にそれぞれ持つなんてすごいと思った。

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『CARAMÉLÉ』LUPICIA

 キャラメレ。「アーモンドが隠し味の、どこか懐かしく甘い香りの紅茶。ミルクでもストレートでも。」

 飲んでいるときは、微かな甘さが舌と鼻を潤す程度で主張は少ない。そしてしばらく経ってから口の中でアーモンドの香りが立ち上がってくる。鼻で感じる甘いにおいにちょっとクセはあるものの、まあまあいいんじゃないでしょうか。

LUPICIA

2009年12月28日月曜日

Sapporo White Illumination

 今日は私にとって、ある意味節目の日である。この日に大通公園でこうしてホワイトイルミネーションを見ることができる私は幸せ者なのだと思う。思えばこの時期この時間帯に大通公園を歩いていたことはかつてない。初めて間近に見るイルミネーション・・・
 札幌のホワイトイルミネーションは他都市のものにくらべると地味ではある。しかし雪の中で見るイルミネーションはこれくらいがちょうどいい。雪もまた景色の一部なのだから。

2009年12月27日日曜日

『jETSET.』

 ジェットセット。基本はカフェで、文房具や家具も売っている。エーロ・アールニオ(Eero Aarnio)のボールチェア(Ball chair)が店の看板になっており、実際ロゴのデザインの一部にもなっている。私はこの店以外で本物を見たことが無い。他にもイームズチェアとかカリモク60シリーズがあったりして楽しい。店の作りはカジュアルで肩が凝らない。ただし冬は寒い。
 ここは珈琲を飲みながらゆったりと語り合うところではない。軽食やデザートを楽しみつつ会話も楽しむ、そんなカフェだ。だからあくまで「カフェ」であり「喫茶店」ではない。
 食事はおいしい。ここのメニュー、エッグベネディクトを出しているカフェは他にほとんど見かけない。バゲットにスモークサーモン、ポーチドエッグを乗せて、特製のオランデーズソースをかけたその味は堪らない。これでアイスコーヒーの味さえ良ければ・・・(ホットはおいしい)

札幌市中央区大通西22丁目1-7(地図

2009年12月26日土曜日

『統計学でリスクと向き合う』宮川公男

 東洋経済新報社。副題「数字の読み方に自信はありますか?」。
 時に高校数学程度の数式が出てきてちょっと頭を使わなければいけないところもあるが、全体的には統計の基本をネタにした軽い読み物である。そう難しくはない。統計の知識が実生活のどういったところで役立てられているのかよくわかり、統計に興味を持たせる入門書(おはなし)として良くできた本だ。
 例えばこんな問題がある。A町からB町まで往きは平均時速80kmだったが、帰りの平均時速は20kmだった。全体の平均時速は何キロか。答えは時速50kmではない。このように、難しくはないが引っかかりやすい問題が取り上げられている。また、ダウ平均株価は平均という名が付いていながらこの価格を超える株価の会社がないのは何故かとか、満席のはずの座席指定車にいつも空席があるように感じるのは何故かなど、日常にひそむ疑問を統計学を使って答えてくれたりもする。
 この本の中で一番重要視されているのは、おそらく統計における2種類の誤りについてである。この誤りについて著者は何度も何度も繰り返し言及している。それは「正しいことを否認する」誤り(第1種の誤り)と、「誤ったことを承認する」誤り(第2種の誤り)の二つである。例えば物を捨てるか捨てないかを判断するときに、必要な物を捨ててしまうのが第1種の誤りで、必要のない物を取っておくのが第2種の誤りだという。この概念は統計において非常に重要らしい。しかしながら実際読んでいると、どっちが第1種でどっちが第2種なのかわかりづらくとても混乱する。そんなことは気にせずに、この区別があることだけを念頭に置いて読み進むのが良いのだろう。
 私がこの本の中で一番興味を持てたのは、著者が癌を宣告されてからそれを乗り越えるまでの過程である。病気を持つ者の苦しみの描写が真に迫っていておもしろい(おもしろいという表現はこの場合不適切だと思うが、他によい言葉が浮かばなかったので許して欲しい)。手術を受けるかどうか判断するときに行った統計学的考察、医者とのやりとりなど、どれも興味深い。この話題があっただけでも、この本を読む価値があった。

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『津軽』LUPICIA

 「果汁たっぷりの青森名産・サン津軽を、豊潤なアップルティーにしました。甘さを抑えたさわやかな味とすがすがしい香りが特徴です。」

 抑制の利いたリンゴの香りが紅茶と良く合っている。ここまで控えめなフレイバードティーはルピシアにしては珍しい。アップルティーはフレイバードティーの王道なだけに冒険はできなかったということか(勘ぐり過ぎかも)。
 机の上に置いたカップから漂う仄かな香りが鼻をくすぐる。良い。

LUPICIA

2009年12月24日木曜日

2009年12月23日水曜日

『CHAMPAGNE ROSÉ』LUPICIA

 シャンパーニュ ロゼ。「甘酸っぱいストロベリーとお祝いには欠かせないシャンパンの香り。ピンクとシルバーのアラザンがまるでグラスの中の泡のようにキュートな紅茶です。」

 しっかりとした紅茶の味に微かな苺の香りが心地よい。心なしかシャンパンのようなシュワッとした感じがするのが不思議である。結構好き。
 でもアラザンてどうなんだろう。お湯を入れる前の状態はキラキラしていて確かにかわいいけれど、ポットの中に入ってしまえばもう見えないし。もしかするとこのアラザンによって紅茶にほのかな甘みが付き・・・。それはないか。

LUPICIA

2009年12月22日火曜日

『PHUGURI』LUPICIA

 FTGFOP1 08-DJ21。ピュグリ。「ハーブを連想させる繊細な香りの春摘み紅茶。れんげの花蜜のような余韻の甘み。」

 インドはダージリンの紅茶。
 これは驚いた。菊を思わせるびっくりするほどの豊かな花の香りが鼻を刺激する。フレイバードティーでもないのにこんなにも香りの強い紅茶があるんだ、と思った。若草のような味にこの香りが絡まると初夏の風が吹いてくるような錯覚に陥る。虜(とりこ)になりそう。

LUPICIA

『Dreaming of Revenge』Kaki King

 2008年。カーキ・キング。大好きな女性ギタリストである。
 マイケル・ヘッジスとプレストン・リードから影響を受けたタッピング&ヒッティング系ギタリストとして知られている。小さな身体には不釣り合いなほど大きなオヴェーション・アダマス(Ovation Adamas、ギターのブランド)を抱えて指板の上下から豪快にギターをうならすその姿は、デビュー当時大きな話題を生んだ。曲もソロギターのものが多かった。
 このアルバムはそういった初期のアルバムとは一線を画している。いや、正確には徐々に今の姿に変化してきた、と言った方がいいだろう。滑らかなコードワーク、斬新な音選びはまだまだ健在であるが、初期の頃のようなテクニックを前面に出した曲はほとんど無い。歌モノ4曲を中心に構成された壮大な環境音楽といった趣である。決してうまいとは言えない歌なのに、昔のスザンヌ・ヴェガを彷彿とさせる木訥(ぼくとつ)とした語り口、まだ幼さの残るその声は十分に存在感がある。まだ成長期を脱していない少女を感じさせるその歌は不思議に魅力的だ。2『Life Being What It Is』、8『Saving Days In a Frozen Head』なんかがいい。ソロギターの曲ではタッピングが美しい9『Air and Kilometers』が印象的。とはいえ、このアルバムはアルバム全体から滲み出てくる雰囲気が何とも言えなく良いのであって、私にとっては個々の曲はどうでもいいというのが事実ではある。

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2009年12月20日日曜日

『CAROL』LUPICIA

 キャロル。「クリスマスケーキを思わせるストロベリーとバニラの香りに、ローズの花びらが華やかさを演出する紅茶です。やさしく甘い香りがミルクにぴったり。」

 封を開けたときの強い香りの印象とは異なり、ストレートで入れると驚くほどクセがない。普通のきちんとした紅茶にちょっとにおいがついた程度である。ところがミルクを入れると状況が一変する。甘いバニラとストロベリーの味が強く主張し始めるのである。ただその味は安いチョコレート菓子のそれを思い起こさせるのではあるが。

LUPICIA

評価基準

 タイトルが仰々しくなってしまったが、要はこのブログで言っている「良い」「悪い」(なるべく「悪い」という言葉は使わないように気をつけているが)の基準は何か、ということだ。それは全ての分野(音楽でも珈琲でも絵でも本でも何でもかんでも)に共通している。評価基準はひとつしかない。私が「好き」か、「嫌い」か、ただそれだけである。私にとって「良い」とは「好き」と同義である。すべては主観的な私の感覚に基づく感想に過ぎない。
 そもそも客観的ということがこの世に存在しうるのか、私には判断できない。人それぞれによって感想は色々あっていい。それはすべて主観である。それらの総体は客観と言えるか。否である。それらは単なる雑多な感想の塊に過ぎず、到底ひとつの客観というものには成り得ない。ではそれらの平均(あるいは中心点)ではどうだろうか。一般にはこの主観の総体の平均を客観と呼んでいると思われる。しかし私にはこれも客観と呼ぶには心許ない定義だという感じがする。
 今でこそ「良い」と言われているモネの絵が、19世紀の終わりにもそうだったか。日本の中で良いと思われている風習が他国の人にとってもそうと言えるのか。そう、客観を決めるときの範囲が決まらないのである。どの範囲からどれだけの量の主観を持ってくれば客観を決められるかの定義がはっきりしないのだ。
 また次のような疑問もある。例えば、すべての人に同じ珈琲を飲んでもらって、おいしいという人が6割だったとして、その珈琲は「客観的においしい」と言えるか。言える、というのが大方の意見であるとは思うが、私には釈然としない。珈琲の「(一般にいう)良さ」を決めているのは、実はごく一部の人だ、という思いが私にはあるからである。それは品評会の審査員であったり、バイヤーであったりするかもしれない。その珈琲が「おいしい」という評価がもしあるとすれば、それは6割の人がおいしいと言ったからではなく、ごく一部の人がおいしいと言ったからではないのか。私にはその判断ができない。
 科学的であることが客観性を決めている、という人がいるかもしれない。しかし科学的であるとは、あくまで科学という決まり事の枠内の客観であり、それを一歩出たときには客観的な証拠とは成り得ないのではないか、と私は思っている。この辺のことは理解を得られない気がするが、もし私の言うことの意味がさっぱりわからないというのであれば、それは科学主義にどっぷりと浸かっているせいかもしれない。実は私はこの短い記事の中でこのことをうまく説明する自信がない。だからしないのであるが、興味のある人は科学哲学という分野の本を読んでみて欲しい。

 話が思いっきりわけのわからない方向に進んでしまった。私は文章で何かを人に説明するのが苦手である。私の文を読んでわけがわからなくなったとしたら、その責任は読者ではなく私にある。その苦手克服のためにブログを始めた、という話もあるのであるが、それはまあいい。
 とにかく、このブログ記事はすべて私の主観にまみれており、私の好悪しか述べていない、ということである。繰り返し言うが、「良い」とは私が「好き」ということであって、客観的に「良い」という意味でないことだけ、気をつけて欲しい。(この記事は何だったのだろう。読み飛ばしてくださって結構です。ひとりごとですから)

2009年12月19日土曜日

『クリスマス・キャロル』ディケンズ

 池央耿訳。光文社古典新訳文庫。
 ある年のクリスマス・イヴの日、守銭奴で欲深い因業爺(いんごうじじい)であるスクルージは、かつての商売仲間である故マーリーの亡霊に出会う。マーリーの亡霊は言う。これからお前は3人の精霊に出会うことになる、と。マーリーの予言どおり、スクルージは3人の精霊と対面する。そして精霊たちはそれぞれ、過去、現在、未来の光景を彼に見せる。そのときスクルージは・・・

・・・愛すべきスクルージ。

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2009年12月18日金曜日

『円山ビター』徳光珈琲円山店

 柔らかい舌触りではあるが、えぐみが少しある。苦みは結構強い。フレンチローストだから当たり前といえば当たり前である。ビターという名前の珈琲が苦くなくては話にならぬ。とはいえ今の私は昔と違い苦みが苦手になったのかもしれない。前回飲んだ『円山オーガニック』の方がずっと美味しく感じる(実は今、家ではこれを飲んでいる)。次回以降、他のブレンドに手を出すかどうかは悩みどころである。

徳光珈琲のHP
『徳光珈琲円山店』札幌市中央区大通西25丁目1-2 ハートランド円山ビル1F(地図
(注意:地図がちょっと古いです。地下鉄東西線円山公園駅5番出口のすぐ隣です)

2009年12月16日水曜日

『EXOTICA』LUPICIA

 エキゾチカ。「ルイボスティーに紫蘇とミントをブレンド。さっぱりした風味のハーブティーです。」

 紫蘇の味や香りはほとんどしないので、ミントルイボスティーといった趣。ルイボスは無発酵の緑色のものを使っている。爽やかで飲みやすい。口に残るミント臭も適度でよい。積極的に好きとまでは行かないが、夜飲むとき用に置いておいてもいいかも(カフェインレスだから)。

LUPICIA

2009年12月15日火曜日

『JOYEUX NOËL』LUPICIA

 ジョワイユ・ノエル。「パリの冬の風物、香ばしい焼き栗をイメージした紅茶です。ロースト香漂うビターな風味の後に、まろやかな甘みが広がります。ミルクティーにも。」

 「メリークリスマス」という意味。ちょっと早いね。
 甘い焼き栗の香り。渋い焼き栗の味。この紅茶は強烈な香りがついているわけではないけど、結構おいしい。ちゃんとした紅茶の味がする。うん、これはいい。ルピシアのフレイバードティーも捨てたもんじゃない。香りに甘みが少なかったらもっといける。
(今日はちょっとフランクな気分♪)

LUPICIA

2009年12月13日日曜日

『Yours』Sara Gazarek

 2005年。サラ・ガザレク。
 よく街中でかかっていそうな女性ジャズヴォーカルの声。クリスマスソングなんかを歌わせたらぴったりとはまりそう。明るい曲も静かめの曲もそれに応じてうまく歌い上げていると思う。私はどちらかというと静かめの方が好き。例えば、2『Yours』、3『Amazing』、6『You Got By』、8『The Circle Game』のような。また、ピアノが声と絡み合っていい味を出している。
 でも正直な話、音楽性とか完成度とは全然関係なく、個人的に苦手な声。好きな人は結構多いと思うんだけど。

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2009年12月12日土曜日

『チョムスキー入門』町田健

 光文社新書。副題は「生成文法の謎を解く」。チョムスキーの生成文法理論について書いた本である。ノーム・チョムスキーは言語学者としての顔と政治批判活動家としての顔を持っているが、本書は純粋に言語学の本である(余談だが、もう一方の顔として書いた著作は結構おもしろい)。
 しかしこれは看板に偽りありといわざるを得ない。この本は『チョムスキー入門』ではなくて、『反チョムスキー教科書』あるいは『チョムスキーの生成文法批判』とすべき内容である。なるほど確かに生成文法の内容と変遷を丁寧に説明してはいる。初期の表層構造、深層構造からS構造、D構造に至り、それらが無くなりミニマリスト・プログラムに至までの道筋を順を追って解説している。専門用語の飛び交う複雑怪奇な生成文法理論を、初心者でもわかるように書いてはいる(その解説が間違っているという意見もあるようだが、私は生成文法初心者なのでその辺のことはよくわからない)。でもその間にいちいち茶々が入るのだ。こういった問題点がある、ここはおかしい・・・、と。まえがきにはチョムスキーの生成文法は「言語学のパラダイムに新しい変革を呼び起こす、まさに革命的な理論」と書いてあるのだが、本文を読んでも批判ばかりが先に立ってどこがどう革命的だったのかよくわからない。この本を読むと、チョムスキーの理論は勉強する価値がない、と思えてしまう。しかしこれほど有名な理論なのだから、そんなことはないと私は思う。『チョムスキー入門』と銘打つからには、チョムスキーの理論に沿った話の展開をすべきだと私は思う。その点で、この本は生成文法の入門書だとは言えない。
 そう言えば著者は『ソシュールのすべて』(研究社)という本も上梓しているが、その本の内容もソシュール以外の話が飛び交っていて、純粋にソシュールを学んだ気にはならなかった。こういう書き方は町田の癖なのかもしれない(悪い癖だ)。
 あとどうでもいいことだが、本書には「まとめ」も「あとがき」もない。議論が尻つぼみで終わっている。最後くらいきちんとまとめて欲しい。

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『ST. JAMES』LUPICIA

 BOP QUALITY 08-1。セントジェームズ・クオリティー。セイロン(スリランカ)のウバ紅茶。「フレッシュミントのように爽やかな香りが、ほのかな甘みと共に広がる旬のウバ紅茶。」
 ウバは世界の3大紅茶に数えられる。私は紅茶の中でもウバが一番美味しいと思っている(私の好みなだけです。最近ダージリンの良さもわかってきました)。特にロイヤルコペンハーゲンのものが好きである。
 ウバの良さは味の濃厚さだと勝手に思っているのだが、この紅茶はあっさりとしている。爽やかなのかもしれないが、正直言って物足りない。もうちょっと力強さがあったらいいのに。

LUPICIA

2009年12月10日木曜日

『紅子』LUPICIA

 ベニコ。「アセロラの甘酸っぱい香りをつけた紅茶に、ハイビスカスとローズヒップをブレンドしました。」

 アセロラの香りは強すぎもなく弱すぎもなくちょうど良い。飲むと酸味で舌がぴりっとする。後味はさっぱりとしていて、ミントを口にしたときのような感じ。でも、よくあることだがベースとなる紅茶の味がいただけない。この会社のフレイバードティーでも、もとの紅茶の味がわからなくなるくらい強烈な香りをつけたものはそんなにまずく感じない。中途半端なのがよくない。中途半端、あるいは適度な香りのフレイバードティーは、質のよい茶葉を使うべきなのだと思う。

LUPICIA

2009年12月6日日曜日

『My One And Only Thrill』Melody Gardot

 2009年。メロディ・ガルドー。彼女の2作目の作品。『Over the Rainbow』以外は、フランス語の曲である『Les Etoiles』を含めて全て本人が手がけた曲である。ピアノとギターと(もちろん)ヴォーカルは全て彼女自身だが、今回はそれにオーケストラが混じったりする。でも彼女の歌声は主役であることを譲らない。
 つぶやくように、ささやくように軽く歌っているだけのように聞こえるのに、ぐっと来る。微妙なビブラートのかかり具合が胸に沁みる。デビューアルバムとはまた違う意味で良い。肩の力の抜けたメロディ・ガルドーがそこにいる。いい。

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2009年12月5日土曜日

『グァテマラ エルポルベニール』豆源

 EL PORVENIR。エルポルベニール農園。豆源の新商品。グァテマラによくあるガツンとした味。強い苦みと少しの酸味でキレがある。おいしい。私の好みのいくつかの味のうち、パンチの効いた珈琲の味。何となく『鎌倉ブレンド』に傾向が似ている気がする。不思議なことに「あ、これは豆源の味だ」と思った。焙煎の仕方などで店による特徴が表れるのだろうか。豆源のブレンドは「研ぐ」という独特の処理をしているが、ストレート珈琲は普通に焙煎しているだけのはずなのに。

『珈琲問屋 豆源』のブログ(更新されてないけど)
『北19条店』札幌市北区北19条西4丁目2-24片野ビル(地図

『焚火』LUPICIA

 タキビ。「すっきりとした渋みと香ばしさが魅力の水仙種の中国烏龍茶に、完熟マンゴーとパッションフルーツで香りづけ。焚き火を思わせる香ばしさと甘い余韻が魅力。」

 マンゴーとパッションフルーツの絶妙なハーモニーが良い。烏龍茶の味はそれほど強くない。焚き火という感じはしないけれどおいしい。

LUPICIA

2009年12月2日水曜日

『THE FALL』Norah Jones

 2009年。不勉強なせいか私はこういった音楽をするノラ・ジョーンズを知らなかった。ジャズでもカントリーでもない。強いて言えばポップス。バックで奏でられる演奏も今回は結構変わっている。今回の路線で行くなら、4『YOUNG BLOOD』が好み。
 でも私はきっと保守的なのだろう。これまでの彼女の音楽の延長線上にある次の4曲を聴いていると安心する。9『BACK TO MANHATTAN』、11『DECEMBER』、12『TELL YER MAMA』、13『MAN OF THE HOUR』。

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2009年12月1日火曜日

『LA VIE EN ROSE』LUPICIA

 ラビアンローズ。「ルイボスティーをベースに、ハイビスカスとローズヒップをブレンド。」

 すごい豪勢な名前ではあるけれど、かなり苦手な部類に入る。ハイビスカスとローズヒップはもっとクリーンなブレンドで飲みたい。ルイボスティーの土臭い味とは合わせないで欲しい。いや、ルイボスティーが嫌いでこう言っているのではない。むしろ好きなくらいである。でもこの組み合わせは・・・

LUPICIA

2009年11月29日日曜日

『I-XII』KING WEST MANRING VAMOS

 正確には『丘からの眺め』という題名の、ジャスティン・キングのアルバムだ。CDジャケットが全て標記タイトルで統一されていたので、敢えてこのタイトルにした。このアルバムの1曲目から12曲目まではジャスティン・キングのホームページのダウンロード販売のみで発表されていたアルバム『I-XII』と同一曲である。これはコラボレーションアルバムとして売られていたので、4人の名前を冠している。KINGはジャスティン・キング(Justin King)、WESTはドラマーのジェイムズ・ウェスト(James West)、MANRINGはベースのマイケル・マンリング(Michael Manring)、VAMOSはギターのカルロス・ヴァモス(Carlos Vamos)のことである。この他にヴァイオリンのリン・レンケン(Linh Renken)も参加している。13曲目以降はボーナストラックとしての位置づけだ。13曲目から19曲目は彼のファーストアルバム『Justin King』からのもので、20曲目は新曲のヴォーカル曲である。
 彼の曲の多くはメロディが感じられない。無いと言っても極端な言い方ではないと思う。進行はコードの流れに沿って何となく、という感じだ(何となく、という言い方は失礼かもしれないが、実際そうだ。ただしキレはある)。その点で前半(『I-XII』)と後半(ボーナストラック)は共通しているのだが、実際にはかなり毛色が異なっている。
 前半の曲名は、全て曲順にローマ数字が掲げられているだけだ。これは「先入観を持たずに聴いて欲しい」というジャスティンの意向らしい。その前半はものすごく前衛的だ。ライナーノーツでは「アコースティック・ギター進化系」と紹介されていたが、正直な話、私はちょっとした拒否反応を起こした。それまでずっとソフィー・ミルマンのジャズの世界にどっぷりと浸かっていたせいかもしれない(ソフィーの曲はヴォーカル曲で、メロディがしっかりしているから)。これは一部のギターオタクしか興味を示さないんじゃないか、とさえ思った。でも何度も繰り返し聴いているとさすがに慣れてくるのか、いいな、と思う曲も出てくるのが不思議だ。1『I』はのりのいいジャスティンらしさいっぱいの曲だ。他に3『III』、5『V』、7『VII』、9『IX』はまあまあいい。1曲おきになっているというのはたぶん偶然ではなくて、ジャスティンはアルバムを飽きさせないために1曲おきに雰囲気を変えたんだ、と勝手に思っている。そして私は偶数曲より奇数曲が好きだったということなんじゃないかと思う。
 後半はファーストアルバムから取られた曲が多いせいか、前半部よりもアコースティックギターらしさが前面に出ている。以前紹介した『Le Bleu』に通じる曲も多いと感じたが、『Le Bleu』ほどにはパーカッシブではない。曲別では、16『Square Dance』はタッピングが美しい軽快な曲だ。個人的に好きだったのはゆったりとして落ち着いた曲である18『Lullaby』である。
 でもやっぱりマニアックなアルバムだな、と思う。

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『RUNGLEE RUNGLIOT』LUPICIA

 ラングリーラングリオット。SFTGFOP1 08-DJ2。「オレンジ色に輝く水色、爽やかで野趣あふれる風味の春摘み紅茶。アイスティーでも。」

 ラングリーラングリオットはダージリンの茶園のひとつ。
 香りは確かにダージリンにものだ。味は割とすっきりとしていて、あまり特徴は感じない。好みではないけれど、飲みやすくてごくごくいけるタイプの紅茶だ。少し枯れた感じがするのは去年のファーストフラッシュで古いからなのか。
 ここで言い訳をさせてもらうと、これは今年の初売りのセット(何が入っているかわからない)で買った物だ(数セット買ってしまった)。だから当然去年のお茶になる。きっと売れ残りなのだろう。さらにその後2回ほど大人買いをしてしまった。それで家にはまだいっぱい紅茶が残っている。去年のお茶はさっさと飲み干してしまいたいのだが、もう数種類残っている。どういう言い訳なのかよくわからなくなってしまったが、とにかく今家には紅茶がありすぎて、なかなか減っていかないというわけだ。今後はこれを反省材料にして、計画を立てて購入していきたい。お茶専門店のキャンペーンなどに乗せられないようにして。

LUPICIA

2009年11月28日土曜日

『(発酵度の高い)文山包種』青蓮茶室

 台湾茶。『青蓮茶室』の店主の話によると、近年台湾茶の質が落ちてきているという。木がだめになってきたという話だ。しかし文山包種はまだいい方で、等級の上位の方はまだ管理の行き届いた良いお茶ではあるらしい。とはいえ価格が高いためなのか店に用意していないためなのか、店主は「普通の」文山包種を薦めなかった。今回飲んだお茶は「普通でない」文山包種だ。文山包種はもともと発酵度が15~20%程度の緑茶に近い青茶である。それに対してこの文山包種は発酵度が高く、茶葉の色も緑ではなく黒っぽい。味はいわゆる烏龍茶に近いが、より上品な感じがする。香ばしくて良い感じではあるが、普通の文山包種特有の何とも言えない香りはまったく姿を消している。私はその独特の香りが好きだったのだが、残念だ。これはこれでおいしいのだけれど。

青蓮茶室』札幌市北区北23条西5丁目メルローズプレイス1F(地図

『地頭力を鍛える』細谷功

 東洋経済新報社。「じあたまりょく」と読む。副題は「問題解決に活かす「フェルミ推定」」。
 「日本中に郵便ポストはいくつあるか?」、「世界中で1日に食べられるピザは何枚か?」。これらの質問に紙と鉛筆と自分の頭だけで3分以内に答えを出す。そんな途方もないと思われることを可能にしてくれるのが本書である。
 著者は頭の良さを3種類に分ける。「物知り」(知識・記憶力)、「機転が利く」(対人感性力)、「地頭がいい」(考える力)である。この本ではこのうちの地頭力にスポットを当て、これを鍛える強力なツールとしてフェルミ推定を取り上げる。(余談だが、本書では「物知り」の旗色はかなり悪い)
 地頭力とは何か。考える力である。地頭力のある人は新しい知識を次々と生み出せる。また、どんな状況にも対応できる力を持っている(わかりづらいかもしれないが、上で挙げた3軸の違いを念頭に置くと、少しは想像しやすくなると思う)。地頭力は原動力としての「知的好奇心」が無ければ始まらず、その上で守りとしての「論理思考力」、攻めとしての「直感力」を合わせた3つの力がベースとなる。そして地頭力は、「結論から考える」(仮説思考力)、「全体から考える」(フレームワーク思考力)、「単純に考える」(抽象化思考力)という3つの力から構成されるのだという(気づいた方もいらっしゃるかもしれないが、著者は「3」という数字にこだわりがある)。
 ひと頃「デジタルデバイド」という言葉が流行ったが、今の時代はこの格差も解消されてきており、これからはさらに先の「考える力」の格差による「ジアタマデバイド」の時代がやってきた、と著者は述べる。私はこれはビジネスに関わるごく一部の人達を分け隔てる壁に過ぎず、大多数の人にはあまり当てはまらない、と考えているのだが、どうだろう。まあ、それはいい。
 フェルミ推定は、冒頭で挙げたような「荒唐無稽とも思える数量について何らかの推定ロジックによって短時間で概数を求める方法」のことである。ノーベル賞物理学者であるエンリコ・フェルミがこういった問題に答えるのが得意だったために、この名前が付いたらしい。著者によると、このフェルミ推定に取り組むことで「結論から」「全体から」「単純に」考えるという地頭力を鍛えることができるのだという。多くのビジネスパーソンはこの3要素のうちのどれかが欠けている(例えば完璧主義者やセクショナリズムなど)ので、フェルミ推定に取り組むべきニーズは存在すると述べている。
 フェルミ推定だけが地頭力を鍛えるとは思えないが、なかなかおもしろい本ではある。フェルミ推定というのはそんなに難しい理論ではない。慣れてしまえば何となくでもできてしまう。つい書き忘れていたが、この本は結果よりも過程を大事にしている、ということを申し添えておきたい。
 日本中にゴルフボールが何個あるか、考えてみませんか?

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2009年11月23日月曜日

『FANTASY』LUPICIA

 ファンタジー。「香ばしいキャラメルと蜂蜜、フルーツの香りを紅茶にブレンド。さらっとした上品な甘さ。」

 甘ったるい香りがかなりきつい。さらっとして上品な、という感じではない。味も結構濃い。こういうときはミルクを入れると飲みやすくなることもあるが、今回はミルクティーにしても甘さがかなりきつい。私はちょっと苦手。

LUPICIA

2009年11月22日日曜日

『 Island Select Estate 100% Kona Coffee』UCC-Hawaii

 ハワイ島コナ地方にある「UCC-Hawaii」のコナコーヒー。「Island Select Estate」とはハワイにあるUCC直営農園の豆だけ使っているということだ。『Hula Daddy 100% Kona Coffee』と一緒に、ハワイ島に行った知人からもらった。つまりこの記事はハワイコナ特集第2弾といった趣だ。
 前回は---「100% Kona Coffee」と書いてあるから、いわゆるハワイコナなんだと思う。---と書いたが、これらは紛れもなくハワイコナである。UCCハワイのホームページにある「コナコーヒーの歴史」欄を見てわかった。詳細はホームページを参照してもらいたいが、コナコーヒーの原種は「アラビカ種ティピカ亜種」といい、一般的に「アラビカティピカコナ」又は「ハワイコナ」と呼ばれているらしい。私は今までティピカもアラビカと同じ種なんだと思っていた。大きな勘違いだ。ティピカはアラビカ種の亜種である。以前確か徳光珈琲のところでこれらをごっちゃにした記事を書いてしまっていた。お恥ずかしい(コメントとして訂正しておいた)。
 これはおいしい珈琲だ。柔らかい微かな酸味が舌を包み込む。甘い余韻が堪らない。「Hula Daddy」のものとの違いは焙煎だろうか。それとも農園の違いだろうか。いずれにせよ、どちらも十分においしい。今まで私がハワイコナに対して持っていた苦手意識は何だったのだろう。これまでは当たりが悪かっただけなのだろう。

UCCハワイのホームページ

シェーグレン症候群についての記事から

 2009年11月21日の日経PLUS1(日本経済新聞の土曜日版に折り込まれてくる)の15ページに、シェーグレン症候群についての記事(「目や口、肌の乾燥もしや病気のサイン?」)が載っていたので、気になる点だけ記しておきたい。
 まず1点目は、ドライマウスの治療に、「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」という漢方薬が有効だということがわかってきたこと。これは特に詳しく述べる必要はないだろう。
 もう1点は、「最近ではシェーグレン症候群特有の抗体を減少させる新薬が欧米で開発されて効果を上げている」ということ。このことについては少しコメントしたい。
 シェーグレン症候群特有の抗体とは、おそらく抗Ro/SS-A抗体か抗La/SS-B抗体のことを指すのだと思われる。ところで、シェーグレン症候群はドライアイとドライマウスを主症状とする疾患である。この二つは、涙腺や唾液腺が自分のリンパ球によって破壊、あるいは麻痺させられることによって現れる症状だと考えられている(だから自己免疫疾患のひとつである)。リンパ球は、Tリンパ球、Bリンパ球、NK細胞などからなるが、ここで問題となっているリンパ球はTリンパ球であることが観察によってわかっている(Bリンパ球も少数だが存在しているので、断言するのは間違いかもしれないが)。さて、抗体を産生するのはBリンパ球である。だから「欧米で開発されて効果を上げている」新薬はBリンパ球に対して何らかの作用をするものと考えられる。とここまで書いてみて、私が間違っているかもしれないと思ってきた(私は抗体を減少させたからといって病状が良くなるとは言えないじゃないか、と書こうとしていた。それが間違っているかもしれないということだ)。さらに先を続けよう。Bリンパ球に抗体産生の指示を出すのはヘルパーTリンパ球である。ヘルパーTリンパ球はキラーTリンパ球に対して、抗原を攻撃するように指示したりもする。ということは新薬はヘルパーTリンパ球に対して何らかの作用をするということだろうか。だとすると、新薬によって涙腺や唾液腺へのリンパ球の浸潤が抑えられるという可能性も出てくる。これによってドライアイとドライマウスの症状が改善するというわけだ。
 また、次のようにも考えられる。シェーグレン症候群の症状には、上で挙げた外にも疲労や肝機能障害といった全身症状も存在する。新薬はこれらに対して効果があるのだとも考えられる。
 残念ながら新聞の記事だけからは詳しいことはわからない。今上でやってみたように想像することができるだけだ。とはいえ、病気の治療法が増えたり病気の機序がわかるということは、それだけで嬉しいことだ。今後の研究に期待したい。

2009年11月21日土曜日

『Take Love Easy』Sophie Milman

 2009年。ソフィー・ミルマン。CDをかけて、いきなりガツンと来た。すぐに薄暗いジャズの似合う喫茶店に行って、濃いめの珈琲を飲みたくなった。もし私が酒を飲めるのであれば、ワイングラスを交わしたくなったといった方が適切か。良い意味で裏切られた。ジャケットのキュートなイメージとはまったく違う野太い声がそこにはあった。人を惹きつける力強い声があった。かと言って力が入っているわけではないのだ。良い具合に力が抜けている。まだ若いらしいのに、風格すら備わっている。
 カナダ出身の彼女の本作品は、彼女にとって2作目か3作目らしい。アマゾンにはセカンドアルバムと書いてあるのだが、たぶん3作目だ。このアルバムのテーマは「love」である。それは「life」の投影でもある。でも残念ながら私は英語を聞いても意味がわからない。その前に私は彼女を知らなかった。だからこそショックも大きかったのだが。
 色々なタイプの曲が入っている。低音を印象づける曲、伸びのある高音を聴かせる曲。ポップスのカバー(ジョニ・ミッチェルの5『Be Cool』、ブルース・スプリングスティーンの10『I'm On Fire』、ポール・サイモンの12『50 Ways To Leave Your Lover』)、ボサノヴァの11『Triste』・・・。しかし、まさしくジャズアルバムなのだ。
 各々の曲に関する感想は書かない。アルバム全体を覆う雰囲気がいいのだ。何度聴いても飽きない。珈琲が無くなるのが早すぎる・・・

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『Le Montagnard des Vosges』

 モンタニャール。フランス産のウォッシュタイプのチーズ。チーズ名は、ヴォージュ地方の山の住民、ヴォージュ山脈に住む人、くらいの意味。ヴォージュ山脈の標高600mを超える山の牛から取れた牛乳を使っているから、この名が付いたものと思われる。写真の撮り方が良くないのであまりわからないかもしれないが、黄金の地肌にふんわりと綿毛を被ったような感じだ。味はウォッシュにしてはあっさりとしているものの、濃密でクリーミーだ。本当にあっさりしていて食べやすいので、今日の昼は一気に4分の1も食べてしまった(写真は食べる前のもの、つまり残り半分まで食べた)。でもウォッシュの嫌いな人はちょっとしたにおいだけでも嫌なようだから、これくらいのチーズでも「×」なんだろうと思う。パッケージが素敵で購入した。味ももちろん良いのだけれども。

2009年11月20日金曜日

コラーゲンの摂取

 「コラーゲンを食べたら、どういう経路を辿って自分の身体のコラーゲンになるのだろう。」
 もう何年も前からこんな疑問を持ち続けていた。ところが1年半前に金沢医大の医師との話の中で、もしかしたらこの疑問は愚問かもしれない、という疑念を持つことになった。彼らはこんな風に言うのだ。コラーゲンを食べるなんて馬鹿げているよな、そうしたってコラーゲンにはならないのに。えっ、と思った。一番上で挙げた質問そのものを否定しているではないか。
 彼らの言う意味はわかった。コラーゲンは蛋白質である。蛋白質はそのままでは体内に吸収されない。そこで消化液によってアミノ酸にまで分解されて、そのアミノ酸が体内に吸収される。体内に吸収されたアミノ酸は色んな蛋白質の原料になる。その蛋白質がコラーゲンである必要はない。高校で生物を学んだ人であればそこまではわかる。私の疑問は、なのにどうしてみんなコラーゲンをせっせと食べるのだろう。きっとそこには何らかのメカニズムがあるはずだ、というものだった。でもその場ではそれ以上の話にはならなかった。
 その当時の私の得た情報では、彼らの発言を覆せなかった。健康食品会社は相変わらずコラーゲン摂取のキャンペーンを張っていたが、それらの根拠というものは非常に心許なかった。コラーゲン摂取を支えているものは、お客様の声だった。分子生物学をかつて囓っていた友人に聞いても、科学的にはコラーゲンを経口摂取してもコラーゲンにはならないんだけど、コラーゲンの多い食事をした次の日はなぜか化粧のりが良かったり、お肌の調子がいいんだよね、という何とも歯切れの悪い答えが返ってくるばかりだった。そう、少なくとも科学的には証明されていないのだ。そのことを断言していたのが福岡伸一の『動的平衡』(木楽舎)だった。彼はこの中で「コラーゲン添加食品の空虚」という項目を割いて、コラーゲンを経口摂取してもコラーゲンにはならないことを説明していた。その説明は、先ほどの私の説明をちょっと詳しくした程度のものだった。私はこの説明を信じていいのか、この話にケリを付けていいのか、実はちょっと悩んでいた。友人のお肌の調子の話が嘘だとは思えなかったから。
 Wikipedia(2009/11/20現在)によると(何でもWikipediaに頼ることは慎まねばならない。しかし嘘が混じっているかもしれない、という疑問を持ちながらWikipediaの記事を調べるのはいいのではないか、と思っている)、友人の感覚を庇護する記事が京都新聞(2009/1/24)で発表されたそうだ。それは京都府立大などのグループの研究によるもので、コラーゲンを食べることで皮膚の傷の修復を助けるメカニズムが働く、というものだ。コラーゲンは、分解されるとグリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アラニンなどのアミノ酸になる。コラーゲンを食べると、このうちのヒドロキシプロリンとプロリンからなるペプチドの血中濃度が、長時間にわたって増えるらしい。このペプチドが皮膚の傷を修復するのを助けるというのだ。この事実は、コラーゲンがそのままコラーゲンになる、というのとも違うし、コラーゲン摂取は意味がない、とするのとも違う。おもしろい研究結果が出てきた。この研究結果が正しいのかどうかはもうちょっと時間が経たねば評価できないだろうが、そのうちコラーゲン摂取の正当性(?)が評価される日が来る見込みが立っただけでも嬉しい。

2009年11月17日火曜日

インフルエンザウィルスについて

 自分自身の中でちょっと混乱している部分があるので、基本的なところだけ押さえておきたい(という趣旨です。この記事は)。

 インフルエンザウィルスはインフルエンザを引き起こすウィルスで、直径約100 nm(ナノメートル)の球形をしている。そしてこの球形の物体の中には8本のRNAが入っている。ここまではいい。
 今流行っている新型ウィルスは、豚インフルエンザとかA型H1N1亜型インフルエンザとかと呼ばれてるけど、これは一体どういうことなんだろう、というところで、私はたまにごっちゃになる。
 豚が付くのは豚のあいだで流行ったインフルエンザだからだ。豚は鳥インフルエンザにもヒトインフルエンザにも罹りやすいので、両者が豚の体内でうまい具合に混ざって新種となってしまったのかもしれないが、この辺の事情にはちょっと自信がない。
 A型とは何か。インフルエンザウィルスにはA型、B型、C型の3種類ある。そしてウイルス本体を作っている蛋白質の中にはM1蛋白とNP蛋白と呼ばれるものがあり、この違いらしい。普通はA型だと思っていいらしい。この3者には他にも色々と違いがあるが、私にはよくわからない(そこまでわかりたいとも思っていない)。
 亜型の話。このウィルスにはスパイクと呼ばれる突起が2種類あり、これがHとNの正体だ。HはHA蛋白質(ヘマグルチニン)で、ウィルスがヒトなどの細胞に入り込むときに、その細胞にくっつく働きをする。NはNA蛋白質(ノイラミニダーゼ)のことで、ウィルスが細胞内で増殖し細胞外に飛び出るときに、細胞とウィルスとを切り離す役割をする。HとNのあとにある数字は、HA蛋白質とNA蛋白質に付けられた番号である。今のところ、HA蛋白質は16種類、NA蛋白質は9種類知られているので、これらの数字が付けられている。ここでちょっと簡単な計算をしてみる。16(HAの種類)と9(NAの種類)の積は144である。つまり亜型だけで144種類もの違いがあることになる。そして毎年出回る季節性インフルエンザワクチンが対応しているインフルエンザの種類は3、4種類。凄い予測をしているものだと感心する。

 これで豚インフルエンザとA型H1N1亜型インフルエンザの名前の由来の謎が解けた。すっきり。

2009年11月16日月曜日

『THE MUSIC OF SIDEWAYS』Jake Shimabukuro

 2009年。今公開中の映画『サイドウェイズ』には二つのサントラが存在する。80年代の音楽を中心とした『オリジナル・サウンド・トラック』と、ジェイク・シマブクロによる本作である。それはそのまま過去と現在を表現している。などと偉そうに書いてはみたが、実は映画の方は観ていない。だから以下の感想も純粋にアルバムに対してのもの。
 どれもこれも大好きだ。そして良い曲が揃っていると思う。しかしやっぱりこれらは映画用に作られた音楽なのだ。最大の難点は1曲1曲が短いことだ。40分あまりしかないこのアルバムには、23もの曲が詰め込まれている。ああ、もうちょっと聴いていたい、というところで悲しいことに曲は終わってしまう。同じサントラでもジャック・ジョンソン(Jack Johnson)の『キュアリアス・ジョージ(Curious George)』なんかは曲としてしっかりと作り込まれていたのに残念だ。
 でもジェイクの曲はいい。ノリが良くてキャッチーな1『Airports』、4『The Search』の2曲や、40秒(!)と短いけど爽やかな13『Sideways-acoustic version』は好み。ちなみに『Sideways』は主人公のひとりである道雄のテーマとして作られたらしく、3曲目と22曲目にも別バージョンが存在する。他には静かに奏でられる17『Long Day』が良い。

 ああ、でもやっぱり短い。

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2009年11月15日日曜日

『Hula Daddy 100% Kona Coffee』Hula Daddy

 ハワイ島コナ地方にある「Hula Daddy」という会社のコナコーヒー。
 ハワイ島に行った知人からもらった。普段から珈琲・お茶好きを吹聴していると、お土産でもらったりするので嬉しい。
 「100% Kona Coffee」と書いてあるから、いわゆるハワイコナなんだと思う。でも私がこれまでハワイコナに対して持っていたイメージ、豆が大きくて酸味が強い珈琲、というのとは違う。ハワイコナには苦手意識を持っていたのだが、この珈琲なら普通に飲める。もちろん酸味はあるが、苦みも結構あってバランスがいい。私の舌が変化したのか、この珈琲がちょっと変わっているのか。実はもう1種類コナコーヒーをもらったので、それを飲んだらわかるだろう。

「Hula Daddy」のHP

「リトルの公式」待ち行列理論から

 Little's Formura。行列の人数などから、平均的な待ち時間を求める。

Wq = Lq / λ

 Wq: 平均的な待ち時間 [t]
 Lq: 平均人数、行列の人数 [人]
 λ: 到着率、単位時間に行列に加わった人数 [人/t]

 例えばラーメン屋の前で20人並んでいたとして、1分間に行列に加わる人数が5人であれば、20/5=4となり、あと4分くらい待てば店に入れることがわかる。
 ここでの人数が平均的な人数だということにだけ注意すれば、簡単な公式なので結構使える。

2009年11月14日土曜日

『動的平衡』福岡伸一

 木楽舎。Dynamic Equilibrium。副題は「生命はなぜそこに宿るのか」。著者は分子生物学者である。
 正直な話、肩すかしの連続だった。本としてのまとまりがないのだ。動的平衡という言葉は通奏低音のようにこの本の最初から最後まで鳴り響いている。しかしそれ自体に直接言及しているのは、一部を除いて最後の方に固まっている。私は動的平衡についての議論を期待してこの本を買ったのに、極端な話それは最後の方に押し込められているのだ。
 それぞれの話はおもしろい。年を取るとなぜ時間が早く過ぎるのか。コラーゲン摂取のおかしさ(この件については後にブログの単独記事として取り上げようと思う)。科学的なダイエット法の考察。ES細胞に関する話題。カニバリズム(人食いの習慣)を避ける理由、などなど。とはいえ、それらがつながらない。なぜか。あとがきを読んで、その理由がわかった。この本は『ソトコト』という環境雑誌に載せられた連載と『シグネチャー』というダイナースカード会員誌に載せられた記事を加筆、修正したものなのだ。私は編集の仕方に問題があると思うのだが、著者はこの本の題名を『動的平衡』とすることに迷いがなかったらしいので、著者の問題でもあるのだろう。
 動的平衡とは何か。本を読む前の私の理解では、方丈記の冒頭「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。」的なもの、すなわち、温泉の浴場の水はいつも同じ水位で変化してないように見えるけど、実はどんどん入れ替わっている。生物もそれと同じように細胞を構成している分子は刻々と入れ替わっており、例えば胃とか肺ですら何ヶ月かすると(見た目は同じなのに)全く違う細胞に変わってしまう。そういうことを動的平衡という、と認識していた。著者の見解は私の認識と同じ部分もあるが、少しニュアンスが違う。私の言葉で説明するのはちょっと難しいので、(ずるをして)著者の言葉を借りる。「生命とは機械ではない。そこには、機械とはまったく違うダイナミズムがある。生命の持つ柔らかさ、可変性、そして全体としてのバランスを保つ機能-それを、私は「動的な平衡状態」と呼びたいのである。」。これだけではわかりづらいかもしれない。詳細に迫りたい方は本書に直接当たっていただきたい。
 上で述べたように、その動的平衡をベースにしながら数々の生物学のエピソードを語るやり方は成功しているとは言い難いが、それらのエピソード自体はおもしろい。『生物と無生物のあいだ』で見せた文章のうまさはここでも光っている。
 ただし気になる点が2点ほどある。まずはルネ・デカルトに対する批判。デカルト主義者(カルティジアン)たちの言質に問題があるからと言ってデカルトを責めるのはどうなんだろう。彼の機械論的な考え方があってこそ今の著者の考え方も出てくるのであって、機械論的な考えを抜きにして、著者の生命観が生まれてきたかどうかは怪しい。
 それともうひとつ。ごく最後の方では現代の分子生物学批判(と言うか実際にはそれを利用する側に対する批判)が繰り広げられる。そこではロハス(Lifestyle Of Health And Sustainability)賛歌とも言うべき論述がなされ、アフリカのクニスナ地区の最後の象の話や、豚についての「心の理論」(一般的な用語ではないが、長くなるのでここでは説明しない)の考察などもなされる。それは(読む人によっては)感動的ですらあるのだが、気になるのはそこでの感傷的な語り口だ。これは『生物と無生物のあいだ』でも感じたことだが、著者はナイーヴすぎるのではないか。そのナイーヴさがあらぬ方向に行って暴走してしまうことを私は心配している。せっかくの頭を持っているのだから、落ち着いた議論をしてもらいたい。今後も彼の著書を読む機会はあると思われるが、その議論がどのような方向に向いていくのか、注視していきたい。

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『WEDDING』LUPICIA

 ウェディング。「フラワーシャワーをイメージした、花びらいっぱいの華やかな紅茶です。」

 甘くて、しかし爽やかな花の香りのお茶。なるほどウェディングなんだなと思った。味の方はあまり特徴はないが、飲んだあとに口の奥の方で良い香りがしばらく続く。フレイバードティーとしては悪くない。

LUPICIA

2009年11月13日金曜日

『小樽クラシックブレンド』可否茶館

 札幌大通のポールタウン店にて。
 こんな名前のブレンド、前からあったかな。無かったような気がする。でもクラシックという言葉が入っているし。とか思いながら注文(本当はスペシャルティ珈琲を所望したのだが、あいにく品切れだった)。
 少し苦みはあるものの、かなり飲みやすいブレンドだ。熱いうちはほとんど酸味を感じないが、冷めてくるとちょっと酸味が出てくる。おいしいけどあまり特徴はない。いかにもブレンドとして作り出した味(ブレンドが悪いと言っているわけではない。地名や農園の名前の入った珈琲とは違い、クセがなくバランスが取れている、という意味)。
 今日はずっとノラ・ジョーンズのファーストアルバムがかかっていて、気分よく飲めた。

可否茶館HP

2009年11月10日火曜日

『Portraits』村治佳織

 ポートレイツ。2009年。彼女のアルバムは全て持っているが、今回のアルバムでは何か一皮むけたような感じがする。肩の力が抜けて好きなように弾いているのだけれど、ある一線はきちんと保っているというような、まさに論語の「七十にして心の欲する所に従えども 矩を踰えず」の境地だ。村治のアルバムはいつもはっきりとしたテーマがあるのだが、今回はアルバム『CAVATINA』に似たコンセプトなのだと思う。『CAVATINA』に入っていた『サンバースト』が今回再登場して、18『イントロダクション~サンバースト』となっているのも偶然ではあるまい。色んな人がこのヨークの曲をカバーしているが、私はやはり村治佳織バージョンが好きである。坂本龍一、クラプトン、ビートルズ、ヨークなど、現代楽曲から取られた曲がほとんどを占めるが、その中にショパンやシューマンの曲も散りばめられていて、飽きない。静かすぎず、賑やかすぎず、バランスが良い。1『戦場のメリー・クリスマス』で始まり19『イン・マイ・ライフ』で幕を閉じるなんてイキではないか。
 今挙げたものの他に好きだったのは、2『タンゴ・アン・スカイ』、3『ティアーズ・イン・ヘヴン』、4『ジョンゴ』、9『シークレット・ラヴ』辺り。『ティアーズ・イン・ヘヴン』はアレンジの良さも光り、特に良い。15『一億の祈り~映画『火垂るの墓』実写版より』のトレモロも聴きどころである。

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2009年11月9日月曜日

ドウダンツツジの紅葉

 ドウダンツツジは、春から夏にかけて小さなスズランのような花をいっぱい咲かせる、生け垣によく使われる低木である。でも私の好きなのは、この木のこうした一面ではなく、秋になると姿を現す見事な紅葉の方である。緋色と言えばいいのか猩々緋と言えばいいのかわからないが、その燃えるような赤が大好きなのだ。またこの季節がやってきた。北海道ではもう紅葉の季節も終わりに近づいているが、このドウダンツツジの赤とイチョウの黄はまだ楽しめる。

2009年11月8日日曜日

『ルオー展』北海道立近代美術館

 出光美術館所蔵ジョルジュ・ルオー展(会期:2009年10月28日~11月29日)。Georges Rouault(1871-1958)。代表作「受難(パッション)」や版画集「ミセレーレ」をはじめとする初期から晩年までの約170点の作品が展示されている。
 ステンドグラス職人の徒弟となり、かのギュスターヴ・モローの指導を受けたルオーは、印象派、キュビズム、未来派などの特定の流派に入ることなく独自の道を突き進む。太い輪郭、その中からあふれ出る光、豊かな色彩。彼を特徴づける言葉は数あれど、底流に流れるのはキリストに対する深い敬虔さだろう。彼の作品はカトリックに関するものだけではなく、道化師や娼婦、風景を描いたものも多いが、どれも宗教的である。彼の作品を観ていると、その真面目さに心が打たれる。
 1922年から手をかけ始めた「ミセレーレ」は彼の中期の記念碑的作品である。ミセレーレとは「憐れみたまえ」を意味するラテン語である。この一連の銅版画作品群はモノトーンにもかかわらず光に満ちあふれている。必ずしもキリスト教とは関係のない、上流階級の人間や社会に対する皮肉(批判といった方がよいかもしれない)を表現した作品も多いが、どれも宗教的思索に基づいたものであろう。ここで見せた精神は後の作品にも受け継がれていく。中期の油彩画ではその精神を保ったまま、新たな手法を見せる。一度描いた画面をパレットナイフで削り取ることによって、雲母のような輝きとマチエールを出現させるのだ。ここで版画とは違った種類の光の世界が現れてくる。
 後期になると、明るい部分がどんどん盛り上がってくる。1935年には友人(?)シュアレスの宗教詩「受難(パッション)」の挿絵(版画用の下絵だった)をそのまま利用した一連の油彩画を完成させる。ルオーの絵はいつの時代のものであれルオーそのものであるが、ここで描かれた油彩画が、私にとって一番馴染みのあるルオーである。キリスト受難の歴史を描いた作品群は豊かな色彩と光を併せ持ちつつも、悲哀さを感じさせる。このころのルオーが一番好きかもしれない。
 後期もさらに時代が経つと、塗り重ねられた絵の具はさらに立体感を増し、溶岩のようなマチエールを見せてくる。影の中に浮き立つ光の表現はさらに磨きがかかる。このころ描かれた風景画を見ると、フォービズムの絵画を見ているような錯覚にも襲われる。中でも1953~1956年に描かれた「聖書の風景」はとても好きな作品だ。
 ルオーほど、本物と印刷物の違いが際だつ作品はない。印刷されたルオーの絵はさほど感動を与えない。しかし本物に出会ったとき、印象は全く異なり、宗教的感動を与える。私は特定の宗教に属さないものであるが、ルオーの絵に対峙すると非常に敬虔な気持ちになる。一度は本物を見てみることを強くお勧めする。

北海道立近代美術館

2009年11月7日土曜日

『ORANGE CHOCOLAT』LUPICIA

 オランジュショコラ。「オレンジの爽やかな酸味と、ほろ苦いショコラの香りがミルクにぴったりの紅茶です。」

 茶葉はオレンジとチョコの香りでいっぱい。でもそのまま飲むと特に特徴はなかった。紅茶の味ではない。香りはそれほど強くない。
 ミルクティーがお薦めらしいのでミルクティーにもしてみた。すると不思議なことに、チョコの香りにちょっとだけオレンジの香りが立ち上がった。それは味にはあまり影響を与えていないようだったが、その味はやはり紅茶のものではなかった。でもミルクを入れるのなら悪くないなと思わせる、そんな味だ。オレンジピールにチョコレートをからめたお菓子があるくらいだから、オレンジとチョコは相性がいいのだろう。

LUPICIA

2009年11月4日水曜日

『円山オーガニック』徳光珈琲円山店

 初めて円山店で飲んでみた。意外に落ち着いて長居できたのは、前に来たときはオープンカフェだったのが、今回はガラスで囲まれていたせいかもしれない。
 さて珈琲の話。このブレンドは無農薬・有機栽培の豆だけを使っているのだそうだ。煎りはシティローストである。これはものすごくおいしい。柔らかな酸味と包み込むような甘みが実に心地よい。えぐみ、苦みはほとんど感じられない。後味がすっきりしているのに、甘い余韻はいつまでも続く。以前紹介した『チョコ深ブレンド』よりもずっと高級な味がして好みだ。私の嗜好は苦み偏向型からバランス型へと変化しつつあるのかもしれない(これまでのブログ記事を読むと、ずっと前から苦み偏向タイプではないのがバレルのだが)。

徳光珈琲のHP
『徳光珈琲円山店』札幌市中央区大通西25丁目1-2 ハートランド円山ビル1F(地図
(注意:地図がちょっと古いです。地下鉄東西線円山公園駅5番出口のすぐ隣です)

2009年11月3日火曜日

『その「エコ常識」が環境を破壊する』武田邦彦

 青春出版社(青春新書)。著者は資源材料工学の専門家。本書は『環境に優しい生活をするために「リサイクル」してはいけない』を改題し、加筆・修正・再編集したものである。
 この問題は非常にセンシティブな面を持っているので、正直な話コメントしづらいのであるが、私なりの見解を(苦し紛れではあるが)述べてみよう。
 本書は「「良いこと」はなぜ「悪の温床」になるのでしょうか?」との挑発的な文章で始まっている。そして、「アルミ缶や貴金属などほんの一部のものを除いては」リサイクルしてはいけないと締めくくる。本書の主張はほぼそれに尽きる。リサイクルしないでどうすればいいのか。焼却すればいい、と著者は主張する。焼却によってゴミは1気体、2灰、3メタル、4スラグになる。気体は二酸化炭素と水だから放っておく。灰は貴重なものを含んでいるので非鉄金属業界が有効に利用する。メタルも同様。スラグは埋め立てて国土を広げるのに使う。こんな具合である。
 そもそも何故リサイクルしてはいけないのか。リサイクルをすることによって、リサイクルしないときよりも環境を汚すからである。その根拠の詳細については本書を読んでもらいたいが、ひとつだけここで紹介しておきたい(これは正しそうだから)。例えば鉱石は様々な金属を濃縮したものだから精錬しやすいが、一度社会に出てしまって薄く広く分布してしまうと、それを回収して利用しようとしたときに大変な手間と大量なエネルギーを使うというのだ。このことはエントロピーの概念を考えると理解しやすい。槌田敦の『エントロピーとエコロジー』(ダイヤモンド社)にわかりやすい説明が載っている(槌田は資源物理学者で武田と同じような出自を持っており、『環境保護運動はどこが間違っているのか』(宝島社)という本を出している。個人的には槌田の説明の方が真っ当に聞こえる)。武田のようにほとんど全てのリサイクルについて否定しているのは行き過ぎとしても、紙やペットボトルのリサイクルについて疑問の声を上げている本は割と存在する。例えば前出の『環境保護運動はどこが間違っているのか』(宝島社)、『ほんとうの環境問題』(養老孟司、池田清彦。新潮社)、『環境と健康』(安井至。丸善)などだ。参考にして欲しい(ただし安井は武田に対して批判的である。私は武田よりも安井の考えに近い)。
 ちょっと話がずれた。これらの主張を念頭に置いた上で、次のような行為をすることを勧めている。「手元にあるものを、寿命ぎりぎりまで使い切ること」である。だから、エコポイント制度は否定する。まだ使えるものをエコ製品に買い換えることによって、製造や廃棄にかかるエネルギー、節約される電気エネルギーがどうなるかを考えると、古い製品であっても長く使い続ける方がよい結果になるという。私はこの意見に賛成である。
 他にも色々なことが書かれているが、私はこれらの全てに賛同するわけではない。読者もかなり注意深く読むべきである。受け入れられる意見とそうでないものはきちんと区別するべきだ。
 例えば著者はLCA(Life Cycle Assessment、環境評価手法のひとつ)を否定するが、その根拠は曖昧である。そして資源や材料分野では「コスト(価格)というのは物質の使用量とエネルギーの量に比例してい」るとして、コストを使って環境評価をするのである。私はこの前提はかなり怪しいものだと思っている。もしかするとこの前提を使わなくても同様の結論が導かれるかもしれないが、著者はしばしば問題のすり替えを行っているので、注意する必要がある。
 以上が私の感想も合わせてのこの本の紹介である。結局私はこの問題についてどう考えているかというと、まだはっきりとした判断が下せない、という状態である。この本でも一部触れられている地球温暖化のこともそうであるが、環境問題をビジネスとしてしか考えていない人が少なからずいるので(そしてこれらの人々の影響力は意外に大きい)、環境問題を考えるときにはかなり注意深くなる必要があるのだ。環境に優しくない環境運動は必ず存在すると思っていい。それぞれの人が真面目に考え行動することを切に望む。

以下、amazonで見てみる(現在行われている環境運動を推進する立場の本は山ほどあるので、それらの本は各自探してみて欲しい)。
その「エコ常識」が環境を破壊する (青春新書)
エントロピーとエコロジー―「生命」と「生き方」を問う科学
環境保護運動はどこが間違っているのか? (宝島社新書)
ほんとうの環境問題
環境と健康―誤解・常識・非常識 信じ込んでいませんか?

2009年11月2日月曜日

500m美術館 '09

 11月1日~30日。「さっぽろアートステージ2009」の一環としての美術展。毎年この時期になると、札幌地下鉄東西線大通駅とバスセンター前駅の間の地下通路が美術館になる。普段は本当に殺伐とした何もない地下道なのだが、この時期だけは賑やかになる。展示されているのは、札幌で活躍するアーティストの現代美術作品と、公募による市民作品である。完成度の高いものからそうでないものまで、雑多な作品で埋まる。絵画、イラスト、ポップアート、インスタレーション、映像作品・・・。
 素敵な企画だな、と思う。初めてこの通路を歩いたとき、ちょうどこの美術展をやっていたので、そのときは1年中展示されているのかと思っていた。展示期間が終わったときは本当に残念だった。でも1年のうちの1ヶ月間だけだとしても、こういう空間が生まれるということは凄いことなんじゃないか。私はこんなイキな企画を催してくれるこの街が好きである。

2009年11月1日日曜日

『Sage Derby』

 セージダービー。イギリス産のハードタイプのチーズ。緑のマーブル模様が特徴的。ベースはチェダーチーズに似ており、それにセージの味と香りが混ざった感じ。ちょっとセージの苦みを感じる。パンにも良く合い、おいしい。セージが嫌いでなければ大丈夫。

『EARL GREY』LUPICIA

 アールグレイ。「祁門紅茶ベースのオーソドックスなアールグレイ。ストレートでもミルクでも。」

 あまりクセのないアールグレイ。悪くない。以前紹介したNINA'Sのアールグレイも、これと同じくキーマンベースだと思われるが、そちらがキーマンの香りを前面に押し出していたのに対し、ルピシアのものはキーマンの味がほとんどしない。ベルガモットの香りも適度である。
 ついでに今まで飲んだアールグレイの感想をまとめてみたい。NINA'SとLUPICIAは置いておく。好みだったのは、月並みだけれどトワイニング(TWININGS)とフォートナムメイソン(FORTNUM & MASON)。これはたいていの人にお薦めできる。フォション(FAUCHON)は香りが強く、アイスティーにはぴったりだけれど、ホットだと慣れが必要。エディアール(HEDIARD)は香りや水色は良いのだけれど味があまり好きではない。ロイヤルコペンハーゲン(ROYAL COPENHAGEN)は香りが上品で良いが、茶葉に力が感じられずちょっと物足りない。
 こんなところか。

LUPICIA

2009年10月31日土曜日

『COOKIE』LUPICIA

 クッキー。「クッキーをイメージした甘い香りの紅茶にアーモンドをブレンド。ミルクティーにも。」

 どうなんだろう。この甘いクッキーの香りは紅茶に合っているのだろうか。どうも無茶なブレンドのような気がする。私はもっと自然なブレンドが好きだ。

LUPICIA

押尾コータローコンサートツアー2009 "Eternal Chain"

 2009年10月29日札幌公演、道新ホール。
 名前のとおり、アルバム『Eternal Chain』を引っさげてのツアー。今回は「絆」をテーマにしている。会場が暗くなると、パーカッションとしてのギターの音色だけが会場に鳴り響く。そんな中、押尾コータローが登場すると、アップテンポな『絆』からコンサートは始まった。彼は背が高いので舞台映えがする。かっこいい。
 その後のMCの後はしばらく落ち着いた爽やかな曲が続く。『旅の途中』、『渚』、『Believe』などだ。TACOMAのPapooseを使った『日曜日のビール』、'30年代のオールドギブソンを使った『Always』などは、そのギターの特徴をうまく使っていい感じだった。『Always』の枯れた音は本当に心に響く。全体的に華美な音作りだった今回のコンサートの中で、この2曲は生ギターっぽさが出ていた。カバーアルバム『Tussie mussie』からは『First Love』と『Time After Time』。前者のMCでは押尾の初恋話などで会場に笑いを誘い、その後しっとりと歌い上げた。後者はミュートした音が良い味を出していた。『Snappy!』では予想通り聴衆の手拍子を巻き込んで会場と一体化した。この手拍子がなかなか難しく4種類もあり、そのためのリハーサルまでやった。なかなか楽しい企画(?)だ。それからは激しめの曲が多くなり会場を盛り上げた。恒例の『HARD RAIN』や、『翼~you are the HERO~』、アンコール1曲目の『Big Blue Ocean』。アンコール2曲目は、このコンサートがカーボンニュートラルな取り組みをしているとの説明のあと、地球と人間との絆をテーマにした『Earth Angel』をしっとりと聴かせてくれた。最後の曲も良かった(曲名がどうしても思い出せなくて悔しい)。
 忘れていたが、いつもの「ひとりメンバー紹介」は相変わらず楽しい。ベース、ドラム、エレキギター、フォークギター、津軽三味線・・・。フォークギターの紹介では、ツアーで初めてアリスの『チャンピオン』をサビまで全部歌ってくれた。歌がうまい。良く通る声をしている。メンバー紹介の時は客席まで下りてくれるので間近に見ることができる。それもいい。
 今回のコンサートは昨年までと比べると、割と落ち着いたコンサートだったと思う。彼も余裕ができてきたのか、こちらも安心して楽しめた。

2009年10月27日火曜日

『GINGER & LEMON MYRTLE』LUPICIA

 ジンジャー&レモンマートル。「レモンマートルとジンジャーに、ルイボスとハニーブッシュをブレンド。優しい味わいです。」

 レモンマートルは私にとって初めて聞く名前だったが、オーストラリアに自生する高さ20mにもなる樹木だという。ハーブとして使うのは葉っぱであり、この葉の香りがレモンに似ていることからこの名前が付けられたという。ルイボスとハニーブッシュについての説明は以前にしたのでここではしない。
 このお茶はとてもおいしい。柔らかいレモンの香りと味が堪らなく良い。レモンマートル単独ではどんな味になるのか、非常に興味がある。ブレンドの仕方が絶妙なのか、それともレモンマートル自体がおいしいのか。それにしても、ルピシアのルイボスをベースにしたお茶はおいしいものが多い。このブレンドは特にお勧めである。

LUPICIA

2009年10月24日土曜日

『ロジカル・シンキング』照屋 華子、岡田 恵子

 東洋経済新報社。副題は「論理的な思考と構成のスキル」。
 わかりやすい。それほど多くのことを詰め込んでいないので、ポイントがつかみやすい。例題が実践に即しているので受け入れやすい。あと、個人的にこの本の文体が好きだ。というわけで、ロジカルシンキングの入門書として選択肢に入れていい本だと思う。
 ポイントは多くない。2つの技術を習得すれば、ロジカルシンキングは可能だと本書は述べる。横糸としての「MECE(ミッシー)」、縦糸としての「So What?/Why So?」。この2つが著者の言う「論理的に思考を整理する技術」である。そして「並列型」と「解説型」という2つの「論理的に構成する技術」。基本的にこれらのことしか本書では説明していない。それで十分だからだ。しかしここで、本書でも触れられている、もうひとつ重要な論点を示しておきたい。それは、相手に伝えるべきメッセージが本当に相手の問いに対する答えになっているのかどうか、ということだ。これはごく基本的なことだが、この時点でずれてしまっているコミュニケーションがビジネスの現場でよく見られるという。実はこの問いと答えの関係に注意するだけで、多くのコミュニケーションがうまくいくのではないか、とさえ感じた。
 ここで簡単に用語の説明だけをしておく。「MECE」は「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略で、互いに重なりが無く、漏れがない、ということだ。話の重複・漏れ・ずれを防ぐために用いられる。「So What?/Why So?」は、論理の下部から上部に向かって「それでどうなの?」と問い、上部から下部に向かって「何でそうなの?」と問うことで、話の飛びをなくすことである。「並列型」とは事実等をMECEに並べることによって結論を導き出すことで、「解説型」とは、ある判断基準を設けて、事実から判断を導き出すことである。
 この本で残念に感じたのは、本文中の問題に解答が載っていないことだ。私のような独習者にはちょっと辛い。

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『チョコ深ブレンド』徳光珈琲

 札幌市円山地区のハートランド円山ビルの1階に先月店ができたので行ってみた。店はオープンな作りで、気軽に珈琲を飲んでもらおうとのコンセプトが感じられる都会的な店構えである。決して長居をするような店ではない。今後もそうすると思うが、今回は豆だけ買って帰ってきた。
 さて、『チョコ深ブレンド』の話である。店のパンフレットには「ビターチョコレートをイメージした香味」とあり、焙煎はフルシティローストだという。酸味が少なめで甘みを感じられるブレンドを、と所望したらこれを勧められた。実際に淹れてみると、苦みがやや強いもののバランスの良い飲みやすいブレンドだった。スペシャルティ珈琲のような主張する味や香り(これをクセともいう)はないので、普段飲むのに良い。うちの基本のブレンドである『豆源』の『鎌倉ブレンド』とタイプは違うが、これを基本にしてもいいな、と感じた。

徳光珈琲

『True Love Don't Weep』James Hill & Anne Davison

 2009年。ジェイムス・ヒルとアン・デヴィソンのデュエットアルバム。ジェイムスはカナダのウクレレプレイヤーで、超絶技巧で有名。アンはチェロ奏者。二人は人生のパートナーでもある。アルバム全体はカントリーやブルースの曲(ブルーグラスと言った方がいいかもしれない)でほとんどが占められており、歌ものも多い。
 私は彼の日本デビューアルバム『Fantasy For 'Ukulele』(2005)を所有しているが、全く音楽の方向性が違う。そのせいで私は今回のアルバムを聴いたとき、かなり戸惑った。期待していたのとは全く異なるアルバムだった。デビューアルバムにはカントリー系のミュージックは取り上げられていなかったのだから。この変化はアンとの出会いのせいかもしれないし、そうではないのかもしれない。ただ、この数年間でジェイムスの中で大きな変化が起きたことだけは確かだ。
 技術的には相変わらず高いものを持っている。でもそれが嫌味ではなく音楽にしっかりと溶け込んでいるのがすごい。ウクレレのアルバムとして聴くのではなくカントリーアルバムとして聴くのなら、そう悪くない。ウクレレとチェロの相性は意外に良い(そういえばジェイク・シマブクロも『Across The Universe』の中でヨーヨーマのチェロと競演しており、なかなか良い味を出していた)。歌ものも二人の息のあったハーモニーが印象的だ。これはジェイムスのアルバムではなく、ジェイムスとアンの二人のアルバムなのだ。その点成功していると言っていいだろう。
 ちなみに個人的に一番気に入ったのはインスト曲である4『Ode to a Frozen Boot』である。

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2009年10月22日木曜日

『TOKIO』LUPICIA

 トキオ。「緑茶をほのかに甘いベリーで香りづけ。すっきりと飲みやすい人気のお茶です。」

 確かに微かな甘いベリーの香りが緑茶のそれともマッチしていて、悪くない。味についても、想像するに緑茶とベリーは意外に相性がよいのだと思われる。なぜ「想像するに」なのか。実はこのフレイバードティーに使われている緑茶はまずいのだ。だから、ある程度以上の質の緑茶とベリーとを合わせれば結構おいしくなると「想像する」のだ。でも、ある程度以上の質のお茶というのは、そのまま売ってもそこそこ売れるのだろうから、フレイバードティーには使わないのだろう。もしかすると、これはルピシアで売っている全てのフレイバードティーに当てはまるのかもしれない。惜しい話だ。本当においしい組み合わせならば、多少高くなっても私なら手を伸ばすのに。

LUPICIA

2009年10月20日火曜日

西村和 作陶展

 にしむらなぎ。2009年10月20日~10月26日、札幌三越本館9階三越ギャラリー。札幌在住の作家。
 右は私の普段使いの珈琲用マグカップのひとつで4、5年前の作品。今回の作陶展は普段使いのものは展示していなかったので、このようなタイプのものは無かった。西村和本人の話によると、今回は三越での展示ということもあり、ちょっと敷居の高いものを用意したとのことだ。象嵌の手法で幾何文様や草花文をあしらった花入れ、香合、水差し、大皿、急須など、しっかりと作り込んだものが多い。繊細でありながら土のものという風合いは失わずにいて、確かな技術力を感じる。寂れた感じが何とも言えず良い。昔嗜(たしな)んでいた茶道をまた始めたくなるような雰囲気が会場にはあふれていた。
 私の好きな作家である。展示期間中にもう一度行って、本当に気に入ったものがあれば購入しようと思う。

西村和のHP

2009年10月18日日曜日

『CAFE Jimmy Brown』

 札幌大通の路面電車終点(西4丁目駅)のすぐ北側。1階部分がカフェ専用で2階に行くと食事も出る(ような気がする。実際には2階には行かなかったので)。
 革張りのゆったりとした椅子が奥までずっと並んでいる。やや暗い店内の雰囲気は渋くて良い。結構好みの設(しつら)えだ。ただし空調が良くないとみえて、タバコの煙がものすごい。私には堪えられないほどの煙だったので、もう来ないかもしれない。場所と雰囲気はとてもいいので、タバコが何ともない人には良いと思う。私が嫌だったのはその1点だけだったから。
 ところで写真はカプチーノ。ラテアートはあまり上手ではないけれども、一応右がウサギで左がクマらしい。

『CAFE Jimmy Brown』札幌市中央区南1条西4丁目 GSビル(地図

2009年10月17日土曜日

Tommy Emmanuel C. G. P Japan Tour 2009

 2009年10月17日。札幌公演(Zepp Sapporo)。ツアーゲスト・ギタリスト、スティーブン・ベネット(Stephen Bennett)。
 トミー・エマニュエルはオーストラリアのギタリストで、一部のギター好きの人達の間では、世界で一番凄いギタリストとも言われている。
 西山隆行のオープニングアクトが終わったあと、トミーの紹介でスティーブンが登場。手にはナショナルリゾネイターギターとハープギターを持っている。マニアックすぎる。思ったよりもずっと年を取っていてびっくりする。既出のアルバム『Everything Under The Sun』とは全く違ったタイプの曲を5曲披露してくれた。ハープギターの奥行きのある音色をバックに歌った『What a Wonderful World』が良かった。
 その後入れ替わりでトミーが登壇。『Endless Road』をピックでかきならしたあと、立て続けに超速弾きの激しい曲を数曲披露した。ソロギターで売っているギタリストで、こんなにも速弾きする人を他に知らない。フラットピックに中指と薬指で彩りを添えるパターンと、サムピックを親指にはめて弾くパターンの2種類が主で、ソフトな曲ではピックを使わなかったりもする。激しい曲で客を引き込んだあとは、味のあるおとなしめの曲が多くなった。ツアーに来る途中で出会ったルビーという名前の女の子に触発されて作った『Ruby's Eye』。日本人向けのサービスと思われる『Sukiyaki』。超絶人工ハーモニックスで魅せる『Somewhere Over the Rainbow』(曲は「Over the Rainbow」のメロディだが、アルバムではこの名前で出している)。そして本人も弾くのが大好きだと言って弾いてくれた『Questions』。これは私も好きな曲で、この曲が聴けただけでも来た甲斐があったというものだ。
 そのあとの、ギターをパーカッション代わりにしてのドラムソロは凄かった。曲は『Mombasa』だったと思うけど、自信はない。そこでいったん休憩。ギターを弾きながらの、あるいは曲の合間に見せる彼のおどけた表情、行動は笑いを誘う。それは、曲を楽しむだけがライブじゃないんだよ、ということを教えてくれているような気がする。
 その後リクエスト2曲『Angelina』、『Mona Lisa』をしっとりと聴かせてくれた。良い。それからエンディングまではスティーブンを交えて、息のあったプレイを見せてくれる。スティーブンの『My Beautiful Sky』(と言っていたような気がするんだけど聞き間違いかも)や『枯葉』(この曲を弾くことにしたのは、飛行機が新千歳に下りるときに見た紅葉がきれいだったから、と言っていた。だとすると英語表記『Autumn Leaves』は欧米人にとって「枯葉」のイメージではないのだろうか。余談でした)、ビートルズの『Yesterday』などを一緒に弾いて、幕を閉じた。
 素敵で、凄いおじさんだった。客の入りが気になったが、来年も札幌まで来てくれるのだろうか。

2009年10月16日金曜日

『12 Stories』岸部眞明

 2009年。7枚目のアルバム。前回の『My Favorites』がカバーアルバムだったので、オリジナルとしては6枚目になる。前作もきれいな曲がいっぱい詰まっていたが、やっぱりこの人はオリジナル曲の方がずっと良いと思う。彼のギタースタイルにあったメロディラインというのがたぶんあり、それが生かせるのは彼自身の作り出したメロディなのだろう。DADGADやオープンDを中心とした変則チューニングしか使わないのも、その一因かもしれない。彼の紡ぎ出す音は堪らなくきれいでクリヤーだ。タッチ、個々の音の延ばし方、メロディの引き立て方などの技術は、同じソロギタースタイルで食っている人の中でもトップクラスだと思う。
 1『Happiness』はアルバムの最初の曲らしく、アップテンポなノリの良い曲。3フィンガーの合間に絡ませたメロディの歌わせ方はさすがだ。同じく3フィンガーが印象的なのは8『Convertible』。運動会の練習中に爽やかな風に吹かれて空を見上げているような印象のきれいな曲だ。7『Dandelion』は郷愁を誘わせるような切なさを持ちつつも、爽やかなメロディが光る。ゆったりと時間をかけて昔の想い出を呼び覚まさせてくれる5『遠い記憶』もいい。3『Time Travel』はミュートしたベースにきれいなメロディの乗った佳曲。11『November』は北海道の感覚からすると9~10月といったイメージで、夕焼けのきれいな暖かい日に川縁から豊平川を眺めているような感覚に陥る。そして最後の12『Thank you for ・・・』はシンプルながらきれいな曲で個人的に好きな曲だ。

 これだけの記事の中に「きれいな」という修飾語を何回も使ってしまったが、本当に彼の曲はきれいなのだからしょうがない。

岸部眞明のHP
プー横丁で探してみる

2009年10月15日木曜日

『HONEYBUSH』LUPICIA

 ハニーブッシュ。「南アフリカに自生するハーブ。蜂蜜のような甘い芳香と、すっきりした味わいです。」

 ルイボスと同じくマメ科の植物らしいが、写真を見たことはない。味はルイボスティーに似ているが、もっとクセがなく飲みやすい。ルイボスティーよりも甘い感じがする。でも香りはちょっと独特で、まさに灌木(bush)くさい。表現を変えると、ずっと海の波に洗われ続けてきた木の端切れのような、とでも言おうか。においにクセがなかったらもっと好みだっただろうに。他のハーブと合わせて香りを変えてしまうと、ハーブティーの良いベースになるかもしれない。

LUPICIA

2009年10月10日土曜日

『THURBO』LUPICIA

 タルボ。FTGFOP1 08-DJ21。「南国の果実を思わせる甘い芳香と、うっとりする焙煎香が魅力の春摘み紅茶。」

 タルボはダージリンの茶園のひとつ。春摘み紅茶はファーストフラッシュと呼ばれ、若い茶葉の爽やかな香りが特徴である。ちなみにセカンドフラッシュは夏摘み紅茶、オータムナルあるいはオータムフラッシュは秋摘み紅茶のことだ。
 これは本当に香りの良いお茶だ。紅茶を入れたカップから漂う香りで心が和む。ファーストフラッシュは時に青臭いと言われることもあるが(実際私もこの青臭さ故にファーストフラッシュよりはセカンドフラッシュの方を好む)、このタルボはそんなことはなくて、味もしっかりしていておいしい。ダージリンと名乗るならせめてこれくらいのおいしさは期待したい。私はこの紅茶に満足している。
 ただちょっと気になるのは、このお茶はたぶん去年のファーストフラッシュだから(つまり古いから)青臭さがないだけなのかもしれない。お茶は買ったら早く飲めよ、という感じだが、つい衝動買いでため込んでしまうクセがあって・・・(一応賞味期限は来年の5月である)

LUPICIA

『Rochebaron』

 ロッシュバロン。フランス産のブルーチーズ。表面の黒いのは木炭粉で、これも食べて大丈夫。虫除けの名残で今もまぶしているらしい。ブルーチーズとは言っても、白カビタイプのチーズにほんのちょっとだけブルーを混ぜたという程度で、クセはほとんどなく食べやすい。私が食べたときはねっとりとした感触だったが、熟成が進むとクリーミーになるらしい。いつも白カビタイプばかり食べていて、ブルーにも挑戦したい、という人には受け入れられやすいと思う。ブルー好きには物足りないと思うが。

2009年10月8日木曜日

『丸美珈琲店』

 札幌市南1条通りの創成川からすぐ西の北側に建っている。この1,2年でできたイメージを持っていたのだが、2006年の創業である。店主はこの6月に行われたワールドカップテイスティングチャンピオンシップで世界3位に入賞した。店内は明るくオープンな雰囲気で、清潔感がある。席数はそれほど多くはないが、とても広く感じる。
 珈琲はアレンジ珈琲も取りそろえているが、やはりメインはスペシャルティ珈琲である。世界各地のスペシャルティ珈琲が手頃な値段で楽しめる。店員は珈琲の知識が豊富で(当たり前か)、それぞれの珈琲の特徴を丁寧に教えてくれる。時間潰しに入る店、というよりは、おいしい珈琲を飲むために入る店である。客層もそういった人が多いように感じる。
 まず手始めに「丸美ブレンド」はいかがだろうか。酸味も苦みもあまりなく、まろやかなコクのある甘みがずっと舌に残る、そんな感じのブレンドだ。

丸美珈琲店』札幌市中央区南1条西1丁目2番地松崎ビル1F(地図

2009年10月6日火曜日

『ホールステアーズカフェ 有楽ビル店』

 札幌大通オーロラタウンの東の端(テレビ塔のところ)を右に折れ、どんどん進んで第2有楽ビルに入ると、可否茶館と向かい合わせにその店はある。宮越屋珈琲の系列の店だ。ちょっと暗めの店内は大人の雰囲気で、ジャズのよく似合う店である。いつも適度な混み具合なので入りやすい。4人掛けの丸テーブル5つ(4つだったかな?)に大テーブルひとつ、カウンターからなっている。大テーブルに飾られた花がいつもお洒落だ。写真を撮ったときはちょうど森山大道の写真パネル展をしていた。
 実はメニューをよく見たことがない。朝ならお得なヨーロピアンブレンド。昼ならトーストセットしか頼まないからだ。他がおいしくないから、というわけではない。何となくここは軽いランチを取る店になってしまっている。トーストを食べたあとの残った珈琲で長い読書の時間を過ごす、というスタイル。
 冷たい珈琲を頼むときは気をつけた方がいい。シロップ入りにするとものすごく甘い珈琲が出てくる。私も疲れているときはそれを頼むのであるが。

宮越屋珈琲のHP
『ホールステアーズカフェ 有楽ビル店』札幌市中央区大通西1丁目第2有楽ビルB2F(地図

2009年10月5日月曜日

『ORGANIC ROOIBOS GREEN』LUPICIA

 オーガニック ルイボスティー・グリーン。「無発酵のいわばルイボスの緑茶です。カフェインフリーで、クセがなく素朴な味わいです。」

 えっ、緑のルイボスってあるの?というのが初めの感想。改めてルイボスティーについて調べてみた。ルイボスはマメ科の植物で、その葉は針葉樹のような形をしていて落葉するときに赤褐色に変わるらしい。それを乾燥させたのが普通に言うルイボスティーだ。もしかしたら落葉する前に摘むのかもしれない。ふつうのお茶の葉は、摘んでからそのまま乾燥させると発酵して茶色い紅茶になる。同じようにルイボスも摘んでからそのまま乾燥させると発酵して茶色くなるのだろう。この『オーガニック ルイボスティー・グリーン』は緑茶と同じように発酵を止めて乾燥させたものらしい。なるほど。
 味は普通のルイボスティーと同じく、甘くて、香り豊かでおいしい。そしてもっと爽やかな味がする。干し草のような香りはしない。紅茶のような香りだ。捨てがたいお茶だ。青臭いという人もいるかもしれないけど、いい。
 ただ、やっぱりルイボスティーを飲むと口が乾く。茶色でも緑でもそれは変わらない。

LUPICIA

2009年10月4日日曜日

『PLACE TO BE』Hiromi

 上原ひろみ、2009年。彼女初の全曲ピアノソロアルバムである(日本版ボーナストラックにだけ矢野顕子が参加しているが)。待ちに待った、と言おうか。
 彼女の曲と曲名は実に良くマッチングしているので楽しい。適当に付けた曲名はおそらく無い。テーマがあって、それに基づいて音作りをしている彼女の姿勢は好きだ。例えを挙げれば、『another mind』での9「Tom and Jerry Show」、『BRAIN』での1「KUNG-FU WORLD CHAMPION」なんかがわかりやすい。その姿勢はこのアルバムでも貫かれており、タイトルを念頭に置いてその曲を聴くと、情景が頭に浮かんでくる。彼女の曲は音が詰め込まれていて元気なイメージがするが、このアルバムでは音数の少ない切なげな曲も多い。3「SICILIAN BLUE」ではシチリア島の美しい光景が曲になっている。5「SOMEWHERE」のどこか寂しげな音の粒。でもどこかに希望を持っていたい、というような切なさを感じさせる曲調。8「PACHELBEL'S CANON」のあの特徴的なコード進行の繰り返しの中に、彼女なりのピアノの音をさりげなく乗せていく感じは洗練されたイメージを喚起する。タイトル・チューン12「PLACE TO BE」は彼女にとっての居場所なんだろうか。それとも万人にとっての居場所を示唆しているのだろうか。華やかさは全くなくどこか荒廃的なイメージを持たせつつも、空から希望の光が差してくるそんな居場所。「PLACE TO BE」はそんなに明るく派手なところじゃないんだよ、でもあなたを静かに包み込んでくれる、そんな場所なんだよ、と彼女は言っているような気がする。ベガス3部曲「VIVA! VEGAS」はそのイメージの中に身を置くだけで楽しい。9「SHOW CITY, SHOW GIRL」、10「DAYTIME IN LAS VEGAS」、11「THE GAMBLER」の3曲だ。個人的に明るい感じで好きだった曲は、7「ILANDS AZORES」だ。これはポルトガル領アゾレス諸島の曲である。
 やっぱり上原ひろみはいい。

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2009年10月2日金曜日

『マインドマップ問題解決』高橋政史

 ダイヤモンド社。副題は「「らくがき」で劇的に身につくロジカルシンキング」。ここでいう「らくがき」は主にマインドマップのことであるが、これには限らない。マインドマップとロジカルシンキングを一緒に使うとすごいことができるよ、と本書は述べているが、私がこの本の内容を一言で述べるとすれば、「ザ・問題解決マニュアル」。
 マインドマップとロジカルシンキングを一緒に使うということは、以前紹介した『マインドマップ戦略入門』(塚原美樹、ダイヤモンド社)でもやっていたことだが、その本と本書では全くレベルが違う。本書はまさに使える(amazonを見ると評価が真っ二つに分かれているが、私は使えると判断している)。誰でもこの本のとおりに手を動かしていけば、自然とロジカルシンキングをしながら問題解決に向かうことができる。ロジカルシンキングを意識することはほとんど無い。その点、罪作りな気はするのであるが、とにかく問題解決には至る(ロジカルシンキングを理解していなくてもロジカルになってしまうところが罪作りだと思うのだ)。この本のやや強引な語り口に従っていさえすればいい。本全体としては実に構造化されていて、抜けがない。本書の最後にこの本のキーワードをまとめた「クイックスタディ・ガイド」が付いているのもいい。あとで細部がわからなくなったときのガイドとして役に立つ。
 私は先に構造化されている、と書いたが、逆に言えば、この構造が頭に入らない人には何が書いてあるのかわけがわからなくなる、ということの裏返しでもある。本書に書かれていることは盛りだくさんなのだ。そしてすべてを使ってひとつのストーリーに仕立て上げている。どこかひとつでも漏れがあると、ロジカルじゃない問題解決へと向かってしまう。もしかするとその点が難点なのかもしれない。問題解決に向かうステップが多すぎることが(そのステップ、ステップを単独で利用することもできるのであるが)。
 この本はオフィシャルマインドマップブックと銘打ってあるが、マインドマップそのものの説明はほとんどなされていない。マインドマップを作れることがいわば前提になっている。また、ロジカルシンキングについても、その根本を実に明確に説明していると思うが、概要は示していない。つまり、この本はマインドマップとロジカルシンキングを勉強してみたものの、今ひとつ使いこなせていない人のためのマニュアル本だ。そんな人のための実践へのとっかかりになる本としては実に優れている。

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『カフェさっぽろ』可否茶館

 大通店、ポールタウン店の限定ブレンド。どんな豆をベースに作っているのかはわからないが、何となく昔懐かしい感じがする。微かに苦みのあるさっぱりした味わいが特長。飲みやすい。すごく好みの味ではあるが、冷めると味が落ちるのが難点。
 今日のポールタウン店は混んでいたので早々に退散。

可否茶館HP

2009年10月1日木曜日

『コスタリカ・シン・リミテス』横井珈琲

 「バターのような質感、プラム、チェリー、アプリコットに蜂蜜やキャラメルの風味。黒蜜を思わせる甘さはジューシーさを伴い、すーっと消えるチョコのような口溶けです。」

 そういえばコスタリカをここで取り上げるのは初めてかもしれない。と思ってブログを調べていたら、可否茶館で飲んだことがあるようだ(コスタリカ・アグリコラ・ロス・ロブレス)。横井珈琲では初めてだ。私の中でコスタリカとホンジュラスは地理的に近いせいか、たまにごっちゃになる。もともと好きな豆はホンジュラスの方だ。
 横井珈琲の言葉を見ると、ちょっと形容詞を使いすぎだよ、という気がしないでもない。酸味系か苦味系かと問われれば、明らかに酸味系の珈琲だ。でもそれが嫌味ではなく、全体としてきちんとまとまった味になっている。後味がすっきりしていて、ミントを食べたあとのような余韻に浸れる。おいしい珈琲だと思う。ごくごく飲めてしまう。この味が大好きな人は結構いるんじゃないだろうか。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

2009年9月27日日曜日

『Humming Life』わたなべゆう

 2009年。わたなべゆう4枚目のギターインストのアルバム。デビューアルバムを出した頃から一度は聴いてみようと思っていたのだが、いつの間にか4枚もアルバムを出していた。
 何回か通しで聴いてみて、実に惜しいと思った。メロディセンスもいいしハーモニーもきれいなのに、あとちょっとの山が越えられない、そんな印象を受けた。それがギターの音色のせいなのか、聴かせ方の技術のせいなのかよくはわからないのだが、とにかく何かが足りないのだ。
 とはいえ気に入った曲は結構あった。一番好きなのは7「Wedding veil」で、美しい幻想的な雰囲気が良く出ている。他にも河川敷で夕方ゆったりと過ごしている時にかかっていそうな穏やかな曲想の3「想いでの場所」。子どもが外で遊んでいるときに家の中からそっと見ているような4「おひるねハンモック」。ベース、パーカッションが入って明るく楽しげな6「Side by Side」。きれいなメロディが印象的な10「三日月ぶらんこ」、11「Baby you.」。まるでテルミンのような音色の楽器「のこぎり」でメロディを奏でるサキタハヂメとのコラボ、8「悲しくてやりきれない」。などなど、色々と良い曲は揃っている。
 でも、どこかに素人っぽさが残ってしまうのだ。それが何なのか、やっぱり私にはわからないのであるが。

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2009年9月26日土曜日

『日本人なら必ず誤訳する英文』越前敏弥

 ディスカヴァー携書。本当の題名は『越前敏弥の 日本人なら必ず誤訳する英文』。著者は『Xの悲劇』や『ダ・ヴィンチ・コード』などを訳した翻訳者。
 表題にあるような誤訳しやすい例文が全部で140取り上げられている。それらが基礎編、難問編、超難問編に分かれており、基礎編に関しては分野別(「比較」「関係詞」など)になっている。著者は、英文をきちんと読むには文法や文の構造をわかった上で、日本語に訳してみることが大事だ、と言っている。そして「少なくとも日本語を母語として育った人間について言えば、おそらく正しく訳せないものはぜったいに理解できていないと思います。」と述べている。それは各例文に付けられた解説にもはっきりと表れており、明確かつ的確に文法に則ってなされた解説文は非常に説得力がある。私自身は8割の問題は誤訳しつつも、楽しみながら、納得しながら読み進めることができた。おもしろくてためになる本である。
 なお、本書でも述べられているが、この本は高校程度の英文法をひととおり学んだ人を対象としている。仮定法や分詞構文がどんなものか、といった説明はほとんど省かれているので、自信のない人は文法書を横に置いて読んだ方がいいかもしれない。それだけが注意点である。

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2009年9月25日金曜日

『ORGANIC ROOIBOS NATURAL』LUPICIA

 オーガニック ルイボスティー・ナチュラル。「渋みが無く干し草のような香りと穏やかな味が特徴の、南アフリカ産ハーブ茶。」

 甘くて、香り豊かでおいしい。干し草のような香りという形容は、まあ半分は当たっているのだろうが、このお茶の良さにはあまりふさわしい言葉とは言えない。赤ワインのような、と言えば言い過ぎではあるのだろうが。でもまあそんな香りがする。と香りについて書いたが、このお茶の強みは香りではなく味の方にあるのだと思われる。甘さが実に心地よい。
 ただひとつ気になったことがある。このお茶を飲むといやに口の中が乾くのだ。それは私の今の体調のせいか、体質のせいかもしれないのだが。

LUPICIA

2009年9月23日水曜日

『オダリスクの踊り~タレガ作品集~』福田進一

 2009年。タルレガとも言われるFrancisco Tárrega のトリビュートアルバム。前半部はタレガ本人が作曲した10曲、後半部は他人の書いた曲をタレガがギター用に編曲した8曲という構成になっている。
 まず聴いて思ったのは、クラシックってこんなに自由なんだ、ということ。それは1曲目の「ラグリマ(涙/前奏曲)」を聴いて数秒も経たないうちに感じた。この曲のメロディはとてもきれいで運指も比較的簡単なのでお遊びで弾いたことがある(クラシック用のナイロン弦ではなくスティール弦で)。そのときは楽譜にある音だけをなぞってテンポも一定にして「しっかり」弾いてしまっていた。福田進一はこんな風には弾かない。音ひとつひとつの強弱に気を遣ってテンポも曲調に合わせて自由に変わり、非常に感情豊かに弾いている。すぐに引き込まれてしまった。それはどの曲に対しても言えることである。クラシックってお堅くてちょっと私には・・・と思う人もかなりいるのではないかと思うが、全然そんなことはなくて、ちょっとした制約(それは楽譜に書かれていることであったり、作曲された当時の時代背景であったりするのだが)を守りさえすれば自分の解釈で自由に弾いていいのだ。言い過ぎであろうか。でも私はこのアルバムを聴いてそのことを強く感じた。これまでも村治佳織や木村大などを通じてクラシックギターの世界には触れてきたのだが、ここまで衝撃を受けたことはなかった。もしかすると福田がすごいのではなくて私の脳がようやくクラシックを受け入れるように変化しただけなのかもしれないが、今後彼の他の作品も聴いてみたいと思った。

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シャブリの風景

 フランスのブルゴーニュ地方の町シャブリ(Chablis)。この町の一帯シャブリ地区は言わずと知れた辛口ワインの産地である。残念なことに私はアルコールがからきし駄目であるが、ワイン好きであれば一度は口にしたことがあるのだろう。私が酒好きであれば、珈琲やお茶と同じようにはまっていたのかもしれない。良かったのか悪かったのか。
 今回はなるべくメルヘンチックになることを目指して描いてみた。生成りの紙に描いたので発色はあまり良くないが、雰囲気は出せたのではないかと思う(自分に甘い)。

2009年9月22日火曜日

『コロンビア・エル・プログレソ』横井珈琲

 「オレンジや赤リンゴを思わせる爽やかな香り、シルクのような口当たりとミルクチョコやキャラメルを思わせる甘さが心地よく持続。」

 2009年のカップ・オブ・エクセレンス3位の豆。この珈琲を飲みながら上の引用文を見てみると、なるほど、と思える。しかし上の文だけを見てこの味を思い浮かべるのは難しいだろう。そんなことを言ったら、このブログに載せているほとんどすべての記事がそういった類の文ばかりだ、というのがばれてしまうが。
 とにかく、この珈琲は余韻がすごく良い。本当にミルクチョコをずっと口に入れている感じがする。それでいて爽やかなのだ。コンテスト上位に入るのがよくわかる。ただ酸味が強めなので、それが全くだめな人は好きじゃないかもしれない。本当は余韻だけでも楽しんで欲しいのだけれど。

工房 横井珈琲』札幌市西区発寒9条11丁目2-11(地図

『Géramont CREMIG-WÜRZIG』

 ジェラモン クレミグ・ヴルツィグ。フランス産(仮に)。ウォッシュタイプ(仮に)のチーズ。濃厚でクリーミーなコクがあって良い。ウォッシュにしては臭みも少なく食べやすい。まるで白カビタイプのチーズのようだ。おいしい。
 実はこのチーズがどんな出自のチーズなのかよくわからない。ネット上には驚くほど情報が少ない。箱の後ろの日本語表記には「原産国フランス」と確かに書いてあるのであるが、フランスよりもドイツのサイトの方が情報量が多い。しかもジェラモンのホームページはドイツ語だ。わけがわからない。それにウォッシュとはどこにも書いていないので、もしかすると白カビタイプかもしれない。。CREMIG-WÜRZIGはクリーミーでスパイシーな、という意味であるが、あまりスパイシーさは感じられない。おいしさとは全然関係のないことであるが、私にとって色々と「?」な点が多いチーズだ。
 (最後に)ウォッシュは苦手だけど、白カビタイプよりももうちょっとコクがあった方がいいんだよね、という人にはかなりオススメである。

2009年9月20日日曜日

『BIG NEIBORHOOD』Mike Stern

 2009年。ジャズ・ギタリスト。
 私がマイクのアルバムを聴いたのは『is what it is』(1994)、『GIVE AND TAKE』(1997)以来であるから、曲調の違いに戸惑ったのはある意味当然のことかもしれない。上記2作はどちらかというとギターが前面に出て、抑制の利いたきれいなメロディーをじっくり聴かせる、といったタイプのアルバムだったと思う。その傾向は2「6TH STREET」、8「LONG TIME GONE」などに通じている。それに対して本アルバムはロック色が強い。ライナーノーツによると、彼はジミ・ヘンドリックスの影響を受けているという。アルバムの前半部にはボーカルの入った曲も数曲取り入れられており、アルバムの幅を大きくしている。
 好きな曲は後半に集中しており、例えば9「CHECK ONE」、10「THAT'S ALL IT IS」、11「HOPE YOU DON'T MIND」なんかが好みだ。アルバム全体としても結構気に入っている。
 余談だが、マイク・スターンを知ったのは矢野顕子の『Piano Nightly』(1995)というアルバムの5曲目が彼の曲だったからだ。この曲は『is what it is』の3曲目に入っている。

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2009年9月19日土曜日

『VANILLA』LUPICIA

 バニラ。「天然のバニラを刻んでブレンド。ふんわり軽い味と香りは、ミルク向きです。」

 以前このブログで『LA VANILLE(ラ バニーユ)』というのを紹介した。それと今回との違いが何なのか実はよくわからない。ホームページを見るとどちらの紅茶も存在するので、別物ではあるのだろう。フランス語と英語だけの違いではあるまい。今回の方がバニラの味がきつくなくて飲みやすいと個人的には思うが。

LUPICIA

常備水

 写真を見てわかるとおり、常備水と言っても非常用というわけではない。我が家では常時この3種類の水を段ポール買いして手元に置いてあるというわけだ。今回はたまたまバラバラの量になっているが、ネットで一番安く手に入る水を購入しているので、そのときによってビン(ペット)の量は変わる。
 左から、ペリエ(Perrier、フランス)、バドワ(BADOIT、フランス)、サン・ペレグリノ(S.PELLEGRINO、イタリア)。全部ガス入り(炭酸入り)の硬水で、左から順番に炭酸の度合いが小さくなっていく(つまりペリエの炭酸が最もきつい)。一番好きなのはバドワで、これは割と最近日本に輸入されるようになった水である。実は10年以上前フランスのとあるレストランで出された水がバドワで、それ以来この水の虜になってしまい、ずっと日本に輸入されるようになるのを心待ちにしていた。やっと夢が叶ったというわけである。なお、このラベルは赤になっているが、普通は緑のラベルが多い。バドワとサンペレは基本的にそのまま飲む。ペリエだけは気分によってシークワーサーの絞り汁を入れたりもする。
 全部合わせると災害になっても数日間もつぐらい十分な水の量になるけど、全部炭酸水ってどうなんだろう。

2009年9月18日金曜日

『イノダコーヒ 札幌紀伊國屋支店』

 窓の方を向いたものすごく長いカウンターが印象的なカフェ。窓の外には街路樹のプラタナスがすぐ目の前に広がる。カウンターの手前の部分は本を読みやすいように絶妙な角度でカットしてある。さすが書店に併設されたカフェのことだけはある。そして(これはすごいことだと私は思うのだが)このカフェにはBGMが流れていない。何十回とここで珈琲を飲んできたにもかかわらず、つい最近までこの事実に気づかなかった。おそらくBGMのないことが、このカフェが独特の洗練されたイメージを醸し出している大きな理由のひとつになっているのだろうと思う。
 珈琲メニューとしては「アラビアの真珠」と「コロンビアのエメラルド」がある。珈琲を頼むとミルクと砂糖を入れるかどうか店員に聞かれるが、一度くらいは店員の薦めるままミルクと砂糖を入れて飲んで欲しい。それらを入れて飲むのが、この珈琲店が京都に初めて店を出して以来の「型」であるからだ。そこで騙されたと思ったら、次からはミルク、砂糖なしにすればよい。

イノダコーヒ 札幌紀伊國屋支店』札幌市中央区北5条西5丁目7番地(地図
(sapporo55ビル 紀伊國屋書店札幌本店2F)

2009年9月15日火曜日

『永山裕子 水彩画展』大丸藤井セントラル

 ナガヤマユウコ。水彩画を本から学ぼうと思っている人には知られているはずだ。水彩技法書関連の書棚にはまずこの人の本が並んでいるだろうから。
 彼女は、ものすごく自由に縦横無尽に筆を走らせて、水をたっぷり使って画面を埋めていく。右上を描いたら左下、と思ったらすぐに右下に行き、またすぐに上を描き、という風に、初め全体にぼやけて何を描いているのかわからなかったものが少しずつ輪郭を現していく。そしていつの間にか絵が完成してしまっているのだ。というのは店頭でのDVDによるデモンストレーションの感想。
 絵の素材は花が多い。ひとつの画面の中に、赤、青、黄、緑、紫など様々な色が混在しているにもかかわらず、画面に統一感がある。色の彩度は高く、画面全体が光を放っているかのようにも見える。全体的にぼかしが多用されているのに画面が安定して見えるのは、焦点となるところはきちんと描き込んであるから。勿論描き込んでいる場所は画面内に数箇所あり、それらがうまく連携することによって、そこが支点となり自然と画面全体に視線が行くようによく考えられている。水彩画でしか成し得ないような雰囲気にどんどん引き込まれていく・・・

 私の今の作風は彼女とは全く違うけれども、本当はこんな絵が描きたい。
(なお、これまで展覧会の記事にはパンフレットのコピーを載せていたのだけれど、著作権法上よろしくないことなので、今後は文字だけの記事にします)

2009年9月13日日曜日

『Life Time』Be.

 2009年。「Be.」は佐藤健治と浜崎快声とから成るギターデュオ。二人とも色んなアーティストのバックとかで演奏しているプロのギタリストだ。このグループを初めて知ったのは、押尾コータローが監修した『GUITAR PARADISE』というアルバムにおいてである。このアルバムの最後を飾ったのが、『Life Time』の1曲目にもなっている「Starting Over」。爽やかな、山弦(私の一番好きなギターデュオ)を思わせるナンバーで、これはいいグループが出てきた、と思ったものだ。しかし程なくして発売された1stアルバム『4 Seasons』は、ただうるさいだけな気がして気に入らなかった。だから『Life Time』も最初は買うつもりが無かったのだが、「Acoustic Guitar Magazine 41」に「インスト好きには自信を持ってオススメしたい」と書かれていたので、無視できずに購入してしまった。これは失敗ではなかった。前出の1「Starting Over」以外にも、3「Remember Me ?」や5「モノクローム」も山弦を彷彿とさせる。2「あなたのそばで」や11「おもかげ」のようなしっとりとしたナンバーも良い。
 これからも「Be.」を見守っていきたい。

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黒茶になるはずだった白茶。青蓮茶室

 『青蓮茶室』の店主がこのお茶の名前を教えてくれなかったので、こんなタイトルになってしまった。このお茶は、もともとプーアール茶(黒茶)用に栽培されていたお茶の新芽だけを摘んで、白茶の製法で作ったお茶だという。白茶だからほとんど色は付いていない。味は柔らかく甘い。微かにプーアールっぽい香りがする気がするが、白茶はこんな香りのするものなのかもしれない。。贅沢で、高級感が漂うお茶だ。

青蓮茶室』札幌市北区北23条西5丁目メルローズプレイス1F(地図

2009年9月12日土曜日

『献上加賀棒茶』冷茶編

 『献上加賀棒茶』を大さじ2,3杯お茶パックに詰めて、1.5リットルの新鮮な水道水に入れて冷蔵庫で一晩おく。これが実にうまい。焙じたお茶の香ばしさが鼻を楽しませ、すっきりとした切れの良い味が喉を潤す。これを楽しまない手はない。もしこの茎焙じ茶が手に入ったなら、ぜひ冷茶を作ってみることをお薦めする。
 ちなみに札幌の水道水はカビ臭などの異臭味がほとんど無いのでそのまま使える。塩素臭なんて一日もすればすぐに消えてしまうし。もしミネラルウォーターを使うなら軟水を使ったらいいと思う。日本産のミネラルウォーターならほとんどが軟水である。
 話が逸れた。加賀棒茶の冷茶、感動します。

加賀棒茶 丸八製茶場

『Ruppel』

 ルッペル。看板には「Meister Ruppel」と出ている。ライ麦パンの店、ドイツパンの店である。手稲稲住公園からJR稲住公園駅を挟んだ反対側の住宅街にぽつんと建っている。普通の住宅に古ぼけた看板が付いているだけの小さな店だ。飾り気もなく、職人の店という出で立ちだ。
 個人的には札幌市内でのおいしいパン屋さんベスト3に入れている。かなりわかりづらい場所にあるが、行ける人にはぜひ試してもらいたい。売っているパンにデニッシュ系は全くなく、あくまで硬派を貫いている。パンの焦げが比較的多くムラもあるが、それが逆に良い味を出す秘訣でもあるのか、かんだときに口に広がる香り、そして味が堪らない。小麦粉の魅力を余すところなく引き出している。このような店は貴重である。

ルッペル』札幌市手稲区富丘1条5丁目14-28(地図

『Medicine for your Soul』saigenji

 2008年。ベストなどを除けば、『SAIGENJI』『la puerta』『Innocencia』『ACALANT』『Music Eater』に続く6枚目のアルバム。ブラジル音楽の影響を強く受けている。saigenjiという独自の世界はそのままに、初期の頃のアルバムに比べてより洗練されてきたような気がする。無駄な音が無くなってきた、と言おうか。温かいギターの音色に乗せて独特の歌声が広がる。その声は他に似た人がいないので何とも形容しがたいが、ホルンとトランペットの中間くらいの声質と言ったらいいだろうか。ホルンよりは黄色くて、トランペットほどにはキンキンしていない。一度聴いてみないとイメージがわかないかもしれない。あまりにも独特なので、好みは分かれるだろう。この声と彼の音楽は不可分一体になっていて、声が違うとどんな雰囲気になるのか想像がつかない。歌詞は素朴な感じで嫌味がない。暮れかかる南国の海辺がよく似合う。
 2曲、ギターインストの曲がある。これもいい。

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