2017年10月15日日曜日

『やまがみさまのどうくつ』

 第12回KFS絵本グランプリ絵本イラスト部門で入選しました。神社の近くの山神様の洞窟に、おてんばなお嬢さんが入っていって祠を掃除しているところです。画材は久しぶりにガッシュ(不透明水彩)を使ってみました。ちょっとコミック寄りかも。最近私の画法はぶれにぶれまくりです。

2017年10月14日土曜日

『枕草子のたくらみ』山本 淳子

 朝日新聞出版。副題『「春はあけぼの」に秘められた思い』。
 『枕草子』の作者、清少納言は、一条天皇の中宮である定子に仕えた。そしてその頃の貴族らの機知に富んだ雅で華やかな世界を『枕草子』の中に描き出した。では何のために?
 清少納言というと、「春って曙よ!」 で始まる橋本治による『桃尻語訳枕草子』のイメージのせいか、どうしても、頭はいいけどミーハーで、ちょっといっちゃってる現代娘という印象が強い。そして『枕草子』に書かれているそのままに優雅な時代を生きたのだと。ところが実際には、定子はこの平安の世の中で必ずしも幸せとはいえず、権謀術数の渦巻く政治の世界に翻弄され、数奇な人生を送ったのだという。一条天皇に愛され、その間に男子をもうけながらも、失意のうちに24歳という若さでなくなってしまう。そのような中にあっても、『枕草子』の中には暗い話が出てくることはほとんどなく、あくまで雅で気の利いた言葉で定子の住む世界が語られるばかりだ。政治的にデリケートな話も絶妙に避けられている。
 ここに清少納言の思いがあった。 本書ではこれを「たくらみ」と称している。『枕草子』は、ただ定子のために捧げられたものなのだという。生前は定子の心を癒やし、没後は定子の魂を慰める、ただそのままに。
 とてもおもしろい本である。『枕草子』の原文と訳を豊富に掲載し、『紫式部日記』、『栄華物語』、『小右記』などの記述も多数引用することで、この時代背景を詳しく追いながら、定子と清少納言の関係にスポットライトを当てて『枕草子』を解読していく。この本を読むまで、『枕草子』の裏にこんなにも複雑で重々しいドラマが隠されていたとは思いもしなかった。清少納言に対するイメージを大きく変えた一冊である。

『リクくんのキノコ狩り』

 第12回KFS絵本グランプリ創作絵本部門で入選しました。KFS(講談社フェーマススクールズ)は今年度で解体されるので、今回が最後のグランプリでした。とうとう上位に食い込むことができないまま終わってしまったな、というのが正直な感想です。以下は、あらすじと提出した4枚の絵です。


 鼻の赤いアリクイのリクくんはこの日をとても楽しみにしていました。今日は待ちに待ったキノコ狩りの日です。
 朝からみんなで集まって、朝食を食べながらわいわいガヤガヤ。「私キノコ狩りなんて初めて。楽しみだわ」「両手に抱えるくらいの大きいマッシュルームを取ってくるぞ」「チイちゃん、朝からそんなに食べてたらキノコ汁食べられなくなるぞ」「ハハハ」
 食べ終わってから、さあ出発。トチおじさんの小屋に立てかけてあるシイタケのほだ木を横目に見ながら山の中へ。はじめはなかなか見つけられなかったキノコですが、目が慣れてくるとどんどん見つかるようになりました。ホンシメジ、ムラサキシメジ、ナメコ、カラカサタケ。みんな夢中になってキノコ採りに励んでいます。
 ところがそのうち、それぞれが一生懸命下ばかり見てキノコを採っていたので、気づいたらみんな森の中でバラバラになってしまいました。「おーい、リクくーん」「おーい、カンちゃーん」みんなお互いに声を掛け合ってまた会えることができました。でもチイちゃんの姿だけが見えません。みんなでチイちゃんのことを探しました。
 すると、真っ赤なキノコの横でチイちゃんが倒れているのを見つけました。「これ、毒キノコだよ。チイちゃん食べちゃったんじゃない?」みんな心配して駆け寄ります。大声で話しかけても揺り動かしても起きません。森の仲間たちも心配して集まってきました。
 そして救急車が到着すると、チイちゃんはパッと目を開けて、「あーあ、よく寝た」と言いました。「大丈夫?」とみんな声をかけますが、チイちゃんはポカンとしています。みんなもそのうちチイちゃんがお腹いっぱいで寝ていただけだとわかりました。そしてみんなほっとして、どっと笑い合いました。
 そのあと森のみんなでおいしくキノコ汁を食べました。おしまい。

2017年10月9日月曜日

『ディテール・イン・タイポグラフィ』ヨースト・ホフリ

 現代企画室。『Detail in typography』Jost Hochuli。麥倉聖子 監修、山崎秀貴 訳。副題「読みやすい欧文組版のための基礎知識と考え方」。
 文字、字間、単語、単語間、行、行間、コラムといった、マイクロ・タイポグラフィとかディテール・タイポグラフィと呼ばれるものを対象に、基礎知識と考え方が書かれた本。組まれた文章が読みやすいとはどういうことなのかを、タイポグラフィの視点から説明している。内容は全然難しくなくて、ごく基礎的なことしか書かれていないけれど、つい気が回らずに読みづらい組版にしてしまいがちではあるのだろうから、基礎の確認のために読んでみてもいいかもしれない。70ページに満たない薄い本です。

2017年10月8日日曜日

『ライヴ・イン・モントリオール』上原ひろみ×エドマール・カスタネーダ

 2017年。『Live in Montreal』Hiromi & Edmar Castaneda。
 エドマール・カスタネーダはコロンビア出身のハープ奏者である。2016年6月30日に行われたモントリオール・ジャズ・フェスティバルで、上原がエドマールの演奏を見て一目惚れしたのが、2人の出会いだという。彼女のアタックによって、その後1ヶ月もしないうちに共演が叶ったというのは驚きだ。
 彼のハーブの音を聴いて、私がこれまでハープに抱いていたイメージを根底から覆された。激しく情熱的でグルーヴィーという表現がハープにも当てはまるなんて思いもしなかった。上原が変態的なピアノを弾くということは元々わかっていたことだけれど、同じく変態的なハープを弾く奏者がいたとは(もちろんここでの変態的という言葉は褒め言葉である)。同じ撥弦楽器であるピアノとハープは、元来合わせづらい楽器同士なのだそうだが、このアルバムでの上原のピアノとエドマールのハープはぴったり息が合っていて、相性ばっちりである。ハープには30以上の弦が張られており、その音の間隔はふつうのドレミファソラシドではなく、全音になっているのだそうだ。その制約を聴いている者に微塵も感じさせない素敵なアレンジで、聴衆を圧倒させる。
 このアルバムでは2人のそれぞれの持ち歌の他、上原が2人のために作った曲やカヴァー曲が収められている。どの曲もすごくいいが、私はエドマールの『A Harp in New York』と、ピアノとハープのために上原が作った組曲『The Elements』(Air、Earth、Water、Fire)が特に好きだった。上原の作る曲はいつでもそうだが、このアルバムの中の曲もすべて曲名と中身がぴったり合っていて、音楽を聴いているとその情景が鮮やかに浮かび上がってくる。多くの人に聴いてもらいたい1枚だ。

2017年10月1日日曜日

『FELT』Nils Frahm

 2011年。
 ニルス・フラームはドイツのピアニストで、このアルバムも基本的にはピアノで弾いているが、シンセやヴィヴラフォンなどの音も後から重ねて、曲として仕上げている。たぶん自宅スタジオで録られており、夜中にも録音しているので隣人に迷惑をかけないように、ピアノの弦にフェルトを巻いたらしい。それがタイトルの由来なのだろう。そのフェルトの効果でやわらかく響いてくるピアノのやさしい音が、静かに心に染み入ってくる。おそらくスタジオは完全防音ではないのだろう。時折周囲の音が音源に混ざってきたり、ピアノのハンマーが弦をたたくときの雑音や演奏している彼の息づかいまでもが曲の中に表現されており、まるで目の前でピアノを演奏してくれているような感覚に陥る。録音時ヘッドフォンをして曲作りをしていたので、聴くときも是非ヘッドフォンをしてほしいと、同封のリーフレットには書かれている。

2017年9月26日火曜日

ブログのデザイン変えてみた

 同じデザインで8、9年やってきたんだけれど、ちょっと気分転換ということで、ブログのデザインを変えてみた。
 記事の背景は下地が見えるようにしたかったんだけど、そうするとパソコン上ではまあきれいに見えるんだけど、スマホから見ると読みづらかったりしたので、断念。結局記事の後ろに色をつけた。ださくなっちゃったけど。
 あと、本文中の英字フォントが日本語フォントと合っていないのですごくいやなんだけど、知識不足で直せなくてこれまた断念。日本語フォントを明朝体にすれば、それに合う英字フォントも見つかったんだけど、なんとなく本文はゴシックにしたくて。
 他にもいろいろと思いどおりにならないところが多々あれど、しばらくはこれで行くことにしました。すぐに気が変わってちょこちょこいじるかもしれないけれど。